【岡村詩野音楽ライター講座】ココナッツディスク、矢島和義に訊く2018年注目のバンド

岡村詩野が講師を務め、音楽に関わるさまざまな表現を学ぶ場『岡村詩野音楽ライター講座』。2018年の1月期では「新人を発掘し、紹介する方法を学ぶ」をテーマとし、CDのリリースもまだ1枚、さらに言うとCDリリースもまだしていないような新人アーティストを選出し、その魅力を伝える原稿を執筆してきました。本ページでは、今回の講座の最終回にゲスト講師として登場していただいた、ココナッツディスク吉祥寺店の矢島和義さんと岡村詩野の公開インタビューを掲載。今回矢島さんはSaToAというバンドを主軸に、彼女らの楽曲から想起される過去の名盤について語ってくれています。またライター講座の講座生によって選定された、2018年注目アーティストについてのレヴューも、後日掲載予定です。この記事が、まだ見ぬ素敵な音楽に出会うきっかけになるかも!?

今回紹介したSaToAの最新作はこちらから


SaToA / スリーショット

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz)

【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 1,500円(税込)

【収録曲】
1. 青草の匂い
2. Light
3. bitter coffee
4. Rudolph
5. 夢の島
6. いまあさ
7. Wonky Bridge


SaToA / Rudolph


2018年に大注目のSaToA、一緒に聴くべき作品は?

オールジャンルの中古レコードを取り扱い、スカートやミツメなどと縁深いココナッツディスク吉祥寺店の店長・矢島和義さん。根っからの音楽好きゆえに、心から「好き!」と思えるものを堂々と積極的に応援していく彼のブログは、多くのアーティストやリスナーから長年参考にされています。今回はそんな矢島さんに「2018年注目のアーティスト」と、あわせて聴きたい旧作を伺いました。レコメンドひとつとっても一筋縄ではいかない独自の観点からの分析は、一読の価値ありです! ぜひ、音源と一緒にお楽しみください。

矢島和義が選ぶ、2018年に聴きたい旧作はこちら!!

・SaToA / river soul
・impressions / keep on pushing (LP)
・the action / ultimate the action (LP)
・SaToA / ためいき
・シュガーベイブ / SONGS
・SaToA / スリーショット
・the city / now that everythings been said
・william devaughn / be thankful what you got (LP)

文&構成 : 阿部文香

楽曲を聴きながらお話を訊いていきますよ!!

岡村 : 今回、「いま一番鋭利なアーティスト」というテーマで選んでいただいたのが、SaToAという東京の女の子3人のバンドです。まず、SaToAはいつごろ知ったんでしょうか?

矢島 : 2014年くらいかな、池袋のミュージック・オルグという、もうなくなってしまったライブハウスの年末イベントのルーキー枠に彼女たちが選ばれて出演していたんです。その少し前にSaToAがフライヤーとかシールを自分たちで作ってきて、「これ置いてください」ってお店に持ってきてたんで、名前だけ知っていて。あ、あのバンドだ、と。

岡村 : なるほど。シールを持ってきたんですか。

矢島 : そうなんです。SaToAって変な名前だし、なんか覚えてて。で、そのオルグの年末イベントに出演していた柴田聡子さんが、そのときSaToAをはじめて観て「すごいバンドを観た」とツイートしていたのがきっかけで軽く話題になったんです。当時SoundCloudに「Sprout」って曲が上がっていたのですぐに聴いたんですが、「なんかよくわかんない曲だな」って思ったのが正直な感想でした。

岡村 : えっ、最初はよくわからなかったんですか。

矢島 : すごくいいんですけど、なんか不思議な曲だなと思って。それが最初の印象でしたね。

岡村 : まずは音源を聴いてみましょうか。最初に聴いていただくのは、SaToAの最初の自主制作CD-Rに収録されている「river soul」という曲です。

SaToA「river soul」(『S.T.』2015年)


