【REVIEW】リトル・バーリー、5作目のアルバムを日本先行リリース!

日本でも熱烈な支持を受けているイギリスの3人組ロック・バンド、リトル・バーリーが5作目のアルバム『DEATH EXPRESS』を日本先行でリリースです。モダン・ブルーズ、ファンク、ロックンロールなど作品ごとに様々なジャンルを取り入れ、変化し続ける彼らの待望の新作は極上ギター・ロック! 全20曲というヴォリューム満点な同作には日本限定のボーナス・トラック「Mind Mountain」も収録されています。0T0T0Yでは岡村詩野音楽ライター講座、受講生によるレヴューと共にお届けします!

Little Barrie / DEATH EXPRESS
【配信形態】
WAV / ALAC / FLAC / AAC、MP3

【価格】
アルバム 1,543円(税込) / 単曲 205円(税込)

【収録曲】
01. Rejection / 02. I.5.C.A. / 03. 'Copter / 04. Golden Age / 05. New Disease / 06. You Won't Stop Us / 07. Count To Ten / 08. Love Or Love / 09. (Nothing Will) Eliminate / 10. The Dodge / 11. Bill$ House / 12. Molotov Cop / 13. Vulture Swarm / 14. Produkt / 15. Compressed Fun / 16. Ultraviolet Blues / 17. Sonic Lodge / 18. Death Express / 19. Shoulders Up, Eyes Down / 20. Mind Mountain


全く予想ができないリトル・バーリーを再構築したアルバム

今作に対し、バーリー・カドガンが「同じ事は繰り返したくなかった、常に前進し続けたい(中略)」とコメントしている。確かに、アルバムを通してバンドが次のステップに昇華する為、試行錯誤した姿がアルバムを通して見えてくる。

例えば、禍々しい雰囲気の「Rejection」から、続けて始まる「1.5.C.A」というアプローチは手法として新しいわけではないが、リトル・バーリーでは初めてだ。その後、8曲目の「Love Or Love」までずっとダークな雰囲気が続く。ほとんどの曲がディレイとリバーヴ多めじゃないだろうか。これまでにもそういった曲があったが、こんなに続く事はなかった。どこか悪そうなサウンドと重々しく不思議な空気感が続く。対して1、2作目のアルバムにあったソリッドさは、弱くなったように感じる。

また、5作目のアルバムリリース時インタヴューでは「インスピレーションの1つは映画音楽なんだよ。いつか映画音楽を作ることができたらいいなと思っていて、でも映画がないから(笑)、だったら映像に合うような音楽を作ってみようと思った。」と語っていた。今作もアルバム全体で聞くと、なんとなく映画のサントラのように感じた。もしかすると彼らの中には何かしらの映像が浮かんでいるのかもしれない。特に、「Molotov Cop」のイントロは、何かのシーン、街の喧騒というか… 明確にはわからないが、意識して作っていると思う。

とにかく、これまでのサウンド・フォームを完全に崩し、もう一度「リトル・バーリー」を再構築した挑戦的なアルバムであることに違いない。これまでの試運転を経て今作からフルスロットルで走り出したい、そんな勢いを感じる。今作は初のバンドによるセルフ・プロデュースによってレコーディングされたという事も多いに関係あるだろう。今までのアルバムからは全く予想ができない展開が続く。

ただ、見方を変えれば実験的なアルバムにも見える。試行錯誤したものの、バンドとしてまだ定まっていないのかもしれない。今作を経て、どんな方向にバンドが進むのか。今後の彼らに期待が大きく膨らむ。(トム)


Little Barrie - I.5.C.A.

