2014/11/18 19:07

異国スペインからの儚きフォークトロニカの世界——エレクトロ・フォーク・デュオ、IAMDIVEを無料配信&フル試聴でお届け

スペインのアンダーグラウンド・シーンで産声をあげ、その地を拠点に、上質なフォークトロニカを発信し続けている2人組ユニット、IAMDIVE。独自のアンビエント感が滲み出るエレクトロニクスとほのかに土臭さ漂うメロディは、シガーロスやニール・ヤングを思わせる儚さと幽玄さに満ちている。そんな彼らをご紹介すべく、2013年作『Ghostwoods』をフル試聴、そして最新作『Wolves』から2曲をフリー・ダウンロードでお届け! 自然と耳に入り、体にとけ込むような歌声と耽美な電子音のアンサンブルを、彼らへのメール・インタヴューとともにぜひお楽しみください。

ファースト・アルバム『Ghostwoods』のフル試聴を実施中(2014年11月12日〜2014年12月07日 24:00まで)

V.A. / Ghostwoods

レーベル biasRecords  発売日 2013/11/14

01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08. 09. 10. 11. 12. 13.

※ 曲番をクリックすると試聴できます。

最新作『Wolves』収録曲の2曲のフリー・ダウンロードはこちらから(2014年11月12日〜2014年12月07日 24:00まで)

IAMDIVE / Wolves
【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV : 単曲 216円(税込) まとめ購入 1,404円(税込)
mp3 : 単曲 162円(税込) まとめ購入 1,404円(税込)

【Track List】
01. Days Become Ages
02. The Lower You Fall
03. Wolves
04. Norman, Oklahoma
05. Departure
06. Falling
07. Black Times
08. Transfixed
09. Backwards
10. 37° 38.805' N 6° 17.166' W

こちらの商品には、デジタル・ブックレットが付属します。

INTERVIEW : IAMDIVE

そもそもの始まりがすでに示唆的である。セビリアの狼ことIAMDIVEのシンガー、エステバン・ルイス(Esteban Ruiz)が、相方であるホセ・A・ペレス(José A. Pérez)とユニットを組む前に所属していたバンドの名前はThe Baltic Sea=「バルト海」。地中海特有の比較的温暖な気候に恵まれたラテンのりのハッピーな人びと――というスペイン国やスペイン人に対するステレオ・タイプのイメージを黙して否する、寒々と暗く沈み込むような、しかし、凛と力強い感性がその名前に集約されている。そして、それは自らのセカンド・アルバムとレーベル名に“狼”の名を掲げる現在のバンドの志向とも、同じ方向性を持ったものだと言えるだろう。

最初はエステバンのレコーディングをホセが手伝う形ではじまったIAMDIVEが正式にバンドとして動き出すようになったのは2010年。翌2011年のデビュー作『Fall EP』を皮切りに、いくつかのシングルとEPをはさんで、2012年にはその時点でのバンドの集大成的な作品となったファースト・アルバム『Ghostwoods』をリリース。また、現在までに、スペイン国内はもちろんのこと、イギリスを含むヨーロッパ諸国やアメリカ、アイスランド等でライブ・ツアーを行うなど、着実にその活動の幅を広げている。 

そのサウンドは、やや乱暴に言えば、ニール・ヤングのようなフォーキーな歌ものロックと、ボーズ・オブ・カナダに代表される柔らかなサウンド・スケープをたたえたエレクトロニカの混合とも言える代物。ただ、彼らの場合、そうしたサウンド面のアイデアよりも、あくまで良いメロディ、良いサウンド、良いアレンジを大切にした、骨太な音楽家としてのスタンスにこそ、凡庸な“雰囲気モノ”群に堕ちない武器、多くの耳を惹きつけるに値する魅力がある。彼らはそんなタイプのバンドだと思う。結成当初こそ、エステバンが作曲、ホセが編曲およびプログラミングと、それぞれの役割がはっきりしていたようだが、作品を重ねるにつれその関係はより有機的なものへと変わり、現在では制作プロセスの多くが2人の共同作業を中心としたものになっているようだ。本作『Wolves』は、その手法をさらに押し進め、一層のエレクトロニクスの導入とソングライティングの洗練が見られる作品となった。前作からのファンはもちろん、本作ではじめて彼らの音楽と出会うリスナーにも何かしら新鮮な印象を残すだろうアルバムに仕上がっている。

