2014/01/22 00:00

『Bedroom Orchestra』を作り上げる女子クリエイター鼎談、第2弾!!

女の子の芯の部分にそういう悲しさや孤独はあるんだなって思ったとき、自分が持っていた悲しみも癒されたような気がしました

――ついに『Bedroom Orchestra』がエンディングを迎えますね。

Neat's : とにかく見てもらうことがたのしみだよね。

Sara : 最終話、力作なので!

Tomoyo : 良すぎて、よりビジュアルへのプレッシャーがやばかったです(笑)。

Neat's : ネタばらしになるので、ぜひ先に物語を読んでほしいのですが、『Bedroom Orchestra』をはじめるころは、最終的な落としどころはまだ考えてなかったんですね。つくっていくなかで、どんどん女の子の内部に深く入っていったから、最終話はどうなったらとっても切なく終われるんだろうかって考えて。お話にははっきりと書いてないんですけど、死んでしまうんです。ナイーブは。

Sara : …… さらっと言ったよね、撮影のときも。わたしたちも最終話の撮影のときにはじめて聞かされて。「あたし、死ぬの!」みたいな。

Tomoyo : そう。いまよりもっと軽く言われて。「えっ……」ってなりました(笑)。

Neat's : あはは(笑)。でもそれが決まってから、作品的にもすごく良くなって。女の子がずーっと孤独に隠し持ってた気持ちは、大人になるとやっぱり忘れちゃうんですよ、どこかのタイミングで。発散する方法を覚えてしまったりして、子どものときほど、頻繁にさみしくなったりしなくなる。いつのまにか孤独な心は死んでるんだって思ったんですね。それがこの『Bedroom Orchestra』のナイーブに例えていた気持ちで。あんなに感情が揺さぶられて大泣きしていた日々も、いつかは薄れて消えていくこと自体がすごくノスタルジックで切なくて。それがまたきらきらしてるなって思って。だからナイーブは、もう消えてしまって、死んでしまう。けど、ずーっと雲に包まれたような曖昧な形で浮いてるんだなっていうので、終了するんです。

Sara : …… 改めて聞いても、良い話だなあって思う。

Tomoyo : 撮影も、それを聞かされてからスイッチが入りましたね。

Neat's : これをふたりはビジュアルで本当にすばらしく表現してくれて。「やばい、超良い」ってなりました。

Sara : わたしは事前に話を読んでいたときはナイーブが死んじゃう、と明確には捉えてなかったんです。でもどっかでそういう要素は感じていたんでしょうね。撮影当日に羽を持って行っていて。メイクしてたときに「これ死ぬんよー」って言われたから、じゃあ羽を入れようと、ヘッドピースに挿していったんですよ。

Neat's : ふたりがこうやって感じてくれるように、この話は特に女の子に頷いてもらえる気持ちであることがよくわかって。つくってよかったって、今回、ふたりを含めて、女の子たちと一緒につくるなかで、何回もそういうふうに思いました。今日も、ここに来るまでの銀杏並木で、「新しく、すごく気に入った曲が出来たから聴いてくれる?」ってSaraちゃんに制作中の3rd albumの新曲を聴いてもらったら泣いてくれて。

Sara : すごくいい曲だったんですよ!!

Neat's : 毎月の 『Bedroom Orchestra』のときも資料として、次の楽曲やお話を送ったら、夜中に「涙が止まりません」って、ものすごーい長い文章でメールをくれたんですよ(笑)。

Sara : いや~、だって泣かせるんですもん! あれはひとりで読まなきゃだめですよ、みんな。外で読むとうっかり泣いちゃったりしてちょっと恥ずかしい思いをするから(笑)。ちゃんと家に帰って、泣いても大丈夫な状況を整えてから浸って読むと最高! みたいな。

Tomoyo : わかります。わたしも絶対にひとりのときに聴きます。周りに人がいるところでは聴かない。物語も「仕事だし読んどかないと」とか思ってうっかり電車のなかで読んだら大変なことになるので。