SaToA『S.T.』

【収録曲】
01.sprout
02.river soul
03.Trees
04.手紙
05.いまあさ
06.lonely place


SaToA / Sprout


岡村 : 結局、どこにピンと来たのでしょうか。

矢島 : 「Sprout」を聴いたとき、この曲がなにに影響されてできたのかがよくわからない、と感じたんです。曲の最後に、前半の流れとはぜんぜん違うメロディの塊が入っているじゃないですか。そういうのが、本当に不思議で。突拍子がないという訳ではないんですけど、ルーツが見えなかったんですね。大体「○○っぽいな」とか「こういう曲が作りたいのかな」とか、そういう要素が垣間見えるバンドが多いけど、SaToAは全くわからなくて。

岡村 :でも今日選んでいただいたのは、次に収録されている「river soul」ですよね。そして連想として挙げてくださったのは、impressionsっていうバンドですね。ここに繋げる人はなかなかいないと思うんですけど。

矢島 : SaToAって、自主制作のCD-Rの前に〈SECOND ROYAL〉からまず7inchを出したんですよね。当時の〈SECOND ROYAL〉って、Homecomingsやshe saidなど、インディー・ポップのイメージがあって。個人的にSaToAは、なんとなくそういうものとはちょっと違う気がずっとしていたんです。それが「river soul」を聴いたときに、「あっ、これ、impressionsだ。カーティス・メイフィールドのクールなメロディの感じと同じだ」ってピンと来たんです。それに気づいてからさらにSaToAが好きになった。「こんなバンド他にないんじゃないか!」と思っちゃって。

岡村 : SaToAはバンドのスタイルとしては一見、女の子3人組でのギター・バンドですよ。矢島さんはそこに着眼されたわけではなくて、メロディに着眼されたということですね。彼女たちは意識していない潜在的なものかもしれないけど、impressionsの作品に共通するものがあるのではないか、と。

impressions / 「keep on pushing」(『keep on pushing』1964年)


impressions『keep on pushing』

【収録曲】
01. keep on pushing
02. I've been Trying
03. I Ain't Supposed To
04. Dedicate My Song To You
05. Long Long Winter
06. Somebody Help Me
07. Amen
08. I Thank Heaven
09. Talking About My Baby
10. Don't Let It Hide
11. I Love You (Yeah)
12. I Made A Mistake


impressions / keep on pushing


岡村 : 矢島さんは音楽の趣味として、こういうブラック・ミュージック、R&Bやソウルがお好きだった?

矢島 : はい。

岡村 : なるほど。もともとの自分の嗜好の中から、比較的近い要素に気づくことってありますよね。

矢島 : そうですね。それがやっぱり、一番良いと思います。

岡村 : まず前提として、矢島さんはもともとimpressionsや昔のソウル・ミュージックがとてもお好きで、長い間聴いてこられた蓄積が身体にあった。そのうえで、一見普通のギター・ポップに捉えられがちなタイプのバンドを、普通の視点から切るのではなくて、メロディや楽曲そのものという視点から考えていて。そのうえで繋がって聴くことのおもしろさを提示してくれている。こんな聴き方してる人、他にいないですよね。

矢島 : でも、ひとりだけ同じような事言ってる奴が最近いたんですよ。「すばらしか」というバンドの加藤くん。SaToAの話をしていたら、シカゴ・ソウルを感じますよねって言いだして。「俺以外にもこんなやつがいるんだ」ってびっくりしました(笑)。

岡村 : 他にもいたんですか(笑)。でも着眼点としては本当に珍しい捉え方だと思います。おそらく彼女たちが出てきた直後は、誰もその解釈をしていなかったでしょうし。

the action「I Love You (Yeah!)」(『ultimate the action(LP)』1980年〈音源自体は60年代のもの〉)


the action『ultimate the action(LP)』

【収録曲】
01.I'll Keep On Holding On
02. Harlem Shuffle
03. Never Ever
04. Twenty Fourth Hour
05. Since I Lost My Baby
06. In My Lonely Room
07. Hey Sha-Lo-Ney
08. Wasn't It You?
09. Come On, Come With Me
10. Just Once In My Life
11. Shadows And Reflections
12. Something Has Hit Me
13. The Place
14. The Cissy
15. Baby You've Got It
16. I Love You (Yeah!)
17. Land Of A Thousand Dances


the action / I Love You (Yeah!)


