2020/05/03 16:50

妖艶なダークネスで異世界へと誘う──Barbican Estate

数多いるアーティストの中からOTOTOY編集部がプッシュしたいアーティストを取り上げるこのコーナー。 読んで、聴いてもらえれば、どこか心に引っかかるであろう、魅力溢れる1組をご紹介。時期が収まればライブハウスで共にステージを観ましょう。

第12回 : Barbican Estate

東京を中心に活動する、3ピース・ダーク・サイケデリック・バンド、Barbican Estate。ドリーミーさと鋭さを携えたヴォーカル、美しさを損なわないままに轟音を編み出すギター、ジェームス・チャンス & ザ・コントーションズを思わせるノー・ウェイブ系譜の重く乾いたドラムでサイケデリック〜シューゲイザー・サウンドを奏でる彼ら。そのサウンドは自分含め、新旧インディロック好きにとってたまらないものなのではないだろうか。

躍動感あふれるソニック・ユースさながらのステージもその魅力の一つだ。バイオリンの弓を使ったボウイング奏法や、シタールを使った演奏など、様々なアプローチでステージを彩っていく様には圧巻される。そして舞台芸術のようにすら思えるライヴには、音楽に関連するものだけではない美学が通徹してるように感じた、果たしてそれはなんなのだろう。

昨年活動をはじめたばかりだという彼らに、音楽の原体験からBarbican Estateのリファレンスとなるバンド、文学、映画、そしてライヴへのこだわりまで伺った。

Barbican Estate - Angel
Barbican Estate - Angel

MAIL INTERVIEW : 戸練(Gt/Sitar)、ミリ(Ba/Vo)

Q. 自分たちの音楽を知らない人に伝えるとしたら?

戸練:ドイツ表現主義のような都市的、ミニマリズム的ダークさと、古代音楽における倍音サイケデリクスの融合。

Q. 一番最初の音楽体験を教えてください

戸練:僕が最初に衝撃を受けたのは、小学5年生のころに父が見せてくれたニルヴァーナの“Heart Shaped Box"のPVでした。

Nirvana - Heart-Shaped Box
Nirvana - Heart-Shaped Box

ミリ:私はピアノとフルートを習っていたのですが、10歳でポップ・ミュージックを知ってからはラジオや両親のカセット、MDをくすねては聴いていました。レッド・ツェッペリンが1番の衝撃で、当時唯一の反抗としてロックを聴いていた覚えがあります。

Led Zeppelin - Whole Lotta Love (Official Music Video)
Led Zeppelin - Whole Lotta Love (Official Music Video)

Q. 結成のきっかけはなんでしたか?どのように出会ったメンバーなのでしょう

戸練:僕とミリ(Vo)がサーストン・ムーアの来日公演で出会ったのが最初のきっかけです。そのときはサーストンのバンドではなく、灰野敬二との即興ジャム・セッションだったのですが、会場には同世代がおらず(笑)。お互い唯一の20代と認識し意気投合、そこから交際をはじめました。そのころ僕は以前組んでいたサイケデリック・バンドが解散してしまったときで、ミリはSUPERFUZZなどインディー・ロックのパーティーでDJをしていながら、バンドもやりたがっていたのですぐに誘いました。浜田(Dr)は共通の友人を介して知り合っていて、元々ブラック・ミュージック界隈にいた彼と最初は軽くジャムをしようという流れになったのですが、いざ演奏してみると思いのほか彼のドラムスタイルがノー・ウェイブで(笑)。そこで意気投合してバンドに誘いました。

Q. 3ピースにしたのはなぜですか?

戸練:特に理由はないのですが、しいていうならやはりジミ・ヘンドリックス、ニルヴァーナに対する憧れからですかね。

Photo by Yui Nogiwa

Q. バンドをはじめるにあたって影響を受けたアーティストを教えてください

戸練:音楽ではヴェルヴェット・アンダーグラウンドスワンズソニック・ユース、ピンク・フロイド、あたりから影響を受けました。ただ、音楽のみならず、文学でいうならばギリシア悲劇やビート文学、映画でいうとフリッツ・ラングの『Metropolis』など様々なアートからも同時に影響を受けています。

