札幌の秘密兵器が全国へーーJake stone garage、深沼元昭プロデュースのセカンド・アルバムをリリース

札幌出身の3ピース・バンド、Jake stone garage。活動拠点を札幌から東京へ、レーベルも移籍した彼らが放つ3年半ぶりのアルバムがリリース。深沼元昭(PLAGUES、Mellowhead、GHEEE)がプロデュースしたこの作品とともに、環境も心境も一変し、新たに動き始めたバンドのこれからをワタナベサトシ(Vo&Gt)にインタヴュー。

Jake stone garage / Jake stone garage
【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV / AAC / MP3

【配信価格】
単曲 205円(税込) / まとめ購入 1,697円(税込)

【Track List】
01.Alice on edge / 02.惑星のリズム / 03.GOD LOVES YOU / 04.リビドー / 05.幻/ 06.badman / 07.陽炎の夜 / 08.雨にとける / 09.メロディア

INTERVIEW : Jake stone garage

北海道は札幌出身の3ピース・ロック・バンド、Jake stone garage(ジェイク・ストーン・ガレージ)がセルフ・タイトルのセカンド・フル・アルバム『Jake stone garage』を完成させた。ライヴ会場限定盤を除くと、約3年半ぶりのリリースとなる本作は、レーベルを深沼元昭(PLAGUES、Mellowhead、GHEEE)主宰のラバフロウ・レコーズに移籍し、彼のプロデュースの下で腰を据えて取り組んだ、メンバーも会心の1枚に仕上がっている。そして、今年の夏に彼らは活動拠点も東京に移した。地元札幌で長く活動し、USツアーや「RISING SUN ROCK FESTIVAL」などへの出演も経験してきたバンドが、今そう決断したのはなぜなのか? 心境の変化、現在の覚悟について、ワタナベサトシ(Vo&Gt)が胸中を明かしてくれた。時折、彼がフェイバリット / ルーツに挙げるミュージシャンの話題も交えながら。

インタビュー&文 : 田山雄士
撮影 : 松本理加

もっと成長したいし、もっと多くの人に聴いてもらいたい

——今回のリリースに際し、バンドは活動拠点を札幌から東京にして、レーベルもラバフロウ・レコーズに移籍されたわけですけど、この心機一転ってハタチくらいでメジャーを目指して上京するミュージシャンとはぜんぜん違う心持ちだと思うんですよ。Jake stone garageの場合、キャリアも積んできてるじゃないですか。

ワタナベサトシ(以下、ワタナベ) : そうですね。今までずっと地元で活動してて、いいライヴをやって、いい音源を作ってるつもりだったけど、正直思うほどは世の中に浸透していかなくて、悶々とする状況に陥ってたというか。「自分、このまま終わるのかなぁ」みたいな気分にもなってたんです。そんな中、深沼さんに相談させてもらって。

——それはいつですか?

ワタナベ : 今年に入ってからですね。僕はバンドとして1人のミュージシャンとしてもっと成長したいし、もっと多くの人に聴いてもらいたい。深沼さんとガッツリ組んで音を作りたい。話をしてるうちにどんどんそういう気持ちになってきたんです。だったら、実現するためにレーベルも場所も変えて、チャレンジすべきじゃないかと。深沼さんも「サトシくんが考えてるように、心機一転するのがいいと思うよ。本気でこいつら動き出したんだっていうのが周りにも伝わるし」って言ってくれました。

——メンバーにも話をして。

ワタナベ : はい。ドラムの(岩中)英明もベースの(西)司も、スッと納得してくれましたね。Jake以外のサポート・ワークも東京で増えてきてたので、「ぜんぜんその方がいいじゃん!」って感じで。

——ちなみに、自分の中でどこかうまくいってない感じというのは、どのへんからあったんですか?

ワタナベ : うーん。ここ1、2年くらいです。危機感なのか、歳を取っただけなのか、わからないですけど。僕に限らず、こういう仕事に限らず、いろんな人が抱いてるのかも。「俺はこのまま今の仕事を一生やっていくのか?」 みたいな自問自答って、それぞれの職業でたぶんみんなありますよね。自分はたまたまこの1、2年がそうだったんじゃないかな。悩んだり考えたりしたときは、やっぱり行動するのがいちばんだと思うんですよ。なので、メンバーと深沼さんと相談しつつ、行動に移すことにしました。

ワタナベサトシ

——その時期の気持ちが芽生えたきっかけって、何だと思います?

