【期間限定先行フル視聴】jan and naomi、新作リリース──密やかな幻とのつきあい方

(左から)Jan Urila Sas、Naomi

そのチルアウトで幽玄なサウンドスケープが、藤原ヒロシをはじめ多くのアーティストからも高い評価を受ける、jan and naomi。デビュー作となった7インチにはじまり、その立ち姿含めて、作品のひとつと言えそうなライヴ活動など、じわりじわりとその注目を集め、このたび彼らはついにメジャーの舞台へとその活動の場を移すことになった。そして4月18日(水)にリリースされるのが『Fracture』だ。OTOTOYでは4月11日(水)21時〜4月14日(土)21時までの間、本作を期間限定フル視聴を開始、そしてふたりのインタヴューをお届けしよう。

【先行フル視聴開始】4月11日(水)21時〜4月14日(土) 21時まで!
本配信開始は4月18日(水)0時

レーベル cutting edge  発売日 2018/04/18

※ 曲名をクリックすると試聴できます。


※ 曲名をクリックすると試聴できます。

【配信形態】
AAC
【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 2,000円(税込)
【配信ページ】
https://ototoy.jp/_/default/p/100734

INTERVIEW : jan and naomi

インタヴュー中にも話しているが、jan and naomiの『Fracture』を聴くと不思議な気分になる。聴いている時間によって印象が変わるのもそうだけど、朝は霧に囲まれた森の中を彷徨っているような、夜は誰もいない世界に誘われた気持ちになる。今回2人に話しを聞くに当たって、他にない特別な没入感は何なのか?それを探っていきたいと思った。そして、お互いをどのように見ているのか、ふたりの関係性についても迫った。

インタヴュー・文 : 真貝聡
カメラマン : 高野広美

恐怖だったり恐れみたいなものを盛り込んだ

——今作は2年振りのリリースということで、その期間の活動を調べたら〈FUJI ROCK FESTIVAL〉、海外のフェス(〈V-ROXフェスティヴァル〉)にも出演されたり、映画『Amy said』の音楽も手掛けられて。

Jan : そうですね。

——ひとつ気になったのがMaison MIHARA YASUHIROの“ライブプレゼーテーション”に参加。これは具体的に何をされたのでしょうか?

Naomi : MIHARAさんのショーはいつも、ミュージシャンの人たちが生演奏をして、モデルの人たちが歩くことをやっているみたいで。それで僕たちに声をかけてもらった感じです。

——そもそも、なぜおふたりが誘われたんですか?

Naomi : MIHARAさんが2018年のS/Sのシーズンをデザインしている時に、僕たちの曲を聴いてくれていたらしくて。ロンドンでショーをするタイミングに「会場で演奏してほしい」と言っていただいて。そのあと、秋に韓国であったミハラさんのイベントでも演奏させてもらいました。

——普段とはかなり勝手が違いそうですね。

Jan : そうですね。ショーに合わせて尺を決めて曲を演奏するのは初体験でした。海外でちゃんとライヴをやったのは、ロシアの〈V-ROXフェスティヴァル〉。でも、日本でやるのと違いを感じることはなかったですかね、みんなウォッカをいっぱい飲んでるなっていうぐらい。

——アハハハ、さすがロシア。

Jan : うん、そうそう(笑)。


ロシアで行われたフェスの出演

——改めて前作から今作までの2年間は、おふたりにとってどんな時間でした?

Naomi : 先ほど仰ってくれたように、映画の音楽を作ったのは大きかったです。5秒の曲を1曲と数えるならば、全部で40曲くらい作ったんですよ。わりと時間がタイトだったから、サクサク進めていかなければいけない中で制作したことは、良い意味で今作にかなり影響がありました。

——どんな影響をもたらしました?