さて、すっかり前置きが長くなってしまったが、今回は、来月に待望の初来日ツアーも控えた彼らに、メール・インタビューを行った。アルバムに関する質問に始まり、最後はスペインや日本の音楽シーンの話題にいたるまで。やや風呂敷を広げた質問にも、真摯かつポジティブに応えてくれた。地に足のついた、しかし、秘めたる情熱と怒りを感じさせるその言葉に、ぜひ目を通してみてほしい。

インタヴュー&文 : 佐藤優太

まだ僕らは成長と変化を続けているところだと思う

――本作のソングライティングはどのように進められたのでしょうか?

エステバン・ルイス(以下、ルイス) : 僕らにとって曲を書く方法は絶対に途中でやめない事なんだ。だいたいは僕が最初のアイデアや歌詞、メロディなどを思いつく事が多いかな。それからジョゼと二人で曲に構成していくんだ。

でも、今回の『Wolves』の場合は、僕らは初めに今作をまっさらな状態からスタートさせようって決めてた。本当に基本的なアイデアだけで、自分たちのプライベート・スタジオにこもるんだ。日頃のスケジュールや時間制限に邪魔されたくなかったからね。もちろん全くのノープランってわけじゃなかったけど、それでも僕らの予想してた期間より長くかかってしまったね。

――前作と比較するとアコースティック・ギターの使用頻度が大きく減った一方、ビート・プログラミングがより凝ったものになった印象があります。どういった変化があったのでしょう?

ルイス : そう、その通りだよ。すごく自然でスムーズな変化だった。制作を続けながら僕らは自分たちのサウンド・スケープとプログラミングの事を考え続けた。当時は気にしてなかったけど、今思うと僕の歌い方ひとつとってもこの新しい試みに合わせてビックリするくらい進化したと思う。はじめの頃は、今までのやり方とか、よりトラディショナルな方法で作曲することも含めて模索したけれど、結局は自分たちのやり方を見つけれたんじゃないかな。まだ僕らは成長と変化を続けているところだと思うし、この作品にはその様子がよく表れていると思うな。

――例えば、鍵盤をより多く使うようになった、など前作から曲の書き方を変えた部分などはありますか?

ルイス : 今作でも、だいたいの曲はアコースティック・ギターから生まれていて、そのエッセンスみたいなものはどんなフォーマットになったとしても残ってると思うんだ。でも、シンセやキーボードからの影響が増えてきているのも否定できないね。僕たち自身もそうしたいと思ってたし。それでも「Norman,Oklahoma」みたいなギターが重要な曲はそれなしでは表現できないと思うよ。

――本作のレコーディングはどのように行われましたか? bandcampのページには「山の中のコテージで録音した」ともありますね。 

ルイス : セビリアに〈Seventh〉っていう名前の僕らのプライベート・スタジオがあって、基本的にはそこで作業したよ。そこではすごく居心地のいい環境で作業できるし。だけど、アルバムをレコーディングをしている最中に、この作品は何かを無くす事とか、無くしていく事に焦点が当たっていることに気が付いて、そのままの居心地で続けるだけじゃ不十分な感じがしたんだよね。それで、僕らは山の中にある小さなコテージにスタジオの設備を移すことに決めた。意識をそらすものを脇にどけておいて、曲づくりに集中するためにね。制作を正しい方向に進めるための新しい視点も欲しかったし。すごくキツかったけど、そうやって街から離れて制作に集中したからこそ上手くいったんだと思う。だから、もし、今作のリリースが結果的に僕らに幸運を運んでくれるなら、あの決断の意味は大きかったと思うよ。

――バンドメンバー以外に本作のレコーディングに参加した人がいたら教えて下さい。

ルイス : このアルバムでは基本的には、すべて自分たちで作曲、編曲、レコーディング、ミックスを手がけてるんだ。でも、Elo Vázquezには 「Norman,Oklahoma」と「The Lower You Fall」で歌ってもらった。彼女は完璧なアーティストだよ。バック・ボーカルで参加してくれる他にも、オフィシャルのプロモーション写真も撮ってくれてるし、『Wolves』のアートワークもデザインしてくれた。ほんとすごいよ。それからもう一人はMandy Parnellで、ロンドンのスタジオ〈Black Saloon〉で曲のマスタリングをしてくれた。彼が最終的な出音について一緒になって考えてくれた事も、この作品には大きく作用していると思うな。

