2013/04/12 00:00

エレクトロ・ダンス・ミュージック、ロック、ジャズ、ポップスやエモまで網羅するヒップ・ホップ集団MIDICRONICAの仕掛け人716(ナナイロ)が、MIDICRONICAのメンバー894(ハクシ)・181(ヒバチ)をはじめ、各界のクリエイター 達が集結した初の1st ソロ・アルバム『ANOME(アノメ)』をリリース! ヒップ・ホップの枠に捕われない独自の方向性を打ち出すMIDICRONICAでしか実現できない楽曲の群れが、新しい可能性を照らし出す! リード曲のPVは映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 : 序」「Transfer」のCGアニメーションでも手腕を振るう佐伯雄一郎、「red dot award communication design 2012」受賞の小田雄太が担当した衝撃作となっています。

盟友のクリエイター達が集結した予測不可能な全13曲


MIDICRONICA 716 / ANOME

【販売価格】
mp3 : 単曲 200円 / アルバム 2,000円
WAV : 単曲 250円 / アルバム 2,450円





【TARCK LIST】
01. 閃光 716×188(Black-Chiwawa)
02. platformless 716×STUTS×894×pepue(imaginion)
03. カネトトカレフ (収) 716×DJ HARAKIRI
04. anome breakes 716×666(Masaru Iwabuchi)
05. log 716×Yusuke from BLU-SWING
06. RAm2- 716×AUDIO BOXING×894×pepue(imaginion)
07. goodbye grandma 716×DJ HARAKIRI×DJ YOKOTA
08. 再生 716×818(DJ Ryow a.k.a Smooth Current)×Cello a.k.a Massan
09. HEARTS 716×563(AWANE)×894×pepue(imaginion)
10. Maintain Your Focus 716×XKHALIVAS×216(YOU-SEE)
11. カネトトカレフ (支) 716×181 a.k.a Padtricks
12. サヨナラ▲マタキテ■ 716×666(Masaru Iwabuchi)
13. outro

ポップ・ミュージックへ向けた新たなファンタジーを産み落とすもの

クソカッコいいヒップ・ホップとは何か問うてみよう。その独特のマナー、あるいはルールを過剰に尊重し、守り続けるものなのだろうか。それとも、そのマナーをドレス・ダウンすることによって、ヒップ・ホップの領域をさらに拡張するものなのだろうか。そこで、今回紹介する、覆面増殖型ヒップ・ホップ・ユニットMIDICRONICA(彼らのプロジェクトに参加するアーティストは3桁の数字でキャラクター化され増加する)の仕掛け人である716(ナナイロ)のソロ・アルバム『ANOME』を聴いてみてほしい。一聴してみると、確かに彼のサウンドの基軸となっているのはヒップ・ホップであり、その軸にジャズやハウス、インディー・ポップなどの様々な音楽を接続させていることがわかる。それゆえ、このアルバムを、多角的にヒップ・ホップを解釈したアルバムとしても聴くことは可能である。だが、じっくりと腰を据えて聴き返すと、また違った一面が見えてくる。様々なアーティストとコラボレーションをもとに、ヒップ・ホップとその外部にある音楽を結合させるだけでなく、繊細かつ豪快に攪拌させることによって、ヒップ・ホップの持つ想像力を増殖させる遊びであるように感じられるのだ。

アルバムは、188(Black-Chiwawa)とのコラボ曲で、煌びやかなシンセに導かれながら四つ打ちのキックが踊りだす「閃光」から始まる。もし、この曲が冒頭になかったら、このアルバムはヒップ・ホップの延長線上にあるものだろうという印象が強くなってしまい、全くの別物になってしまっていたであろう。それほどまでにこの「閃光」が持つ、曲としての強度は計り知れないものがある。そして、その「閃光」の照らし出す光が乱反射するかのように、次々と繰り出される716のトラックは天衣無縫なリズムを刻んでいく。続くSTUTS、894(ハクシ)、pepue(imaginion)とのトラック「platformless」のピーク・タイムに鳴り出すドラムン・ベースのリズムに思わず腰が突き上げられ、AUDIO BOXING、894、pepueとの共作「RAm2-」で繰り広げられる幻覚を促すアシッドな音色の反復は、アシッド・ハウスの突然変異ともいえるし、最新型エレクトロであるともいえる。そして、あのスーパーカーの「STROBOLIGHTS」を思わせるトラックに、畳み掛けるようにラップが重なる「HEARTS」まで辿り着くころには、きっとあなたも716のもたらす予測不可能性に眩暈がすると同時に、様々なステップでリズムを踏んでいるに違いない。

さて、冒頭の命題を改めて考えてみよう。今、クソカッコいいヒップ・ホップとは何か。それは、マナーを守り続けると同時にヒップ・ホップの領域を拡張すること――だけではない。それらを止揚 / 攪拌させることで、ヒップ・ホップ、ひいてはポップ・ミュージックへ向けた新たなファンタジーを産み落とすものではないだろうか。少なくとも、このMIDICRONICA 716による『ANOME』はその息吹を充分なまでに感じ取れる。いまだに蔓延るノスタルジーを拒み、将来を怖がらない――このアルバムにはそういったメッセージが隠されていると思うのは、果たして筆者が深読みし過ぎなだけだろうか。(text by 坂本哲哉)

MIDICRONICAの過去作もチェック

PROFILE

MIDICRONICA 716

キャラクターをオルターエゴに据えたマルチ・メディア・ミックス・ヒップ・ホップ・ユニット、MIDICRONICAの仕掛け人。2005年リリース1st Album『#501』収録のSan Franciscoがアニメ「サムライチャンプルー」の最終話エンディングに起用され、累計5,000枚を売り上げるヒット作となる。その後、MIDICRONICA監修のコンピレーション・アルバム「FREAK'S MANSION」2nd Album『#209』全楽曲コラボレーションで構成されたmini Album『.co.lab』remix Album『改』・『混』、shin-skiとのダブル・ネーム3rd Album『color』をリリース。

>>>official HP

MIDICRONICA

2005年、突如現れた覆面ヒップ・ホップ・ユニット。メンバーの名前は全て3桁の数字。新進気鋭のイラストレーターSteroidの描くキャラクターをオルター・エゴとしてのメイン・イメージに据え、HP上でのストーリー進行と同時にCDをリリースする。さらに参加したアーティストがキャラクター化され、MIDICRONICAの世界の中に存在することにより、メンバーが増殖するという今までに無かったコンセプトで活動するメディア・ミックス・プロジェクトである。1st Album『#501』 に収録されている 「sanfrancisco」は、アニメ「サムライチャンプルー」の最終話のエンディング・テーマとして起用され、某オークションなどで4万円の高額を付けるアルバムとなる。その後、現在、デジタル音楽配信で世界各国(国内外500サイト以上)への音楽配信が行われ、アメリカやフランスでもレビューが付き好評を得る。2009年9月には国内アーティストでは先駆けiPhone専用アプリをリリースし、メディア・ミックス・プロジェクトとして、さらなる広がりを見せた。2012年3月 Shin-Skiとのコラボ・アルバム『color』を発表。DOMMUNEでのライヴやSYNCHRONICITY、sense of wonder、ボラフェス2012といったフェスへの出演で活動の場所をさらに広げている。

>>>official HP

この記事の筆者
坂本 哲哉

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[レヴュー] MIDICRONICA 716

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