青春に別れを告げた峯田和伸が歌う「恋とロック」とは? 銀杏BOYZの3ヶ月連続リリースを読み解く!

日本武道館での公演を目前に控えたバンド活動はもちろん、連続テレビ小説「ひよっこ」への出演などで、お茶の間の幅広い世代にもその存在感を示した銀杏BOYZ・峯田和伸。そんな銀杏BOYZが「恋とロック」をテーマとして3ヶ月連続で「エンジェルベイビー」「骨」「恋は永遠」というシングルをリリースした。今回の3ヶ月連続リリース第1弾の「エンジェルベイビー」で〈ロックンロールは世界を変えて〉と叫んだ銀杏BOYZ、そして峯田和伸は、きっとこれからもぼくらの世界を変え続けてくれるはず! あなたの世界を変えるかもしれない3作品を、「岡村詩野音楽ライター講座」講座生によるクロス・レヴューとともにお届けします。

3ヶ月連続リリース、3部作配信中

レーベル 初恋妄℃学園  発売日 2017/07/26

※ 曲名をクリックすると試聴できます。


レーベル 初恋妄℃学園  発売日 2017/08/30

01. 02. 円光

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レーベル 初恋妄℃学園  発売日 2017/09/27

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【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC

【配信価格】
それぞれ 単曲 200円 / まとめ購入 400円

REVIEW : 銀杏BOYZ「エンジェルベイビー」「骨」「恋は永遠」

峯田和伸の、変わらないピュアネス(額田大志)

ノイジーなバンド・サウンドの上で荒々しく恋愛を歌い続ける。銀杏BOYZは2005年のデビュー作からそのスタンスを貫いてきた。しかし立て続けにリリースされたシングル3部作は、妙に落ち着いた印象を受ける。

2013年、銀杏BOYZから4人中3人のメンバーの脱退が発表された。その是非はさておき、プレイヤーが変化したことでノイジーなサウンドは影を潜め、本3部作はしっかりと歌を聴かせる作りになっている。耳にも優しい。さらにヴォーカルの峯田和伸の歌い方は荒々しさを抑え、とても粘っこい。一見、バンドは大きな転換を向かえたように感じる。

だが聴き込むにつれて、それは稀有な心配だったとわかる。よく歌詞を覗いてみて欲しい。そう、彼らは一貫して「青年期のもどかしい恋愛」を歌っているのだ。吉田拓郎がフォークで反体制を唱えず日常の景色を歌い続け、ジョン・レノンがソロ活動で平和を歌に乗せ続けたように、彼らのピュアネスは変わらない。きっと、変わってきたのは音楽を取り巻く環境と、私たちリスナーだろう。

銀杏BOYZの中心人物である峯田は、今年で40歳を迎える。変わる良さと変わらない良さ、その両端を感じさせる3部作であった。(Text by 額田大志)

銀杏BOYZを巡る旅(赤阪正敏)

峯田和伸の生を辿る旅だ。10代の頃にロックと友達になった青年が、恋愛し、傷つき、セックスし、大人になってゆく。今回の3部作では輪廻転成するように6人の峯田がそれぞれの生を生きている。彼を構成してきた音楽を纏いながら。

「エンジェルベイビー」でロックと出会った青年は希望を抱き、「二回戦」ではセックスを覚え、人を愛することの苦しさを知る。「骨」では女性として自分の性的欲求を「きもい」と認識しながらも相手を求め、「円光」では好きな女性に対してのロマンティックな気持ちと、彼女が援助交際をしている事実とが対比される。「恋は永遠」では自分がロックと離れて大人になってゆく予感を、セックスの匂いなく歌い、クリープハイプのカバーである「二十九、三十」ではもはや恋愛についてでもなく、ひたすらに自分のことを吐露する。

銀杏BOYZ=峯田和伸の生を辿る旅は、僕にとっての性と向き合うことでもあった。性行為を連想させる歌詞からは、峯田の個人的な懊悩を感じる。それらの歌詞がロック・ポップスのイディオムがちりばめられたキャッチーな音世界とひとつになることで、多くの人が持つ普遍的な問題意識にまで昇華されている。峯田和伸の生を辿る旅は、僕たちの生を辿る旅でもあるのだ。(Text by 赤阪正敏)

視界が開ける期待と希望の3作品(大友晶代)

恋とロック。今回の3作どの表題曲にも、そのテーマは明らかだ。前作から一転、霧が晴れたかのように前向きで明るい印象の表題曲が揃っている。武道館公演に向けてこれから、というバンドのモードが伝わってくるようだ。

冒頭の轟音から、これぞ銀杏といったキャッチーなメロディに乗せて〈ロックンロールは世界を変えて〉と高らかに歌う「エンジェルベイビー」。〈きもいね〉と自嘲しながらも、恋愛の浮かれた情景と多幸感とを甘く描いた「骨」。「恋は永遠」では、グループサウンズを思わせる耳馴染みの良い音像が、まさに恋とロックへの賛歌のように鳴り響く。今の銀杏が〈恋は永遠〉と言い切る清々しさと、まるで夢のような切なさを感じる楽曲だ。カップリングのセルフ・カヴァー「二回戦」、「円光」も、原曲からのタイトルや歌詞の変更も相まって、往年のファンははっとさせられるだろう。

各曲のビートルズにまつわる歌詞は、言わずもがな峯田の朝ドラでの活躍を連想させる。順風満帆な俳優業が、音楽活動にも相乗効果をもたらしている表れのように思う。いまの銀杏BOYZが相変わらず、しかし新しく、あからさまに恋とロックを謳うことに、期待と希望を感じる3部作。(Text by 大友晶代)