――本作を作る上で参考にした作品やアーティストがいたら教えて下さい。

ルイス : うーん。大勢すぎる気がするね。僕らは毎日ずっと音楽を聴いているから。『Wolves』に関して言えば、Jon Hopkins、Local Natives、Sufjan Stevens、A Winged Victory For The Sullen、ボーズ・オブ・カナダ、ビビオ、Nils Frahm… かな。休んだり、ご飯を作ってる時のお気に入りだよ。

Jon Hopkins - Full Performance (Live on KEXP)
Jon Hopkins - Full Performance (Live on KEXP)
Local Natives - Breakers
Local Natives - Breakers

――歌詞はどのようなものからインスピレーションを得て書いているのでしょうか?

ルイス : 難しい質問だね。何かを手放してでも前進し続ける以外に選択肢がないって時、とても大きな悲しみと失望感に苛まれるよね。このレコードはそういうことについて語りかけているっていう気がするな。うん、今回の歌詞は今までで一番暗いかもね。まぁ、明るくてキラキラしてる歌詞を書いた事は一度もないんだけどね!

――間違っていたら申し訳ないのですが、I AM DIVEの歌詞には自然に関するキーワードが頻出する印象があります。バンドにとって自然は重要なモチーフですか?

ルイス : 全くもってその通り、僕らは自然が大好きだよ。魚釣りしたり山登りしたり、特に何もなくても田舎の方でゆっくりしたり。個人的な話になるけど、僕の両親が僕に自然の事や山や谷の事とかを教えてくれたことについては、すごく恵まれていたと思う。スペインには宝石のように美しい自然がたくさんあるんだ。それが僕らの生活に与えられたある種のギフトである事は否定できないと思うよ。

常に節度を保った歌の表現を気をつけている

――『Fall EP』以来、細かいディレイの掛かったエレキ・ギターのサウンドはあなた方の音楽の代表的なサウンドの一つになっていると思いますが、これはどういう影響から取り入れたものでしょうか? 個人的には80年代後半以降のダニエル・ラノワとU2の共同作業を思い浮かべました。

ルイス : 『Fall EP』の頃からのサウンドをそんな有名アーティストと比較してくれるなんて嬉しいよ。当時はホーム・スタジオにレコーディングの為の機材なんて持ってなかった。ほんの少しのレコーディングの知識を頼りに手探りで進めていったんだ。たぶん僕らみたいな80年代に子供だった人たちには好むと好まざるに関わらず大きな影響になったように思う。だからそう感じたんじゃないかな。

――同じくバンドの特徴的なサウンドになっている複雑なコーラス・ワークについても、インスピレーションとなるようなアーティストはいたのでしょうか?

ルイス : ヴォーカルとコーラスのハーモニーについて、Brian WilsonやThom Yorkeみたいな、みんなが賞賛するアーティストを参考にしてどう吸収できるのかを考えるのが大好きなんだ。でも、僕らが産み出そうとしているハーモニーは声を楽器の一つとして扱おうとしている事がその本質になっていると思うな。声は突出した印象を与えるパートだけど、ギターやシンセなどとあまり違わないように扱ってるんだ。

――基本的にはとても抑制的ながら、時に燃え上がるようにエモーショナルなヴォーカルもあなた方の音楽の特徴だと思いますが、スタイルを確立する過程で影響を受けたアーティストはいますか?

ルイス : 僕はニール・ヤング、ビートルズ、ボブ・ディラン、Triana、Dire Straits、ジョニー・キャッシュ、Silvio Rodríguezなんかを聞いて成長してきた。たぶん彼らの歌にも抑制的なエモーションがあったんじゃないかな。僕も自分の歌い方は気に入っているよ。エモーショナルな力を否定するわけじゃないけど、常に節度を保った歌の表現を気をつけている。うん、できていると思うよ、たぶんね。

――あなた方の音楽からは、プロダクションをモダンに洗練させていく一方で、曲自体も大切にしたいという意志を感じます。実際のところ、曲とプロダクションの関係やバランスについてはどのように考えていますか?