岡村 : the actionも古いバンドですが、ソウルフルな音楽性で知られていますよね。矢島さんは、SaToAの中に潜在的にあるブラックミュージックの流れみたいなものを感じ取られたということでしょうか。

矢島 : このLPには、impressionsのカヴァーが入っているんですよ。実は「river soul」を聴いたときに、最初に連想したのはこちらなんです。

岡村 : 先にこちらのカヴァーを連想してから、オリジナルの方に辿り着いたんですか。聴き方がどんどんおもしろくなってきましたね。歴史的には、白人がブラックミュージックに多大に影響を受け、無邪気に真似をしたバンドがとてもたくさんあるわけです。矢島さんはそういう流れをある程度理解したうえで、SaToAをその中に置いてみた。

矢島 : 本家が管楽器を使っているところを、the actionはあくまでもギター・バンドとしての編成でうまく取り込んでいるんです。もしかしたらSaToAも同じなのかと思ったんです。本当はもっと違う音楽になるような要素を、なんとか自分たちだけでギター・バンドとして成立させているのかなと。

岡村 : なるほど。SaToAと言うバンドには、ブラックミュージックに関する彼女たちなりの解釈が、結果として無意識に外に滲み出ている。ジャストにブラックミュージックをまねるのではなく、彼女たちが系譜を感覚で理解して、表現しているということですよね。ちなみに彼女たちは実際にUKソウルのようなものが好きなんですか?

矢島 : 聞いても教えてくれないんですよ。「何も知りません!」とか言われちゃうんですよ(笑)。

岡村 : それは本当なんですかね(笑)?

矢島 : たぶん違うと思います(笑)。実際は聴いている気がします。もしかしたらimpressionsから影響を受けている音楽が好きで、それが背後に透けているのかもしれません。ピチカート・ファイヴ『Bellissima!』がすごい好きだって噂を聞いたので。

岡村 : なるほど。確かに、小西さんはthe actionもimpressionsも紹介しています。彼女たちのインタビューってあまりないですよね。

矢島 : これからですかね。この際いろいろな人がインタビューして、聞いてほしいなと思います。

SaToA 「ためいき」(V.A.『RHYMING SLANG TOUR VAN』2016年)

岡村 : これは矢島さんがSaToAを好きになってからの曲ですよね。

矢島 : はい。最初のCD-Rと最新作(『スリーショット』)を聴き比べると、音楽性がちょっと変わっていると思うんですよね。洗練されて、鮮烈な音楽性になってきたというか。「ためいき」という曲は、音楽性が変わるその境目にある曲かなと思います。

シュガーベイブ「蜃気楼の街」(『SONGS』1975年)


シュガーベイブ『SONGS』

【収録曲】
01.SHOW
02.DOWN TOWN
03.蜃気楼の街
04.風の世界
05.ためいきばかり
06.いつも通り
07.すてきなメロディー
08.今日はなんだか
09.雨は手のひらにいっぱい
10.過ぎ去りし日々“60's Dream”
11.SUGAR

岡村 : シュガーベイブ『SONGS』に繋がったんですね。これは即座に思いついたんですか?

