鮮烈のデビューから半年、早くも届けられたai kuwabara trio projectのセカンド・アルバム『THE SIXTH SENSE』を、OTOTOYでは24bit/96kHzの高音質WAV音源で配信開始! 全9曲の書き下ろしで、前作を越えるスケール感とコンセプトに打ちのめされる傑作となった。桑原あいのピアニストとしてはもちろん、コンポーザーとしての才能が存分に発揮された珠玉の楽曲が並ぶコンセプチュアルな作品となりました。

若きジャズ・ピアニストの最新作を高音質で!

ai kuwabara trio project / THE SIXTH SENSE

【価格】
HQD 単曲 300円 / まとめ購入 2,500円
mp3 単曲 250円 / まとめ購入 1,800円

【TRACK LIST】
01. PAPERS / 02. LOST “ABILITY” / 03. INTUITION ~your sixth sense~ / 04. CLOCKLIKE DROPS OF WATER / 05. AUGURY, WAVES, DIVE! / 06. ONE DAY AFTER PREDICTION DREAM / 07. BRAINWORK / 08. METHOD FOR... / 09. LABORATORY


INTERVIEW : 桑原あい、森田悠介

普段ジャズを聴かない人にこそ、ai kuwabara trio projectの『THE SIXTH SENSE』を聴いていただきたい。艶やかなピアノ、うねるようなベース、それを浮かび上がらせるようなドラム。我々が、いかにジャズというステレオ・タイプに縛られているかを、思い知らせてくれる。さらに言うと、桑原あいは、ライヴをする際や、楽曲を作る前に企画書を作ってメンバーに渡すという。ジャズと聞くと、即興だったり、その場のグルーヴに依存しがちだと思う人もいるだろう。そこもまたステレオ・タイプで、そんな堅い価値観をあっさりとぶち壊してくれる。

前作より約半年というスパンでリリースされた本作のテーマは、シックス・センス。シックス・センスに従って演奏したのかと思いきや、桑原あいが音楽でシックス・センスの世界を描くというコンセプトだという。いったいどのようにシックス・センスを音にしていったのか、彼女の音楽へ向かう姿勢に変わりはあったのか、ベースの森田悠介も迎え、話を聞いた。

インタビュー&文 : 西澤裕郎

左から桑原あい、森田悠介

言語で伝えないのは、メンバーにただ音楽だけを感じてほしいから(桑原あい)

——本作のテーマは、いつ頃思いついたものなんでしょう。

桑原あい(以下、桑原) : 『THE SIXTH SENSE』というテーマは、2年前ぐらいからあったものなんです。高校3年生のときに、超心理学とか、認知科学の分野を勉強したんですけど、面白い世界観だなと思って。私はミュージシャンなので、この世界観を音で表現してみたいなと思って。ちょうど2年半前ぐらいに『THE SIXTH SENSE』というタイトルで、一つのショーをやるってつもりで企画書を書いて、それを森田君に見せたんです。

——最初に企画書を書いたんですか?!

森田悠介(以下、森田) : 毎回、書いてくるんですよ。

——へえ、おもしろいですね。企画書には、どういうことが書いてあるんですか?

森田 : 何月何日に、こういう趣旨でイベントをやります、集客はどれくらいで、リハーサルは何回やりますって、全部決めてるんですよ。その上で、コンセプトや、曲についての解説があったりだとか。

——僕の思うシックス・センスって、感覚的なものっていうか、論理とは違うところにあるというか…。言い表わすのが難しいんですけど。

桑原 : わかります、なんとなく(笑)。
森田 : 抽象的なものですよね。ふわっとしてますよね。

——そうなんですよ。言葉で説明できない、霊感みたいな感じというか。

桑原 : そうですね、インスピレーションだったり。

——そうそう。だから、企画書とかとは真逆にあるイメージがあって。コンセプトがあって作るというより、本当にシックス・センスだけで感覚的に作りました、みたいなイメージがあって(笑)。

