アニメの世界観を崩さず、曲としての役割を果たす

クラムボン / Rough & Laugh

【TRACK LIST】
01. Rough & Laugh
02. Rough & Laugh -Rings Around Laugh REMIX- by kz
03. Rough & Laugh -A-bee REMIX- by A-bee
04. Rough & Laugh -melting the ice in my foolish heart REMIX- by Go-qualia

販売形式 : mp3
販売価格 : 単曲 250円 / アルバム 1000円

クラムボンは、楽曲のテクニカルな面を見せつけず、ポップに聴かせる天才だ。4月にリリースされたライヴDVD以来の作品となったシングル「Rough & Laugh」は、現在も放映中のアニメ”しろくまカフェ”のオープニングとして制作された。ボーカルと鍵盤で楽曲の顔となる原田郁子、楽曲制作を行い、バンドの柱となるベーシストのミト、そして変幻自在のリズムを展開させるドラマーの伊藤大助。3人の演奏技術の高さはそのままに、アニメのオープニングの王道を行く疾走感と、耳に残るポップなメロディーで幅広い世代のリスナーの心をがっつり掴んでくる。最新アルバム『2010』では、ダイナミックかつドラマチックな音楽を聴かせていただけに、昨年以降発表された2枚のシングル「はなさくいろは」「ある鼓動」からは、2000年から2001年頃のクラムボンに近い、シンプルなポップさが垣間見れる。タイアップが付くということは、アニメの世界観や対象という制約が付随することを意味するが、ミトはむしろそれを楽しみ、枠の中で楽曲を作ることを楽しんでいるように見える。だからこそ、この曲は今までのオリジナル楽曲とはひと味違ったポップ・ミュージックに仕上がっているのだ。

アニメ”しろくまカフェ”は、小学館の少女マンガ系雑誌”月刊フラワーズ”に連載中の、ほのぼの系ギャグ漫画のアニメ化作品。人間界に動物が溶け込み会話を交わす世界で、カフェを営むしろくまと動物達、そして人間達の生活を描いている。デフォルメせず、動物の縮尺や特徴を、人間界にそのまま取り入れたことから、シュールでゆるい笑いが人気の作品だ。タイアップが付いた楽曲において、ミトは「作品へのリスペクトが無いとユーザーにばれる」と話すが、この曲は作品へのリスペクトで溢れている。アニメの内容はもちろん、前シーズンのオープニング曲の煌めきをクラムボンなりに引き継ぎ、シンプルで淡い癒し系の絵に合わせたキャッチーなメロディー、そして17:30からという放映時間と対象年齢を意識したひらがなや記号を用いた歌詞。アニメへの造詣が深いミトだからこそ生まれるアイデアには、頭が上がらない。ヴォーカルから始まる冒頭は、オープニング用のショート・バージョンになってもインパクトがあり、原田郁子の柔らかで人を惹き付ける特徴的な声を存分に生かしている。また、ポップで疾走感のあるメロディーは、登場人物が自転車で坂を駆け下りるオープニング映像とマッチしていて、期待を煽る。アニメの世界観を崩さず、オープニング曲としての役割をしっかり果たしている。

今回のシングルでは、kz、A-bee、Go-qualiaによるクラブ、ダンス、アンビエントなど、電子音楽的要素を取り入れたリミックスも収録。クラムボンの王道ポップを絶妙に崩しつつ、作品の広がりを生かしたアレンジがなされている。kzによるリミックス・バージョンを使った、クリエイティブ・チーム”TYMOTE”のMVでは、”しろくまカフェ”のオープニングとはひと味違った映像とのコラボレーションを見ることができる。

アニメのタイアップの影響は大きい。テレビという媒体を通して、これまでクラムボンを聴いたことがなかったリスナーにも、クラムボンの音楽を届けることができる。「Rough & Laugh」は、クラムボンの音楽に初めて触れる楽曲としては最適だろう。シンプルな歌詞もキャッチーで覚え易いメロディーも、”子供から大人まで”という言葉がしっくりくる。全世代に向けて上質なポップ・チューンを発信しているクラムボンに、これからも目が離せない。(text by 櫻井希)

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PROFILE

福岡出身の原田郁子、東京出身のミト、北海道出身の伊藤大助が専門学校で出会い、1995年に結成。シングル『はなれ ばなれ』で、1999年にメジャー・デビュー。当初よりライヴやレコーディングなどにおいて様々なアーティストとのコラボレーションを重ね、楽曲提供、プロデュース、執筆活動など多岐に渡る活動を続けながら、バンドとして独自のスタンスを築き上げている。野外フェスティヴァルにも数多く出演し、ライヴ・バンドとしての評価も高いなか、2010年に8枚目となるオリジナル・アルバム『2010』をリリース。2011年11月3日には、両国国技館にて公演を成功させている。

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