矢島 : ライヴでSaToAのこの曲(「ためいき」)を聴いたときに、「シュガーベイブだ」と直感して。ここ数年、「現代のシュガーベイブだ」「新しい世代の山下達郎」みたいに形容されて紹介されるバンドやアーティストをよく見かけるんですが、自分としてはピンとくるものがほぼ無くて……。僕はSaToAこそが現代のシュガーベイブって言えるのではないかと思っています。

岡村 : なるほど。それに気づいた時、矢島さんとしてはSaToAの見方が変わったりとか、ライヴを観てまた違った発見はありましたか。

矢島 : ライヴは黒っぽいとか関係なくて、すごいかっこいい。音源よりもスピードアップしているものもあって、あまりガールズ・バンドということを感じさせない印象でした。

岡村 : SaToAに対して、ガールズ・ポップ的な見方をする人が多いですものね。しかしそこではないだろう、ということですね。続いては、出たばかりの新譜を聴きましょうか。

SaToA「Light」(『スリーショット』2018年)




SaToA / スリーショット

【収録曲】
01. 青草の匂い
02. Light
03. bitter coffee
04. Rudolph
05. 夢の島
06. いまあさ
07. Wonky Bridge


SaToA / Light


岡村 : 今回のアルバムですが、実際に聴かれた印象はどうでしたか?

矢島 : 最高と言うほかないです。全体としても、ひとつひとつの曲で聴いてもすばらしいです。何よりも、曲のクオリティが本当に上がって。

岡村 : 最初に聴いたCD-Rのときとはぜんぜん違いますよね。ガレージ感やバンド感のような、がちゃがちゃした印象がなくなった。

矢島 : 当時から中心にあったソウル感だけが残って、あとの部分はすべて変わっていった。改めて、ソウルやボサノヴァなどの音楽がルーツにあるのだと感じました。

岡村 : そんなSaToAの「Light」から連想していただいたのはthe city。キャロル・キングがやっていたユニットとして知られていますね。

the city「Now That Everything's Been Said」(『now that everythings been said』1968年)


the city『now that everythings been said』

【収録曲】
01. Snow Queen
02. I Wasn't Born To Follow
03. Now That Everything's Been Said
04. Paradise Alley
05. Man Without A Dream
06. Victim Of Circumstance
07. Why Are You Leaving
08. Lady
09. My Sweet Home
10. I Don't Believe It
11. That Old Sweet Roll (Hi-De-Ho)
12. All My Time

岡村 : これはどんな風に捉えてらっしゃるんでしょうか?

矢島 : ブレイク前夜の作品ならではの良さがあると思っています。

岡村 : それは、SaToAに対しても同じですか。

矢島 : そうですね。曲同士が似ているというよりかは、質感です。そもそものアルバムとしての在り方が似ている。

岡村 : 音楽性については、メロディとか楽曲から推察できる部分だったじゃないですか。それに対して「在り方」というのは、どういうことでしょうか。

矢島 : キャロル・キングは、このあとソロでシンガー・ソングライターとして大成功しますが、そういう人がバンドをやっている感じと言いますか。the cityの楽曲はデモテープみたいな質感の録音で、お金がかかっている印象を受けないんですよ。SaToAも同じで、良い録音できっちりやれば大ヒットしそうな高いクオリティの楽曲を、自分たち3人だけでなんとかやっている。

岡村 : キャロル・キングのように、SaToAも良いソングライターのいるバンドだと言うことが、今後証明されていくのではないか、ということですかね。そんなことを感じさせる、ブレイク一歩手前のアルバムだと。音も決してハイクオリティではないというのが、共通点ですね。

矢島 : あとは、聴いてて楽しいというか、ワクワクするものがあるんです。the cityはリアルタイムでは聴いていないんですが、振り返って聴いたときに、人が成功する前の音源特有の高揚感を覚えたんです。SaToAに関していうと、それがもう目の前に来ているのを感じる。まさにその瞬間を体験できる醍醐味を味わえるのは、本当に幸せなことだなって。

