自身で紐解くTeddyLoidのスタート、そしてキャリア──新作2作連続リリース記念、ロング・トークを独占掲載

TeddyLoid

ちょうど10年前に、十代でMIYAVIのサウンド・プロデューサーを手がけ、音楽シーンに登場したTeddyLoid。その後もももいろクローバーZを皮切りに、ゆず、HIKAKIN & SEIKIN、Crossfaith、ゲーム、アニメ音楽等の膨大なプロデュース&リミックス・ワークを担当し、そして小室哲哉、柴咲コウ、米良美一、中田ヤスタカといった大御所勢から、KOHH、DAOKO、ちゃんみな、tofubeats、アイナ・ジ・エンド (BiSH)、IA等の新世代組をfeat.した自身のコラボレーション作品、『SILENT PLANET』のアルバムとEPを発表。海外の大型イベントからのオファーも相次ぎ、Sportifyでは世界で最も聴かれている日本人アーティスト5選に選ばれるなど、その360度の縦横無尽な活動で話題を提供し続ける「TeddyLoid」。

一方でまだまだ謎に包まれた存在である「TeddyLoid」が、11月にアルバム『SILENT PLANET: RELOADED』、『SILENT PLANET: INFINITY』という意味深なタイトルを冠した2作品を連続でリリースすることが発表された。

今回はその新作のリリースを記念し、TeddyLoidのキャリア・スタートから、これまでに発表した『SILENT PLANET』シリーズ作品への思い、制作エピソード等を初めて本人が振り返り、とかくミステリアスな存在として語られがちな「TeddyLoid」像を紐解くロング・トークを独占掲載。読み終わる頃には、新たなTeddyLoid像が浮かんでいることだろう。

11月に新作2作を連続でリリース!


SILENT PLANET: RELOADED

2018年11月16日リリース


SILENT PLANET: INFINITY

2018年11月30日リリース

TeddyLoid HISTORY

キャリアのスタート、デビュー時の思い出

まだ18才の頃、MIYAVIさんに出会って2ヶ月後に13ヶ国を巡るワールド・ツアーに同行しました。

「幼い頃から向き合ってきたエレクトーンやクラシック、現代音楽から一旦自由になりたくて、16才の時にヒューマン・ビート・ボクサーになろうと上京しました。その頃初めてヒップホップ~ラップを耳にして、ストリート発の音楽に興味を持ったんです。ビート・ボックスのシーンで出会ってお互い切磋琢磨したHIKAKINくんとは、その頃からのいわば盟友なんです。その後、ヒップホップだけでなく、DAFT PUNKやJUSTICEというフレンチ・タッチのアーティストに衝撃を受けて、バトルDJ〜トラック・メイカーに転向していくのですが、18才の時に、MIYAVIさんがサポートDJとサウンド・プロデューサーを探しているという話をMASAKingさんから聞き、二人でスタジオに入りセッションをさせてもらいました。幸い一発で気に入ってくれて、その2ヶ月後には彼のワールド・ツアー(13ヶ国全29公演)に同行していました。”TeddyLoid”というソロ・プロジェクトをスタートさせたのもそのタイミングです。更にMIYAVIさんはリミックス・アルバムを、まるまる僕に任せてくれたんです。曲作りはもちろん、マスタリングに至るまでの全工程が、”TeddyLoid”の初仕事になったんです。当時は無我夢中でしたが、振り返ってみると、そのツアーと制作が僕の本格的な業界入りの重要なキッカケになったし、作品の完成まで自己完結するというスタンスにも繋がっていると思います。」

作品解説

アルバム

BLACK MOON RISING (2014年8月27日リリース)

すべてはフリー・ダウンロードから始まった。テーマは完全に1人で完結すること。

「2013年にそれまでお世話になっていたプロダクションから独立し、まずは自由に自分がやってみたいことにトライしてみようと思いました。それが当時は特に日本ではまだ珍しかった、楽曲のフリー・ダウンロードだったんです。どういう反響があるのかチャレンジングな試みでしたが、7ヶ月に亘って、毎月1曲ずつアップしていきました。特にその第1弾では、後のアルバム・タイトルとなる『BLACK MOON RISING』と題して、クラブ・ミュージックのシーンでもあまり類を見ない15分を超える大作をいきなり配信したんです。
その前年にももいろクローバーZさんの『Neo STARGATE』というシングルをサウンド・プロデュースさせて頂いたんですが、そのスタッフがこの大作と続くフリー・ダウンロード曲に興味を持ってくれて、きちんとアルバムとしてリリースしないかと声を掛けてくれたんです。


