ピアノ・スリーピース・バンド、Ryu Matsuyama メジャー1stアルバムをリリース

左から、Jackson、Tsuru、Ryu

Ryu(ピアノ・ヴォーカル)、Tsuru(ベース)、Jackson(ドラム)からなるスリーピース・バンド、Ryu Matsuyama。メジャー1stアルバム『Between Night and Day』をリリース、ハイレゾ配信も開始。アートワークにも注目が集まる本作品が作られるまで、そして、それぞれの音楽性についても訊いた。

Ryu Matsuyama / Between Night and Day

【配信形態】
24bit/96kHz ALAC / FLAC / WAV / AAC

【価格】
単曲 540円(税込) アルバム 2500円(税込)

【Track List】
1. Window
2. Footsteps
3. City
4. That Mad Rad Tale
5. Istante
6. Take a Piece
7. Simply, Something
8. Return to Dust
9. Landscapes

INTERVIEW : Ryu Matsuyama

「Ryu Matsuyamaの音楽とはこうだよね」と言われて、しっくりきたことがない。というか間違っていると思ったこともない。その掴めない感覚、言葉で捉えようのない柔和さが魅力な気がしている。今作の『Between Night and Day』を聴いた時、暗い部屋の中がだんだん明るくなっていくような情景が頭に浮かんだ。人によっては全く理解できない例えかもしれないけど、そういう聴いた人によって見える情景がそれぞれ違うのもRyu Matsuyamaの特徴だ。この透明のような不透明のような、澄んでいるような濁っているような不思議な音楽はなんなのか? 気になる疑問をぶつけさせてもらった。

インタヴュー& 文 : 真貝聡

僕が曲の中で説明しようとした明と暗の違いをうまく出せた

Ryu : (CDを差し出して)どうぞ!

Jackson : 中に52Pのブックレットが入ってます。

──ありがとうございます…… えっ! 52P!?

Ryu : 是非開けてみてください。

──じゃあ……。

Tsuru : …… あ、開けちゃうんですか。

──えっ! なんすか!?

Tsuru : 僕もまだ開けてなくて。

──いつ完成したんですか?

Ryu : 先々週ぐらいですね。

Tsuru : 僕も持ってるんですけど、開けたくなくて。前の『Leave, slowly』も未開封のままです。

Ryu : 「遊戯王の未開封はレア」みたいなもんだよね。

Tsuru : そそそ!

──Tsuruさんに構わず、開けちゃいますっ(笑)。

Ryu : このブックレットは、サカナクションも手がけているハトスのKamikeneさんというデザイナーさんが手がけてくださって。その方と話しながら、「こうしたら面白いんじゃないかな」って。

──ケースも大きい。

Jackson : サイズで勝負ですから。

Ryu : 厚みがあるとCDを買った感じするじゃないですか。このブックレットを入れるために仕様を変えました。Kamikeneさんは文字要素を楽しむ人だから、自由にやってもらいたくて、ページ数を割いて作ってもらいました。

──『Between Night and Day』の音源を聴いて、Kamikeneさんのイメージでデザインに落とし込んだんですね。

Ryu : そうです。デモの段階で音源をお渡しして。

──じゃあ、3人もどんなものが出来上がるか楽しみでしたよね。

Ryu : すごい楽しみでしたね。特にトップのメインジャケットは悩みに悩んで。

Jackson : 本の中に入ってる写真や絵はジャケットの候補だったんです。

Ryu : せっかくページ数あるので入れてしまえ、的な事ですね。

──今回はコンセプトが決まってますか?

Ryu : この『Between Night and Day』はテーマを明確にしない事をモットーにしていたというか。ジャケットに関してはANDで書いてあって……これをあんまりインタビューで言いたくないんですけど、実は──っていうことで「Night and Day」になっているんです。それを「買った人に気づいて欲しいな」って。そうすると愛着を持てますし、コレクション要素として持ってほしいな、と。だからデザインもそうですし、ブックレットの大きさもいろいろと話して、この形に辿り着きました。

──一応、ネタバレの部分は伏せておきますね。ちなみに今作がメジャー・デビュー・アルバムという。

Ryu : 僕らはメジャー作だからこうしよう、って感じじゃないんですけど、メジャーに行けたからKamikeneさんに出会えたのはありますね。

──そもそも、どういう繋がりで?