桑原 : あー、なるほど。
森田 : 全部即興なんじゃないか、みたいなことですよね。

——そうなんですよ。

桑原 : 「本能」と「直感」って、違うんですって。「直感」は経験に基づいてできるもので、「本能」は人間が最初から持ってるものらしいです。直感は経験から成り得るものだから、全て繋がってるわけですよ、過去の自分とかとも。そういうのを読んだときに、直感の世界を見てみたかったんです。私の中で直感の世界って何色かなって考えたら、紺みたいな薄暗い中にきらめく粒々があるとか、黄色とかピンクとかパステルカラーでわーってなるとか、そういう抽象的なイメージが出てきて。私の思う第六感の色を、統一感を持たせつつ、いろんなところに散りばめて、1つのものにすることが、音楽家としてできる唯一のことだなと思ったんです。

——なるほど。直感で音楽をやるって意味ではないんですね。

桑原 : そうですね。シックス・センスの世界観を、音楽で表現するっていう意味なんです。

——シックス・センスの世界観を音にしていく作業っていうのは、どういうふうにしていったんでしょう。

桑原 : もともと私は、頭の中のイメージをピアノを弾かずに譜面におこしていくんです。今回は一つのフレーズを、いかに派生させて取り込めるかとか、同じフレーズを違うところで繰り返して使って、リフにしたりしているんですよ。フーガも2箇所ありますが、1つのモチーフを発展させていく、これは脳科学で言うシナプスのイメージです。細胞から細胞へどんどん伝わっていく様子を想像してみました。
森田 : ちなみに言うと、あいちゃんは企画の段階では、今話していた様なシナプスがどう、とかいう話は僕らには一切しないんですよ。

——そうなんですか!?

森田 : いま初めて聞いたよ、みたいな感じで、インタビューの場で聞いて驚くんです。僕らに伝えるときは、こういう感じのかっこいい曲がやりたいって言い方をするんですよ。
桑原 : そこで言語で伝えないのは、彼らにただ音楽だけを感じてほしいからで、余計なこと考えてほしくないんですよ。
森田 : シナプスが何? どういうこと? ってなっちゃうからね(笑)。
桑原 : おそらく森田君も今村(慎太郎)(Dr)さんも「考えないでね」って言っても絶対考えたくなると思うんですよ。でも、音楽的に格好良いものと理論的に格好良いものは絶対違うと思うし、それは私が理解していればいいことなので。論文書いて提出するわけじゃないし(笑)。

——じゃあ、森田さんがベースを弾くときは、理論的な部分はほぼ考えないで、音楽としていかに格好良くなるかってところで弾いていくわけですか?

森田 : 基本的にはそうですね。いかにバンド・サウンドがグルーヴしていくかを考えています。あと、アドリブのセクションが多いので、そこはいかにあいちゃんが楽しく弾けるか、格好良いフレーズを弾いてくれるかを考えています。もちろん自分もソロをとることがあるので、そのときはチャレンジしながら作っていく感じですね。

——テーマをメンバーに伝えてからの進行はスムーズに進んでいったんですか。

桑原 : 2年前に作品の案が出て、2011年3月18日にライヴをやろうと思っていたんですよ。そしたら、2011年3月11日に地震が来たんです。それで精神的にも、色んな部分においても、ピアノを弾きたくないって状況になってしまって。それをきっかけに、シックス・センスはまだやるときじゃないんだろうなと思って一回封印したんですね。その後、ファースト・アルバムを自主制作で作った後くらいに、シックス・センスをやりたいなと思い始めて。そのとき、今村さんのライヴを拝見して「あー! この人だ!」ってなって。そこからちょっとずつ今村さんとの距離を縮めて、2012年の10月に『THE SIXTH SENSE』のライヴをやったんですよ。その後、イーストワークスさんからCDを作らない? ってお話をいただいて、盤にするにあたって不要なものが見えてきて。ライヴでは再現できたけどこれはCDにしたら絶対いらないという不要物を、1ヶ月間ぐらいかけて、自分の中で再構築して、曲や構成、譜面も新しいものにしてリハーサルでぽんって渡して。そこから2人と一緒に作業に入ったので、制作期間的には長いですよね。全体的に。

——やっぱり地震の後っていうのは、おふたりも音楽から離れたいっていう感じになったんですか?