Naomi : ''サウンド・プロダクションを個々で8割くらい完成させて、最後にjan and naomiの音にする試みを映画の音楽で初めてしたんですけど。今まではふたりでゼロからセッションしながら作っていたのを、映画のときと同じように作ったから、かなり『Amy said』の体験が色濃く出ています。過去の作品は曲の軸となる楽器がギターだったんですけど、今回は鍵盤のアプローチが多くなったことは大きな違いだと思います。

——前作は「NHKのいじめ防止キャンペーン用」に作られた作品だったそうですけど、今回はどのようなテーマで作ったのでしょうか。

Jan : アルバムとしてのテーマは作り始めた時は決まってなくて。ただ、こうしたいなってビジョンはありました。俺としては歌詞を明確にして、その分、抽象的な音を盛り込んでみたいな、って。あと、もう少し切なさというものを排除して、代わりに恐怖だったり恐れみたいなものを盛り込んでみようと思って作りました。

——“恐怖”や“恐れを入れたい”と思ったのはどうでしてですか?

Jan : 日々の生活の中で淡い気持ちだったり、切ない気持ちだったりが少し薄れていって。その分、違うことにフォーカスをし始めたというか。例えば女性のことを歌うにしてもぼやけた誰かじゃなくて、あの人って具体的なイメージを形にして。

Naomi : 僕は今作に限らずなんですけどjan and naomiとして音源を発表するときは、その瞬間を輝いているものにするというよりも、10年後、20年後に聴いても良いなと思える曲を作りたい。今回も色褪せないものを形として残したくて作りました。

——たしかに、時代性に捉われない音作りは大きな魅力ですよね。

Jan : ありがとうございます。

幻を感じられるような音楽を作れたら

——この数日、『Fracture』をずっと聴いてたんです。夜に聴くと東京なのか分からない場所に、世界で1人ぼっちになった気分になって。朝に聴くと霧に囲まれた森を歩いているような気持ちになるんです。

Naomi : その感想、良いですね。ありがとうございます。

——Naomiさんが言ったように、jan and naomiの音楽は時事的ではなくて、いつも不思議な現象を見せてくれる。

Jan : ふたりで音楽を作り始めた時から、聴き手をどこかへ誘うみたいな。変な言い方をするとトリップさせるというか、旅をさせる音を作りたいと思ってて……というか必然的にそうなった。幻を想像させるだけじゃなくて、まるで手に取るようにその幻を感じられるような音楽を作れたら面白いな、って。割とそういう音楽が好きで2人の共通点なのかなと思います。

——音楽を作る時に見えている情景はなんでしょう?

Jan : いままでの作品はもう少し幻っぽいというか、もっと非現実的にしてたんですけど、今回はもう少し現実と幻を半々になるようにしました。結果的に現実の要素が多い分、コントラストが生まれて、より幻パートが幻想的に浮き上がったような気がします。

——なるほど。曲を作る時はどんな感情になっていることが多いですか。

Jan : よろこびなのか満足感なのかわからないけど、自分の愛する人を誰も知らないレストランへ連れて行ってあげた時の感覚になります。

——連れて行く行為はひとつのきっかけであって、どんなレストランへ行くのかも重要ですよね。Janさんが誘いたい世界っていうのはどこなのでしょう。

Jan : 日々、生活の中で見たものや体感した世界、そういうものが細かく粒子みたいに集まって視覚化されているのかなって感じがします。

——具体的にどんな状況が、というわけではなくて。

Jan : そうですね、細かいパズルみたいな。テレビもそうですよね、色んな情報の集合体になっている。

——Naomiさんはいかがですか?