Neat's : あはは(笑)。うれしいですね。すばらしい理想的なリスナーでもあります。そうやって聴いてほしいっていうのもあるし。女の子がどろっとした闇の部分に向き合わなきゃいけなくなったひとりぼっちの部屋のときに、物語と音楽に触れて、自分の奥底に沈んでもらう。そんな時間になったらいいなと思いながら作っていたので。

――Neat'sさんが思い描いていた届け先がまさにいた、って感じですね。

Neat's : そうなんです。女の子の芯の部分にそういう悲しさや孤独はあるんだなって思ったとき、自分が持っていた悲しみも癒されたような気がしました。自然にできた流れですけど、すごく奇跡的だなと思いますね。

同じような女子と会えたことは勇気になりました

――なるほど。自然にできた流れということは、Neat'sさんが女子クリエイターと一緒にものを作っていこうとしたときは、ここまで気持ちを共有できると想像してなかったですか?

Neat's : そうですね。クリエイターの女の子たちは、わりと同じような幼少時代の経験があるなって感じました。女の子って本当に、自分のなかに閉じ込めた邪悪な気持ちを持ち合わせつつ、みんなと平和に輪を広げていきたいっていう天使のような側面もあって、すごくアンバランスで。思春期のときは特に障害になって、なんでわかってもらえないんだろうとか葛藤がある。でも20代後半になって、思春期に感じていたどろどろとした少女の気持ちを持ったまま、クリエイティヴができる女子と多く出会えたんですね。わたしも世の中的には大人と言われてしまう年齢ですけど、少女のときの空気感というか、そこで見たノスタルジックな景色がいまも創作源になっているので、同じような女子と会えたことは勇気になりましたね。

Tomoyo : でも、そういった部分を表現できる場所は、わたしたちにとってもなかなかなくて。"Neat's"が、すごくいい表現の場になっているんです。

Neat's : ちょうど20代、30代の女性って組織のなかにいるとちょっと弱いというか、新しい立場だから自分の意見だけでは物事を進めていけないんだよね。だからいい意味で暴れられる、女の子のいろいろな才能が集まってひとつの世界を作り上げるのはすごく未知で、おもしろいです。

Tomoyo : やっぱり会社じゃできないことってすごくあります。それこそ感覚的なことがわかりあえなかったりとか。Neat'sさんとは、最初にふたりでディスカッションしたときに「こういうのがいい!」っていう共通の感覚がたくさんあったんですね。わたしが"Neat'sの世界"としてわたしが"Neat'sの世界"として表現することができるのは、共感できるものが多いからなのかなって。感覚って言ってしまうと本当に曖昧なんですけど、でも普段感じてることとかを出しやすいのがこういったイメージの世界なので。

Sara : なんかディスカッションしてないようで実はしてる、みたいなことも多いよね。普段の会話のなかとか。

Neat's : 好きな画像を送って「これよくない?」とか。

Sara : 「これのここ、かわいくない?」って。

Neat's : 「これだとちょっとガーリーすぎるかも」とかで、実はなんとなく感性をあわせていってるのかも。

Sara : 組織のなかで仕事をすると、男の人がいたりすごく年上の人がいたり、いろいろな人の意見があって。だからそこでは無理を通すのではなくて、みんなはどういうことをやりたいのかなっていうのを汲んでいくのも仕事だと思うんです。でもそんなに躊躇しないでやってみたらいいじゃん! という気持ちはあるんですよね。ここはそれを我慢せずにいれるというか。それに、いい意味でそんなに子供じゃないぶん、みんながそれぞれ自分の専門に対して責任を持ってやっているところがすごくいいところだなって。

Nest's : そうだね。自由奔放といえども、みんなわたしにすごく意見を求めてくれるし、それはちょっと行き過ぎかもしれないという制止に対して、クリエイティヴな答えを返してくれるんですよね。諦めではなくて。「じゃあこういうのはどうかな?」って言ってくれる。わたしはやはりNeat'sのプロジェクトとして軸がぶれてはいけないので、客観的にいろいろなアイデアを訊きながら、ひとつの色にまとめていけるよう、頭の半分では気を付けるようにしているので。

なんにも意味とか読み取ろうとしてなくても、心がわくわくしたり、かわいいっていうところが出口になってる

――Neat'sのプロジェクトとして軸というのは?

