2012/06/15 00:00

6年振りのオリジナル・アルバム登場

ZOOBOMBS / THE SWEET PASSION

活動歴17年を超える、世界を跨ぐ日本のロック・バンドZOOBOMBS! 日本・北米発売、6年振りのオリジナル・アルバムにして10作目のアルバム! 常に「その瞬間の輝き」に向かって深化し続ける彼らが、震災を経て「今、演奏すべき音楽」を詰め込んだという熱情の逸品。


【価格】
mp3 単曲 : 200円 / アルバム : 1800円

今、演奏すべき音楽

ZOOBOMBSの作品には情熱の種が散りばめられている。作品に潜む種を拾い集め、耳に残るグルーヴが少しずつ大きくなる。全ての曲が鳴り終わる頃には、何かがしたい欲求でどうにかなりそうになる。僕はその欲求に耐えられず、無我夢中で文字を打ち込んでいる。ああ、いますぐにでもライヴに行って、この情熱を爆発させたい。

去年の暮れに、EP『AGITATION』が発売されたが、オリジナル・アルバムとしては実質6年ぶりの作品。アメリカ・ツアーの直後、オークランドでレコーディングを敢行し、去年の4月に一度は完成した本作。だが、帰国する彼らの眼前に起きた東日本大震災により、状況は一変する。混乱に陥っている日本で、音楽をやることに疑問を抱き始めたドン・マツオ(Gt&Vo) は、アルバムのリリースを一度断念する。そして1年間の間、瞬間の昂揚と葛藤の中で生まれた自分たちの楽曲を見つめ直し、昂揚を情熱に変えること。そして、曖昧な部分を削ぎ落し、最上のアルバムを打ち出すことが今の自分たちのやるべきことと決意する。そうして新たな息吹を吹き込まれて生まれたのが、今回の 『THE SWEET PASSION』というアルバムだ。

音楽において、やたらと説明したり、定義づけたりすることはナンセンスだとは思うが、彼らの楽曲は本当に説明する言葉が見つからない。ヒップ・ホップの観念の下に生まれるファンクのグルーヴを、オルタナティヴ・ロックの中で昇華させてしまう。つまり、解析しようとすること自体が無意味なのだ。彼らの音楽は流れるように進んでいくし、僕らはただそれを受け入れるだけ。

記念すべき10作目のアルバムの1曲目に、「Plasticity」(可塑性)、つまり自らの置かれた状況によって表現は姿を変えていくもの、と言い放った。それは情熱の下に変わり続けてきた彼らが、常に「今、演奏すべき音楽」を見つめ続けてきた、という強い自負の表れであろう。「Highway A Go Go」をひっさげて、第1回目のフジ・ロック・フェスティバルを湧かせた彼らは、今や世界中のフロアを飛び回り、情熱の種を拡散させている。伝染するエネルギーを、いつまでも僕は追いかけていたい。(text by 鰐川 翔伍)

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ズットズレテルズ / 第一集

ZOOBOMBSの持つドス黒いグルーヴに、若いエネルギーを注入したような狂騒を撒き散らす、ズットズレテルズ。リリースから約1年半を経過してもロング・セラーを続ける名盤中の名盤『第一集』。リリース当時18歳であった恐るべき7人組の最初で最後のアルバム。著名ミュージシャン、各メディアから大絶賛の嵐を浴びた作品。


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PROFILE

ZOOBOMBS
1994年にドン・マツオ(Vo,G)を中心に結成された4人組ロック・バンド。1997年にアルバム「SUPER FUNCY OF ズボンズ」をインディーズから発表し、コアな音楽ファンを中心に熱い支持を受ける。ファンクやソウル、ヒップ・ホップなどの要素を色濃く取り入れたガレージ・ロック・サウンドが魅力。日本のみならず海外にも熱狂的なファンを持ち、オーストラリアやカナダなど本格的な海外ツアーも頻繁に実施している。またドン・マツオは2006年にソロ・アルバムも発表。現在に至るまで精力的なライヴ活動を続けている。

ZOOBOMBS official HP

[レヴュー] ズボンズ

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