2015/03/09 13:33

山寺宏一、坂本冬美のあの曲を熱唱!?――「日本アニメ(ーター)見本市」のサントラ独占ハイレゾ第2弾配信開始

「日本アニメ(ーター)見本市」のサントラ独占ハイレゾ音源、先週に引き続き、その第2弾がこのたび配信開始されました。庵野秀明率いるスタジオカラーと、ニコ動などでおなじみのドワンゴによる共同企画。「それってなに!」という方はまずは下記解説&第1弾配信開始時の特集記事を。

第2弾も4作品分を配信。「もはやその歌が主役!」とも言えそうな第10話「ヤマデロイド」の、あの"七色の声を持つ男"こと山寺宏一による坂本冬美の壮大なカヴァーなどなど、短編アニメの単なる"劇伴"を超えた作品も! 第2弾の特集記事も前回同様、音楽を担うアーティストと監督にメール・インタヴュー!

と、ここでひとつお知らせ、現在本編の見本市は新作の公開など小休止中でしたが、3月9日(月)22時よりニコ生で放送の解説番組『日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-「2ndシーズン開始特番」』をもって再開予定! 新作公開もお楽しみに!

第2弾配信4作品!!

※配信形態は全て24bit/48kHz WAV / FLAC / ALAC

矢野博康 / 「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可」
配信価格 : 単曲 324円(税込) / アルバム 1000円(税込)
>>作品紹介、監督&アーティストのインタヴューはこちら

TOMISIRO / 「POWER PLANT No.33」
配信価格 : 単曲 324円(税込) / アルバム 1250円(税込)
>>作品紹介、監督&アーティストのインタヴューはこちら

Avaivartika / 「そこからの明日。」
配信価格 : 324円(税込) ※1曲のみ
>>作品紹介、監督&アーティストのインタヴューはこちら

山寺宏一 / 「ヤマデロイド」
配信価格 : 324円(税込) ※1曲のみ
>>作品紹介、監督&アーティストのインタヴューはこちら

>>第1弾4作品の特集はこちら<<

日本アニメ(ーター)見本市とは?

庵野秀明率いるスタジオカラーと、ニコ動などでおなじみのドワンゴの共同企画によるWEB公開を中心とした短編アニメ・シリーズ。オリジナル企画、既存のアニメからの関連作やスピンアウト作(例えば『機動戦士ガンダム』や『エヴァンゲリオン』なども)、プロモーション映像、Music PV、VJ Filmなどなどジャンルを問わず愛と勢いで創りきるオムニバス・アニメーションを展開中。ちなみに上記の題字は、あのスタジオジブリの宮崎駿が描き、プロデューサーの鈴木敏夫が彩色をしている。ご、豪華ですね。

これまでに、2014年11月7日の第1回配信を皮切りに、週に1本、毎週金曜10時から公式サイトにて新作を公開している(現在、新作公開は小休止中で3月9日(月)22時よりニコニコ生放送「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-「2ndシーズン開始特番」」にて再開予定)。

全作品の声のキャストが山寺宏一と林原めぐみのみであること(つってもこれまた豪華な2人なんですが)、5分程度の短編であること、そして期間、予算などに制限はある。が、その制限の中での企画開発、R&D(研究開発)、人材育成、自由な創作の場として、未来の映像制作の可能性を探るWEB配信アニメーション・シリーズである。また、本編の配信以外にも前週の金曜に公開されたアニメを解説する、ニコニコ生放送での「同トレス」と呼ばれる番組も公開。公式サイトでは、本編の動画以外にも各話の設定資料なども公開されている。また、動画などを視聴できるスマートフォン・アプリも配信中(詳しくは下記公式サイトにて)。

>>「日本アニメ(ーター)見本市」公式サイト

1. 西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可

第6話「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可」BGMシリーズ(矢野博康)

>>映像のご視聴はこちら : http://animatorexpo.com/nishiogikubo

監督 : 前田真宏
原案・キャラクターデザイン : 本田 雄
『西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可』
いつもの部屋のソファの上で目を覚ましたリカ。
ふとした違和感に気付く……。