ワタナベ : 東京でのライヴが多くなったんですよ。去年あたりは毎月来てて、単純に知り合いも増えるじゃないですか。特に、キャリアの長いミュージシャンと接する機会がたくさんあったのが大きかったと思います。長くやってる人で札幌在住って、少ないんですよね。だいたい東京に出てて、札幌にも演奏しに来てくれるけど、年に1回くらいで。でも、こっち(東京)には20年、30年と活動してる人たちがいっぱいいて、純粋に刺激がすごくありました。深沼さんはもちろん、高野哲(ZIGZO、nil、THE JUNEJULYAUGUST 他)さん、うつみようこさん、SPARKS GO GOのドラムのたちばな哲也さんとかが身近に存在してる街なんですね。だから、そういう方たちの刺激をもっと受けてみたくなっていった。対バンもしたいし、ライヴも観たい、お話もしてみたいっていう。

——すごくピュアな衝動ですね。

ワタナベ : ですかね(笑)。この前もThe Birthdayの武道館公演を観に行きましたけど、なんかあの年代って、いい歳の取り方してる人が多いんですよ!

——僕も行きました、その武道館。

ワタナベ : あっ、本当ですか! よかったですよねぇ。たぶんファンはそれぞれ期待してると思うんですよ、いわゆるレジェンドたちに。もっとこうあってほしいとか、あの頃の曲を聴きたいとか。でも、本人には本人の考えがきっとあって、チバ(ユウスケ)さんがとてもハッピーな感じで最近やってるのもそうで。

——近頃のチバさんは、ステージでの嬉しそうな表情が印象的です。

ワタナベ : 愛情があふれてるんですよね。それが今のチバさんがやりたいことなんじゃないかな。浅井(健一)さんは変わらずいろいろと挑戦してて、歌詞がやっぱりすごい。怒髪天の増子(直純)さんも、ピロウズの(山中)さわおさんも楽しそうで、自分もああいうふうに歳を取っていきたいって思います。歳を取るってネガティヴなイメージあるけど、肉体はしょうがないにしても、精神や感覚はきっと研ぎ澄まされていったり、経験によって新しい発見があったりする。だって、小澤征爾さんの本を読んでても、80歳なのに書いてある内容はめちゃくちゃ瑞々しいんですよ!

——面白いですね。

ワタナベ : 僕は精神が成長すると思ってます。で、曲とかにも表われてくる。オーストリアの作曲家の人だったかな。「音楽は音ではなくて 観念である」って言ってたらしくて、突きつめた人の言葉だなぁと。音って振動じゃないですか。考えや気持ちもたぶん振動で、それが共鳴する。つまりは伝わるんですよね。いい歳の取り方をしてる人は精神がすごい。

そのときの気持ちに寄り添う曲が欲しいんですよね

——となると、今回のアルバムもそういった考えが反映された音になってきますよね。

ワタナベ : 出てますね。自分でも感じます。要はリリースできなかった時期があったり、ミュージシャンとしての終わりが脳裏をよぎったりした上で、それでも届けたいっていう思い。あと、メンバーが誰かのサポートをやるようになって、僕もソロを始めたことで、お互いの成長が自然と重なってきてて。

——ソロをやり始めたのは、自分をもっと磨きたいから?

ワタナベ : そうです。昔から「やってください!」ってよく誘われてたのに、当時はすべて断ってたんですよ。「今はバンドやりたいし、いいですいいです」って。でも、心境の変化というか、おかしなもんで(笑)。これも(高野)哲さんなんですが、ここ1、2年の打ち上げの席で「サトシ、ソロやりなよ! 1人で音楽に向き合う、1人でステージに立つ経験をすると絶対に成長するし、それが必ずバンドに活きるよ」って言ってくれて、もう1回考える機会をもらえました。ちょうどメンバーの外仕事が増えてきて、僕も何かやろうかなって思いかけてたときだったんで、タイミングもよかった。最近はライヴをガンガンやってますね。

——いろんな面で状況が好転してきてる気がしますね。新作が『Jake stone garage』とバンド名を冠してるのも頷けるし、どっしりとしながらファースト・アルバムみたいな突き抜けた音が鳴ってる印象を受けました。

