フラストレーションの爆発、その原点とは──変わる変わる変わる。両A面EPをリリース

濱野祐輝(Vo. / Gt.)と青栁昇太郎(Dr. / cho.)によるロック・バンド“変わる変わる変わる。”が2017年5月1日に両A面EP『A.O.S / 血漿』をリリース。今作は彼らにとって初の流通作品となる。もちろんOTOTOYでも配信中です。怒りや憤りなどの感情を露わにする濱野祐輝の歌を中心に据えながら、その歌に負けない攻撃的なサウンド。フラストレーションの爆発とでも言える彼らの楽曲は、どのように完成したのだろう。その原点に迫るインタヴューをぜひお楽しみください。

初の流通作品を配信中!

変わる変わる変わる。 / A.O.S / 血漿

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 324円(税込) / アルバム 864円(税込)

【収録曲】
1. A.O.S
2. 血漿
3. 血漿 remix


変わる変わる変わる。/A.O.S

INTERVIEW : 変わる変わる変わる。

日本のパンク全盛期であった1990年代や、青春パンクブームが起こった2000年代始めとは違って、今は多くのバンドが社会と協調した歌を歌っている。そんな中、変わる変わる変わる。は、過剰なまでの怒りや憤りといったフラストレーションを歌に込めた類い稀なバンドである。

今回の取材では、Vo.Gt.濱野祐輝とDr.choの青栁昇太郎の生い立ちを振り返りつつ、彼らが鳴らすフラストレーションがどこから湧き出る感情なのかを探っていった。彼らがインタビューを答えるのは今回が初ということで、貴重なインタヴューとなるだろう。

インタヴュー&文 : 真貝聡
写真 : 大橋祐希

曲はやたら真面目なんだけど、本人は不真面目なんです

左から濱野祐輝(Vo. / Gt.)、青栁昇太郎(Dr. / cho.)

──調べたら、インタビューを受けるのは今回が初なんですよね?

濱野祐輝(以下、濱野) : はい、初めてですね。超緊張してます。

──にも関わらず、青栁さんは15分遅刻してくるっていう(笑)。

青栁昇太郎(以下、青栁):東京の地理に疎くてですね。駅からタクシーで来たんですけど、実は徒歩の方が早かったんじゃないかと…… っていうか、申し訳ございませんでした!

濱野 : 道のせいにするんだ。

青栁 : 風も強くてねー…… って言いつつ、本当は僕のスケジュール管理の甘さで遅刻しました。すいませんでした!

──遅刻の話はこれで終わりにして……。バンドのことを知ろうと調べていたら、某サイトで濱野さんのアンケートが見つかったんですよ。

濱野 : どんなアンケートでしたっけ?

──バンドを始めたきっかけは「お母さんに言われたから」とか、自分の曲で気に入ってる歌詞は「見つめ合うと素直にお喋り出来ない」とか、テキトー過ぎるアンケートでした(笑)。

濱野 : アハハ! なんだろう、酔っ払ってたんですかね。

青栁 : こんなこと書いちゃダメだろ!

──その一方、青栁さんはツイッターで「金無さすぎて休憩室で般若心経唱えながら白目剥いてドッグフード食ってた」って呟いてましたけど、嘘ですよね?

青栁 : あ…すいません、嘘です。白目むいて白米を食べてたら周りから心配されたのは事実なんですけど、笑いが欲しくて話を盛りました。基本的に嘘しかついてないですね。

濱野 : 曲はやたら真面目なんだけど、本人は不真面目なんですよね。

──そもそも、2人がバンドを組むことになった経緯を教えてください。

青栁 : もともと、変わる変わる変わる。を組む前から、濱野くんとは一緒にバンドを組んでいたんですよ。当時YONCEがいたOLD JOEとか、HOWL BE QUIETと対バンしていたんですけど、みんなが上のステージへ行ったのに対して、僕らは下っていって。最終的には自然解散しました。それから、しばらくバンドをやらなかったんですよ。濱野くんはネットゲームをずっとやってて、僕はサラリーマンをやっててみたいな。

濱野 : ある日、Blueglueってバンドのメンバーに「もう、バンドはやらないの?」って言われたのをきっかけに、改めてバンドを組もうって思いました。それで、「もう1度、俺とバンドを組もう」って青栁くんを誘ったのが始まりですね。元々はスリーピース・バンドでスタートして、一時は4人になった時期もあったんですけど、ベースが抜けて、ギターが抜けて、いろいろと紆余曲折があっていまの2人になりました。

濱野祐輝(Vo. / Gt.)

