Bird Bear Hare and Fish、想像を超えた新境地へ──1stアルバム『Moon Boots』全12曲解説

Galileo Galileiが惜しまれつつ ”終了” してから2年、オリジナル・メンバーにギターのDAIKIを迎え4人体制で始動したBird Bear Hare and Fish、通称BBHFが待望の1stアルバムをリリースする。待望のアルバムとなる今作のテーマは「現状から一歩、踏み出す瞬間」。まさに新章の幕開けにふさわしい作品となっている。UKロックからディズニーまで縦横無尽に多ジャンルからの音楽的要素を取り入れた、ジャパニーズ・ロックの新境地。4人の新たな歩みが、ここからまたはじまる。

ジャパニーズ・ロックの新境地! BBHFの1stアルバム

Bird Bear Hare and Fish / Moon Boots



【価格】
初回生産限定盤(Blu-ray付) : 3,800(税込)
初回仕様限定盤(Digipac仕様) : 3,200(税込)
完全生産限定盤(アナログ盤) : 5,000(税込)
※アナログ盤のみ 9月26日(水)発売

【収録曲】
1. ウクライナ
2. ライカ
3. ダッシュボード
4. レプリカント
5. Hearts
6. 夏の光
7. ページ
8. Wake Up
9. Different
10. 骨の音
11. 次の火
12. Work

INTERVIEW : Bird Bear Hare and Fish

Bird Bear Hare and Fish、通称BBHFが遂に1stアルバム『Moon Boots』をリリースする。今作はノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ、ボンベイ・バイシクル・クラブ、ブルース・ホーンズビー、さらにはディズニー音楽まで、彼らの豊富な音楽ボキャブラリーが炸裂した1枚であり、探究心の詰まった珠玉の12曲。まず、このような傑作を作ったからには、僕らが曲のメッセージをしっかり受け止める必要があると思った。そこで、“『Moon Boots』全曲解説”と銘打って、とことん楽曲の背景を語ってもらうことにした。尾崎雄貴が「心して聴いてほしい」と話したように、心して読んでいただきたい。

インタヴュー&文 : 真貝聡
写真 : 作永裕範

「ウクライナ」は音を重ねることで生まれた圧力、「ライカ」はギターの録り方で音の厚みを出した

──遂に1stアルバムが完成しましたね。

尾崎雄貴(以下、雄貴):『Moon Boots』は、BBHF(Bird Bear Hare and Fish)を結成して最初の第一歩で。今回の歌詞は全曲が、現状から良くも悪くも一歩を踏み出すことをテーマにして。その踏み方は良いものもあればダークなものもあって、その“一歩、踏みこむ瞬間”を歌にしました。

──満を持してリリースされた今作は、本当に傑作だと思います。だからこそ、今回のインタヴューがライナーノーツ的な役割になれば良いな、と思って。4人に『Moon Boots』の全曲解説をしていただこうと。

雄貴:あぁ、おもしろいですね!

──1曲目から順番にお聞きしますね。

雄貴:お願いします。

1曲目「ウクライナ」

雄貴:この曲はウクライナで起きた事件がモチーフになっていて。事件自体は犯罪のことなんですけど、それも最初に話したような“一歩”だと思うんですよ。犯人たちなりの一歩を踏んでいる。

──何かを変えようと決断して。

雄貴:それは良くない一歩だけど、それも含めて書きたいと思ったんです。

佐孝仁司(以下、佐孝):これはBBHFになって最初にできたよね。

雄貴:そうそう。だから、最初に作った曲がそのまま1曲目になっています。

──サウンドについてはどうですか?

雄貴:ロックというより、クラシックのような美しい旋律を音圧で表現したくて書いてます。だから、この曲はロックじゃないんですよね。音は重ねているけど、オーケストラっぽい感じ。

尾崎和樹(以下、和樹):こういう強い曲って、音像的にドラムが中心にあるべきなんですけど。Aメロの部分はあえて、エレクトリックなリズムマシーンの音に変えて。ふっと抜けた感じからサビに向かっていく高揚感が、いままでになかった新しさだと思います。

尾崎和樹(Dr.)