桑原 : 私はなんか… 。無気力だなっていう感覚ですかね。

——森田さんもそういうふうになりましたか?

森田 : 何をしたらいいんだろう、みたいになりましたね。ずっとTwitterばっかり追っている自分がいて。

——それ以降、音楽に向かい合う気持ちや姿勢にも変化はありましたか?

桑原 : ありましたね。音楽を、趣味や仕事と思ってやっているわけではなくて、日常の一部として捉えているので変化しましたね。

——今はどういうふうな気持ちで音楽に向かっているんでしょうか。

桑原 : 一概にこうだとは言えないですけど、私は高校生ぐらいから1人で生きていくぞと思ってたタイプなんですよ。男の人に負けたくないみたいな(笑)。でも、地震の後からは、誰かに頼らないといけないし、頼りたいって言うことも強い部分なのかなって思うようになって。1人で身勝手に色んなものをやるっていうより、人のことも視野に入れて、ケアをしながら作品を作ったりすることも大事だし、色々考えるようになりましたね。もちろん、作品に集中するときは作品を作りたいし、誰にも邪魔をされないで真っ正面から向かわないといけないから、逆に言うと考えるべきことが増えたりはしましたよね。

——色々考える部分が多くなったっていうのは、こう近くで見てる森田さんとしても感じたりはしましたか?

森田 : もちろん今言ったような部分も変わったなっていうのもありますし、それが音やプレイに出てきてるっていうのは感じますね。(あいちゃんが)ドイツに行っていた経験があるのは大きいのかなと思います。
桑原 : 地震の直後ですね。
森田 : ブロードウェイ系のミュージカルみたいな。ダンサーとか歌の上手い兄ちゃんがいっぱいいる中でアジア人が2人とか3人くらいでね。
桑原 : その中で、1人でピアノ弾いてたんですよ(笑)。
森田 : そういう経験も今回の曲に活きてたりするもんね。

——どのような影響を与えたんですか?

森田 : 以前はメロディ・ラインを闇雲にというか、勢いで弾く部分が多かったんですけど、今回は左手でコードを弾かなくても、右手の単音のラインだけで物語が成立してるみたいな。コード感がわかるというか、落ち着いたというか。

——手数が増えたという意味ともまた違いますか?

桑原 : 減ったよね、多分(笑)。
森田 : どちらかというと減ったかもしれないですね。息の長いフレーズが続くようになったというか。もちろんそれは技術的に単純に上手くなったってことも1つあると思うんですけど、ピアノを通して伝えたい内容がちょっとずつ変わってきてるのかな。
桑原 : それはあるよね。ファーストのときとかはまだ「弾けるんだ!」っていう意識があったんですよ。
森田 : 私上手いのよ、みたいな?
桑原 : 上手いとかじゃなくて「弾ける!」っていう。ある意味、悪い癖ですよね。伎術があるのはそれはそれでもちろん素晴らしいことだし、ないと表現できないんですけど、イメージを通して伝えたいものが聴き手に届かないと意味ないので。特に今回の作品に関してはそれぞれに意味があったので。本当にシンプルに、伝えるってどうやったらいいんだろうってことを考えましたね。

——地震を経験したり、海外に行ったりすることで、伝えるということに焦点が向くようになったわけですね。

桑原 : そうですね。何のためにピアノを弾いているんだろうっていうときに、超絶技巧を見せたいからじゃないよ、そんなことをしても何も返ってこないだろうっていう。やっぱりメンバーとわかりあえる部分がないと、私も一緒にアンサンブルしてても楽しくないし。そういう意味ではファーストのCDと全然違った部分はそこかもしれないです。音と心との距離感も考えたりもしました。
森田 : ファーストのときはスタジオのブッキング手配とかスケジューリングとかも、全部自分たちでやってたので、そこまで気持ちが回りきらないってところもあったんですよ。自分も弾かなくちゃいけないし、テンパりながら録音してた部分はなきにしもあらずで。今回はスタジオの天井も高いし、すごくいいピアノだし、ドラムもベース・アンプもそれぞれ別のブースにあったりとか、とにかくゆったりとした気持ちで録音させてもらえたので、そういう気持ちのゆとりみたいなのもあったと思いますね。

——今作以降の活動予定はもう見えていたりするんですか?

