2013/09/26 00:00

MaMeShiBaが選ぶ“ゴルい”名盤10選

解説 : HiBiKi MaMeShiBa

Cut Hands - Afro Noise I (Very Friendly) (2012)

UKの伝説的なノイズ・バンドWhitehouseの中心人物 William Bennettが2011年頃に始動したインダストリアル・アフロ・プロジェクトの1st.アルバム。
生ドラムと共にジェンベやドゥンドゥン、セセなどのアフロ・パーカッションをこれでもかとばかりに連打する強靭なグルーヴと、そのインダストリアルな質感はまさにゴルジェそのものと言える。

Art Zoyd - Metropolis (In-Possible) (2002)

フリー・ジャズやプログレッシヴ・ロック、アヴァンギャルドなどの要素を取り入れたフランスの暗黒ゴシック・チェンバー・ロック・グループが、自ら運営するIn-Possibleからリリースしたアルバム。
ドローンやクラシカルな展開が組み込まれた楽曲「Le Chat De Schrodinger - Schrodinger Cat」がとにかくゴルい。
ベルリンで1980年代から開催されているAtonal Festivalが運営するレーベルから1996年にリリースしたアルバム『Faust』収録の「Plague」もフロア・ユースなゴルジェでお薦め。

Z'EV - 50 Gates b/w World Percussion (Staalplaat) (1984)

Glenn Brancaらとの共作でも知られるノイズ・パーカッショニストでパフォーマーZ'EVことStefan Joel Weisserがオランダの老舗Staalplaatからカセット・リリースしたアルバム。
「World Percussion」というタイトルの付けられたB面に、セネガルや韓国、ブラジルのパーカッション・ミュージックなどと共に収録されている"Unidentified Indian"がかなりのゴルさでお薦め。アンプを通してちょこっと歪ませてあげるだけで即戦力トラックに。

Andrea - Retail Juke / Write-Off (Daphne) (2010)

地元マンチェスターの人気レーベルModern Loveを拠点に、テクノともハウスともエクスペリメンタルともアンビエントとも仕分け不能な名作をリリースし続ける鬼才Andy Stottが、(おそらく)フットワークとゴルジェに挑むプロジェクトAndreaの2010年作。

Donny / Current Value - Forgotten Coma (Counterstrike Duomix) / The Reading (Barcode) (2012)

Bjorkにリミキサー起用され一気に知名度を上げたドイツのハードエンドD'n'BクリエイターCurrent ValueことTim Eliotこそが、現時点で最もゴルいD'n'Bプロデューサーということになるだろう。
ちなみに、来日中のCo La(フロム・ボルティモア)が僕のOnePushを体験しにRUBY ROOM TOKYOに寄ってくれたのだけれど、Terry Bozzioのドラム・ソロ・エディットからこの曲へとミックスした瞬間、満面の笑顔でサムズアップを送ってくれたのを見てUSへのゴルジェ伝播も時間の問題だと確信した次第。

SPK - Leichenschrei (Thermidor) (1982)

精神病院に勤務していた看護人のEMS AKSことGraeme Revellと、彼の患者であったNe/H/ilことNeil Hillが1978年に結成したシドニー発のインダストリアル・グループSPK。
Ne/H/il在籍時のラスト・アルバムとなった今作に収められた"Israel"は、Roots Gorgeを代表する楽曲として、Dommune特番などでたびたび披露されている。

Terry Bozzio - Solo Drum Music CD I & II (Slam International) (1994)

Frank ZappaバンドやMissing Personsへの参加でも有名な凄腕ドラマーにして、人類史上もっともゴルいドラマーとしてOnePusherたちの間で絶大なリスペクトを集めてきたのがTerry Bozzioだ。にわかには信じ難い量のタムやシンバルを備えたドラムセットがトレードマークとなっており、ペダルで操作するメタルパーカッションなども駆使して、まさにゴルジェそのものでしかない(カンゴールな)ドラム・ソロを奏でる様は圧巻だ。
そのゴルジェ・ドラマーたる様を最も端的に堪能できるのが、ドラム・ソロばかりを収めたこちらの2作品。あなたがゴルジェOnePusherを志すなら、まず最初に押さえておきたいアルバムということになるだろう。

Baker Gurvitz Army - Still Alive (Wetworld) (2008)

UKブルーズ・ロック・バンドBlind Faithのメンバーとしてデビューを飾ったドラマーGinger Bakerが、Fela & The Africa 70との共作アルバムなどを経てThe GunのGurvitz兄弟らと結成したバンドがBaker Gurvitz Army。3枚のアルバムを残してバンドは3年の活動期間を終えてしまうわけだが、近年ライヴ音源が続々と発掘され、OnePusherたちを喜ばせている。中でも'75年と'76年のライヴ音源を収録しているという今作に収められた「Drum Solo 1」と「Drum Solo 2」は、OnePushに使ってくださいという目的で収録されたとしか思えないほどのゴルさだ。

Moondog - Elpmas (Kopf) (1991)

「6番街のヴァイキング」の異名をとったUSAの全盲作曲家/詩人Moondog。
「カンザスで米国聖公会の信仰を持つ一家に生まれた彼は、5歳のときから厚紙の箱で作ったドラムを演奏し始めた。(中略) ある時、父親は少年をアラパホ族のサンダンスの儀式に連れて行き、少年は酋長イエロー・カルフの膝に乗ってバッファローの皮を張ったトムトムを叩いた」という。(Wikipediaから引用)
自作楽器奏者でありミニマリストとしても高く評価されているMoondogが、Mouse On Marsのレコーディング・スタジオとして知られるSt. Martin Tonstudioで吹き込んだ'91年作がこの『Elpmas』だ。後にMouse On Mars『Iaora Tahiti』にも参加した日本人Nobuko Sugaiの朗読による「Fujiyama 2 (Lovesong)」が収録されている。
「Fujiyama 2 (Lovesong)」にはタムこそ収められていない(=Gorge Public Licenseを満たしていない)が、そのあまりにもゴルい世界観から、ゴルジェ愛好家たちの間ではアンセムとして愛されている。

小野ヒロ子 - タムレ第1番 (Victor) (1963)

タヒチを発祥の地とするポリネシアン・グルーヴとして、カリプソやチャチャチャ、マンボ同様、60'sの昭和歌謡に取り入れられたタムレだが、近年OnePusherたちの間で、ひょっとするとタムレ=タムれなのではないか、という再検証が進められている。昭和歌謡タムレは、2000年代初頭にリリースされた『魅惑のニューリズム』や『黄金のニューリズム』などのコンピレーションなどで比較的容易に聴くことができるので、興味が沸いたOnePusherには是非チェックしてもらいたい。
この記事の筆者

[レヴュー] hanali

TOP