──YONCEさんとは、Suchmos結成前からの仲なんですね。

濱野 : そうです。お互いの企画に出たり、出てもらったりしてって感じですね。

青栁 : 最近は会ってないよね。

濱野 : 彼は売れに売れてるので、今は恐れ多くて誘えないっすね(笑)。

青栁 : 20歳の頃が1番仲良かったのかな。6年前、僕が高校生限定の大きな大会に出場したんですよ。その決勝戦でOLD JOEとか、いまのHOWL BE QUIETのメンバーもそれぞれ別のバンドで出ていて。そこで会ったのが最初でしたね。

「やることねーな」と思って楽器を始めた

──2人はどんなカルチャーを通ってきたんですか?

濱野 : ネトゲー(ネットゲーム)に人生を費やしてきたので、語れるほどカルチャーを通ってきてないんですよね。

──費やしてきたって、どのくらい?

濱野 : 仮眠をする以外の時間は、ほとんどゲームをしてました。仮眠は眠くなったから寝るわけじゃなくて、レアモンスターが出現しない時間帯を狙って体を休めて、起きたらまたネットの世界へ行って…みたいな。もはや、ネットの世界が現実でリアルの世界がバーチャルでした。

──濱野さんは2年間引きこもりだったんですよね。それっていつ頃?

濱野 : それは中学生の頃ですね。ネトゲーにハマったのも、ちょうどその時期です。中学2年生の頃に引っ越したのがきっかけで、友達がいなくなって「もう、学校はいいや」って。

──それが原因ですか?

濱野 : ん~それだけじゃなくて、まあ色々あったんですよ。友達がいなくなったこともあるけど、他には不良みたいな子に殴られたのもあって、学校へ行くのが嫌になりましたね。

青栁昇太郎(Dr. / cho.)

──その頃はまだ音楽をやってない?

濱野 : 音楽を始めたのは、むしろそれがきっかけですね。学校に行かなくなって、ネトゲーを1日20時間のペースで半年ぐらいやっていたら、その世界でテッペンを取れちゃったんですよ。それで「やることねーな」と思って楽器を始めたって感じですね。

──楽器は家にあったんですか?

濱野 : いや、買いました。

──いろんな選択肢があるなかで、なぜ音楽を選んだんですか?

濱野 : なんでだろう…手に職をつけなきゃって思ったんですよね。もしも、ギターでメシを食えるんだったら、「超ラクじゃん!」っていう安易な考えで始めました。いま考えたら完全になめてましたね。

──どのタイミングで、引きこもり生活から脱出したんですか?

濱野 : 高校生になったら、引きこもりは辞めました。高校はみんな別々の学区から集まるし、何よりも1からのスタートだったので。16歳で初めてバンドを組んで、そっから音楽にのめり込んで行きました。

──どんな音楽に影響を受けました?

濱野 : 中学生の引きこもっていた時期に、2ちゃんねるをよく見てたんですよ。で、「引きこもりにオススメのバンド」みたいなスレッドがあって、その中にSyrup16gを見つけて。初めて聴いた時、「こんなことを歌っていいのか」と思って衝撃を受けました。あと、ぶっちゃけ演奏も歌も下手だと思ったんですよ。それで、「コレだったら、俺も出来るな」と思って曲を書きはじめました。

──なんでSyrup16gに惹かれたんですか?

濱野 : 共感したんでしょうね。「俺と似た様なことを考えている人がいるぞ」みたいな。五十嵐(隆)さんが支持されてるなら、俺も通用しそうだなって。あの、悪く聞こえそうですけど凄いリスペクトを込めて言ってます。

──青栁さんが通ってきたカルチャーも教えてください。

青栁 : 音楽はビートルズ、エアロスミス、B’zとか王道系のもの。漫画は窪之内英策、吉田戦車、つげ義のような青年誌を小学校低学年から読んでました。

──その年頃にしては、かなり渋いですね。

青栁 : 多分、おませさんなんですよね。あとは空手、水泳、サッカー、野球って色々と小さい頃から習い事もさせてもらいました。

──楽器を始めたのは?

青栁 : 濱野くんと被るんですけど、僕は小学校3年生で不登校になったんですよ。集団行動が苦手だったというのもあって。僕の住んでいた地域はかなり荒れていて、学級崩壊が2回起きたんですよ。あまりの酷さに、先生が転勤しちゃうほど。

──えっ! そこまで?

青栁 : いじめっ子に砂を食べさせたり、首を絞めたり、頭をつかんでコンクリートにぶつけたり。かなりゲットーな街で、僕も標的にされやすかったんですよね。そんなことがあったから、保健室登校をするようになって、最終的には児童相談所へ連れて行かれるっていうエリート・コースに進みました。そこは、ゲームや漫画とか色々と持ち込めたんですね。その中にドラムマニアっていうリズムゲームがあって、やり込んでいく内に「この時はこう叩くのか」ってドラムのセオリーを覚えていったんです。

その後、高校に進学して周りの友達たちがバンドを組み始めたんです。それで、あるグループの子が「青栁はドラム出来るんじゃないか」って話になって、初めてコピーバンドを組みました。

──2人は登校拒否だったという共通点があるんですね。

濱野 : たまたま、そうっすね。

青栁 : うん。本当にたまたま。でも、バンドの音楽性にとっては大きい要因かもしれないです。

負の気持ちが強くなったときに曲を作る

──楽曲についてもお聞きします。変わる変わる変わる。の音楽は異常なほど、世間に対してのフラストレーションを抱えているように感じました。

濱野 : 完全にそうですね。

──曲を作る上で原動力になっていることは?