ワタナベ : ありがとうございます。タイトルは深沼さんの提案なんです。そういうところもいっしょに練っていく感じでやりたいとお願いしてたので、僕が出す案にも「アルバムを表わすには不十分」「このワードだと、違うニュアンスで取られちゃうかもしれない」とかアドバイスしてくれて。「Jakeをまったく知らない人がバンド名とタイトルをパッと見るかもしれないでしょ? そのときにどういう印象を与えるかっていうのがすごく大事で、そこまで考えて付けるべきだと思うんだよね」みたいな話もしてもらって、最終的に心機一転の意味を込めたセルフ・タイトルになりました。1枚を通してのテーマを挙げるとすれば、今のJakeが持ってるものを出すってことだけですから。

——バンドの新しいモードというか、今だからこそできた曲ってあったりしますか?

ワタナベ : 「Alice on edge」ですかね。「on edge」はイライラしたっていう意味なんですよ。主人公の女性が現状に満足せず、もがきながら前へ進んでいく内容で、それがバンドの姿と重なります。日々生きてて、不満はないけど、満足もなくて。「このままでいいんだろうか?」と現状否定しつつ、「もっと何かやれないか?」と理想に向かうみたいな。大元は僕の気持ちから来てるんですよね。そこに曲が呼んだイメージ=架空のアリスの話を肉付けしてる感じ。


Alice on edge

——「幻」も今だからこその歌詞に聞こえました。終末観、無力感がありながらも温かさが沁みてくる、すごく好きな曲です。歌も他とは違うビブラートが効いてるし。

ワタナベ : ここ何年かで身近な人がけっこう亡くなってて、幻でもいいから会いたいなっていう思いをシンプルに表現しました。悲しいときには悲しい曲、楽しいときには楽しい曲を僕は聴きたいタイプで、そのときの気持ちに寄り添う曲が欲しいんですよね。「幻」も寄り添えるものにしたかった。まさに、いろんなことを経験した今の自分だから書けたんだと感じてます。

3人がやりたいことを人間臭くやってみて、納得できるのが最高

——そして、今作のトピックといえば、深沼さんとの踏み込んだ作業もあったわけですが、どんな気付きがありましたか?

ワタナベ : PLAGUESに始まり、自分でミックス・エンジニアもして、サポート・ギタリストも務めて、とにかくさまざまな形態で音楽をやってる方なので、立場をわかってくれるんです。「サトシくんからしたらそうだけど、全体で見たらこっちだよ」みたいに、視点がとにかく多角的で。「雨にとける」の当初のAメロで1音「そのメロディだと、バンドの音を入れて弾いたときにぶつかりすぎだと思う」って、不協和なところを指摘してくれました。実際に仕上がってみると、直したやつの方がいいんですよね。「幻」のミックスは柔らかめにするとか、トータルのバランスを考慮したり、一方で僕と同じマインドでも判断したり。曲数にしても、「今回は初めてのリスナーがスッと聴けて、もう1回聴きたいと思えるボリュームにした方がいい」と最初っからハッキリ言ってもらってたし。

——深沼さんらしさっていうのは、アルバムの端々にありますよね。「badman」のテンポ・チェンジとか、アウトロのギター・ソロの入り方とか。

ワタナベ : あのテンポ・チェンジも、深沼さんが「もうちょっと詰めよう」って言って早まったんです。最初はもっと間があってから切り換わるアレンジだったのを、いきなりグッと詰める形にしてみました。RECの3日くらい前に(笑)。「こっちの方がいいんじゃない?」って、それが採用になったりして。とにかく面白いですよ、深沼さんと作業するのは。

——思わぬ成果が出たりするのは、理想的ですよね。

ワタナベ : そもそもの話になっちゃいますけど、このバンドでやりたいのって、生身の人間がぶつかり合う感じなんです。同期を使ってないのもそれが理由で、みんなで仲良く音を出すんじゃなくて、ぶつかり合う面白さ。もちろん、スタジオでギスギスするわけじゃないですよ。「あっ、こう来るのか!」 「そうしちゃう?」 みたいな音のコミュニケーションをして、「今回はこうやりたい」って意見を言い合って、たとえ少し納得いかなくてもやってみる。そのときイマイチに思っても、あとで聴いたらすごくよかったりするから。3人がやりたいことを人間臭くやってみて、納得できるのが最高っていう。

——BLANKEY JET CITYのドキュメンタリー映画(『VANISHING POINT』)って観ました?

