2014/11/18 19:17

2013年最注目新人、ALABAMA SHAKES! 満を持して遂に待望の初来日

ソウル、ブルース、ロック全てを凌駕する今年最注目新人、ALABAMA SHAKES。先日発表となった第55回グラミー賞のノミネーションでは、最優秀新人賞を含む3部門でノミネート。また、アルバム未収録の新曲「Always Alright」は、第70回ゴールデン・グローブ賞のノミネーションで主要4部門にノミネートされている映画『世界にひとつのプレイブック』の劇中で使われるなど、実力だけでなくその知名度も広まり始めている。そんな彼らが、初来日公演を行った。満員の会場で、どのようなステージが繰り広げられたのか。その様子を追体験してみてほしい。


Alabama Shakes / Boys & Girls

【配信価格】
mp3、wav共に 単曲 150円 / アルバム 1,500円

1. Hold On / 2. I Found You / 3. Hang Loose / 4. Rise to the Sun / 5. You Ain't Alone / 6. Goin' to the Party / 7. Heartbreaker / 8. Boys & Girls / 9. Be Mine / 10. I Ain't the Same / 11. On Your Way / 12. Pocket Change / 13. Heavy Chevy

ALABAMA SHAKES
2013年1月31日(木)@恵比寿LIQUIDROOM

【SET LIST】
1. SQUIDBILLIES
2. HANG LOOSE
3. HOLD ON
4. ALWAYS ALRIGHT
5. I FOUND YOU
6. RISE TO THE SUN
7. HEARTBREAKER
8. BOYS & GIRLS
9. BE MINE
10. I AIN'T THE SAME
11. MAMA
12. MAKIN' ME ITCH
13. YOU AIN'T ALONE
14. HEAVY CHEVY
アンコール
15. GOIN' TO THE PARTY
16. GOSPEL SONG
17. ON YOUR WAY
18. ADAM RAISED A CAIN
19. HEAT LIGHTNIN'

純粋な音楽ファンがたくさん集まった夜

アラバマ・シェイクスの初来日公演が、恵比寿LIQUIDROOMで行なわれた。チケットはソールドアウト。開演前から会場の熱気が相当に高く、老若男女+外国人の入り混じった客層も面白い。後方までぎっしりと埋め尽くされたお客さんと、そのどよめき具合からして、ただならぬムードである。場内では、テレヴィジョンやラモーンズなどが流れていた。アデル、ボン・イヴェール、アレックス・ターナー(アークティック・モンキーズ)らが大絶賛するバンドだし、2013年のグラミー賞で3部門ノミネートされているのだから、当然と言えば当然のことかもしれない。

大歓声に迎えられ、アラバマ・シェイクスがステージへ。ヴォーカル / ギターのブリタニー・ハワードをはじめ、ギターのヒース・フォッグ、ベースのザック・コックレル、ドラムのスティーヴ・ジョンソン。4人のメンバーに加え、キーボード奏者のベン・タナーをサポートに加えた5人編成のバンドで登場した。「コンニチハ! アラバマ・シェイクスです!!」とブリタニーが快活にあいさつし、「スクイッドビリーズ」(アニメ『スクイッドビリーズ』テーマ・ソングのカヴァー)から、ライヴはスタート。ブリタニーがさっそくソウルフルな歌声を聴かせてくれる。そして、「ハング・ルーズ」のイントロが鳴らされるやいなや、観客が早くもヒートアップ! と同時に、自然と手拍子が沸き起こるのだった。さらに、シングル曲「ホールド・オン」に続く。フロアに祝祭感が舞い降りてくる感じ。冒頭の3曲で、すでにクライマックスのような盛り上がりだ。

「How do you feel?(気分はどう?)」と問いかけるブリタニー。この時点で、感情を抑えきれない外国人のファンは、大絶叫を上げて喜びを表現しており、やたらとピースフルなムードと熱気でいっぱいだった。だが、彼らは自分たちのペースを崩すことなく、滋味深い演奏を展開していく。

紅一点のブリタニーの歌唱は、アレサ・フランクリンばりにパワフルで、ギターも味わい深い。ギターを降ろし、ハンドマイクで歌うときもあり、そのときはまるでラッパーのような手振りも入れてくる。一方で、リサ・ローブを彷彿とさせるキュートな仕草や人間的な温かみもじんわりと覗かせる。とても魅力的な24歳だと思う。ブリタニー以外のメンバーは、アンサンブルをきわめて重視している感じがあって、その佇まいはフリート・フォクシーズに少し近い。とはいえ、アラバマ・シェイクスの場合、各メンバーが随所でわかりやすく前面に出てくる。特に、あご髭をたっぷり蓄えたザック、小室哲哉みたいなシルエットのベンは、不敵な好印象があった。

「ライズ・トゥ・ザ・サン」「ハートブレイカー」「ボーイズ&ガールズ」「ビー・マイン」「アイ・エイント・ザ・セイム」など、中盤ではデビュー・アルバム『ボーイズ&ガールズ』から、よりディープな楽曲を立て続けに披露。キーボードの音色は聴き手を包み込むようなものが多く、スローなテンポでじわじわと胸に響くナンバーが多い。ブリタニーの歌は、一転してスウィートだ。それでも、フロアの興奮が収まることはない。曲が終わるたびに割れんばかりの歓喜の声が上がっているのを見て、「ここには、純粋な音楽ファンがたくさん集まっているんだなぁ」と思った。

ライヴ後半は、ロック・テイストが強まる。ノリノリで演奏された「ママ」は、チャック・ベリー直系の王道フレーズ満載のロックンロール。曲が終わると、ブリタニーが「Do you like rock'n'roll?」と叫ぶ。続いては「メイキン・ミー・イッチ」で、怒涛のテンションをもってショート・チューンが放たれる。その直後に、壮大なシングル曲「ユー・エイント・アローン」を持ってくるあたりがすごい。アウトロでは、ビートルズの「ヘイ・ジュード」を思わせるサイケデリックなグルーヴが押し寄せ、この日いちばんの拍手が巻き起こった。そして、ブリタニーがメンバー紹介をさらりと済ませ、「ヘヴィー・シェヴィー」で本編が終了。

鳴り止まないアンコールに応え、メンバーが再登場。なんと、ブルース・スプリングスティーンの「アダム・レイズド・ア・ケイン」までが披露され、もはや会場のロック・ファンは狂喜乱舞の大合唱である。最後まで、R&B、ロック、ブルース、ソウルのマナーを押さえた、新人とは思えないパフォーマンスを見せてくれたアラバマ・シェイクス。終演後は、満員の観客に対し、何度も感謝の言葉を述べるとともに、深々とお辞儀をしていた。このクオリティと人柄があれば、今後もいい活動ができるのではないか。そんなことまで期待させる、すばらしいライヴだった。フジロックで再来日してくれたら、なお嬉しい!(text by 田山雄士)

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PROFILE

Alabama Shakes / アラバマ・シェイクス

アラバマ州アセンズ出身の4人組バンド。ソウル、ブルース、ロックを基本とした、南部サウンド。女性黒人ヴォーカルのBrittany Howardを中心にHeath Fogg、Zac Cockrell、Steve Johnsonの4人で結成。当初はThe Shakesという名前で活動。地道なライヴ活動が話題を呼び、アデルやボン・イヴェール、アークティック・モンキーズのアレックス・ターナーなど、数多くの有名人を含めファンを徐々に増やし、ついにラフ・トレードと契約。2012年4月、デビュー・アルバム『Boys & Girls』をリリースする。

>>Alabama Shakes WEB SITE

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