Naomi : 曲は何もやっていない夜に作ることが多かった。楽しかった夜を思い出して作ったり、今週末にこんなことが起これば良いなと思って作ったり、誰かに会えなくて寂しいからって作る時もある。いつも決まっているわけじゃないんですよね。だから良い曲を作りたい以外は特にないかもしれない。

——じゃあNaomiさんにとって、曲作りは特別な行為ではないと。

Naomi : そうです。趣味だから、いつでも作っていたい。でも、自分のなかでなにかおもしろい出来事が起きたり、起こりそうなときに曲が生まれることが多いと思うんですけどね。誰かの曲を聴いてインスピレーションを受けるとか、映画を観て感動して作るというよりも、日々、友達とか新しく出会った人とお話をして、人からエネルギーをもらって自然発生的に出来ることが多い。それって楽しいことでもあるし、喜怒哀楽の全てに当てはまるんですよね。

Jan : 今回は今までに比べて時間をかけたのもあって、会った人の人数も前作の何倍も多い。喜怒哀楽だって何往復もあったし、もちろん季節も変わるし。何度、悲しい夜を過ごしたのかも分からないから、そういった意味では壮大な作品になったと思います。

——おふたりの音楽は「静かなる狂気」ってキャッチフレーズがついてますよね。それは合っているような、全然違うような気がしていて。jan and naomiはそういう言葉にカテゴライズする音楽ではないような気がしたんです。

Jan : 音楽は答えを見出すものでなくても良いんですよね。ただ、役割みたいな存在であってもおもしろいかな。

——役割ですか?

Jan : 音楽は狩人が動物をおびき寄せるために使っていたという話もあるし、神を崇めるため多くの人に共通意識を持たせる手段でもあった。jan and naomiっていう音を自分の生活の中で、臨機応変にそれぞれのツールとして使ってもらえたら嬉しいです。みんなの中でどんな役割になってるのか、どの曲がどうやって、その人の潜在意識に訴えかけているんだろうと想像するだけでワクワクします。

彼氏彼女だったらうまくいかないけどバンドだったらうまくいく

——今回はアルバム意外にも、ふたりがお互いをどう見ているのかも聞きたくて。

Jan : 出会ってすぐの頃の方が、悪い意味でNaomiさんをわかってる気がしてたんです。だけど、だんだん良い意味で(Naomiさんを)客観的に見れなくなってきた。無意識でNaomiさんに自分が入っちゃってるときもあるから、わりと自分のような気もしちゃう。それゆえになにを考えているのか分からないことがあります…… すいません、伝わりますかね?

——まるで自分の分身のような。

Jan : うん。近くなればなるほど、なんのレイヤーもない間柄になってきてる。親族って割とそうじゃないですか、そう言った感じです。不思議な体験だなぁっていう(笑)。

——家族は自分を分け合っているというか。自分だけが知っている僕と、僕のことを知ってる家族を合わせた時に初めて自分という存在が100%になる。

Jan : そうそう。喋る時にここまで何も考えないのも珍しい。自分でふと我に帰る時があるんです。

——Naomiさんに対して、そこまで特別な思いが芽生えたのはどうしてでしょう?

Jan : 一緒に濃密な時間を過ごしているのもそうだし、かといって俺らはバンドっていうバンドでもないから。個々があってひとつの生命体になっている意識でやっているからかもしれないです。

——NaomiさんからみたJanさんはどんな方でしょう。

Naomi : 青空だったら普通は青く塗るけど、ヤンは黄色で塗るみたいなタイプの人なんです。だから僕にはない発想があるから、彼氏彼女だったらうまくいかないけどバンドだったらうまくいく、そんな感じ(笑)。

——「自分にない発想」を持っていることは、元々わかってたんですか?

Naomi : いや、分からなかったです。むしろ似てると思ってたんですよ。基本的な考え方は似てるんですけど、「そこをそうするんだ!?」みたいな発想も多い。僕もJanのことを2割しか知らない状態でjan and naomiを始めたんだなって。日々、Janから無限の可能性を感じられるのは楽しいですね。

Jan : お互いに日々を変えていってるんです。Naomiさんが俺の性格を変えていってる、と言ってもおかしくないかもしれない。Naomiさんの場合はわからないけど…… 筋の通った強い男だから(笑)。

Naomi : いやいや(笑)。

——ありがとうございます。ちなみに今作はメジャーからリリースされるということで。

Naomi : レーベルの方からお話をいただいた時、僕らはちょうどレコーディングをしている頃で。

——僕としては「え! jan and naomiが〈avex〉!?」って驚きました。

Jan : アハハハハ、いままではインディペンデントところにふたりの美意識があったところもあるし、宣伝するにしても音楽じゃない分野の方にサポートしてもらってて。やりたいことはひととおりできたので、次はオーソドックスな手法を使いつつ今までのやり方も継続していきたいです。

——今後の活動についてはなにか予定は決まってますか?