岡村 : 当時リアルタイムでこのアルバムを聴いていた人って、そんなに多くないんですよね。the cityのアルバムは長らく眠っていた作品で、当時爆発的に売れたわけではない。SaToAはもしかしたら前回そこそこ売れたのかもしれないけれど、でも今後もっとすごいことになるような予感を感じさせる。それを後から振り返るのではなく今体感できるということですね。なるほど。

william devaughn「Give The Little Man A Great Big Hand」(『be thankful what you got (LP)』1974年)


william devaughn『be thankful what you got (LP)』

【収録曲】
01. Give The Little Man A Great Big Hand
02. We Are His Children
03. Blood Is Thicker Than Water
04. Kiss And Make Up
05. You Gave Me A Brand New Start
06. Be Thankful For What You Got
07. Sing A Love Song
08. You Can Do It
09. Something's Being Done


william devaughn / Give The Little Man A Great Big Hand


岡村 : これはどういう意味合いで選んだのですか?

矢島 : SaToAが10年後くらいにこういうレコードを作ったらおもしろいと思ったからです。この曲はストリングスやビブラフォンなど、とにかくいろいろな楽器をアレンジで使っていて、その上で歌が成立しているような印象のレコードなんです。もちろん現在のようなバンド編成を続けるのもいいんですけど、こういうSaToAも聴いてみたいなっていう思いがあって。

岡村 : それはリスナーとしての望み、みたいなものですか。

矢島 : そうですね。いつかこういう作品を1枚でいいから作ってほしい。

岡村 : ちなみに、この辺りの作品を矢島さんが聴かれるきっかけになったのは、小西さんのレコメンドが大きいのでしょうか。

矢島 : はい。今日持ってきたレコードは、ほとんどそうだと思います。

岡村 : なるほど。おそらく今の矢島さんは、小西さんのように、時代を超えて良い音楽を伝えていくような立場におられるのだと思うのですけど。

矢島 : そうなんですかね…。でも、たとえば「シャムキャッツが好きな人にはこういう音をオススメしたいな」みたいなことは常に考えています。SaToAの場合はかけ離れすぎちゃっている気はするんですけど(笑)。


シャムキャッツ / このままがいいね(Stay Like This)

岡村 : 彼らと近いテイストのギター・バンドやネオアコばかりではなく、もっと幅広い音楽を勧めるということですか。

矢島 : いえ。シャムキャッツはSaToAとは逆のパターンで、ネオ・アコースティックの形を借りて別の要素を表現しているバンドだと思うんです。だからこそ、彼らを好きな人には正統派のネオアコやギター・ポップを勧めたくて。

岡村 : なるほど。他に、最近特にお気に入りのアーティストはいますか。

矢島 : ラッキーオールドサンですね。彼らの周りにも、おもしろい人がいっぱいいて。あとはもうすぐリリースされる(※4/18にリリース済)すばらしかのアルバムはすごいよかったですね。


ラッキーオールドサン / すずらん通り


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岡村 : なるほど。新しいものがいろいろ出てくるなかで、矢島さん的に照合できるようなバンドがまた増えてきているんでしょうか。

矢島 : 手ごたえはありますね。10年前くらいだと、音楽を聴かないでバンドをやるっていうのが当たり前だった節があるんですが、いまはそれと全然変わったと思います。

岡村 : いいリスナーが、リスナーとしての感覚を持ちながらバンドをやるようになった、ということですかね?

矢島 : どうなんでしょうね。単なる時代の流れかもしれませんが、それこそスカートの澤部くんが登場したくらいから、そういった流れになってきている気がします。この前、改めて初期のシャムキャッツの楽曲を聴いたら、「何にも影響されていない音楽」だと感じて。当時と比べると随分変わったなと思います。


スカート / 視界良好

岡村 : 影響を受けた音楽に対して、極端にかみ砕いて消化させきらずに、素直に出してしまう。そういうことをてらいなく出せる時代になったということですかね。

矢島 : 変化したというか、流行りなのかもしれないですね。また次には、また全然違うものがいいという方向になると思いますよ。2000年代がそんな感じだった気がします。