佐孝:最初に鳴るのがベースの音だけ、というのがおもしろいですよね。僕自身は意図して作った音だったんですけど、プロデューサーのクリス・チュー(以下、クリス)がゴリゴリに歪ませてて(笑)。正直驚いたんですけど、そういう意味でも思い出深い1曲になりました。

DAIKI:僕としては、まだ他の曲も出来ていない状況で録った曲だから、改めて聴くと、“懐かしさ”と“今とは違う音”が詰まっていて。「こういうことをやっていたな」という感じがします。

2曲目「ライカ」


Bird Bear Hare and Fish/ライカ

雄貴:これは、唯一タイアップ(テレビ東京系アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』の7月クールエンディングテーマ)がついているんですけど、書き下ろしじゃなくて、このアルバムのために書いていた曲を運良く使っていただきました。キングス・オブ・レオンとかステレオフォニックスみたいなロック・バンド然とした、ギターの印象が強い曲を書きたい、というのがまずあって。だけど、いわゆるギター・ロックにしたくなかったので、僕らが好きなボンベイ・バイシクル・クラブとか、2000年代以降に出てきたティーンのインディ・ロック・バンドを参考にしました。日本のギター・ロックでは、あんまり使わないようなタム回しを取り入れて。あと、ウッドブロックをスカッと取り入れたくて。そういう意味では、ギターの魅力を引き出したいのはあったけど、リズムからできた曲だったのかな。


Bombay Bicycle Club/Always Like This

──はじめて聴いたとき、和樹さんのドラミングに惹きつけられました。

和樹:最初からベースとドラムだけでノれるリズムを作ろう、と話してて。やってみたら案外スッとできましたね。

佐孝:デモの段階では打ち込みで作るんです。レコーディング時にウッドブロックを使ったことで、かなりノリが変わりました。

雄貴:ウッドブロックの印象が強いよね。

佐孝:その音が浮くか馴染むのかは、録ってみないとわからないんですよ。実際に試してみたら「めっちゃ良いじゃん」と発見があって。

DAIKI:僕としては厚みのあるサウンドをギターで表現することに、だいぶ時間をかけた気がします。ただ重ねれば良いわけじゃないし、音の場所とか細かいところもギターに関しては悩みましたね。

雄貴:アンプを離したり、マイクの距離を変えたり、窓を開けてみたり。あとはオクターバーを使って厚みを持たせて。「ウクライナ」は音を重ねることで生まれた圧力なんだけど、「ライカ」はリバーブも抑えて、ギターの録り方で音の厚みを出した。すごくシンプルな曲だけに、ごまかしが利かないから試行錯誤しながら作ったよね。

3曲目「ダッシュボード」

雄貴:当時、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの新譜(『Who Built The Moon?』)をDAIKIくんとよく聴いてたんです。そしたら、オアシスのイメージとは全然違う曲もあるし、音の圧力も考え抜かれて、音楽的な文脈もあって。それに触発され、「ダッシュボード」は僕らの男気的な部分を出したいと思った。結果的にパワーのある曲になった気がします。僕個人としては、フローレンス・アンド・ザ・マシーンのサウンド感が好きで、使われている楽器も音の置き方も含めて、すごく普通なんです。ただ、その判断がかなり的確で、変にロックしてないし、ソフトな感じでもない。他でいうとフリートウッド・マックもそうなんだけど、BBHFもこの4人でやると、そういう音になっていくんですよね。

DAIKI:雄貴くんが話した通り、『Who Built The Moon?』をレコーディング中によく聴いていたのもあって、「ダッシュボード」は随所にベルの音が入っているんですよ。

──そこがオマージュになっていて。

DAIKI:そうなんです。『Who Built The Moon?』の1曲目(「Fort Knox」)も頭にベルの音が入っていて。その良さをテイストとして取り入れたいな、と試みました。サビの音と重ねてギターもユニゾンで弾いてみたら、個人的に好きなUKのインディ・ロックサウンドになって。ダーティだけどフレッシュなフレーズ、そういうのを表現しましたね。


Noel Gallagher’s High Flying Birds/Fort Knox

佐孝:雄貴とDAIKIくんは、ノエルの男気を出したいのがまずあって。僕はU2のようなサウンドを目指して作りました。歪んでいてカッコイイ感じのベースを弾くのは簡単なんですよ。だけど、それだけにしたくないから、歪んでるけど耳心地の良いサウンドを作りました。