駅から少し離れた2LDK、ただいま内覧受付中。

INTERVIEW

監督として『アニマトリックス』中の「セカンド・ルネッサンス パート1・パート2」や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(共同監督)などを手がけ、またアニメーターとして「風の谷のナウシカ」などジブリの名だたる名作にも参加している前田真宏。その日常を、ハッとするような視点の変化で変えてしまう作品「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可」。その音楽を手がけたのは、南波志帆などの楽曲を手がけるプロデューサーでもあり、そして敏腕ドラマーとしても、ももクロから、スキマスイッチ、キリンジなど、さまざまな作品で活躍している矢野博康によるもの。また、本作のエンディングには、Sotte Bosseによる「中央線」が使用されております(こちらはサントラには未収力だが、OTOTOYではこの楽曲を収録したSotte Bosseのカヴァー・アルバム『Beautiful Life』をハイレゾで配信中)。

前田真宏 : カワイイではなくちょっと不条理な感じが伝わるように

――今回は全体のBGMを矢野博康、そしてエンディング・テーマに撮り下ろしではなく、Sotte Bosseによる既発のカヴァー曲をもってきてますよね。ちなみにSotte Bosseの「中央線」(THE BOOMの楽曲で矢野顕子もカヴァーしている)のカヴァーを持ってきたのは?

前田真宏(以下、前田) : 高校生のころから矢野顕子さんが大好きだったので、好きな曲です。学生時代から中央線沿線で生きてきましたし。また歌詞の内容も作品のテーマと響き合ってくれるのではないかと思いました。「既製曲だけど"中央線"使えないかな…」と相談したところ「ありますよ!」の力強い一言。なによりSotte Bosseさんのメロウなアレンジが甘くなりすぎず、ちょっと突き放した感じで「これならピッタリだ! 是非お願いします!」となった次第です。

――矢野博康さんの起用は?

前田 : 音楽制作担当の方に相談して推薦してもらいました。決めては「野村証券のCM」です。シンプルだけど印象に残ります。音色も好き。

――音楽とアニメの表現という部分で、今回、とくにここを気にかけたという部分があれば教えてください。

前田 : 伝わりやすさ、と同時に内容が「とある女の子の夢のお話」なわけですが甘口になりすぎないように、カワイイではなくちょっと不条理な感じが伝わるように…… と思っていました。

――現在公開されている見本市の作品で、他の作品で音楽の気になった作品はありますか? またそのポイントも。

前田 : やっぱりダントツで「ME!ME!ME!」でしょう。エンドレスなかっこよさ! あと、「ヤマデロイド」ですね。「ナンじゃこりゃ!」と思っていたらハート♡ですもん。腰が抜けました。

Cana(Sotte Bosse) : となりで寄り添ってくれるような心地よい感覚

Sotte Bosse
――エンディングにて起用となった「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可」のご感想をどうぞ!

Cana : 「あー、あるよね」って共感を覚えたり、思わず「ぷっ」と笑ったり、ときどきふと心の隙間に感じる寂しさと切なさがとてもリアルで、となりで寄り添ってくれるような心地よい感覚がありました。携われて、非常にうれしいです。

矢野博康 : キャラクターのスピード感と動きのダイナミズムがとにかくすごい

矢野博康
――監督からのディレクションなどはいかがでしたか?

矢野博康(以下、矢野) : 前田監督より、最後のバトル・シーンの音楽はノイジーで混沌とした雰囲気に、との指示がありました。

――その他、ご自身でここは留意したいう点があれば。

矢野 : 物語の不条理さを後押しするような、ややユーモラスな雰囲気を残しながらも、終始緊張感が途切れないようなものにしようと心がけました。登場人物の動き、バトル・シーンのスピード感をバックアップするようなものになれば、と思い作業しました。

――短編アニメの劇伴故の制作のポイントはなにかありましたか?

矢野 : 急展開するストーリーに合わせて音楽の緩急を考えていくのが大変おもしろかったです。

――そうした作業のなかで制作に関して発見したことはありますか?

