2019/09/30 17:00

歌は夜空に消え、人々はまた街に戻っていく──eastern youth、17年ぶりの日比谷野音公演

LIVE REPORT : eastern youth@日比谷野外大音楽堂

eastern youth、17年ぶりの野音。心配された天気も朝から快晴、お昼過ぎから日も影って気持ちの良い風が吹き抜けていた。

開演20分ほど前、霞ヶ関で続々とeastern youth歴代のTシャツを着た人たちが降りていき、その中に混じって駅を出て日比谷公園へと真っ直ぐ向かうとその数はどんどんと増していく。会場に入ると前売りソールドアウトということもあり、外とは明らかに違うモワッとした熱気が漂う。この日のために全国から様々な人が集まったんだなということに思わずグッときていると開演が近付き慌てて席に着く。

開演時間を過ぎ、SEと共にメンバーが大きな歓声と共に登場。一曲目はベースに村岡が加入してからの新体制での象徴的な曲でもある“ソンゲントジユウ”からスタート。そこから立て続けに“夏の日の午後”、“砂塵の彼方へ”、“故郷”とド頭からトップギアに入れた楽曲をプレイ、歪んだギターの音が爆音で日比谷に鳴り響いていく。その後も初期の作品『孤立無援の花』から2曲と“雨曝しなら濡れるがいいさ”と続き、個人的にこの日の前半ハイライト、普段のライブでもあまり演奏されない楽曲“サンセットマン”へ。徐々に沈む夕陽の中、「大丈夫さ 大丈夫だぜ」と歌う吉野と、ステージの後方にライトで伸びるメンバーの影が美しく、思わず拳をグッと握りしめた。ここまで強烈なセットリストにも関わらず、「まだ半分ですよ」という吉野のMCの後も“月影”、“道端”、“裸足で行かざるを得ない”といった初期の楽曲や、晴れた野音に鳴り響く“青すぎる空”と緩めることのない選曲が続く。

ライブは中盤から後半に差し掛かり、吉野がMCでこの日、日比谷公園では日韓交流のお祭りが開催されていることに触れる。そこでは「どこの国だって一緒だよ。酔っ払ってフラフラになりながら帰るのも一緒。切ないのも泣きたいのも一緒。話しましょうよ。」という言葉から“街はふるさと”が演奏されたのには目頭が熱くなった。そこから最新曲“時計台の鐘”、森田童子のカバー“たとえばぼくが死んだら”の流れにも勝手に深い意味を感じつつ、普段あまりMCをしない田森がマイクを取る。17年前の野音の記憶が全くないことで笑いを取りつつ、この野音の後もライブが続くことに触れる。この日が特別1日であることは間違いないが、eastern youthにとってあくまでもこれからも重ねていくであろう1本のライヴに過ぎないのということを感じさせた瞬間であった。そして本編ラストに向けて“荒野に針路を取れ”、“夜明けの歌”と続き、最後を締めくくったのは“街の底”‼︎ 観客のシンガロングの声や熱量もこの日の最大となって本編が終了。

鳴り止まないアンコールの中メンバーが登場し、今度は村岡がMCを取る。岡山弁もまじりつつお客さんへ感謝を述べ、吉野が「村岡さんが拾ってくれた命ですからね」と村岡の加入が無ければ止まってしまっていたことを思うと改めてこうしてバンドというものが続いていく、しかもそれがこれだけの長い時間に渡ってということが奇跡的なことなのだと思わされた一幕であった。そこから演奏された“歌は夜空に消えてゆく”、自分もライヴでの演奏は聴いたことがなく、どうやら前回の野音ぶりとなったこの曲が間違いなくこの日の後半のハイライトだろう。自分をはじめ、会場全体がその一音一音を噛み締めながら演奏を聴きいっている姿が印象的であった。

演奏が終わり、客電が点灯したが止まないアンコールの声に再びメンバーが登場。吉野が改めてこの日集まったお客さんへ感謝を述べて“DON QUIJOTE”をプレイ。もちろんここまで全身全霊の演奏を続けていたが、本当に最後の最後、死力を尽くした演奏でライヴを終えた。

ライヴを終え、それぞれの帰路へお客さん達が歩いていく。自分も足早に会場を出て電車に乗り込み、終点荻窪から自宅の西荻窪まで歩いて帰った。今日来ていた人たちは一体どんな気持ちを抱えて家路に着いたのだろうか。また各々がそれぞれの持ち場で闘いながら、いつかどこかで再びすれ違えることを願って。街の底、人間たち、さまよって今日も明日も生きていく!

セットリスト
01.ソンゲントジユウ
02.夏の日の午後
03.砂塵の彼方へ
04.故郷
05.扉
06.いずこへ
07.雨曝しなら濡れるがいいさ
08.サンセットマン
09.踵鳴る
10.スローモーション
11.月影
12.青すぎる空
13.道端
14.裸足で行かざるを得ない
15.矯正視力○・六
16.ナニクソ節
17.街はふるさと
18.時計台の鐘
19.たとえば僕が死んだら
20.荒野に針路を取れ
21.夜明けの歌
22.街の底

ENCORE
01.歌は夜空に消えてゆく

ENCORE 2
01.DON QUIJOTE

文 : 高木理太
写真 : 平川啓子

eastrn youth過去作はこちらにて配信中!

PROFILE

easetrn youth

吉野寿 : エレキギター、ボイス
村岡ゆか : ベースギター
田森篤哉 : ドラムス

1988年 札幌にて、吉野寿、田森篤哉、三橋徹により結成
1991年 バンド上京に伴い三橋脱退
1992年 二宮友和加入
2015年 二宮脱退
2015年 村岡ゆか加入

何がなにやら暗中模索で今日も迷走中

公式HP : http://hadashino-ongakusha.jp/
Twitter : https://twitter.com/ey_chan

この記事の筆者
高木 理太 (Rita Takaki)

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