和樹:ドラムに関しては1、ハイハットが16ビートでずっと鳴っているので、キックとスネアが弱いとうるさく聴こえちゃう。そこを「ロックなキックとスネアになるといいね」ということで意識しました。

人間関係の弱さというか、儚さを音で表現出来ているんじゃないかな

4曲目「レプリカント」

雄貴:歌詞としては人間関係が壊れていく様を描いてて。壊れていくのは、突然壊れるんじゃなくて、初めの段階からうまくいってないことを2人とも無視していった結果で壊れていく。そういう人間関係の弱さというか、儚さを音で表現出来ているんじゃないかな。この曲はサウンドを歌詞に寄せて作ったので、ある意味、異質な感じなっていると思います。曲を書くときに、映画『ブレードランナー』を観直していて。それも作詞のヒントになっています。

佐孝:たしかに、歌詞に寄り添うようにアレンジを考えましたね。「この言葉が入るならキレイなコードにしよう」とか、タイトルも「レプリカント」と決まっていて「これは『ブレードランナー』のことだよな」とわかったので、SFっぽいサンプルにしたりして。曲そのものの世界観を大事にしました。

佐孝仁司(Ba.)

DAIKI:最初に聴かせてもらった段階から歌詞もメロディも完成されてて。「これで良いじゃん」と思ったんです。だからこそギターの入る余地がなくて、「どうしよう」と。結果的に良い感じのギター・フレーズが浮かんでよかったです(笑)。

和樹:Bメロは生っぽいフレージングではあるんですけど、あえて打ち込みのドラムのままいって。いきなり生ドラムが入ってくると雰囲気が壊れちゃうから、なるべく打ち込みだけを使うようにしました。

5曲目「Hearts」

雄貴:僕もメンバーもディズニーの曲が好きで、ディズニーの劇中歌になっても良いような曲を作ろうと思ったんです。僕が尊敬してるフィル・コリンズも映画『ターザン』の曲を手がけているんですよ。やっぱり、ミュージシャンが作るディズニー・ソングはいいんですよね。たとえば、楽しげなシーンなら楽しい印象をハッキリとメロディとアレンジで伝えられるような音作りになっている。

──音に表情や情景がくっきり表現されている、と。

雄貴:だから「Hearts」レコーディング中、「和樹のドラムは、海底でカニが貝殻を叩いてるようなイメージで叩いてくれ」とか、ヴォーカルのモジュレーションは「水の中でゴボゴボ言ってるようなイメージにしてくれ」とお願いして。歌詞もディズニー映画の男の人が歌い出しそうな感じで作りました。

和樹:レコーディングの1週間前ぐらいに、ちょうど映画『リトルマーメイド』を観ていたんです。だから兄ちゃん(雄貴)から「カニっぽいドラムで」と言われたときにイメージがすぐに沸きました。

雄貴:僕と和樹は2人でよくカラオケに行くんですけど、ある時間になったらお互いにディズニー・ソングのオンパレードになるんですよ。前も『リトルマーメイド』の「Under the Sea」を歌ってたよね。


The Little Mermaid/Under the Sea

和樹:そうそう(笑)。ちなみにドラムは「カニは横歩きのイメージだから横ノリかな」と思って叩きました。

──さすが兄弟……。DAIKIさんはどうですか?

DAIKI:デモの段階で雄貴くんから「ディズニーっぽい感じでいきたい」と言われて。何の音を入れたらディズニーっぽい音になるのか、すごい研究しました。

雄貴:そういえば…… この曲を作るとき、ディズニーとポール・サイモンの『グレイスランド』もすごい聴いてました。ギター・フレーズは『グレイス・ランド』を自分なりに解釈して。実は海っぽい音って、不思議とアフリカの音楽にマッチングするんです。


Paul Simon/Diamonds On The Soles Of Her Shoes (from The African Concert, 1987)

