2019/04/11 00:00

誇りを胸に前を向いて歩け──平均年齢19歳の5人組バンド・FAITH 待望の2nd EPをリリース

左から、メランソンルカ(Dr)、荒井藤子(Ba)、ドリチュラーあかり(Vo)、ヤジマレイ(Gt&Vo)、コバヤシレイ(Gt&Vo)

平成がいよいよ終わる。一時代の締めくくりに相応しいEPが、平均年齢19歳の5人組バンド・FAITHからリリースされた。次に訪れる令和の時代でシーンの中心に立つべき逸材が放つ、2nd EP『Yellow Road』は、彼ららしい軽快でポップな楽曲から、今までにないセンチメンタルな楽曲まで収録した、見たことのない彼らが垣間見える意欲作をレヴューでお届けする。


FAITHらしい“奔放さ”がしっかりと現れたEP

彼らがロックを鳴らす意味とはなんなのだろう。
HIP HOPが隆盛し、日本の音楽シーンにおいては、ソロアーティストが次々に 才能を開花させているなか、オートチューンを取り入れたり、ヒップホップのフロウを取り入れたりするわけではなく、純粋に、自分たちがやりたいようなロッ クを鳴らしている彼らには一体何が見えているのだろうか。
私は思う、彼らにとって音楽シーンなんて関係ないのだと。自分たちの音楽で楽しんでいる確かなリスナーの存在が、彼らが好きな音楽を突き詰めることができる最大の理由なのではないか。

FAITH / Yellow Road (Official Music Video)
FAITH / Yellow Road (Official Music Video)

今作でもFAITHらしい“奔放さ”がしっかりと現れている。M1「CHAMP」ではMVを見ても明らかなように、人それぞれ目の前に立ちはだかる壁を破っていこうという強い意志が軽快なサウンドと前向きな歌詞から感じられる。EPタイトルにもなっているM2 「Yellow Road」では、童謡の“オズの魔法使い”をモチーフに、自身の今までの道のりを回想しているかのようだ。〈They tell me to live right They tell me I’ve to fight I’ll leave them all behind to find out for myself “みんなが私にちゃんと生きろと言う みんなが私に向き合えと言う そんな言葉は全部流して 自分で確かめるんだ”歌詞を見れば一目瞭然だが、他の人と同じように、もしくはそれ以上に彼らも悩んでいるのかもしれない。だからこそ彼らの楽曲に私たちは共感し、勇気づけられるのだ。アカリ ドリチュラーらしい等身大の歌詞が胸を打つM3 「Stargazer」でミドルテンポの曲調が切ないムードを演出したかと思えば、 リズミカルなギターリフが特徴的なM4「This is My Life」では冒頭から〈you think you're doing everything right “自分のやってることが全部正しいと思ってるでしょう?”と喉につかえたモヤモヤを吐き出すような痛快な歌詞に惹き込まれる。また、アコースティックとイントロの波音がセンチメンタルなサンセットビーチを想起させるM5「Free」はEPを締めくくりに相応しい彼らの新境地ともいえよう。バラエティに富んだ今作が出来上がったのは、彼らが好きなように音楽を鳴らしている証拠だろう。
たとえロックバンドにとって逆風の時代であっても、そんな風を物ともしないFAITHのようなバンドこそ、いつか大きな新しい風を起こすができるのだと思う。早く、その日が来ることを待ちわびている。 (Text by 髙橋秀実)

DISCOGRAPHY

LIVE INFORMATION

FAITH 1st ONE MAN SHOW!!!「Up and Coming」

2019年4月21日(日)@伊那グラムハウス

2nd EP「Yellow Road」Release Tour
『On The Way Home Tour』

2019年5月12日(日)@大阪SOCORE FACTORY
2019年5月19日(日)@京都GATTACA
2019年5月26日(日)@札幌SPIRITUAL LOUNGE
2019年6月08日(土)@水戸LIGHT HOUSE
2019年6月15日(土)@新栄RAD SEVEN
2019年6月16日(日)@松本ALECX
2019年6月23日(日)@仙台enn 3rd
2019年7月17日(水)@東京TSUTAYA O-Crest

PROFILE

FAITH

長野県伊那市を拠点に活動する平均年齢19歳の5 人組バンド。2015 年、別々の高校に通うメンバーが伊那GRAMHOUSEに集まり結成。メンバーのうち3 名が日米のハーフ。

2016 年、地元で開催された「第6回長野県高校生バンド選手権」で最優秀賞を受賞。2017年開催の10代限定夏フェス「未確認フェスティバル2017」では、エントリー総数3199 組の中からファイナリストに選出。同年11月に全国発売された1st Mini Album『2×3 BORDER』が「CDショップ大賞2018」甲信越ブロック賞やApple Musicの今最も注目すべき新人アーティスト作品に選出される。メンバー全員で作曲することで生み出されるポップなメロディ、Vo.アカリ ドリチュラーのみずみずしく伸びやかな歌声も魅力。

2018年8月、1st EP「UN」をリリース。同年12月には“ロックプリンセス” クリッシー・コスタンザ率いるAgainst The Currentワールドツアー東京公演のオープニングアクトに抜擢されるなど、音楽へのピュアな熱量と海外のルーツを感じさせるエヴァ―グリーンな本格サウンドを兼ね備えた存在として要注目!

――市境から県境、そして国境を超えるFAITHのボーダーレスな音楽が、いま、世界と繋がる。――

>>HP

この記事の筆者
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[レヴュー] FAITH

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