ルイス : 僕はその二つをほとんど同じものに捉えてるんだ。『Wolves』では12か14の違ったプロダクションへのアプローチやミックスのアイデアがあった。同じ曲でもミックスやプロデュースの仕方が変わると全く別物になるよね。だから僕らは『Wolves』を作る時、なるべく全体像を意識するようにしたよ。曲とプロダクションは相互に影響しあうから、同時に成長させていくべきだと思うな。

――フォーク・ソングやゴスペルなどのルーツ・ミュージックからソングライティングのエッセンスを引き継ぎつつ、モダンなプロダクションも取り入れているという意味で、ボン・イヴェールのようなアーティストとの共通点を感じます。何か影響はありますか?

ルイス : 初めてボン・イヴェールの「For Emma,Forever Ago」を聴いた時は衝撃を受けたね。でも、それ以前から似たような影響には浸ってたと思う。彼のコンセプトや世界観、歌詞やそのすべてに共感はとてもあるけれど、それでも彼は僕らに影響を与えた多くのアーティストのうちの一人だと思う。質問してくれたような意味合いでどんな影響があったのか考えてみると、他にもS. Carey、Sam Amidon、James Taylor、Denison Witmer、Rosie Thomas、Sufjan Stevens、Grey Kingdom、The Tallest Man On Earth、Damien Juradoなどから影響があるような気がするな。興味深いからもうしばらく考えてみることにするよ。

――あなたたちの音楽にとって、モダンであることと、伝統的であることのバランスはどのようなだと考えていますか?

ルイス : とても複雑なバランスだね。でも、IAMDIVEには自然にそのバランスがとれてると思う。僕らはシンセやコンピューターやドラムマシーンなんかをよく使うけど、今でもポップ・ソングを書くし、ルーツ・ミュージックやオールドスクールな曲についても考えるのも好きだ。そういうレイヤーのようなものを基礎に作曲する事がいまはモダンな事だという気がするよ。

"どこかから来た"か、よりも"どこにでもいる"のほうが好き

――前作『GhostWoods』について、あるインタビューでは、結成以来の集大成であると同時に、メンバーにとってある種のリハビリ的な意味合いを持った作品だったと語られていました。それに対して本作は、力強くて堂々とした作品だと個人的に感じました。そうした見方についてはどう思いますか? また、その変化はどこから来たのでしょうか?

ルイス : たしかに『Ghostwoods』には人間のはかなさや幸福なんかが込められていたと思う。その代わり『Wolves』は力強さと光のようなものをくれた気がする。こんな僕の視点や変化を君に向けているという事を君はどう思う? どちらにしても『Ghostwoods』は僕らにとって画期的な作品になったよ、間違いなく。その前にリリースしてたEPなんかとは完全に違うものだよね。僕にとっても一つのターニングポイントになったと思う。そういうのもあって、『Wolves』の方は明るく、より力強さが出たんだと思う。今でも哀しみや辛い時期の事を引っ張り出すこともあるけど、それらと上手く付き合っていくことや立ち向かう方法を僕らは学んだ。まだダークサイド寄りの作品ではあるけど、あなたが違いを感じた理由がなんとなくわかるよ。

――新作のタイトルも『Wolves』ですし、あなた方のレーベル名〈WeAreWolves Records〉にも狼という言葉が入っています。タイトルに込めた思いと、狼という動物に対して持つイメージを教えて下さい。

ルイス : とても強いイメージだね、狼は。誇り高くて、自らの問題を自己管理できる。それに、失われてしまった自然なんかの象徴でもある。僕らはそのイメージをリンクさせようとしてるんだ。もっと言うと、僕らのレーベルそのものとこれからリリースする作品にもそうあって欲しいと願ってる。でも、それは僕らが狼を好きだって事以上に、僕らの人生の大切な部分や自然の象徴としてなんだ。

――本作のジャケットは抽象的ですが大変美しい写真ですね。これは何を写したものなのでしょうか?