佐孝:『グレイスランド』の跳ねているような感じをイメージして、シンセベース(以下、シンベ)は生っぽく、生ベースはシンベっぽくしたのでお互いに逆な弾き方をしてます。ちなみに『グレイスランド』のバック・ミュージシャンは全員無名なんですよ。ポール・サイモンがアフリカへ行って、1人1人連れてきたんです。なので、彼らはあのアルバムで有名になって、いまでは自分のyoutubeチャンネルで「俺はポール・サイモンと弾いたときに、こうやったんだ」と自慢しているんです。僕はその映像を観て「なるほど〜」と勉強してましたね(笑)。

6曲目「夏の光」

雄貴:ブルース・ホーンズビーのような、ピアノが美しい曲を作りたいな、と思って、和樹とアイデアを考えました。実はブルース・ホーンズビーの音って、日本人の感覚でいうと夏っぽい感じに聴こえるんですよ。


Bruce Hornsby/The Way It Is

──それで曲の季節感が夏に決まって。

雄貴:そうそう。それがおもしろいな、と思って「夏の光」に繋がりました。これは札幌のピアノ・ミュージシャンに弾いてもらったんです。ピアノ1本で弾いてきた人の演奏は本当に気持ち良かった。

佐孝:僕はブルース・ホーンズビーっぽい、ループしているようなサンプリングをめっちゃ入れて。そこから段々イメージが固まってきた感じですね。

DAIKI:雄貴くんからの要望では「曲に寄り添いすぎず、いまっぽい感じじゃなくてジョージ・ハリスンみたいなギターを弾いて」と言われて。少し懐かしいフレーズを意識して演奏しました。

和樹:ドラムは後半にセッション感のあるセクションを作ろう、となったときに、すぐフレーズが思い浮かびましたね。個人的にはスムーズに叩けたと思います。

この曲をガリレオの時代に作っちゃったからこそ、ガリレオを終了させる流れになった

7曲目「ページ」


Bird Bear Hare and Fish/ページ

雄貴:この曲を作ったことによって、「DAIKIくんと組めば、普段の自分では書けないような曲が生まれるんだ」という確信に繋がった。そういう意味で個人的に重要な曲かな。

DAIKI:雄貴くんと同感で、一緒に曲を作りながら「これはイケるかも」という感覚があって。「UK感とはなんだろう? 」って自分なりに考えた結果、そのひとつは“哀愁”なんですよね。「晴れよりは曇りだよね」という。そんな景色が浮かぶようなコード感だったり、歌詞になっていてすごく好きな1曲です。

佐孝:DAIKIくんのサビに入る前のギターがめっちゃ良い音で、それを褒めた記憶があります(笑)。あと、雄貴のコーラス・ワークが何回聴いても新鮮で、キレイなハーモニーになっている。

──和樹さんはどうですか?

和樹:みんなも言ってるけど、DAIKIくんの風を感じる曲ですよね。「これが僕らの曲なのか…… この曲が入るアルバムは絶対良いものになるぞ」と思ったぐらい聴いたときに希望が湧きました。

8曲目「Wake Up」

雄貴:この曲はポップさが根底にありつつ、70年代っぽいギター・フレーズを使ってうまく曲にならないかな、と考えて作りました。

DAIKI:レスポールを使ったんですけど、「ギターによって、出てくるフレーズが変わることってあるんだな」と思いました。ギターらしいサウンドを作れたし、ギター・ソロがあるのでライヴでは後半になるにつれて毎回緊張する曲ですね(笑)。

──リズム隊の2人はどうですか?

和樹:この曲のドラムはすごい隙間が空いているのもあったし、キック、スネア、ハットをバラ録りしていて。その2点も相まって、ものすごく難しかったです。

佐孝:いつもは和樹と同じブースに入って、目を合わせて録るんですけど。これはバラ録りなので一緒に録音できなくて。音をイメージしながら弾かなきゃいけないのが苦戦しましたね。

9曲目「Different」

雄貴:UKサウンドの共感する部分って、湿り気があるところや曇り空っぽい感じ。底抜けに明るいのではなくて、ハッピーな曲にも少し皮肉が入っているというか。この曲も、サウンドを含めて少し卑屈な感じになっているんです。

尾崎雄貴(Vo./Gt.)

