2012/04/30 00:00

EeMu11ヶ月連続企画第3弾が登場!

イチオシ・レーベルLOW HIGH WHO?に所属し、ビート・メイカーとして活動するEeMu。2011年12月にファースト・アルバム『Nothings』をリリースしたばかりの彼が、2012年2月から11ヶ月連続でEPをリリース。OTOTOYでは、その11ヶ月を、ヒップ・ホップ・ライターの遼とヒップ・ホップ担当和田隆嗣(僕です!)が必死に追いかける熱愛企画。その第3弾が届きました。

EeMu Monthly Collection vol.3

EeMu / Purple Garden

【価格】
MP3 : 単曲150円 / アルバム600円
WAV : 単曲200円 / アルバム600円

第3弾はギターリストたちをフィーチャーし、情熱と冷静の狭間に生まれた「ギター・ビート」集。

映画体験のような感情の揺らぎを味わえる

シリーズ3作目。EeMuは元々トラック・メイカーとしてはある程度完成された人物だと思っていたが、回を追うごとにクオリティが上がっていく。本作は前2作を上回る、これまでのシリーズで最高の作品だ。

軽いノリだった前作とは打って変わってやや大仰な曲名が並ぶ本作は、音もより大きな風景を描こうと様々な楽器が扇情的に鳴らされる。中でもタイトル曲「Purple Garden」は、本作の初弾であると同時に白眉の1曲だろう。むせび泣くようなギターの上に、途中から図太いホーンが乗っかってくる。低音、高音で全く異なる感情を奏でているような2つの楽器の共演する後半部分は、インストだからこそ感動する。仮にここに下手に言葉が乗っかっていたら、これらの楽器が奏でている感情が隠れてしまうから。

反対に、音だけでの感情表現を捨て、断片的に言葉を差し挟むことで同様の効果を狙ったのが次曲「Lead」だ。至って沈着だったビート上に、突如ノイズや悲鳴とも付かないボイス・サンプル、Kuroyagiの声が溢れだす。それらの荒ぶような音たちが、最後には静かな環境音で閉じられていく。言葉も映像もないが、一種の映画体験のような感情の揺らぎをきっと味わえることだろう。

後半の2曲もさることながら、前半2曲の対照的な作りと、それにも関らず曲の目的意識が一貫している様を感じるだけでも、本作のクオリティを実感できることだろう。シリーズ毎にある程度想定されるシーンが決まっていて、見事にEeMuの意識した世界を、聴き手に伝えることに成功していると思う。インストだから、そしてコンパクトなEPだからこそ、最小限の力で最大限に彼の才能を引き出している。EeMuの技量はもちろんのこと、狙いが凄く上手い企画だと改めて唸らされた。(text by 遼)

>>>EeMu『Nothings』のインタビュー特集はこちら

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EeMu Profile

北海道出身。中学からヒップ・ホップに目覚め、高校の頃には音楽性を確立し、全国のEDWINショップの店内BGMのオファーも来るほど当時は周囲を驚かせていた。その後、自身の多名義によるプロジェクト、様々なアーティストへのトラック提供をはじめ、現在はWEBサイトやCM、ドラマなどテレビ音楽などにも提供している。ブラック・ミュージックからクラブ・ミュージック、環境音楽などにも幅広くセンスに取り込み、仲間からラッパーから、音楽家たちからも愛されるビート・メイカーとしてコンポーザーとしてレーベル「LOW HIGH WHO?」を支え続けている。

EeMu official HP
LOW HIGH WHO? official HP

この記事の筆者

[連載] EeMu

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