Ryu : 前からのお付き合いというよりも、今作で初めて紹介していただいて。

Jackson : しかもライヴにもきてくださってね。

Ryu : ステージの真ん前でチルしてました。「イエッ!」みたいな(笑)。

──そういう姿を見ると信用できますよね。

Ryu : アハハハハ。隣に娘も連れてきて、楽しかったですね。僕らの作品に対しても真摯に色々と意見を言ってくれる人で、これからも同じチームとして作っていきたいと思ってます。

──以前「『Grow from the ground』と『Leave, slowly』は2部作として作った」と話してましたけど、『Between Night and Day』はそういう狙いはありました?

Ryu : 今回はこれまでに作った曲をかき集めて選び抜いた感じで、後からストーリーを考えて「どうやって繋げようかな」と。中々、タイトルも浮かばなかったんですけど、出来上がってみてピッタリだと思います。あらゆる感情が行き交う、夜と朝の間ということで「曲のジャンルも色々ありまっせ」みたいな意味もありますし、僕が曲の中で説明しようとした明と暗の違いを出せたかな、と思って。僕は自画自賛してます。

──かき集めというのが意外で。雑多な感じじゃなくて、前半・中盤・後半と楽曲のカラーが分かれているじゃないですか。

Ryu : たしかに過去の楽曲から持ってきたんですけど、その中で「この曲を選ぶなら、あと3曲を追加しよう」って、新しく書いた曲もあるんです。それはバランスを考えて、サッカーでいうとボランチ的な役割でボールを回してくれる曲が欲しいなと思い「Footsteps」、「City」、「Istante」を作って。良い感じになりました。


Ryu Matsuyama「Footsteps」Music Video

──今作はすごく人間味を感じるというか、音にパーソナルさが乗ってる気がして。

Tsuru : 嬉しいなぁ……。今年も真貝さんの褒め言葉を使っていきます。「僕らは音にパーソナルさを出してます」って(笑)。

Ryu : 昔は歌詞をオブラートに包んでいたんですよ。“美の賛歌”みたいにキレイにしようとしてたんですけど。今回は人間味溢れている歌詞とか「この言葉は結局、自分に当ててるんです」というのを明確に書いているので、そのパーソナルな部分は歌詞にも出てますし、音で感じてもらえたのは嬉しいですね。

エンディングは聴いた人に想像してほしい

──1曲目の「Window」は、インストで歌詞がないじゃないですか。だけど、冒頭30秒の音が重なっていくところから情景が浮かんで。暗い部屋で目を覚まして、カーテンを開けたら部屋に光が差して、今、いる部屋がだんだん明るくなっていく感じ。

Ryu : それ、本当に正解です。僕がなんで「Window」にしたのかというと、“明るい”という漢字の語源が四って書いて、月なんです。日は四のように四角。それを窓って読むんですけど、窓に月。それで月の明かりが窓から入ってきて、“明るい”になるのが語源なんです。

Jackson : 昼じゃなくてね。

Ryu : そうそう。実は“明るい”の語源は夜だった、という。僕的にはその語源がピッタシで、だから1曲目は「Between」のどこだろうと思ったら「僕は部屋の前の月明かりを見ている」ということで「Window」というタイトルにしました。だから、その感想はピッタシなんです。

Tsuru : 素晴らしい!

──これまでのインタビューでも「曲の説明を細かく話すのは違う。聴いた人がどう解釈するかが大事」と話してたじゃないですか。なんか、本人たちが喋らなくても音に説明がある気がしたんですよ。

Ryu : 嬉しいー!

Tsuru : マジで嬉しいです。

──素直にそう思いました。

Ryu : 明確にそうしているわけじゃないんですよね。出来上がったものがそうであってほしい、という希望です。そういう風に伝わってくれたら嬉しいですし、「メッセージ性のある曲だね」と言われても、そう思ったなら僕はOK。

──今作に限らず“旅”はRyu Matsuyamaのテーマな気がして。

Ryu : 今回は明確に気づいてほしいから、なんですけど。よくよく考えたら、前は「旅をしよう、旅をやめよう」という書き方をしてたんですよ。でもね、集めてみると旅がまだ終わってないことに気づくんです。書くことが僕の旅であって、それで僕の見ているものをアウトプット出来ているので。人間って歩いているだけで旅できているので、それを書いているだけですね。音もそうであってほしいな、と思ってやってます。

──明確に、という意味では今回「City」、「Istante」で日本語詞の曲もありますよね。

Ryu : ずっと考えてたんですよ。日本語と英語のバランスをどこまでやれば良いのかな、って。2曲とも答えのパートであるサビを英語にしてるから、明確さを少しボヤかして、聴いてくれた人に答えを見つけてもらうように。新海誠監督の『秒速5センチメートル』みたく、果たして2人は出会うのか?というところで曲を止めているので、エンディングは聴いた人に想像してほしいです。