濱野 : 中学生で引きこもりになったのも関係してますけど、5歳の頃に親が離婚して、おばあちゃんに育てらてたんですよ。それで、おばあちゃんから「お前の親はどうしようもないヤツだ」って毎日のように言われてて。俺も捨てられたって気持ちが芽生えて…… そんなことがあったから、人よりも負の感情を持ちやすいんですよね。だから、曲を作る時もそういう負の気持ちが強くなったときに曲を作ることが多くて。それが原動力になっていると思います。

──今作も負の気持ちが楽曲に込められているんですか?

濱野 : 「血漿」はそうですね。昔、病んでいる女の子に迷惑をかけられたことがあって、それで「なにくそ!」と思って書きました。「A.O.S」は青栁くんを意識した曲になっています。

青栁 : こいつは汚いんですよ。僕らは新曲が出来たらDropboxで共有してるんですけど、ある日「A.O.S」の歌詞だけ挙がっていたので、読んでみたら「これは絶対に俺のことを書いている」と思って。速攻で濱野くんに電話しました。

──青栁さんは、どうして自分のことだと思ったんですか?

青栁 : 言葉選びとか流れで分かりました。そういえば、最初はタイトル違ったよね。

濱野 : 曲がミスチルっぽかったから、当初は「ミスチル」ってタイトルにしてた。

青栁 : それを読んで、「何がミスチルだよ!」って思いましたね。で、歌詞を読んだら俺のことを歌ってるしって。

──これからバンドが売れていく上で、どんな課題があると思いますか?

青栁 : ある程度、長く続けているにも関わらず、他のバンドよりも認知度が低いと思うんですよね。それは歌詞も含めて楽曲が内向的だから、当然なんですけど。

濱野 : 歌詞を日記と同じ感覚で書いているから、外に向ける気持ちが全然ないんですよね。だから、世間の人に共感されにくいのが問題かなって。もっと外向きに発信していきたいよね。

青栁 : 今作の「A.O.S」と「血漿」は2者間で成立してる歌詞なので、「今回も内向的じゃん」て思われるかもしれないですけど、サウンド面に関しては外に向けることを意識した作品になってます。

濱野 : 不特定多数の人に向けて書こうと思ったら、言葉が出てこないんですよね。やりたくないわけじゃないんですけど……。

青栁 : 好き嫌いがハッキリしてて、すごい頑固だからこそお互い不登校になったのかなって思うんです。納得できないと動けないのが、売れているバンドとの差かなって。でも、それしかやり方を知らないんですよね。バーンって売れるのが理想ですけど、それが厳しいなら長く続けていくことが大事かなって思ってます。一生好きなことしか出来ないなら腰を据えてやるしかないなって。

RECOMMEND

HOWL BE QUIET / サネカズラ

変わる変わる変わる。とも親交が深いHOWL BE QUIETのメジャー・3rdシングル『サネカズラ』。TVアニメ『DAYS』のオープニング曲を収録。

イロムク / チラシみたいな

2013年結成の下北系ロック・バンド、イロムク。彼らの2ndミニ・アルバム『チラシみたいな』。ギターロックの要素満載のアルバムです!

LIVE SCHEDULE

〈Dr.Comet Panda×STAR LOUNGE Presents“悶”〉
2017年5月24日(水)@スターラウンジ
出演 : Dr.Comet Panda / aQua lover / amali / 浮世絵パンダ / 大沢良太 / 坂本龍之佑

PROFILE

変わる変わる変わる。

2013年に前身バンドの解散後、Vo.Gt.濱野とDr.青栁を中心に結成。同年下北沢ガレージにて初ライヴ。その後、メンバー・チェンジを繰り返しオリジナル・メンバー2人にサポートを迎えた現体制に落ち着く。
Vo.Gt.濱野の歌詞、歌を中心に据えながら、楽曲のもつ力を引き上げる楽器隊の攻撃的なプレイヤビリティ、オーディエンスの喜怒哀楽を増幅させる捨て身のライブを武器にしつつ、現在までコンスタントに活動を続けている。
これまでライブ会場や通販で音源の販売を行っていたが、今作「A.O.S/血漿」は自主レーベル「KGK RECORDS」からの初の全国流通・OTOTOYでのDL販売となる。

アーティスト公式HPはこちら

この記事の筆者
ライター真貝聡

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