Neat's : アンダーグラウンドな思考、発想からはじまっているけれど、出口はポップ、というところですね。

Sara : あ、そうそう!

Tomoyo : Neat'sさん自身のテーマですよね。

Neat's : そこをすごくふたりは理解してくれてて。さっきの、最終話についてもそうですけど、深くほどいていくとたくさん意味はあるんですけど、パッと見ると、ただかわいいんですよ(笑)。

Sara : そんな気付いてもらわなくてもいいみたいなところもあるんだよね。

Neat's : 実は色々あるんだけど、ただ「かわいいね、これ」みたいなのが女の子なんですよね。

Sara : 変な話、女の子ってかわいくないと手に取らなかったりするじゃないですか。だから、単純にかわいいと思えることがすごく大事なんですよね。

Neat's : それがイコール、ポップなことだよね。なんにも意味とか読み取ろうとしてなくても、心がわくわくしたり、かわいいっていうところが出口になってると、すごくメッセージも幅広く届けられるから。

Sara : そこがなにかをつくるときもボーダーラインにしてる部分だよね。みんなわりとオタクだから、すごいコアな表現に偏ることはいくらでもできるけど。Tomoyoちゃんとか特にそうだよね。

Tomoyo : そうですね。暗くしすぎて引かれることもあります。

一同 : (笑)。

Neat's : 表現としては受け入れられるけど、それを多くの人に届けたいって思うと、一工夫がね。

――3人にとってはポップなところが出口でも、見る人にとってはポップなところが入り口なんですね。ポップを入り口に、その先の深い意味に気付かない人もいるかもしれないけど、気付いた人にとってはもっと大事になものになっていくんだろうとやはりTomoyoさんとSaraさんと見ていても思いますね。

Neat's : そうですね。本当にそう思います。

――最後に、リリースパーティーが残ってはいますが、『Bedroom Orchestra』を終えて、いまどんなお気持ちですか?

Tomoyo : 最初、Neat'sさんに声をかけてもらって、たったふたりの妄想からはじまったのが『Bedroom Orchestra』です。それがいまでは仲間をあつめて、いろいろな方の目に入ってもらえるひとつの形となったことがすごく嬉しいです。女の子が、大切にしたいと思えるような世界を意識してつくったので、「かわいい」を入り口に、見えてくることはたくさんあると思います。ぜひ、パッケージを手にとってもらって、箱を開けてCDをかけて本をめくりながら、しっとり、ゆっくり感じてほしいです。そしてリリース・パーティーでは、名前のとおりベッドで夢をみるように楽しんでください。

Sara : 企画の話を聞いたときを思い返すと、すごく昔のようでもあるし… 8か月という時間をかけてひとつの作品を育てて来て、とにかく思い入れがたくさん詰まったものになった! って思います。でもこれでようやくスタートというか。絵本とCDという形でひとりひとりの手元に届いて、それがみんなの手の中で、これからどんなふうに感じられて、育てられて、位置づけられていくかが楽しみで仕方ない! わたしが小さいときに読んでいた絵本をいまだに思い出したり読んだりしているみたいに『Bedroom Orchestra』がみんなのなかでそんな存在になっていったらうれしい。リリースパーティーは『Bedroom Orchestra』のバースデー・パーティーでもあるし、平面世界を実体験できるたった1度の機会なのでぜひ来てほしい! っていうか来ないともったいない。絶対後悔すると思う(笑)。みなさん待ってますね♡

Neat's : 絵本をつくることも、曲のアレンジをいろんなバリエーションで再構築することも初めての企画でしたが、これぞ私の軸にあるものだなぁと思いました。リリース・パーティーは空間自体を作品にする、ものすごいイベントになりそうです。寝っころがるもよし、お菓子を食べるもよし、音楽聞きながら眠るもよし。日々いろいろあるけど、女の子に生まれてよかったとみんなで思えるイベントにしたいですね。ぜひお待ちしています。オンナノコ年齢問わず(笑)!

>>女子クリエイター鼎談、第1弾はこちら<<

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[レヴュー] Neat's

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