Neo STARGATE / ももいろクローバーZ

そもそもこの『BLACK MOON RISING』には、フリーDL時から古典SF作品のようなストーリーがありました。”TeddyLoid”というプロジェクト自体、当初から「何者かに幽閉されたテディ少年の代理アンドロイド」という設定でスタートしたんです。『BLACK MOON RISING』は「黒い月の裏側に幽閉された、テディ少年の孤独と地球への帰還」の物語で、『魔女の宅急便』や『魔法使いハウルと火の悪魔』といった、やはり古典的なSF小説、児童文学の挿絵を手がけられてきた佐竹美保さんにイラスト化をお願いし、CDブックレットに花を添えて頂きました。そのストーリー性は、『沈黙の惑星』に舞台を移した2ndアルバムでも続いていきます。
サウンド面ですが、1stアルバムということで、曲作り、ヴォーカルも含んだ全ての演奏、ミックス、マスタリングに至るまで、自分1人で完結する、というテーマもありました。ゲストも迎えず、今振り返るとストイックな作品ですが、初期にこんな作品作りを理解してくれたEVIL LINE RECORDSに感謝しています。
楽曲的には、今でも僕のライヴのハイライトとなる「Forever Love」や「Black Moon Sympathy」という、初期を代表する重要曲が含まれています。それぞれ趣向を凝らした、僕にとっては初のミュージック・ビデオにも満足しています。特に「Forever Love」はライヴを重ねる度に進化していて、その最終ver.をアルバムで発表するつもりです。元々自分ひとりで発表していた大作、『BLACK MOON RISING』のハイライトを楽曲化したものが、形や名前を変えて、正式なリリース作品にたどり着いたのは、自分でも感慨深かったです。」


Re:MOMOIRO CLOVER Z (2015年9月16日リリース)

自分にとっても全く新しいリミックスのアプローチの実験の場になった。

「ストイックな1stアルバムの次は、いよいよコラボレーション作品に着手しようと思っていました。前述のように、EVIL LINE RECORDSからリーダー作をリリースするきっかけになったのは、ももいろクローバーZさんとのお仕事だったということで、まずはレーベル・メイトならではの自由なコラボレーションとして、彼女達とその膨大な名曲群に向き合ってみました。彼女達のファン、モノノフさん達からリミックスして欲しい曲を投票してもらい、上位14曲を片っ端からリミックスしていきました。


「Re:MOMOIRO CLOVER Z」Trailer

その多彩な楽曲をリミックスするには、いわゆるクラブ・ミュージック系のルーティーン的な手法だけではこなすことは出来ず、自分にとっても全く新しいリミックスのアプローチの実験の場となり、その後の僕のアレンジ感覚の幅を大きく拡げる作業になりました。全14曲をたった2週間でリミックスし、そしてそのメガ・ミックスまで作りました。それらを彼女達のドーム公演でライヴで披露するなど、特別な経験が出来たし、コラボレーション作品となる2ndアルバムへの重要な布石になったんです。」


SILENT PLANET (2015年12月2日リリース)

『沈黙の惑星』を舞台とした初のコラボレーション作品。奇跡的な顔触れが集まった!

「日本のクラブ・ミュージックのプロデューサーとして避けて通れないのが、ヴォーカリスト達との共演、つまりコラボレーション作品です。独りで完結したストイックな1stアルバムとは打って変わって、この2ndアルバムは全曲ヴォーカル・チューン、つまりコラボレーション大作にしたかったんです。
それまで築いてきたコネクションやアイデアを惜しみなく注ぎ込みました。当時、まだ無名だった駆け出しのプロデューサーのリーダー作に、あれだけ豪華で多彩な顔触れが集まって下さったのは、やはり奇跡的だったと自分でも思います。


「SILENT PLANET」 Trailer

それまではやはりももいろクローバーZさんとのコラボレーションや、手がけたアニメ作品のサントラ等で認知され始めたという自覚もあって、嬉しいんだけど「決してそれだけではない」っていうもどかしさ、気概もありました。確かにゲームやアニメやポップスも大好きなんですが、ストリート向けの音楽、つまりヒップホップやロックといったもうひとつのルーツもきちんと形にしたいと思いました。なので、ラッパーやラウドロックのバンドにも必ず参加してもらい、ポップさとオルタナティヴさの両立を1枚で実現したかったんです。サウンド面でもフレンチ・タッチ一色ということではなく、その頃から猛威を振るったEDM、ダブステップといった、今の僕のサウンドのベースが確立され、またそこにロック色を加えるなどのオリジナリティも追求した欲張りな作品です。
ストーリーとしては、前作で黒い月から地球に帰還したテディ少年が、仲間たちと出会い、音楽や物音を立てることが禁止された『沈黙の惑星』を音楽の力で解放する、そういった展開を迎えています。クライマックスは砂漠での巨大な黒いピラミッドをスピーカーに見立てた、超巨大レイヴです。参加してくれたメンバー達と、いつか実現したいんですよ(笑)。」

