2012/11/28 00:00

術ノ穴から、ガールズ・ヒップホップの新星が登場!!

デビュー前から耳の早いリスナーをざわつかせ、ささやくように「ありのままの女子の日常」をラップする泉まくら。Fragment率いる術ノ穴からリリースされた今作『卒業と、それまでのうとうと』には、OMSB(SIMI LAB)、Lil'諭吉、Avec Avecらが参加し、デビュー作にして個性を確立する名盤です。

噂のフィメール・ラッパー、待望のデビュー!!

泉まくら / 卒業と、それまでのうとうと
【価格】
mp3 単曲 150円 / アルバム 1,500円
wav 単曲 150円 / アルバム 1,500円

さみしくて、流されやすくて、そしてちょっぴりエッチで。ラップをしちゃう普通の女の子、泉まくらのデビュー音源が術ノ穴からリリース! ささやくように歌われる言葉は、強くも弱くも大袈裟でもなく、ただただ「ありのままの日常」。

女子たちの憂鬱を歌う新人MC

女子は共感を求める。TwitterのRTや、SNS上の“イイネ!”の数にほくほくしたり、女子会で“そうそう!”や“あるある~”を共有してもらって、1人じゃない気になって満足する。女子たちは日常的に“群れる”ことによって寂しさを紛らわせるが、ふとした時に気づくのは結局一人だという感覚。いつも全力で前向きなアイドルや、最終的にうまくいく少女漫画の主人公に夢を見つつ、それらとかけ離れた現実の自分を見ないようにしている。共感や共有を求める一方で、他人と自分、理想と現実を比べてしまう。そんなもやもやとした憂鬱を、“女子たち”は隠し持っているのではないだろうか。

今回、トラック・メイカーでありレーベル・オーナーであるFragmentが見つけ出したのは、そんな“女子たち”の憂鬱を歌う新人MC、泉まくら。デビュー作となる『卒業と、それまでのうとうと』では、学生時代のモラトリアムを詰め込んだ「春に」、昨年6月にYouTubeに投稿された処女作「ムスカリ」など、泉まくらの始まりとなる5曲が収録されている。SIMI LABのOMSB、観音クリエイションなど、腕自慢のプロデューサー陣が彼女の楽曲をサポート。さらにAvec AvecやLil'諭吉によるリミックスを収録。ヒップ・ホップ畑から始まって、ジャンルレスなリリースを続けてきた術ノ穴らしい、幅広いリスナーの欲をきっちり満たすアルバムに仕上がっている。泉まくらが歌う日常をそのまま表現したような「balloon」のPVは必見だ。

<もっと自然でいいと思った 傷つくのも喜ぶのも誰かが離れていくのも  受け止めるなんて大げさでなくとも>(「reunion」)

同性の著者にとって、“ありのままの日常”を、ラップという形で淡々と表現する彼女の楽曲からは、痛々しさを感じることもある。舌足らずの囁くような声に隠された剥き出しの感情を、女性は、そして男性は、どう捉えるのだろうか。大変興味深い。泉まくらが”普通の女の子”なのか、判断するのは”女子たち”だ。痛みを共有するもよし、少女漫画やドラマの世界の話だと一歩引いて見るもよし。まずは聴いていただきたい。そして、さあどうする男子。甘ったるい声に惑わされてはいけない。女子会でも晒されない感情を、覗いてみる勇気はあるだろうか?(text by 櫻井希)

次世代の女性ヒップホップ・アーティストたち


DJみそしるとMCごはん / Mother's Food

ちょーやばい。なんでしょう、この丁度いい塩梅。割と“まんま”使いのトラックは主張し過ぎないけどツボを外さない。字余り字足らず上等のリリックは、リズムの揺れも含めて、クセになるようなグルーヴ生み出しまくり。フロウだのライムだのっていうヒップホップめいた要素も、まとめて絞ってハイOKてな具合。

DJみそしるとMCごはん特集


Moe and ghosts / 幽霊たち

ラップ担当の萌とトラック担当のユージーン・カイムによるゴースト・コースト・ヒップホップ・ユニット、Moe and ghostsの1stアルバム『幽霊たち』が、佐々木敦主宰のHEADZからリリース。緊張感を持つトラックにのる濃密なラップが、従来のヒップホップを切り裂く。これは、新たな音楽体験だ。

Moe and ghostsインタビュー


COPPU / STORY TELLER

普通の女の子がスキルフルなラップをするライヴが衝撃を呼び、今、ラッパー達の間でかなりの話題になっているフィメール・ラッパーの、待望のアルバムが登場!!

PROFILE

泉まくら

福岡県在住。MC。
2011年6月処女作「ムスカリ」をYouTubeに投稿。活動を始める。
2012年 術ノ穴加入。
2012年11月29日 デビュー音源『卒業と、それまでのうとうと』リリース予定。

HP

この記事の筆者

[レヴュー] 泉まくら

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