桑原 : 想像はしてますね。どういう色にしようっていうのはあります。

——またそれも桑原さんの中で熟成させてから企画書になるわけですね。

桑原 : 煮物のように煮てからですね(笑)。譜面を書いて、伝わるっていう。

——それをぶっ壊していく作業になるんですね。

森田 : その前にツアーがあるからね。ツアーは多分、CDに収まってる状態が原曲だとしたら、それをまたライヴでぶっ壊していく、みたいな感じになると思います。アドリブで結構やっていくので。
桑原 : ライヴのときはね、やっぱそうしないと。同じもの型にはめたことやっても楽しくないですし、ライヴならではの楽しさを体験していただきたいです。

——じゃあ作品とはまた違う色が出るんじゃないかと楽しみにしています。

桑原 : そうですね。ライヴもまた1つの作品として、楽しんでほしいですね。

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LIVE INFORMATION

THE SIXTH SENSEリリース記念ツアー
2013年4月18日(木)@大阪Mr.Kelly's
2013年4月19日(金@神戸Green Dolphin
2013年4月20日(土)@名古屋Star Eye's
2013年4月25日(木)@渋谷JzBrat
2013年6月7日(金)@Motion blue YOKOHAMA

PROFILE

桑原あい

1991年生まれ。幼少よりヤマハ音楽教室にてエレクトーンと作曲を学ぶ。ジュニア・エレクトーン・コンクール全日本大会金賞受賞。インターナショナル・ジュニア・オリジナル・コンサート、ユニセフ・チャリティー・コンサート(Bunkamuraオーチャードホール) などコンサート出演多数。雑誌「AERA」に天才エレクトーン少女として掲載。2004、2005年、小椋佳氏主催ミュージカル「アルゴ」のエレクトーン奏者。中学生後半よりピアノに転向し、2010年、自身の1st、2ndライヴを行い、企画・演出も手掛け好評を得る。大田ジャズ・フェスティバル出演。東京スカパラダイスオーケストラのトロンボーン奏者・北原雅彦や、木幡光邦と共演。2011年5月~8月「The Young Americans Dinner-Theater Europe」のピアニストとしてドイツに滞在し、演奏活動を行う。大泉洋企画「大泉ワンマンショー」にピアニストとして全国ツアー参加。ファッション・ブランドmastermind JAPAN初のオフィシャルCD 『mastermind MUSIC』参加。Def Techベスト・アルバム参加。2012年5月15日、完全セルフ・プロデュースでai kuwabara trio project 1stアルバム『from here to there』をリリース。8月8日、作曲・ピアノで参加したCD 『Electric Rhapsody』が全国発売。また、9月26日よりSony Music Artist / Village Music / compozzite labelから発売の、コンピレーション・アルバム『Experimental Jazz To Come』に、『BET UP』収録。セルフ・プロデュースの1stアルバム『from here to there』にボーナス・トラックを2曲加え、East Works Entertainmentよりメジャー発売。全国タワーレコードにて2012年10月3日より先行発売し、タワーレコード・ジャズ・チャートで2位に入る。2012年11月7日より一般発売。さらに、早くも2ndアルバム『THE SIXTH SENSE』が、2013年4月10日リリース決定、東名阪神リリースツアーも決定。また、この夏「札幌シティジャズ2013 -SAPPORO MUSIC TENT LIVE」 の出演が決定。現在は自身のai kuwabara trio project他、様々なジャンルの活動を行っている。これまでにピアノを蟻正行義、山下葉子、財満和音の各氏に師事。

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レヴュー

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筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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