ルイス : 写真は今年の夏にアイスランドに行った時の写真のうちの一つだよ。さっきも話したElo Vázquezがジャケットのデザインをしてくれた。彼女はアイスランドに家を持っていて、レイキャビクでのライブへの足がかりにもさせてもらったよ。おかげで僕らは数週間滞在できたし、アイスランドの事を知ることもできた。その他にアルバムに使用した写真なんかもそのツアーで撮影したものなんだ。抽象的だけど僕らにとってのイメージは定まっているんだ。

――近年のスペインや、スペインの音楽シーンについて感じていることを教えて下さい。

ルイス : スペインは大きな国だよ。素晴らしい才能を持ったアーティストが色んな種類の音楽を作ってる。考えつく限りの数々のジャンルとスタイルの素晴らしいバンドを探し出せると思う。でも、その多くは生活していくには大変な荒野で音楽を作ってると言えなくもないかな。数少ないメインストリームに乗っている“インディー”なバンドは自分たちの環境を素敵なものにしている反面、成功者のクローンじゃないバンドのためのスペースはそう多くない。スペインはフェスティバルが年間通して他のヨーロッパの国より多いんだけど、プロモーターがローカルなバンドを雇うのは難しいみたいだね。人々が地元の会場でショーを見る事も減ってきているし、みんなレコードをレコード店で売ろうとは思わなくなってきている。でも、さっきも言ったように、そこら中にたくさんの素晴らしいバンドがいて、悲惨な音楽シーンを盛り上げようとしているよ。そのうちみんなも気づくんじゃないかな、すごく高いクオリティの音楽シーンが、コマーシャルなつまらないシーンのすぐ裏側に控えていることに。そうなる事を僕は願っているよ。

――現在、スペインやセビリアのシーンで注目しているバンドやアーティストがいたら教えて下さい。

ルイス : ちょうど数分前にMalheurの新作を聞くチャンスに恵まれたところだよ。素直にすごいと思ったね。彼らはジャズとエクスペリメンタルのバンドなんだ。あとはOso LeoneやJohn Talabot、Deloreanなんかはスペインの外でも活躍しているね。でも、やっぱり言える事は素晴らしいバンドは星の数ほどいるってことかな。だから一番おすすめなのは、みんなにも自分で僕らのローカルな音楽シーンをチェックして楽しんでもらうことだね。

――あなたたちの作品は、音楽的には英米の音楽とのつながりを感じる一方、セビリアで活動する自分たち自身やその誇りをより多くの人に訴えたいという意思も感じます。こうした見方は単に僕自身のバイアスでしょうか?

ルイス : うーん。あんまり考えた事はないなぁ。でも、僕らは自分たちのやってる音楽がとても好きだよ。つまり、どこから来たかよりもいつ新しいアルバムを作るかの方が大事だってこと。本当、たくさんの人たちにまるで僕らがどこでもないようなところからやって来ているような考えを持たれるけれど、僕らはスペインから来ているよ。でも、さっきも言ったけど出身地はどうでもいい事かな。"どこかから来た"か、よりも"どこにでもいる"って考え方の方が僕らは好きだね。

――日本に来日して共演してみたいバンドやアーティスト、お気に入りのバンドやアーティストはいますか?

ルイス : toeが本当に好きだね! それからもし坂本龍一と一緒に演奏できたら幸せすぎて心臓が止まるかもしれないね。だって、彼はシンプルに天才だから。ジョゼはmonoやBORISやBOREDOMSなどが大好きだって言ってるよ。

――日本でロックに影響された音楽をやったり聴いたりしていると「これは自分たちの音楽ではなく、英米の音楽の借り物に過ぎないんだ」というような議論がしばしば起こります。スペインではそのようなことはありますか? また、そうした意見についてどう思いますか?

Ghostwoods

V.A.

¥ 1,430

ルイス : 僕が思うにそれは世界中で起こってるんじゃないかな。音楽だけじゃなくて映画もそうだし、ライフスタイルなんかもそうだね。UKとUSはとってもパワフルで僕らは簡単に影響されてしまっている。たぶん世界中のほとんどの国に影響力を持ってるよね。でも、仮にそれが事実だとしてもそんなに重要な事じゃないように思うんだ。たとえどこの出身だろうと、自分たちのフォーク・ミュージックや伝統性とリアルな繋がり維持して、自分たちで自分たちの事を知っていれば知っているほど、ちゃんとそういう影響からも距離をとれるものだと思う。君たち日本人は、僕が知っている中では昔からの文化やシステムにとりわけ強い繋がりを持っていると思う。たぶん僕がその辺りについてはあまりに楽天的なだけかもしれないけど、君たちはその点についてそれほど心配しなくてもいいんじゃないかな。もちろんその辺りの事はスペインでもよくある話だよ。世界中どこにでもまだまだある話だとも思う。でも大丈夫になるんじゃないかな。僕はそう思うよ。
  ありがとう! もうすぐ君たちと会える事を楽しみにしてるよ!

