2014/02/08 00:00

いたなぁ、クラスにこんな感じの愛されキャラ

最近ライヴハウスのスケジュールをチェックしていると、彼らの名前をよく目にする。トリプルファイヤー。なんてダサいバンド名だ。そのダサさ故にどんな音楽をやるのか気になっていた。2月4日に発売された彼らの音源『スキルアップ』を聞く機会に恵まれたので、早速聴いてみた。

小気味よいギターリフに脱力したボーカル。いつまでも頭に残るメロディー。一聴目はニヤリと笑いながら「なんじゃこりゃぁw」という感想。”面白いパーティー始まるよ”と耳に残るフレーズは、延々と頭の中でループする。これはポップで華やかなパーティーなんかじゃない。「今日うちでパーティーやろうぜ!!」って遊び仲間を誘った仲間内パーティーだ。熱くなんてならずに適当な理由見つけて集まったみたいな。そんな状況下で、心の声が思わず口に出ちゃったような歌詞だ。5曲目の「カモン」では”カモン””サイコー””両手上げろー”と皆を煽りつつも同様の低いテンションで歌う。歌い節も独特のアクセントだ。いたなぁ、クラスにこんな感じの愛されキャラ。正直で、考えていることが思わず口に出ちゃう不器用なやつ。そんなこんな考えてると、いつの間にかこちらも仲間内になったような錯覚を起こして、彼らの世界を疑似体験してしまうのだ。

そんな疑似体験をしてしまうのも、聞きやすい歌詞にある。極力音数を減らして、フレーズをループする演奏隊がいてこそだ。前に出過ぎず、人力で演奏される温もりある音は絶妙なバランスで歌詞をするりと我々の耳に届け、シュチエーションを容易にイメージさせるのだ。

ビートにノッて腕を振り上げ、音を楽しむのも良いけれど、心をニュートラルにして音を楽に聴くのもよいなぁ。そう気付かさせてくれるアルバムに仕上がっている。脱力して聴いてほしい。(Text by 北原”きっちぃ”裕一郎)

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[レヴュー] トリプルファイヤー

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