──個人的にはRyu Matsuyamaの歌詞やメロディが好きなのもあるんですけど、聴いた後の余韻も好きなんですよ。

Tsuru : 全部愛してくれるじゃないですかぁ! 僕も「ヨシヨシ、そのままで良いんだよ」って環境にいたいです(笑)。

──アハハハハ、僕は映画もそうで。何人かで映画を観て、あとで感想を言い合った時に、それぞれの解釈が違う作品こそが素敵だなと思うんですよね。

Ryu : 僕もそういう映画が好きで、音楽でも心がけてますね。『インセプション』という映画に感銘を受けすぎちゃって、それを続けている感じです。

Jackson : どっちともとれる、みたいなね。

Ryu : そうそう。

──改めて『Between Night and Day』はどんな作品になってますか?

Jackson : 今まで以上に…… ぷっ(笑)。

Ryu : なんで吹いたの(笑)?

Jackson : だって、こういう場じゃないと3人の意見を話すことないから。…… 恥ずかしいよね。あの、今回はKamikeneさんにアートワークを手がけてもらったので、音楽を聴いて、ブックレットを開くと違う『Between Night and Day』の解釈にふれられる。歌詞はRyuくんの英語を僕が和訳して書いているので、そこで何を歌っているのか答え合わせもできる。だから3度おいしい作品になってます。

──いろんなレイヤーがありますね。

Jackson : そうですね。あらゆる角度から楽しんでいただきたいです。

Ryu : Kamikeneさんはもちろん、PVを撮ってくれている映像作家の林響太朗、楽曲でいうと四家卯大さんにストリングスで全曲入ってもらっていますし、ブラスで上石統さん、プロデューサーは亀山耕一郎さんという、やっとチームを作れたことが嬉しいんですよね。Jacksonが言ったように曲単体だけじゃなくて、デザインを見て、その後にPVも観てみる。そこから改めて曲を聴いたり、分析してくれたら嬉しい。このCDだけじゃなくて、これから展開していく“何か”を楽しみにしてもらいたいから出せました。

──音楽を作っているのは3人ですけど、デザイン、PVと多角的に楽しめるという点ではRyu Matsuyamaというオムニバス作品な感じですね。

Ryu : まさに! 僕は最初からそうしたかったんですよ。音楽だけじゃなくて、アートワークに関わる人も全員がRyu Matsuyamaのアーティスト。

Tsuru : 今回から真貝さんもチームに入って、Ryu Matsuyamaとして。

Ryu : ステッカーを作りましょうか?「君も今日からRyu Matsuyamaだ」みたいな(笑)。

──そういえば、前回、別の媒体でのインタヴューの後に速攻でRyu MatsuyamaのLINEスタンプを買ってみんなに送りつけましたね。

Tsuru : そうだ! 懐かしいなぁ。

Ryu : なんか新しいものを作りたいですね!

Jackson : 「君も今日からRyu Matsuyamaだ(氏名 : ○○)」みたいな。

Ryu : ああ! 名前を書けるスペースを作ってね。

──(無言でメンバーを見つめる)……。

Ryu : あ、脱線してスイマセン(笑)。

──グッズではないですけど、今回はCD特典がつくんですよね。

Ryu : タワレコは「Istante」のavengers in sci-fiによるリミックス版がついてきて、他の店舗では未発表デモ音源の「Words」という全編日本語の未発表デモ曲がプレゼントされます。それはね、自画自賛で申し訳ないですけど、ここ5年で書いてきた日本語詞で一番良いものが書けてます。「俺、天才なのかな」と思っちゃったぐらい。

──OTOTOYではアルバムをハイレゾ配信をさせていただきます。

Tsuru : めっちゃ音が良いんですよね。

Ryu : 聴いてもらえるとわかるんですけど、僕らは音圧をあまり入れてないんです。今最近のCDは音を上げて、できるだけ聴こえるようにしてるので圧が目立つようになってる。僕らは小さめに設定することで、どんな音が鳴っているか全部聴こえるようにしてます。だからこそハイレゾで聴いてもらえると、さらに楽しめると思いますね。

Jackson : いつか試聴会をしてみたいよね。

フォークシンガーの歌詞を読んで、日本語詞を勉強してます

──そういえば前作『Leave, slowly』のインタヴューをした時、アルバム制作中にTsuruさんはRADWINPS、スキマスイッチ、三代目J Soul Brothersを聴いてましたよね。

Jackson : 懐かしい! そうでしたね。

Tsuru : RADWINPS、スキマスイッチは変わらずで、最近はTWICEにハマってて。

Jackson : どうなの?

