2012/11/22 00:00

UKダンス・ミュージック界の革命児、Fake Bloodが長い間待ち望まれていたデビュー・アルバムを遂にリリース! Underworld、Calvin Harris、Armand Van Helden、The Count & Sindenなど、ジャンルを問わず様々なビッグ・アーティストのリミックスを手掛け、ダンス・ミュージック界にその名を轟かせたニュー・カマーが登場!

Fake Blood、デビュー5年目にして、待望の1stフル・アルバム登場!

Fakeblood / Cells
【配信価格】
mp3, WAV共に
単曲 200円 / アルバム 1,500円

【Track List】
1.Yes/No / 2.Airbrushed / 3.Phantom Power / 4.End of Days
5.All in the Blink / 6.Let It Go / 7.Another World
8.Sideshow / 9.Soft machine / 10.London / 11.Contact

2007年から現在までにUnderworld、The Kills、Calvin Harris、Armand Van Helden、The Count & Sindenなど、ジャンルを問わず様々なビッグ・アーティストのリミックスを手掛け、ダンス・ミュージック界にその名を轟かせたFake Blood。今年9月にリリースされた『YES/NO EP』は強烈なエレクトロ・チューンの新曲を3曲収録し、瞬く間にクラブ・アンセムとなったのは記憶に新しいところ。今作はUKダンス・ミュージック界の革命児による、待望のデビュー・アルバム!

現在をキャッチする新鮮なアイデア

ネットの登場で、ミュージシャンのプロモーション方法は多様化した。自らのホームページを持つのは当然として、TwitterやFacebookなどのSNS利用、Ustream、YouTubeといった各種動画サイトでの映像配信など、アーティストは旧来になかったさまざまなやり方でリスナーとコミットしている。

今回紹介するFake Bloodこと、Theo Keatingがおこなっているプロモーションは、その中でもかなり挑戦的でユニークなものだ。彼は、自らのサイトで今回リリースしたアルバム『Cells』の全曲無料試聴を行っているhttp://www.fakebloodmusic.com/。普通無料のフル試聴とは、リリース前の数日間で行われるものだが、『Cells』のページはアルバムが発売された今もまだ存在している。皆さんは、このページを見てどのような感想を持つだろうか。自殺行為? 確かに一理あるかもしれない。しかし、僕はそう思わない。簡素なグリッドで区切られたサイトの中央には、まるでCDジャケットのようなグラフィックが配置されており、クリックすると、対応した曲が流れ出す仕組みになっている。曲は全てBPM128~130の四つ打ちで構成され、音数自体も少ないが、一つ一つ の音が洗練されていて、非常にキャッチー。頭に流れ込んでくるシンプルかつ強烈な印象は、デザインと完全に一致し、相乗効果を成している。この関係は、クラブ・シーンとグラフィック・アートが密接な関係を結んできた歴史のまさに延長線上にある。優れたジャケットやフライヤーが、「ミュージシャンの音を視覚化した作品」として人々の間で認知され、保存されるのと同様に、このサイトもクリエイティビティの高さゆえ、一つの作品としてネットの海に保存され続けているのだ。

Fake Bloodは、今回の試みの先に何を見ているのだろう。それは、音楽を楽しむための新しい提案ではないだろうか。実際、HPを見ることによって、彼の音楽への興味を喚起された人は多いはずだ。クラブに足を運ぶもの、音源をダウンロードするもの、そのまま試聴ページで楽しむもの、様々な形で彼の音楽を楽しんでいる人々の姿が僕の目には浮かぶ。ただ、その仕掛けを駆動させているのはあくまで、『Cells』に収められた楽曲の強度であるということは忘れてはならない。93年にTHE WISEGUYSのDJとして音楽活動を始め、UnderworldやCalvin Harris、The Killsなど、ジャンルを問わず様々なアーティストのリミックスも手掛けてきた彼は、ひたすら曲を作り、プレイ続ける生活の中で、自身が求める音を磨き上げてきたのだろう。このアルバムから聞こえてくるキックの音の鮮明さは、その研鑽を雄弁に物語っている。時代を横断して積み重ねられた経験と、現在をキャッチする新鮮なアイデアが重なることでこの作品は生まれた。Fake Bloodが作った『Cells』の世界に是非アクセスしてみてほしい。入り口はいくつも用意されている。どこにどうやって飛び込むかはリスナーの自由だ。(text by 上野山純平)

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PROFILE

Fake Blood

UK出身のダンスDJ/プロデューサー、Theo Keatingによるソロ・プロジェクト。94年にTHE WISEGUYSのメンバーとしてデビュー後、THE BLACK GHOSTSやMachines Don't Careなど様々なグループを結成。Fake Blood名義では08年に『Marz』(UKインディー・チャート16位)でシングル・デビュー。現在までにUnder World、The Kills、Calvin Harrisなどにリミックスを提供している。

Fake Blood HP

この記事の筆者

[レヴュー] Fake Blood

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