The Velvet Underground - White Light White Heat
The Velvet Underground - White Light White Heat

『メトロポリス』 フリッツ・ラング監督
『メトロポリス』 フリッツ・ラング監督

ミリ:音楽ではザ・ドアーズですね。他にも、私が大学でヨーロッパ映画を専攻したこともあり、ライナー・ヴェルナー・ファスヴィンダーやヴィム・ヴェンダースなどニュー・ジャーマン・シネマからの影響が強いです。特にヴェンダースは外向きなロックファンでもあって、1960年代のアメリカのサイケデリック・バンドは彼から教わったものが多くあります。

The Doors - Love Me Two Times
The Doors - Love Me Two Times

映画『あやつり糸の世界』予告編
映画『あやつり糸の世界』予告編

Q. 東京で活動されていますが、交流のあるバンドを教えてください。また認識しているシーンがあればそれについても教えてください

戸練: 何回か共演したのがNEHANNやPsycho Heads、STRAMあたりです。彼らはかなり海外、特にアンダーグラウンド志向が強いバンドで、共演するたびに物凄いインスピレーションを与えてくれます。このまえ僕たちが初めて主催したイベントに彼らが出演してくれたのですが、手ごたえ的に今後東京アンダーグラウンドシーンが来ると確信しました。

Q. ライヴがとても躍動的で感動しました、目指しているライヴ・パフォーマンスなどありますか?

戸練:スワンズとボアダムスです。スワンズのライヴは3回行ったことがあり、みるたびに新しい発見やインスピレーションを与えてくれますね。たった1コード、1フレーズを30分ほどにもわたって延々とループさせるのですが、それが終盤で爆発した時のカタルシスは筆舌に尽くしがたい興奮があります。ボアダムスのライブもその点が衝撃的で、やはりフレーズの無限ループからの轟音という意味で両者から多大な影響を受けていると思います。

SWANS - Beautiful Child Live 1987
SWANS - Beautiful Child Live 1987

The boredoms live in new york
The boredoms live in new york

Q. 音源とライヴでかなり音色が違うと感じたのですが、何かそこに対する美学的なものはありますか

戸練:音源は精神性や、形而上学的部分を主軸にしているのに対して、ライヴはより実態のあるもの、つまり肉体的な部分にフォーカスしております。Barbican Estateの音楽のベースはノー・ウェイブ、かつ古代の呪術のようなアプローチであり、それらは延々とコードをループさせることで演者や観客を一種のトランス状態に持っていきます。僕たちの楽曲は主に2、3コードしかない曲がほとんどなのですが、そこに肉体的な荒々しさを加えることで、単調であっても躍動感のあるライヴ・パフォーマンスに仕上げております。

Q. この先どのような活動を行なっていきたいですか?短期的、長期的な目標を教えてください

戸練:短期的には、東京のアンダーグラウンドで開催されている様々なイベントに出演して、そこで今活躍しているバンドたちと交流していきたいです。また、最終的に拠点を海外に移していきたいとも考えていて、国籍やジャンルにとらわれないアート活動をしていければと思っております。

Photo by Chiaki Fujisaki

MUSIC VIDEO

Barbican Estate - Angel
Barbican Estate - Angel

Barbican Estate - (cover) The Closet - Teenage Jesus and the Jerks - (Live on X-farm)
Barbican Estate - (cover) The Closet - Teenage Jesus and the Jerks - (Live on X-farm)

PROFILE

Barbican Estate

3ピース・ダーク・サイケデリック・バンド。2019年に結成、渋谷、下北沢、高円寺のライヴハウスを中心に活動を開始する。11月にはメルボルンのポスト・パンク・バンドNo Sisterのサポートに抜擢。2020年3月、1stEPをRhyming Slangより初のリリースを遂げる。同月には南青山MANDALA初主催イベント〈TIDE〉を成功に収めた。

Twitter : https://twitter.com/mm71mcr
Instagram : https://instagram.com/barbicanestateband

Release Info

new EP
『Barbican Estate』

A1. Angel
A2. Gravity of the Sun
B1. Dim Light
B2. Successive Sliding of Pleasure
Rhyming Slang
https://rhymingslang.thebase.in/items/26795137

この記事の筆者
津田結衣

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