Tsuru : 音も良いけど、何よりも可愛いっすね。

──そこですか(笑)。Jacksonさんはスティーリー・ダンを聴いてて。

Jackson : (僕の)音楽の根底にあるのはスティーリー・ダンなんですよね。支離滅裂であり、哲学的でもある歌詞。コードもメジャーなのかマイナーなのかのギリギリなポップさで音楽をやっているバランスが、僕にとってのバイブルですね。

──前にJacksonさんにスティーリー・ダンの魅力を教えてもらって。「こんなに深みがあるのか」と再発見できました。

Jackson : 彼は自分の歌声が下手だと思っているから、本当は歌いたくないんですよ。だけど、それを表現する歌手がいなくて、全部自分で歌っているんです。彼の圧倒的な世界観に魅了されているファンは大勢いて、その人たちも歌詞の答えを知らないまま、各々の解釈を議論しあう。それがRyu Matsuyamaと近い気がします。

──Ryuさんはオブ・モンスターズ・アンド・メン、コールドプレイ、ホセ・ゴンザレスにハマってましたよね。

Ryu : 好きな音楽は変わってないんですけど、前作から変わったのは友部正人さんをメチャクチャ聴くようになりましたね。

Jackson : 世界観がすごいよね。

Ryu : 友部さんの歌詞や詩を読んで「わぁ…… なるほど」って勉強してる感じですね。他には長谷川健一さん、KUDANZ、成山剛さん、樽木栄一郎さん、関取花ちゃんとかフォークシンガーの歌詞を読んで、日本語詞を勉強してます。ギター1本と言葉でいかに聴き手を旅へ誘うか、という意味では根本じゃないですか。中でも友部さんはメチャクチャ聴いてます。

──友部さんはデビューして45年が経ちますけど、色褪せない歌詞の魅力はなんだと思います?

Ryu : 年代を特定しないことや、誰でも共感できる歌詞を書いているのもあるし、大人や子供と目線がよく変わるんですよ。友部さんは言葉でトリップさせる魅力があるので、本当に見習いたい。

──イタリア生まれ、イタリア育ちのRyuさんがフォークに感銘を受けるのは面白い。

Ryu : 言ってしまえば馴染みがあるんですよね。日本語のフォークもそうですし、「蛍の光」も全部、元を辿っていくとアイリッシュ音楽なんですよ。民謡と言われている音楽はアイリッシュのピアノだけしかなかった音に対して、上に歌詞をつけて日本語アレンジしてる。まだ辿り着いてないけど、いつかRyu Matsuyamaも民謡を作れたら良いな、と思ってます。

──「名曲にはカノンコードで出来ている」という言葉を聞いたことがありますけど。人が感動する音は、時代が経っても変わらないんですかね。

Ryu : 結局、僕らは新しいものを生んでいるわけじゃなくて。前にあったものを解釈して新しく見せているだけなんです。それをやり続けたいですし、僕らの音楽も後世に伝わって、ここから新しい派生が生まれてほしい。そういうのは目指していきたいです。

LIVE SCHEDULE

Ryu Matsuyama TOUR “Afterglow”

2018年10月13日(土)@アメリカ村CLAPPER
2018年10月14日(日)@名古屋JAMMIN'
2018年10月20日(土)@札幌PROVO
2018年10月27日(土)@渋谷duo MUSIC EXCHANGE
2018年11月18日(土)@仙台retro Back Page
2018年12月7日(金)@渋谷TSUTAYA O-WEST

道志村キャンプ Natural High!
2018年5月26日(土)@山梨県 道志の森キャンプ場

not forget pleasure 8
2018年6月5日(火)@アメリカ村CLAPPER

franger los企画「Learn To Fly」
2018年6月22日(金)@学芸大学メイプルハウス

cross fm主催 Ryu Matsuyama Special Show Case
2018年6月24日(日)@福岡brick

LIVEHOLIC 3rd Anniversary series vol.19
2018年6月27日(水)@下北沢LIVEHOLIC


PROFILE

Ryu Matsuyama

ジャンルの壁も国籍も超えたピアノ・スリーピース・バンドRyu Matsuyama。
イタリア生まれイタリア育ちのRyu(ピアノ・ボーカル)が 2012年に “Ryu Matsuyama”としてバンド活動をスタート。
2014年、結成当初からのメンバーであるTsuru(ベース)に Jackson(ドラム)を加え現メンバーとなる。

>>オフィシャル HP

 
 

インタヴュー

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