ただの「ロック・バンド」では終わらない──NoisyCell、表現への衝動に満ちたミニ・アルバムをリリース

4人組ロック・バンド、NoisyCellがミニ・アルバム『Focus』をリリースした。昨年はフル・アルバムや配信曲など活発的なリリースを続けてきた彼らから、落ち着く間も無く最新の楽曲が到着。タイアップ曲も含まれた8曲の世界をレヴューで紐解いていく。
REVIEW : NoisyCell
4人組ロック・バンド、NoisyCellのミニ・アルバム『Focus』は、8曲入りとコンパクトながら、実にエモーショナルな作品だ。NoisyCellは、ヴォーカルのRyosukeとギターのRyoで2007年に結成。2014年のメジャー・デビュー後、2016年にベースのKiara、ドラムのTatsuyaを迎えて活動中だ。「Focus」は、Ryoがプロデュースを担当したセルフ・プロデュース作品である。
穏やかなインストゥルメンタル「Focus」で幕を開けると、「The Autumn Song」へ。イントロや間奏ではオートチューン加工が施されたヴォイスが響くが、Ryosukeの歌になると加工はなく生々しい。そして、ドラマティックな構成の楽曲が、早くも昂揚感を運んでくる。
「透明」は、まさに透明感がありつつも爽快なロック・ナンバーだ。「狂言回し」は、2018年10月にリリースした配信シングル。テレビアニメ「中間管理録トネガワ」「1日外出録ハンチョウ」 のエンディング・テーマとして書き下ろしされた楽曲だ。エレキギターのうなる渋いロックにして、エレクトロニカな音も顔を出すサウンドになっている。2018年には配信シングル「Letter」「時間飛行」、さらにフル・アルバム 『Wolves』をリリースし、自主企画「LIGHTSHIP CRUISE」を5回も開催するなど、これまで以上に動き続けてきたNoisyCelll。変化し続ける彼らの姿を感じさせる楽曲が「狂言回し」だ。
「ヒューマニズム」では、バンド・サウンドに乗せていきなり「齷齪」という単語が飛びだす。NoisyCellというバンドが世の常識に異論を唱える楽曲だ。
そして、静謐なサウンドのなかで「今際の際でひとり / 立つ瀬無く笑ったあなたを時々 / 思い出してしまいます」と歌いはじめるのが「追憶」。エレクトロな音と弦楽器の音色が響き、繊細なサウンドを作りだしていく。ここでのNoisyCellは、北欧のバンドのような冷ややかさと美しさを同時に生みだしている。ただの「ロック・バンド」では終わらないNoisyCellの一側面を見せているのが「追憶」だ。
その「追憶」の静けさから一転して、エモーショナルな演奏を聴かせるのが「流星の街」。Ryosukeの声質が実に魅惑的に響く楽曲でもある。そして、最後の「Ballad12_02」は、アコースティック・ギターとヴォーカルのみで幕を閉じる。
『Focus』でのNoisyCellは、さまざまに表情を変えていく。ミニ・アルバムのなかで、各曲ごとに変化していく勢いだ。それはそのまま、表現への衝動に満ちているとも言える。NoisyCellの抱える衝動、そして決意を感じさせるのが『Focus』だ。
(text by 宗像明将)
DISCOGRAPHY
LIVE INFORMATION
NoisyCell 2019 Tour “ReFocus”
2019年4月12日(金)@新潟CLUB RIVERST
2019年4月14日(日)@富山SOUL POWER
2019年4月19日(金)@岡山CrazyMAMA 2nd ROOM
2019年4月21日(日)@出雲APOLLO
2019年5月10日(金)@千葉LOOK
2019年5月12日(日)@神奈川 横浜BB STREET
2019年5月17日(金)@福岡LIVEHOUSE Queblick
2019年5月19日(日)@高松TOONICE
2019年5月22日(水)@盛岡change
2019年5月23日(木)@仙台enn 3rd
2019年5月31日(金)@水戸ライトハウス
2019年6月7日(金)@神戸 太陽と虎
2019年6月8日(土)@心斎橋BRONZE
2019年6月9日(日)@名古屋アポロベイス
PROFILE
NoisyCell
圧倒的な声量と超絶ハイトーンボイスのボーカルRyosuke、エモーショナルで多彩なメロディーを紡ぐギターRyoを中心に結成、2014年VAPよりデビュー、様々なアーティスト遺伝子を継承したハイブリッドサウンドで唯一無二の存在感を放っている。