反復される青春時代の強列な感情(高橋利明)

銀杏BOYZが、2017年の夏に3枚のシングルを出した。今年はベスト版を出し、峯田はNHKの朝ドラにも出演し、10月には武道館ライヴを控えている、その期間に出たシングル3枚。MVも含めてどれも最高の出来だ。

銀杏BOYZの活動は不思議だ。ノイジーな音質のライブアルバムを出したり、シングル集をカセットテープで出したり、インディーズ・バンドならではの身軽さで「誰得」な実験を行うことも多いが、今回のシングル3枚はファンへの入り口にもってこいなポップ・チューン。ファンは、銀杏が銀杏らしさを繰り出してて思わず「たまんね。」とつぶやくだろう。

銀杏BOYZを味わうためのキーワードに「青春」「恋」「世界」などがある。10年前に彼らは「僕たちは世界を変えることはできない」と歌った。10年が経ち、世界は変わり、僕たちも変わった。だけど心の中にはいつだって、世界と自分を埋める事が出来ず、煩悶している“青春時代の僕”たちがいる。

ルー・リードは「ワイルドサイドを歩け」でイリーガルな世界の豊かさを歌った。峯田は3枚のシングルで青春時代の強列な感情を歌い続ける。その反復によって僕たちに、豊かな気持ちを起こさせるのだ。(Text by 高橋利明)

過去を振り返る優しい眼差し(高久大輝)

恋とロックンロール。それは銀杏BOYZがいままで刺々しく、生々しく、ときにやさぐれたように描いてきたもので、今回世に送り出した三部作の軸となるものだ。このどうしようもなくストレートなテーマで描かれた物語は銀杏BOYZ史上、最も優しさに満ちたものだった。

悲哀に満ちた叫びのように聴こえた、ロックの光と影を軸として描かれた前回の三部作。それを経て鳴らされた「エンジェルベイビー」はボロボロな青春時代を包み込むように、優しくさよならを告げる歌だった。二部目となる「骨」は安藤裕子へ提供されていたもののバンド・アレンジ。両者の歌の持つ響きの違いで楽曲は別の趣きを持ち、ヴォーカル・峯田和伸の歌声の持つ魅力を再認識させられる。そして最後を飾る曲は「恋は永遠」。このなんともニクいタイトルからもわかるように、銀杏BOYZのこれまでの歩みが滲む1曲となっており、なにより過去を振り返るような優しい眼差しは銀杏BOYZの“いま”を映し出している。(Text by 高久大輝)

配信中の過去作もチェック!

過去の特集ページはこちら

>>> 銀杏BOYZ『ピンクローター』&GOING STEADY作品一挙販売開始レヴュー
>>> 村井守(銀杏ボーイズ)×ECD対談 インタビュー
>>> 銀杏BOYZ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』レヴュー

LIVE SCHEDULE

初の武道館公演!!!
〈日本の銀杏好きの集まり〉 SOLD OUT
2017年10月13日(金)@日本武道館
時間 : OPEN 17:30 / START 18:30

〈サンボマスター『今年は何かとはっちゃけたい! ~2017全国ツアー~』〉
2017年11月11日(土)@大阪・なんばHatch
出演 : サンボマスター / 銀杏BOYZ

〈F.A.D YOKOHAMA presents THE SUN ALSO RISES vol.44〉
2017年11月24日(金)@横浜 F.A.D YOKOHAMA
出演 : 銀杏BOYZ(弾語り) / 五味岳久 (LOSTAGE)

その他ライヴ情報はこちらから
http://www.hatsukoi.biz/live.html

PROFILE

銀杏BOYZ

2003年1月、GOING STEADYを解散後ボーカルの峯田和伸が銀杏BOYZを結成。2013年11月、安孫子真哉、チン中村がバンドを脱退。同年12月、村井守がバンド脱退を発表。現在は峯田和伸1人で活動を行なっている。2017年までにオリジナル・アルバム3枚とライヴ・リミックス・アルバム1枚を発売。2017年10月13日にバンド初の日本武道館公演〈日本の銀杏好きの集まり〉が決定。それにむけて7月に「エンジェルベイビー」、8月に「骨」、9月に「恋は永遠」の3作品のシングルを3ヶ月連続で発売。なお、峯田はバンド活動の傍ら、映画や舞台に出演するなど活動の幅を広げており、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』にも出演。

>>> 銀杏BOYZ 公式HP

『岡村詩野音楽ライター講座 2017年10月期』講座生募集中!

音楽評論家として活躍する岡村詩野のもと、音楽への造詣を深め「表現」の方法を学ぶ場、それが「岡村詩野音楽ライター講座」です。ここにはプロのライターを目指す人から、ライティングの経験はないけれど音楽が好きで、表現の幅を広げたい! という人まで幅広いバックグラウンドを持った参加者が集い、学び合っています。

10月期の共通テーマは「Year in Music 2017」。
2017年にリリースされた作品の中からベスト・ディスクを選出し、原稿を執筆していきます。講師である岡村詩野による添削・指導によりライティングの力を高めるとともに、その作品の歴史的背景(縦のつながり)、また現在のシーンにおいてどういった立ち位置(横のつながり)にその作品があるのかを考察し、作品の理解を深めていきます。

ライティング経験者はもちろん、初心者の方も大歓迎です! 「音楽ライターになりたい」「好きなアーティストを素敵な文章で人に伝えたい」「自分が聴いている音楽に対する造詣を深めたい!」…… 動機は何でも構いません! この機会にあなたも、メディアやアーティストから信頼される音楽ライターを目指す第一歩を踏み出してみませんか?

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