2012/05/11 00:00

最先端エレクトロ・デュオが、約3年振りの3rd Albumをリリース!

Simian Mobile Disco / Unpatterns

前作ではグリフ・リース(スーパー・ファーリー・アニマルズ)、アレクシス・テイラー(ホット・チップ)、ジェイミー・リデル、ベス・ディットー(ゴシップ)等をゲスト・ヴォーカルとしてフィーチャーし話題となったが、今作はその対極で無駄をそぎ落としたピュアな作品となっている。

【価格】
MP3、WAV共に : 単曲150円 / アルバム1200円

人間でしか生み出せないグルーヴを機械で再構築する

前作『Temporary Pleasure』から約3年の時を経て帰ってきた、最先端エレクトロ・デュオ"シミアン・モバイル・ディスコ。メンバーの一人であるジェイムス・フォードは、アークティック・モンキーズのプロデューサーとしても才能を発揮しており、その洗練された洞察力を土台にしたアウト・プットが今作にも活かされている。

グリフ・リース(スーパー・ファーリー・アニマルズ)、アレクシス・テイラー(ホット・チップ)などのゲスト・ヴォーカルを迎え、ポップに「聴かせる」ことが重視されていた前作とは打って変わり、今作はミニマルに、爽やかに、そしてシンプルに「踊らせる」ことに集中している。今作の代表曲「Cerulean」は特にゆったりとしたボサノヴァを感じさせる様なベース・ドラムの上で、メロディーが細かくシンコペーションする事により、ゆったりかつ瞬発力のあるグルーヴを創りだしている。曲の展開も最小限に抑えられ、「聴かせる」ことから完全に脱出し、ミニマルに、気持ちよく「踊らせる」ことに全ての力が注ぎ込まれている。

しかしただ単にミニマルなだけでない。よく聴いてみるとメロディーは複雑で、ミニマルな曲調を保ちながらもその単調さを脱しようとしている試みが、つまりアルバムのタイトル『Unpatterns』の意味がそこに隠れているのだ。ここでメロディーは、いわゆる「歌」としてでなく、飽きさせないグルーヴを生み出すツールとして使用されている。またアルバムを締めくくる「Pareidolia」では、デジタルな「ネバネバ感」を出す事に成功している。いわゆるアフリカ特有の人間味溢れるネバネバしたあのグルーヴ感を、レイドバックした電子音とノイズを使うことによって巧みに創り上げているのだ。テクノロジーと音楽の歴史的関係をみると、最初は人間の作りだしたものを機械で模倣し、ドラムン・ベースが生まれてからは逆に人間がそれを人力で演奏、再び人間にしか生み出せないグルーヴ感を機械で再構築しようとしている。こうした音楽とテクノロジーの追いかけっこは非常に面白く、そこから新しい可能性がどんどんと生まれてくるのだと強く感じている。

今作は、シンプルに「踊らせる」という音楽の原点が強く見える作品であると同時に、新しい道を開拓し続ける彼らの唯一無二のサウンドではないだろうか。とにかくファットボーイ・スリムも太鼓判を押しているこの作品を、是非とも聴いてもらいたい。(text by 恵谷隆英)

RECOMMEND


X-PRESS 2/ THE HOUSE OF X-PRESS 2

ファットボーイ・スリム主宰の名門SKINTからUKハウス・ミュージックの大ベテランにして最高峰、エクスプレス・ツーの世界的大ヒット・アルバム『MAKESHIFTFEELGOOD』に続く6年振りのニュー・アルバム『THE HOUSE OF X-PRESS 2』が完成。

X-PRESS 2の特集はこちら


VA / Never Trust a dj mixed by stereociti

ベルリンのMOJUBAからリリースされたデビュー・アルバム『Kawasaki』で世界中のディープ・ハウス、ビート・ダウン・ハウス・ファンから脚光を集め、現在、東京アンダーグラウンドで、最もカッティングエッジなディープ・ハウス・サウンドをクリエイトする注目アーティスト/DJ、stereocityの初のオフィシャルDJミックス作品が登場。


TOMOKI A HEART / INNERVOICE

自らが立ち上げたMetro Juice Recordsをはじめ、Sound Channel、i220 Records等、国内外のレーベルからリリースを重ねてきたTomoki Tsukamotoが、"TOMOKI A HEART"として、約12年ぶりの新作であり、ファースト・アルバムである『INNERVOICE』を遂にリリース。

PROFILE

シミアン・モバイル・ディスコ

元々シミアンというバンドで活動していたジェイムス・フォードと、ジャス・ショウが結成したエレクトロ・デュオ。2007年のデビュー・アルバムは各メディアで年間チャートにランクインし、一大エレクトロ旋風を巻き起こした。2009年には2作目『テンポラリー・プレジャー』を引っ提げフジロックに出演。J・フォードはアークティック・モンキーズの全英1位獲得アルバム3作品のプロデューサーとして手腕を発揮している。

この記事の筆者
TOP