Jan : 前作は教会でリリースライヴをやったんですけど。

——品川(キリスト品川教会グローリア・チャペル)ですよね。

Jan : そうそう。そんな感じで新しいアイデアを模索していく。それがいまの課題かな。

Naomi : アルバムのリリース・ライヴをやって、秋ぐらいには細かくいろんな場所でライヴを周りたい。とにかく行ける限り、特に僕らのことを知らない人の前で歌えたらと思いますね。

【先行フル視聴実施中】4月11日(水)21時〜4月14日(土) 21時まで!

レーベル cutting edge  発売日 2018/04/18

※ 曲名をクリックすると試聴できます。


【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 2,000円(税込)
【配信ページ】本配信開始は4月18日(水)0時より
https://ototoy.jp/_/default/p/100734

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INO hidefumi + jan and naomi / Crescente Shades(5.6MHz dsd or 24bit/48kHz)

2015年3月には『サウンド&レコーディング・マガジン』の名物企画Premium Studio Liveでレコーディングされた、INO hidefumiとのコラボレーション。極上のキーボードとふたりのハーモニーが幽玄に空気に溶けてゆく。

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jan and naomiの原点にして、彼らの名を知らしめた作品。7インチでリリースされ、いまでは貴重な作品となっている。OTOTOYではハイレゾにて配信中。

SILENT POETS / dawn

1990年代のトリップ・ホップ〜ダウンテンポを象徴するサウンドを表現していたサイレン・ポエツ。その幽玄かつ優美なサウンド、チルアウトなモードも含めて、jan and naomiのその音楽性と共通するものがある。

LIVE SCHEDULE

Fog
2018年4月27日(金)
原宿VACANT
OPEN 18:00
出演 : jan and naomi, Boys Age, Yusuke Kobayashi(THE NOVEMBERS / Pale im Pelz)
Adv/3,800yen+1d / Door/4,300yen+1d
https://www.vacant.vc/

【その他、詳しいライヴ情報はこちら】
http://janandnaomi.tumblr.com/Schedule

PROFILE

jan and naomi

Jan Urila Sas とNaomiによるデュオ。2012年、渋谷百軒店で各々がソロで活動しているときに出会う。2014年2月、1st シングル「A Portrait of the Artis as a Young Man/time」を〈Hot Buttered Record〉より7inchレコードで500枚限定リリース。10月に1st EP「jan,naomi are」を発表し、2015年3月には『サウンド&レコーディング・マガジン』のPremium Studio Live Vol.9「Crescente Shades」INO hidefumi+jan and naomiを配信リリース。2016年6月、2nd EP「Leeloo and Alexandra」を携え全国ツアー敢行。7月、〈フジロックフェスティバル2016〉に出演。2017 年は、8月にロシア・ウラジオストック〈V-ROXフェスティヴァル〉、9月に第25回サン セットライブに出演。さらにアートやファッションとも親和性の高い彼らは、6月にMaison MIHARA YASUHIROの2018/SS ロンドン・コレクションでのライヴや、映画『Amy said』(村本大志監督・2017年9月30日公開)の映画音楽とエンディングテーマ「Black Milk」を担当するなど活躍の場をひろげている。2018年4月18日に待望のニュー・アルバムが〈カッティングエッジ〉からリリースされる。「狂気的に静かな音楽」という新たなミュージック・スタイルを確立し、儚く切ないメロディーセンスでリスナーを虜にしている。

【公式ページはこちら】
http://janandnaomi.tumblr.com/

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