2014/05/15 18:48

NYパンク〜ニューウェイヴのアイコン、ブロンディ! バンドの現在を示す新作&ベスト盤的リメイクの2枚組をリリース!!

パンク / ニューウェイヴ・シーンやディスコ・カルチャーが邂逅する70年代末~80年代初頭のニューヨークをその音を以て示したアーティスト、ブロンディ。トーキング・ヘッズらと並んで、当時のニューヨークの刺激的なシーンを象徴する存在だ。彼らの40周年を節目に出される今作は、なんと豪華2枚組!!

1枚目は、全米 / 全英1位獲得シングルでパンクからディスコへの華麗な転身を果たした「Heart of Glass」はもちろん、ラップをいちはやく導入した「Rapture」など、至極の名曲たちをセルフ・カヴァーしたベスト盤。そしてもう1枚は、完全なる新作。ベスト盤も過去曲といえど新録、"歴史と現在が詰まった2枚組"と謳いながらも実はここには進化し続けるブロンディの"いま"しかないのかもしれない。レヴューとともに、なおも輝くレジェンドの活躍をしかと目に焼き付けてほしい。

Blondie / Blondie 4(0)-Ever: Greatest Hits Deluxe Redux / Ghosts Of Download

【配信価格】
mp3、WAV、ALAC、FLAC 単曲 257円 / まとめ購入 1,851円
【Track List】
[Greatest Hits Deluxe Redux]
1. Heart of Glass / 2. Dreaming / 3. The Tide is High / 4. Maria / 5. Sunday Girl / 6. Hanging on the Telephone / 7. Rapture / 8. One Way or Another / 9. Call Me / 10. Atomic / 11. Rip Her To Shreds

[Ghosts Of Download]
12. Sugar On The Side / 13. Rave / 14. A Rose By Any Name / 15. Winter / 16. I Want To Drag You Around / 17. I Screwed Up / 18. Relax / 19. Take Me In The Night / 20. Make A Way / 21. Mile High / 22. Euphoria / 23. Take It Back / 24. Backroom / 25. Put Some Color On You / 26. Can't Stop Wanting / 27. Prism

変化を遂げれた人々は無条件で輝いている

70年代後半から80年代前半にかけて、パンク・バンドとしてはじまりながら、ディスコ、レゲエのハイブリッド・サウンドで世界中に名を轟かせてきたブロンディ。なかでも代表曲である「Heart of Glass」や「The Tide Is High」は今でもCMタイアップに起用され、誰しもが耳にする機会があるであろう作品だ。黒すぎないスムースなグルーヴに乗っかる清涼なメロディー・ライン、それはパラダイス・ガラージなどを筆頭に当時のニューヨーク・アンダーグラウンドで盛り上がっていたダンス・ミュージック・シーンの影響をいち早く取り入れ、昇華した作品と言えるあろう。人気絶頂であった82年、ギタリスト兼バンドのコンセプト・メーカーであるクリス・スタインの闘病活動を理由にバンドは解散してしまうが、97年の復活から今日まで断続的な活動を続け、2011年作『Panic Of Girls』以降、バンドはさらなる盛り上がりを見せている。

大ヒット・ナンバー「Heart of Glass」(オリジナル)
大ヒット・ナンバー「Heart of Glass」(オリジナル)

今作はブロンディ結成40周年を記念した2タイトル・アルバムであるが、なんとこれまでの代表曲を再レコーディングしたベスト・アルバム+完全な新作タイトルと、生半可なアニヴァーサリー企画とはまるで違う、ミュージシャン・シップの詰まったアルバムだ。新録ベスト・アルバムは、やはりこれでもかと代表曲のオン・パレードであるが、驚くことに“違和感”が無い。原曲を知ってるが故に、無意識上に新旧を比較した結果ひねり出されるあの“違和感”がほとんど感じられないのだ。イントロ、楽器編成などアレンジが施された箇所はあるにしろ、録音の質感、グルーヴまで当時の感覚に近づいたのは、単純にミュージシャンとしてのキャラクターの強さとポテンシャルの高さが備わっていうからであろう。特に「Call Me」でのデボラ・ハリーのヴォーカルのキレは当時そのものである。

リメイク版「One Way Or Another」
リメイク版「One Way Or Another」
新作から「I Want To Drag You Around(Lyric Video)」
新作から「I Want To Drag You Around(Lyric Video)」

更に驚かされたのは、新作アルバムである『Ghosts Of Download』の内容である。M1「Sugar On The Side」のクンビアとダンス・ホールを掛け合わせたようなリズムで幕開けした途端、M2ではマイナー・コードからメジャーへの移調がまぶしいデジタル・ロック・チューン「Rave」、南米R&BなM5「I Want To Drag Around」と当時からまったくブレることのないハイブリッド・ポップスを披露し尽くしてるからだ。全体としてのラテン色の強さからも、バンドの“今”を音にする嬉しさがひしひしと伝わらずにはいられない。

無意識的な変化というのは、生きていけば容易に起こりうることであるが、自ら変化を求め、実現することは実に難しい。そしてその変化を遂げれた人々は無条件で輝いている。そんな魅力と気迫に満ち過ぎないどこかカジュアルなミュージシャン・シップがこの作品、バンドからは溢れている。今後の彼らの動きに多いに期待したい。(text by 浜公氣)

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Swans / To Be Kind

ピッチフォークで「SWANS史上、最高作だ。穏やかなテンションが徐々に高まり、調和を度外視したホーンの雄叫びを合図に、その高まりの頂点を木っ端微塵にしていく。それも考えうる限り最も美しく凶暴に満ちた彼らなりのやり方で」と言わしめたオルタナの帝王SWANS、世紀の金字塔となる2枚組2時間越え完膚なきまでの超大作。

>>中心人物マイケル・ジラへのインタヴューはこちら

St. Vincent / St. Vincent

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>>レヴューはこちら

CHVRCHES / The Bones of What You Believe

グラスゴー出身のエレクトロ・ポップ・トリオ、チャーチズの1st。チャーチズはケイト・ブッシュのような小悪魔的魅力を持つヴォーカルのLauren Mayberryに、ベースを弾きながらキーボードもプレイするIain Cookと、もう1人のキーボーディストであるMartin Dohertyの3人編成。キラキラ80'sフレイヴァー・サウンドとローレン・メイベリーのコケティッシュなヴォーカルがくせになる。Laurenがメイン・ヴォーカルの曲はきらびやかなエレクトロ・ポップでIainがメインの曲はレディオヘッドの曲のようにも聴こえるという2面性を持ったバンド。

PROFILE

ブロンディ

74年にデボラ・ハリーとクリス・シュタインが中心となりバンドを結成。76年にデビュー・アルバム『妖女ブロンディ』を発表。78年の3作目『恋の平行線(Plastic Letters)』から80年の5作目『オートアメリカン』まで3作品連続で全英1位を獲得する。79年に発表したシングル「ハート・オブ・グラス」が全米 / 全英で1位を獲得し、一気に人気バンドへの階段を駆け上がった。その後も「サンデー・ガール」、「コール・ミー」、「銀河のアトミック」、「夢見るNo.1」、「ラプチュアー」 など多くのシングルをチャート1位に送り込み世界的な人気を不動のものとする。82年に1度解散するも97年に再結成し発表したシングル「マリア」が再び全英1位を獲得。14年7月、通算10作目となる『ブロンディ・フォーエヴァー:グレイテスト・ヒッツ・デラックス・リダックス / ゴースツ・オブ・ダウンロード』を発表する。

>>ブロンディOfficial HP

この記事の筆者

[インタヴュー] Blondie

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