EP

SILENT PLANET 2 EP Vol.1~6

全曲リカットシングルという企画が、また新たな出会い、コラボレーションへ…。

「作品としてはやりきった感もあり、完成度を自負していた2ndアルバム『SILENT PLANET』ですが、残念ながらセールス的、認知度的には満足のいく結果ではありませんでした。それまでの人脈とアイデアをフルに駆使したこういったコラボレーション作品は、ミュージシャンのキャリアの中で何度も作れるものではありません。ご参加頂いた諸先輩や仲間達にも申し訳が立たないという気持ちもあり、この大作をなんとかもう少しでも日本のJポップ・シーンにも認知させたい、もっと多くの人に届けたいという思いがありました。
そもそも2ndアルバム『SILENT PLANET』は、我ながら本当に唐突な作品だったと思います。こういったコラボレーション作品の定石として、話題性のある先行シングルを数枚リリースし、アルバムまでの流れを作るのが主流ですよね?そういった前置きもなしに、いきなり濃密なアルバムを出してしまい、多くの謎を残してしまったと思います。
なので、レーベル側に先行EPをリリースしなかったかわりに、全曲をリカット・シングルとしてリリースしたいと申し出ました。その為には、全曲リメイク、リアレンジすることも厭わないと。収録曲1曲1曲にスポットを当て、この曲ならどうスピン・オフできるか、どうすればリスナーに楽しんでもらえるか、リカット・シングルとはいえど、あらためてコラボレーション相手とそれぞれミニアルバムを作る様な感覚でスタートしました。手始めに2ndアルバムの中でも特にトライアル性が高かった、KOHHくんとの「Break’em all」をリメイクし、そして彼や彼の実弟LIL KOHHくんとのそれまでの共演曲も、レーベルの垣根を超えてコンパイルし、新たな作品として息を吹き込みました。
一方、2ndアルバム全曲をリメイクしようと作業している内に、ありがたいことに新たなアーティスト達との出会いも相次ぎ、結果的にはEP2以降は新コラボレーション、新録曲を中心としたリリースに変貌していきました。アルバム単位で長期のスケジュールを組むことばかり考えていたのですが、その時その時で自分にとっても、シーンにとっても新しいことをすぐに曲、形にして世に送る、という実験的なスタンスに変わっていったんです。僕の場合は日々インターネットに触れていて、その中で面白かったことや出会い、最新モードをすぐにEPに反映していく作業は、手探りながらとても面白い試みになったし、一枚一枚、アルバム以上に話題になっているという手応えがありました。
DAOKOちゃんとスタジオカラーの吉崎響監督と組んで作ったショートフィルム『ME!ME!ME!』や、m-floの☆Taku Takahashiさんと音楽を手掛けたアニメ作品、『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』が海外でカルト・ヒットし、そのおかげで海外で注目を集め、この数年は毎月の様に海外フェスからの出演オファーが相次いだり、Sportifyではビッグ・ネームに並んで、海外で最も聴かれているアーティストにも選ばれました。しかし、やはりホームグラウンドの日本でももっと認知度を高めたかった。


『ダイスキ with TeddyLoid』Music Video

幸運なことに2016年度の東京モード学園HAL専門学校のTV CMソングを手がけることも出来て、カルトアニメ作品”ME!ME!ME!”で迎えたDAOKOちゃんとの相互コラボレーション曲も発表することが出来ました。当初のリカットEP連作、というコンセプトからはずれていったものの、結果的にはアルバムで実現出来なかったことも全て補完出来たし、KOHHくん、ボンジュール鈴木さん、DAOKOちゃん、ちゃんみなちゃん、banvoxくん、BiSHのアイナ・ジ・エンドちゃん、Kダブシャインさん、そして米良美一さん(もののけ姫のリメイク実現!)といった、また魅力的な新たな『SILENT PLANET』の登場人物が増えて、その幅広さは僕にしか出来ないことだと思っています。単なるリカットではなく、今では『SILENT PLANET』の続編、スピンオフ作として位置付けているのがこのEP連作です。」