彼らのやりたい、鳴らしたい音楽が100パーセント詰まっている作品

先日行われた第59回グラミー賞の授賞式の発表に、私はいささかロックやロックバンドの存在感が世界規模で小さくなっているという事をやはり感じずにはいられなかった。根っからのロックリスナーである私にとって、寂しいし、つまらないものだったのである。そんなヒップ・ホップや女性シンガーの活躍が強く支持される現代で、リトル・バーリーが5作目のアルバム、『Death Express』をリリースした。イギリス出身の三人組のこのロック・バンドは本作で何を世の中に発信しているのか。

リトル・バーリーはメンバーがザ・ストーン・ローゼズやプライマル・スクリームの作品やライブに参加している事から分かるように、大御所の先輩アーティストから技術や功績といった実力が認められている。いわばお墨付きのロック・バンドという存在だ。そんな彼らが今回、バンド・キャリア初のセルフ・プロデュースで作り上げたのである。これはまさに彼らのやりたい、鳴らしたい音楽が100パーセント詰まっている事を意味している。彼ららしさが一番出ている作品といっても過言ではないのだ。しかも全20曲。100%を超えてマシマシの大ヴォリュームだ。これからはその彼ららしさの魅力を具体的な例を挙げて述べていく。

「Love Or Love」はハイテンポなドラムにまるでカーチェイスのようにギターやボーカル、ベースが競り合い絡む展開は迫力があってカッコいい。また「Compressed Fun」でのバーリー・カドガンが鳴らす、メリハリ効いた歪んだギター・リフは本当にシブいロックンロールである。これらのシンプルにバンド編成の音で鳴らす、浮遊感のあるエフェクトも含めた、いぶし銀なヴィンテージ・サウンド。その中にはサイケデリックさを帯びたガレージやモダン・ブルース、R&Bが融合した音楽がある。そしてダウナーというか、ダークな曲の雰囲気の中には確かな熱を感じさせる。これがリトル・バーリーのロックなのである。

まとめとして、最初の問いであるリトル・バーリーはこの作品で何を世の中に発信しているのかに戻る。その答えは非常にシンプルだ。時代の潮流に関係なく、自分の大好きなことを自由に存分にやるのが一番カッコいい。そんな当たり前のようで、かつ奥深いロックンロールの基本と、バンドという枠組みで生まれる音楽の素晴らしさ。この二つをリトル・バーリーは初のセルフ・プロデュース作品であり、先述した彼らのロックがてんこ盛りになった『Death Express』で示しているのである。(篠崎直人)

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Pixies / Head Carrier

1986 年にアメリカはボストンで結成され、 US グランジ/オルタナ・ムーブメントを牽引し、カート・コバーン(ニルヴァーナ)をはじめトム・ヨーク(レディオヘッド)、ボノ(U2)など様々なアーティストに影響を与えたピクシーズ。全12曲を収録した今作は、サイケデリア、不協和音、そしてサーフ・ロックが融合された作品となっている。

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賛美歌を意味する『ヒムズ』と名付けられた 今作は、新たな4人体制となったブロック・パーティーにとって初めてのアルバム。コンセプトはヴォーカルのケリーが幼い頃から尊敬してやまない作家ハニフ・クレイシのスピーチをロンドンで拝聴したことがもとになっている。

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PROFILE

リトル・バーリー

英ノッティンガムで結成。バーリー・ カドガン(Vo,G)、ルイス・ワートン (B)、ヴァージル・ハウ(Dr)の3人 組ロックバンド。05年に『ウィー・ア ー・リトル・バーリー』で鮮烈デビュ ーを飾り、日英で瞬く間にスターダム に駆け上がった。サマソニ'05では入 場規制となり、'06年ではビーチ&ア クア・ステージのトリを務めた。バー リーはプライマル・スクリームやモリッシーのバックギタリストとしても活 躍し、ポール・ウェラーやケミカル・ ブラザーズのレコーディングにも参加 するなど人気ギタリストとしての顔を 持つ。13年6月開催のHostess Club Weekenderで再来日しオーディエンス を熱狂させた。2017年春、5作目とな るニューアルバム『デス・エクスプレス』をリリースする。

リトル・バーリー Official HP

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