矢野 : 調性が曖昧な無国籍風音楽が自分は好きなのだなと再確認しました。

――できあがった作品のご感想を教えください。

矢野 : 登場キャラクターのスピード感と動きのダイナミズムがとにかくすごいですね! アニメーションの技術的な部分に関してはまったくの門外漢なのですが、人物のみならず、背景の動きもすべて手書きによるものだと言うのですから口をあんぐり開けながら観てしまいました。

――今回サウンドトラック仕事ということで、他の方に訊いてるのですが、他のサウンドトラックで好きな音源があればあげてください。

矢野 : たくさんありますが、物心つくかつかないかという時期からの影響としては、小学生の頃に観た『ゴジラ』や『ウルトラセブン』が真っ先に思いつきました。人類を脅かす巨大で獰猛なゴジラの存在感も、セブンの持つシリアスで、ややおどろおどろしい世界観も、伊福部昭さんや冬木透さんの音楽の後押しなくしてはあのようなものにならなかったものだと思っています。

2. POWER PLANT No.33

第11話「POWER PLANT No.33」TOMISIRO

>>映像のご視聴はこちら : http://animatorexpo.com/powerplantno33

原案・監督・脚本 : 吉浦康裕
原案・怪獣&ロボデザイン・美術監督 : 金子雄司
キャラクター・デザイン・作画監督 : 斉藤健吾
アニメーション制作 : スタジオ六花 / TRIGGER
眠り続ける超巨大発電体33号――通称「エレキマグマ」に電力を依存している都市。
ある時、謎の超巨大ロボット「プロトタイタン」が天空より飛来し、結果的に都市を破壊!
行き場を失った電力の体内備蓄により、ついに覚醒するエレキマグマ!!

逃げまどう人々の頭上で超巨大スケールの1ターンバトルが幕を開ける!!!

「POWER PLANT No.33」トレーラー
「POWER PLANT No.33」トレーラー

INTERVIEW

「プロトタイタン、お前はなんのために!」なんて叫びたくなるような展開に度肝抜かれますが、長編の巨大怪獣特撮モノの対決部分を彷彿とさせながらも、すっきりと勝負のつく対決をまずは本編で。「イヴの時間」などを手がけた吉浦康裕が原案・監督・脚本を、「キルラキル」などの美術監督を務めた金子雄司が原案・怪獣&ロボデザイン・美術監督を担当。

アニメのキャラクターたちにとってみれば、厄災とも言える壮大な"ガチンコ"タイマン勝負を盛り上げるその音楽は作り出したのは、北野武作品からケロロ軍曹のサウンド・トラック、さらには柴咲コウやSMAPなどのJ-POPの楽曲も手がけるプロデューサー・ユニット、TOMISIRO。Yosuke Kakegawa + Naoyuki Honzawaによるユニットだが、彼らといえば、ヴォーカリストのKAORIとともに、Languageとしても活動中でもある。

吉浦康裕 : 怪獣映画らしい重低音な雰囲気…… いっぽうでいわゆる"通好みな特撮系楽曲"になり過ぎないようなバランス

――今回のTOMISIROの起用の経緯はどのようなものだったんでしょうか?

吉浦康裕(以下、吉浦) : 巨大怪獣というジャンルでアニメを創るにあたり、メジャーな雰囲気の映画音楽にしたいという要望が当初からありました。怪獣映画らしい重低音な雰囲気…… そのいっぽうでいわゆる"通好みな特撮系楽曲"になり過ぎないようなバランスです。以上のようなオーダーを(見本市の)音楽制作のほうに相談したところ、TOMISIROのお名前を上げて頂きました。ハリウッド風の王道な展開に、独特のコーラスワークを加えた楽曲構成は、TOMISIRO音楽ならではの魅力だと思います。映像にも完璧にマッチしていて、監督として本当に幸せでした。

――音楽とアニメの表現という部分で、今回、とくにここを気にかけたという部分があれば教えてください。

吉浦 : 5分という短編ではありますが、映画のような雰囲気を持った作品にしようと考えていました。よって映像の展開に合わせて曲調が変化するような、いわゆる"劇伴"チックな構成はとても気に入っています(怪獣が反撃を開始するタイミングに併せて、音楽も勇ましい雰囲気に転調してゆく部分など)。また冒頭の迫力ある音楽から一転して、エンディングは子守唄のような楽曲になるなど、全4曲の緩急ついた構成も見所(聴き所?)だと思います。エンディング・テーマのアイデアを出して頂いたTOMISIROには本当に感謝です!