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1972年公開のサーフィン映画を彩ったオリジナル・サウンドトラック。アシッドフォークやオルガン・サウンドをフィーチャーした幻想的なサウンド・スケープは、壮大でありながら、非常に聴きやすい良作である。

IAMDIVE Japan Tour

OTOTOYだけの来場特典あり!!!

2014年11月29日(土)@代々木公園 スペイン・フェス
出演時間 : 14:00〜

2014年11月29日(土)@代官山晴れたら空に豆まいて
OPEN : 19:00
入場無料
※入場時に「OTOTOYの特集ページを見た」とお伝えいただくと、特別特典をプレゼント!!

「I AM DIVE来日公演 at MOON ROMANTIC」
2014年11月30日(日)@青山月見る君想う
OPEN / START : 12:00 / 12:30

2014年12月1日(月)@西麻布新世界

2014年12月2日(火)@下北沢THREE
出演 : IAMDIVE / hondo raccoon dogs / カミイショータグループ / HELLO AND ROLL / ゆゆゆ
OPEN / START : 18:30 / 19:00
※入場時に「OTOTOYの特集ページを見た」とお伝えいただくと、ドリンク1杯サービス!!

2014年12月3日(水)@小岩BushBash

2014年12月4日(木)@京都Socrates
出演 : IAMDIVE / 色霊 / 羽根より軽い命 / and more

2014年12月5日(金)@北堀江club vijon
出演 : IAMDIVE / plants dub sorted / BLACKUR0 / and more
※入場時に「OTOTOYの特集ページを見た」とお伝えいただくと、前売り料金でご入場+ドリンク1杯サービス!!

2014年12月6日(土)@神戸RUMBA
出演 : STEPAK-TAKRAW / DUVALI / lAMDIVE

PROFILE

IAMDIVE

José A. Pérez / ジョゼ・A・ペレスとEsteban Ruiz / エステバン・ルイス2人のバンド・ユニット。彼らは長い間、スペインのセビリアを拠点として活動してきました。スペインのインディペンデント・シーンで産声をあげたIAMDIVEは、ここ数年の目覚しい活躍によりもっとも注目されるアーティストの1組として注目されはじめました。一部のメディアからの評価ではボーズ・オブ・カナダ、アルバム・リーフなどとサウンドが比較されたり、特にそのメロディ・ラインはニール・ヤングとの類似性にも触れられています。おそらく上記のアーティストとは真逆の方向性を感じる事もあるかと思いますが、それは彼らが独自のサウンドを構成する事に成功しているからとも言えます。

2012年冬に発表した『Ghostwoods』はとても評価が高く、シンセ・パッドや声のサンプリングを使用するなど、IAMDIVEの音楽性を新しく一歩進める事にも成功しました。サンプリングの効果的な用例として靴箱やギターケース、椅子や机など身の回りの物を叩いてリズムを作り出したり。また、息や周囲の環境音なども取り込み、使用するなどアンビエント・ミュージックに見られるサウンドスケープ、アコースティックギターの響きを美しく混ぜ合わせる事が特徴的です。それらはフォーク・ミュージックやIDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)、アンビエント、ポストロックなどとの親和性を感じさせてくれます。

スペインの大きな野外フェスティバル〈FIB〉に出演したことが大きなきっかけとなりアメリカはテキサス州オースティン市で行われているSXSWへの出演を果たしています。2014年にはアイスランドへのツアーを行い、アイスランドの首都、レイキャビクでのライブがStafrænnHákonに賞賛されています。そして、2014年冬、12月には、初の日本ツアーを行います。2015年には北ヨーロッパのツアーが決定しています。

IAMDIVE Official HP

この記事の筆者

[レヴュー] IAMDIVE

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