──具体的にどんなところで卑屈さを表現したのでしょう。

雄貴:最後に「ヘイ! 」というギャング・ヴォーカルが入ってきて、いきなりぶち上げるんですけど、それも僕なりの皮肉がこもっているんです。全く分かり合えない人間はいるんだ、という孤独感を書きたかった。「ヘイ! 」には「もう良いじゃないか、僕とお前は違うんだから。じゃあね」という意味を込めています。

DAIKI:この曲はUKのティーン感を大事にしてて。演奏がキレイなわけじゃなくてラフに聴いている感じや、音の使い方もカッコイイというよりもギターを覚えたてのキッズみたいな、ちょっとダサい感じ。「大人になっても子供でいたい」という感覚を表現できたらと思って考えました。

佐孝:4人それぞれのティーン感は違うんですけど、皮肉っぽいところは全員共通してて。ベースは僕の好きだったボンベイ・バイシクル・クラブっぽさをイメージしました。

和樹:この曲の2サビ抜けの間奏部分のドラムを兄ちゃんが考えてて。ドラマーとは違う、メロディメーカーとしての感性でドラムを組み立てるから「こういう感じでやってみて」という要望を再現するのが難しかったりするんです。だけど、それが最適解ではあるので。ライヴで叩くときは緊張しますね。

10曲目「骨の音」

DAIKI:これはGalileo Galilei(以下、ガリレオ)の時代から、すでにデモがあったよね。

雄貴:そうだね…… この曲をガリレオの時代に作っちゃったからこそ、ガリレオを終了させる流れになった気がして。あの当時に作った曲は「骨の音」以外、全部ボツにしてるんだけど、これだけはずっと残してて。ガリレオと1番関係がありつつも、ガリレオというバンドでは絶対に出せなかった曲ですね。

佐孝:しかも、ガリレオでやっていなかった製作の仕方を、この曲と一緒に探っていった感覚があるよね。アルバムが良い方向に進んだのも、ここでいい一歩を踏めたからだと思う。

和樹:この曲はシェイカー、タンバリン、クラップ、ドラム、スネアロールなど、リズム楽器がたくさん入っていて。リズムを全部突っ込むとごちゃごちゃになっちゃうけど、抜くとしたらどの音なんだろう、みたいな。そのさじ加減が難しかったです。

11曲目「次の火」

雄貴:パワフルな曲を書く、というのが最初のきっかけで。リバーブだったり、ディレイだったり、音響面で広げていくことはガリレオのときからやっていて、気付くとそっちにいきがちだったんですよ。ただ、「次の火」は音数が多くないのが良いと思って。結果、シンプルなサウンドに収まりました。

──個人的に「次の火」はDAIKIさんのフレーズが特に印象的でした。

DAIKI(Gt.)

DAIKI:実は……ギター・フレーズが全然浮かばなくて。それで、一旦は考えるのを諦めようと思ってベランダでタバコを吸おうとした瞬間、リード・フレーズが浮かんで。それで雄貴くんに送ったら、すごい褒めてもらったのがうれしかった。

和樹:最初はスネアをいっぱい入れて、鼓笛隊みたいに叩いてたんです。だけど、あの叩き方は他の人も同じ叩き方をしているから成立しているのであって、こういうポップな曲に落とし込むために削る作業をしました。よりシンプルに、というのを大事にしながらドラムの推進力を押し出してます。

佐孝:この曲はドラムを活かすようなベース・ラインを作らなきゃいけない、と考えて。低音が入ると曲の雰囲気はぐっと締まるので、シンベとベース・フレーズを入れて1本筋が通っているようなアレンジにしました。

12曲目「Work」

雄貴:「働けど、働けど」という実生活部分を歌っている曲で、アルバムの最後にしたことにも意味があって。僕らがやっていることは、蓋を開けてみるといつも同じことをやっているわけですよ。ギターを弾いて、ベースを弾いて、ドラムを叩いて。「それを繰り返すことで、良くなるはずだ」と思いながらやっているんだけど、良くならなかったときに「僕は何をやっているんだろう……」って。繰り返すことで努力が報われなかったときにどうすれば良いか、というのを曲にしたかった。

──雄貴さんが導き出した答えはなんですか?

