2017/08/30 00:00

世界中を旅するサイケデリア──Tempalayが詰め込んだ音楽のサラダボウル『from JAPAN 2』

キャリア初となるワンマンライヴから〈FUJI ROCK FESTIVAL’15&17〉の出演まで果たし、勢いが止まらないTempalay。最近ではそのラフでヒッピーのようなビジュアルからGAPともコラボレーションし、ファッション界からも熱視線を浴びている。そんな音楽シーンで異端児的存在ともいえるTempalayが、この度2ndアルバム『from JAPAN 2』をリリース。いままで同様、異国情緒漂うソフト・サイケが軸になっているアルバムではあるが、本作ではいままでよりその軸の太さや幅、種類が豊富になった印象がある。常に海外に目を向けてきた彼らがワールド・ミュージックを独自に焙煎し、サイケデリアとブレンドさせ、ロックとして抽出するのは、当然の経緯だったのだろう。そんな世界中の常夏を濃密な1枚に凝縮させたTempalayの『from JAPAN 2』。OTOTOYではハイレゾ配信のスタートとともにレヴューをお届けする。

異国情緒漂う多国籍なソフト・サイケ・アルバムをハイレゾ配信!

Tempalay / from JAPAN 2

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 324円(税込) / アルバム 2,700円(税込)

【収録曲】
01. TIME MACHINE
02. 新世代
03. かいじゅうたちの島
04. 革命前夜
05. 夏の誘惑
06. my name is GREENMAN
07. ZOMBIE-SONG feat. REATMO
08. made in Brazil
09. インスタントハワイ
10. 深海より
11. San Francisco
12. 革命
13. それじゃまた

Tempalay/ 革命前夜
Tempalay/ 革命前夜

【REVIEW】 Tempalay 『from JAPAN 2』

東京で酩酊し、アビー・ロードを酔歩。カリブ海を漂流し、リオのカーニバル。サンフランシスコからハワイを思い出して、東京で目を覚ます。

Tempalayの『from JAPAN 2』をごくごく簡単に言語化するとこんな感じだろうか。東京のライヴハウスから異国へトリップしたような甘く脱力感のあるソフト・サイケ。 これまでもその異国情緒ある音楽性から、他のバンドと括られることが少なかったTempalayだが、本作ではその音楽に、より多国籍性が加わり、さながら音楽のサラダボウルとなっている。

Tempalay / かいじゅうたちの島 (Short Ver.)「from JAPAN 2」CM
Tempalay / かいじゅうたちの島 (Short Ver.)「from JAPAN 2」CM

以前からTempalayは日本の音楽と海外の音楽を比較し、日本にいる自分たちに葛藤や諦念を抱きながら、皮肉を交えつつ向き合ってきた。前作の2nd EP『5曲』では全5曲ある楽曲のタイトルほぼすべてにアメリカの地名を堂々とネーミング。〈SXSW〉を経て、刺激的なアメリカへの都市の情景をモチーフに創られた前作EPから本作にはM7「ZOMBIE-SONG feat. REATMO」(この楽曲もカリフォルニア州サンタモニカがモチーフ)、M11「San Francisco」の2曲が収録されている。さらに本作のタイトルが『from JAPAN 2』と1stアルバム『from JAPAN』からの地続きとなっていることも、対海外という哲学がまだ続いている表れであるだろう。

そんな海外志向だったTempalayだが、本作ではそのUSソフト・サイケ成分のほかにUKやラテン、そしてトロピカルなハワイアン・クラシックの成分まで配合。それまでの彼らの理想郷だったUnknown Mortal OrchestraをルーツにしたUSサイケデリアに、UKロックからワールド・ミュージック的な成分も加わった。ザ・ビートルズ直系のストレートなUKロックを鳴らすM3「かいじゅうたちの島」、メロウなグルーヴが心地よいM4「革命前夜」。初期から存在しつつもいままで収録されていなかった、スティール・パンとサンバ笛がカーニバルを想起させるM8「made in Brazil」、そしてスティール・ギターがトロピカルなムードを演出するM9「インスタントハワイ」。かと思えば、キューバ革命を思わせるライオット感で切迫したイントロが特徴的なM12「革命」。フロム・ジャパンから、どこへでも行ける多国籍性。Tempalayが抱いていた海外への憧憬は、収まることを知らないどころか、かえって広がりを見せてしまった。

Tempalayの『from JAPAN 2』。たしかに彼らには日本は小さすぎる。(Text by 高橋秀実)

Tempalayの過去作品はこちら

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LIVE SCHEDULE

EVENT SCHEDULE
〈Tempalay インストアイベント ライヴ&サイン会〉
2017年09月23日(土・祝)@タワーレコード新宿店7Fイベントスペース

タワーレコード新宿店でのイベントの詳細はこちら

TOUR SCHEDULE
〈Tempalay『from JAPAN 2』リリース記念ワンマン公演 〜ウィアーフロムジャパン〜〉
2017年10月13日(金)@東京 渋谷 WWW X
2017年10月20日(金)@大阪 南堀江 SOCORE FACTORY

ワンマン公演の詳細はこちら

PROFILE

結成から僅か1年にして〈FUJI ROCK FESTIVAL ’15〉「ROOKIE A GO-GO」に出演。西海岸やカナダの海外インディーシーンの影響を感じさせる独特のサウンドにどこか懐かしさを感じさせるメロディーと極彩のサイケデリック・ポップに中毒者が続出している東京を中心に活動中の、小原 綾斗(オハラ・リョート/ Gt&Vo)、竹内 祐也(タケウチ・ユウヤ / Ba)、藤本 夏樹(フジモト・ナツキ / Dr)、ライヴのサポート・メンバーのAAAMYYY (エイミー / Cho&Syn)を加えた4人組バンド。最新アルバム『from JAPAN 2』では、レコーディング&ミックスエンジニアにceroやSuchmosの作品等を手掛ける奥田泰次氏、アートワークはニューヨークのCITY MAGAZINEにおいて「世界のファッショングラフィックデザイナー100」のトップに選ばれたアートディレクターYoshirottenが担当。

Tempalayの公式HPはこちら
TempalayのTwitterはこちら

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[レヴュー] Tempalay

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