岡村 : 確かにそういう流れもあるかもしれませんね。私も90年代初頭には時代の変化をすごく感じていました。「新しいものより古いものの方がおもしろいや」と思えた時代だったんです。その頃流行っていたものは聴かないみたいなこともあったし。そういうときに古い音源の再発売は凄く魅力的だったんです。YouTubeもApple Musicもない時代に、再発のCDがあることがどれだけ画期的なことだったか。いずれは、今度はSaToAがそういう風になっていくかもしれませんね。

矢島さんはこういう形で、自分の辿ってきた音楽の系譜に引き寄せて音楽を聴くことができると思うんです。そうやってそれまでの音楽の流れをきちんと理解して楽しんでいくと、今回紹介したSaToAのようなアーティストも新たな捉え方ができるということですね。矢島さん、今日は有意義な話をありがとうございました!

SaToAの最新作『スリーショット』に関してはこちらから

レーベル kesakuuta market  発売日 2018/04/11

※ 曲名をクリックすると試聴できます。


・ご購入はこちらから
https://ototoy.jp/_/default/p/99103

SaToA LIVE SCHEDULE

SaToA Presents “ケサクータ マーケット”

2018年6月23日(土)@下北沢 Three
時間 : OPEN 12:30 / START 13:00
w/ayU tokiO、江本祐介(Enjoy Music Club)

>>> MORE LIVE INFO

PROFILE

矢島和義

オールジャンルの中古レコードショップ、ココナッツディスク吉祥寺店の店長。そして、ただの音楽好き。お店ではレコードの買取もやっていますのでぜひご利用ください。

ココナッツディスク吉祥寺店ブログ : http://coconutsdisk.com/kichijoji/

ココナッツディスクHP : http://coconutsdisk.com


岡村詩野

東京生まれ京都育ちの音楽評論家。『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『朝日新聞』『VOGUE NIPPON』『Sign Magazine』などで執筆中。現在「岡村詩野音楽ライター講座」を東京・京都で開講するほか、京都精華大学で非常勤講師を務めている。FM京都(α-STATION)『Imaginary Line』(毎週日曜21時)の番組パーソナリティも担当。Helga Press主宰。

岡村詩野 Official Twitter : http://twitter.com/shino_okamura

【受講生募集中】音楽ライター講座、2018年5月期も受講者募集中!

音楽評論家として活躍する岡村詩野のもと、音楽への造詣を深めライティングを通じて「表現」の方法を学ぶ場、それが「岡村詩野音楽ライター講座」です。ここにはプロのライターを目指す人から、ライティングの経験はないけれど音楽が好きで、表現の幅を広げたい! という人まで幅広いバックグラウンドを持った参加者が集い、学び合っています。

この講座では、講師の岡村詩野による添削・指導によりライティングの力を高めるだけでなく、ライターとして大切な音楽の聴き方や接し方を学び、作品やアーティストへの理解を深めていくことが、この講座での大きなポイントとなっています。

5月期では、上記のような「音楽ライターとして大切なこと」を、実践的な講義によって時間をかけてじっくりと学んでいきます。その結果、より多くの人々にアーティストや作品の魅力が伝わる文章の作成を目指していきます。

さらに最終課題として、〈FUJI ROCK FESTIVAL〉や〈サマーソニック〉などのフェスへの出演が決定しているアーティストから、あなたが最も観たいアクトを選出し、原稿を執筆していきます。また特別ゲストの登壇も予定! ゲストをお迎えして、岡村詩野と共に2018年の音楽シーン、そして最終課題でもあるフェスについて現在のシーンなどを、トーク・セッションで語っていただきます。

ライティング経験者はもちろん、初心者の方も大歓迎! 自分が聴いている音楽への造詣を深めたい方もぜひ! さまざまなメディアやアーティストから信頼される音楽ライターを目指しませんか?

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