新作アルバム『SILENT PLANET: RELOADED』 / 『SILENT PLANET: INFINITY』について

大作SFアドベンチャー映画のようなコンセプト、全くサウンド感の異なる2枚のアルバム。

SILENT PLANET: RELOADED
「フル・アルバム1枚、EP6枚に及んだフル・コラボレーション大作『SILENT PLANET』の完結編です。MARVELやDCの一連の大作映画の様に、これまでの登場キャラクター達が姿を変え総結集し、更に新たな個性豊かなキャラクター達も合流したオールスター版になります。かといって、単なるベスト盤、リミックス盤には終わらせたくありません。
EDM、ダブステップ、ラップ、ヘヴィロック、そしてゲーム、アニメ、ポップスと、僕が手がけてきた音楽は幅広く、アルバム1枚では収まりませんでした。なので、ここ数年行き来しているロサンゼルスで受けた刺激やコネクションを元に、前編となる『RELOADED』は最新ダブステップ+MC’sに徹した、ヘヴィでストリート向けのハードな作品になります。
SILENT PLANET: INFINITY
そして後編『INFINITY』は、EDMやトロピカルハウス、フューチャー・トラップ等、華やかでキャッチーな曲をまとめるつもりです。『RELOADED』には敢えて反映しなかった、アニメやゲーム、ボカロ、Jポップといった、ジャパン・カルチャー的要素も満載です。アートワークは前作同様、YARのYOSHIROTTENが手がけてくれていて、大作SFアドベンチャー映画っぽいコンセプトをより強化してくれるはずです。わかりにくかったTeddyLoid像を、全くサウンド感の異なる2枚のアルバムで、あらためてアピールしたいと思っています。そして、”SILENT PLANET”が今までに類を見ないコラボレーション作品として、皆さんの記憶に残る様に出来たら最高だと思っています。」

(構成:田尻菜穂子)

DISCOGRAPHY


PROFILE

TeddyLoid

音楽プロデューサー / DJアーティスト。1989年8月23日生まれ。18歳でMIYAVIのメインDJ / サウンドプロデューサーとして13カ国を巡るワールドツアーに同行し、2010年には☆Taku Takahashi(block.fm / m-flo)と共にTVアニメ『Panty & Stocking with Garterbelt』のサウンドトラックを担当。翌2011年には柴咲コウ、DECO*27とともにgalaxias!を結成しアルバムを発表。2013年のももいろクローバーZ「Neo STARGATE」のサウンドプロデュースし、その後キングレコードEVIL LINE RECORDSより同グループ初の公式リミックス・アルバム、『Re:MOMOIRO CLOVER Z』を手掛ける。2014年9月には同レーベルより1stアルバム『BLACK MOON RISING』を発表し、ソロ・アーティストとしてメジャー・デビュー。2015年12月には中田ヤスタカ(CAPSULE)、HISASHI(GLAY)、小室哲哉、志磨遼平(ドレスコーズ)、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)他豪華ゲストを迎えた2ndアルバムとなるコラボレーション作品『SILENT PLANET』をリリース。2016年にはKOHH、ボンジュール鈴木、ちゃんみな、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、Kダブシャインらを迎え、アルバムの続編となる『SILENT PLANET 2 EP』の配信リリースをスタート。プロデューサー、リミキサーとしては、ゆず、the GazettE、KOHH、HIKAKIN & SEIKIN、Crossfaith、米良美一等、多岐にわたるアーティストを手掛けている他、『アニメ(ーター)見本市』中の吉崎響監督作品『ME!ME!ME!』、学校法人・専門学校 HALの2016年度TVCM「嫌い、でも、好き」篇の音楽をDAOKOと共に担当。その他、PlayStation®4の新作ソフト「Destiny 2」のプロモーションムービー『Destiny 2 Live Action Dance Trailer "Freestyle Playground”』、SONYの『EXTRA BASS』シリーズ、宮本亜門演出のWRECKING CREW ORCHESTRA新作公演『SUPERLOSERZ SAVE THE EARTH 負け犬は世界を救う』等、CM音楽、舞台、ゲームのサウンドトラックも多数手掛けている。また、RADWIMPS、BABYMETAL、ONE OKE ROCK、ピコ太郎に並び、2016年度の海外のSpotifyで最も再生された日本のアーティスト5組に選出され、2017〜2018年には4カ国13都市に及ぶワールドツアーを敢行し、海外でも大きな反響を呼んでいる。

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