雄貴:結局、繰り返すしかなくて。繰り返すことをやめるのか、繰り返し続けていくのか。何をするにしても明日は来るので、ダメだったとしても結果は訪れるじゃないですか。それが“一歩進んでいるということ”なんじゃないのか、って考えで書いた曲です。DAIKIくんは古いものから、いまのヒップホップまで詳しくて、曲を書く前に2人でいろいろ聴いていたんです。実際に歌詞を読んでみると、人の生活に寄り添った内容でリリックを書いてる人たちが多くて。僕は基本的に生活が見えてくる曲は書いてこなかったんだけど、今回は書いてみたくなったんですよね。

DAIKI:なんか珍しい曲がきたな、と思いましたね。ビートもメロディも独特で、ど頭からサンプルっぽいものを使ってきたりして。「Work」を弾くに当たって、ディアンジェロが流行った時代のギターを聴き返したんです。そしたらストラトの音がカッコよくて、ああいう弾き方を取り入れたいな、と。結果、ギターが良い感じに映えたと思います。

和樹:芸森スタジオで録る前までは、音数が2倍くらいあったんですよ。それを兄ちゃんが「この音はいらない、この音もいらない」と急に言い出して。大丈夫かな、って思ったんですけど、結果的にすごく良い仕上がりになりました。

佐孝:僕もヒップホップは好きなんですけど、ベースの弾き方はイマイチわからないので、見よう見まねで弾くよりも自分に出来ることを専念して弾きました。曲の雰囲気に寄り添いすぎず、うまく自分のエッセンスを注入できたと思います。

──全曲解説ありがとうございます! 『Moon Boots』が完成していま、なにを思いますか?

雄貴:warbearはソロだから自分の想像した通りに行くんですけど、バンドで作った『Moon Boots』は僕の想像を遥かに超えた作品になりました。だからこそ、希望を感じていて。これをおもしろいと思う人がいたらいいと思うし、その数を増やしていきたい。すごく意義のある作品ができたからこそ、偉そうな言葉ですけど「心して聴いてほしい」です。

──9月21日から初の全国ツアー〈Bird Bear Hare and Fish TOUR 2018 "MOON BOOTS"〉がはじまりますね。

雄貴:5月10日に恵比寿LIQUIDROOMで披露したときは、みんな曲を知らない状態だったにも関わらず、反応が良くて。それがアルバム制作のパワーになったんです。今回はみんな知っている状態で観に来てくれるはずだから、僕らも知らない“曲の一面”が見られるんじゃないかなと思います。ぜひBBHFを知らない人を引き連れて、足を運んでほしいと思います。

全国10カ所で開催される、バンド初の全国ワンマン・ツアー!!

Bird Bear Hare and Fish TOUR 2018 "MOON BOOTS"
2018年9月21日(金)@北海道 cube garden
時間 : OPEN18:30 / START19:00

2018年9月24日(月)@宮城 MACANA
時間 : OPEN17:30 / START18:00

2018年9月26日(水)@新潟 CLUB RIVERST
時間 : OPEN18:30 / START19:00

2018年9月28日(金)@京都 磔磔
時間 : OPEN18:30 / START19:00

2018年9月30日(日)@香川 DIME
時間 : OPEN17:30 / START18:00

2018年10月6日(土)@広島 セカンド・クラッチ
時間 : OPEN17:30 / START18:00

2018年10月8日(月)@福岡 DRUM Be-1
時間 : OPEN17:30 / START18:00

2018年10月10日(水)@愛知 E.L.L
時間 : OPEN18:30 / START19:00

2018年10月12日(金)@大阪 UMEDA CLUB QUATTRO
時間 : OPEN18:00 / START19:00

2018年10月19日(金)@東京 EX THEATER ROPPONGI
時間 : OPEN18:00 / START19:00

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PROFILE

Bird Bear Hare and Fish

メンバーには尾崎雄貴をはじめ元Galileo Galileiからそれぞれドラマーに尾崎和樹、ベースには佐孝仁司が、そしてラストツアーでサポートを務めたDAIKIがギターで参加し、4人体制での始動。

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この記事の筆者
ライター真貝聡

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この記事の編集者
鈴木 雄希

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