――現在公開されている見本市の作品で気になった作品はありますか? またそのポイントも。

吉浦 : 音楽という観点からは『ME!ME!ME!』が特に好きです。映像と音楽のマッチング具合が気持ちよくて、本当に「この音楽にこの映像ありき」なアニメだと思います。

TOMISIRO : これだけ重量感、巨大感のある怪獣ものがアニメで表現できるんだなと

TOMISIRO
――今回監督から音楽に関してなにかディレクションなどの指示はありましたか?

Naoyuki Honzawa(以下、Honzawa) : 最初にいただいたコンテをもとにあえて一風変わった音楽をつけてみました。その後、より正統的でダイナミックな劇伴でいきたい、というディレクションが明確になり、方向転換して大編成もののスペクタクル感を全開にした音楽をつけました。監督にお会いして曲を聴いてもらったところ「これです!」とOKをいただいて。シーンの意図やテンポ感など、具体的なイメージを示していただいたのでやりやすかったです。音楽をどのカットからどのカットまであてるかという点は、監督や音響監督の意向に沿う場合も多いのですが、今回はデモを作る過程で「むしろこうしてはどうでしょう?」と提案させていただいた部分もありました。監督からのリアクションのメールにはその提案を採用した理由についてもきっちりコメントしてあって、音楽だけではなく、作品全体がいいものになっていくときに感じる「熱」やドライヴ感みたいなものが伝わってきました。

――なにか監督さんからのディレクション以外で留意したポイントやコンセプトとして持った部分はありますか?

Yosuke Kakegawa(以下、Kakegawa) : 短い作品なので、音楽がしっくりと展開に沿うように、で、あまり饒舌になりすぎないように試行錯誤しました。本編の音楽は大きくわけて3曲ですが、1曲目のタイトルバックの曲のテーマ・メロディーを、クライマックス部分で変奏してトータリティーを持たせたり「劇伴」ならではの雰囲気づくりも意識しました。

――これまでさまざまな劇伴やプロデュースを行っていいますが、今回に限って苦労した部分はありますか?

Honzawa : 苦労は特にありませんでした。劇伴は僕らのいろいろな引き出しをすべて使える感じがするのでとても楽しいです。ちょうど本作を制作しているとき、ハリウッド的な壮大なオーケストレーションの曲をCM音楽や劇伴で作ることが多かったので「そういう時期だったなぁ」と今振り返って思います。

――今回の作業で、なにかご自身で音楽を作る上で新たな面白みみたいなものを見つけた部分はありますか?

Kakegawa : エンディング・テーマ曲も担当したわけですが、演出的にフリーハンドの余地が残されてたので自由にやれて楽しかったです。シンプルな楽器構成だから(エンディング・テーマの)歌のRINKちゃんの声が鮮明に耳に入ってきてとても気持ちのいい曲になったと思っています。ハイレゾで聴くにもぴったりだと思います。

――できあがった作品のご感想を教えください。

Honzawa : もう少しだけ音楽大きくしてくれたらよかったかなと(笑)。それは冗談として、とてもスケール感のある作品になったと思います。特撮の世界観が全開で、これだけ重量感、巨大感のある怪獣ものがアニメで表現できるんだなと思いました。

――もし、他のサウンドトラックで好きな音源があればあげてください。

Honzawa : エルマー=バーンスタイン(『十戒』『荒野の七人』『大脱走』などの映画サントラを手がけた20世紀を代表するアメリカの作曲家)の作品が好きです。オーセンティックな上にウィットに富んでいて。僕にとって、劇伴のお手本みたいな感じです。
Kakegawa : 80年代のマイケル・ナイマン(ミニマル・ミュージックの作曲家。自身の作品の他に『ピアノ・レッスン』など多くのサントラも手がけている)作品に影響受けてます。近年のものでは映画『ドライヴ』のシンセ音にやられました。

――現在公開されている見本市の他の作品で気になる作品があればあげてください。

Kakegawa : 「ME!ME!ME!」好きです。音楽映像ですね。理屈抜きでぐっときました。
Honzawa : 作品全て観ています。どれも見応えあってすばらしいと。「同トレス」も全て観ていますが、劇伴を担当していてもまだまだアニメの専門用語でしらないことはたくさんあるのだなぁと思いました。同トレスを観ていない方は、むしろこっちこそ見るべきだと(笑)。おすすめします。

「そこからの明日。」、「ヤマデロイド」は次項へ

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