ワタナベ : 観ました! セッションのくだりとか、ギスギスしまくってて怖かったです。あの人たちはたぶん僕らなんかよりももっとあれこれ決めないで、感覚的にやってますよね。あー、確かにいろいろ思いましたねぇ。「このキャリアのバンドでも、こんなに悩んでせめぎ合ってんのか!」 みたいな。ああいうセッションっていいときはめちゃくちゃよくて、既存の曲以上によかったりするけど、おそらくダメなときは本当に厳しいんですよ。全員が噛み合わなくて。

——たぶん、そうですよね。「GOD LOVES YOU」なんかは、セッションっぽいなって思いました。

ワタナベ : セッション感ありますよね。途中でリズムが変わってるのは、バンドで揉んでいくうちに出てきたアイデアですから。

——リフ押しで、「come on」「Yeah!」みたいなの最近少なくなってる気がするから、こういうのは個人的に嬉しかったりします。鋭いカッティング、歪んだベース、ドカドカ暴れるドラムに本能を感じるし、シンプルなアプローチでかっこよさ、地力が出せてて。「リビドー」もそうですけど、ロックンロールって無闇に新しくしようとしなくていいんだなっていうか、展開とかはけっこう王道ですよね?

ワタナベ : そう! 僕、王道が好きなんですよね。普段はキワモノっぽい音楽も聴くんですよ。だけど、このバンドに関してはいつまで経っても色あせないような、真理に近いものを作りたくなっちゃって。めちゃめちゃかっこいいって思える50年前のロックなら、きっとここから50年経ってもかっこいいでしょ?

——確かに。ラストの「メロディア」には、まさに「未来」という歌詞が出てきて、ロックならではの、根拠はないけど、絶対的な希望みたいなものが見える、信じたくなる歌になってますね。

ワタナベ : そうあってほしい気持ちですね。東京に出てきた心境も表われてます。人生って短いものだし、僕はしあわせに生きるのがいちばんだと思うんですよ。もちろん、個々で価値観は違うから、それぞれに選んでいけばよくて。少しでもそのお手伝いになれる曲であればいいかな(笑)。

——東京に活動拠点を移したJake stone garageは、どうなっていきそうですか?

ワタナベ : かなり先のことよりも、すごくいいアルバムができたから、まずはちゃんとこの『Jake stone garage』を聴いてもらえるように、手に取ってもらえるように、いろんなところへ足を運んで伝えていきたいと思います。あとは、自分たちにとって過去最大キャパの渋谷CLUB QUATTROワンマンを含めたリリース・ツアーが目の前の10月、11月にあるので、これをとにかくいいライヴにしたいです! 本当にここからまた始まっていく感じですね。

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LIVE INFORMATION

『JSG』 release tour 2015
2015年10月30日(金)@名古屋CLUB UPSET
2015年10月31日(土)@大阪 南堀江knave
2015年11月6日(金)@札幌Sound Lab mole
2015年11月18日(水)@渋谷 CLUB QUATTRO

PROFILE

Jake stone garage

札幌を拠点に活動を始め、2011年から現在の編成となる。ブルース/ガレージ / オルタナティブを全て飲み込んだ、ダイナミックでスタイリッシュなギターリフと性急な衝動をぶちまけるリズムに、斬り付ける様な歌が加わった3ピース・バンド。2011年2月発売の1stフル・アルバム『ROCKS』が話題を呼び、「RISINGSUNROCKFES」や韓国「BIGFIELDFES」に出演。10月に行われた初の東京ワンマンは260名を動員。2012年2月、ミニ・アルバム『FEELS」を発売(プロデューサーは前作に続きMellowhead / PLAGUES / GHEEEの深沼元昭)。2013年3月には「S×SWJapanNite」を始め、全8ヶ所のUSツアーも実施。再度「RISING SUN ROCK FESTIVAL」に出演。2014年、ライブ会場限定CDを2作発売。各種サーキット・イベント出演や、Buckcherryの来日ツアーのサポート・アクトも務めた。

Jake stone garage Official HP

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