HALFBY10周年! 待望の新作を配信開始

今年で活動10周年を迎えるHALFBYが、アニバーサリー・イヤーに放つ渾身の新作『Leaders Of The New School』が到着! 本格的にスタートさせたバンド・セットでのライブ活動を通し、さらにアグレッシヴに進化したパーティ・サウンドを展開。リップスライムとの共作曲も話題の西海岸発ヒップホップ・グループ、アグリー・ダックリングのラッパー、アンディーもゲスト参加。DIPLOやA-TRAKが提示する最新ダンス・ミュージックともリンクしながら、あくまでHALFBY的ポップ感覚を突き通した過去最高級にダンサブルで刺激的な一枚になっています!

裏テーマはニュー・スクール&ムーンバートン?

HALFBY / Leaders Of The New School
Label : SECOND ROYAL RECORDS

1. The Lesson of O.N.O / 2. Tommy Boy / 3. New Message For School / 4. Line It Up / 5. Bitch Attack! / 6. A Morning Dew (Album Ver.) / 7. Mic Stalker / 8. Bandage Vice-Principal / 9. Queen Of RAP / 10. Love Step / 11. Methods Of Droppin' Mental

HALFBY INTERVIEW

前作『The Island Of Curiosity』はダンス・ミュージックからはボルティモア・ブレイクスを、インディー・ロックからはヴァンパイア・ウィークエンド以降のトロピカル・サウンドを参照し、それらを接続/昇華させ、南太平洋に浮かぶ常夏の架空の島にいるようなリゾート感漂うダンス・ミュージックに着地させたところに創造力があったHALFBY。そして、今作『Leaders Of The New School』ではその融合を更新させるかのように、細分化されつつあるベース・ミュージックから彼の感性が反応したムーンバートンのビートを新たに導入し、快楽の速度を上げ続けている。もうこれは底抜けに明るく、パーティ・ヴァイヴ溢れる祝祭が40分弱に渡って繰り広げられるHALFBY流ベース・ミュージック・アルバムなのだ。自閉化の道をたどるだけの国内クラブ・ミュージック・シーンに一石を投じるアルバムが、流行に左右されずどこまでも自然体に自らの感性を解き放った『Leaders Of The New School』であってほしいと私は素直に願ってやまない。

インタビュー&文 : 坂本哲哉

わかりやすさを重視したかった

――前作『The Island Of Curosity』から一年半で今作『Leaders Of The New School』のリリースとなるわけですが、制作を始めたのはいつ頃なのでしょうか?

去年(『The Island Of Curiosity』を)出したあとくらいからですね。

――アルバムを作るにあたって、何かアイデアはあったんですか?

全然なくて。今までは、アルバムをリリースしてツアーを回っている間に新譜を大量に聴いて、アイデアを練り込んでから次のアルバムを出すという感じだったんですけど、今回のアルバムは本当にノー・アイデア。リリースすることだけ先に決まっていましたね。

――具体的なアイデアがない状況で、イメージしていたことはありますか?

全くキャリアが異なるものではなくて、前作の雰囲気を継承しているものにしたいと思っていました。前作だとトロピカルな要素があったりだとか、ダンス・ミュージックに片足突っ込んでいるような感じだったんですけど、そういった要素を受け継ぎつつ、ディプロとかのダーティーなベース・ミュージックを取り入れて、それとは違ったもうちょっと色の濃いアルバムを作ろうかな、とぼんやりと思っていました。

――今作は、非常にダンス・ミュージックに特化していますよね。ダンス・ミュージック寄りのアルバムになったのは、何かにインスパイアされてのことだったんですか?

Mad Decent(ディプロが主宰するレーベル)が好きで、動きを追っていたんです。でもそれを自分のオリジナル曲でやるのはどうかなって思っていたので、人のリミックスとか自分のシングルのリミックスに、バイリ・ファンキやボルティモア・ブレイクスのニュアンスを盛り込んでいたんです。そういった中で、自分の中にも感覚が根付いてきたので、アルバムを作ろうと思った。最初からダンス・ミュージックを作ろうと意図していたわけではないんですよね。

――ダンス・ミュージックに寄ったのは結果論であると。

そうですね。アルバムとして出したいと思ったのが結構曲を作った後だったので、最初は迷走していて(笑)。前作はその前の作品(メジャー・デビュー盤『Side Farmers』)から続くインディー・ポップ的なニュアンスを引きずっていたんですけど、今作ではバッサリ切ろうと。もっとわかりやすさを重視したかった。手広くぼんやりと広がっていくところを、もうちょっと凝縮してフォーカスさせたいなとは思っていました。

――今作では、裏テーマとしてムーンバートンを掲げていらっしゃったと思うんですけど。

はい。まあ、ムーンバートンを聴きだしたのは、アルバムが半分以上出来上がってからなんですけど(笑)。僕が好んで聴いていたムーンバートンは、BPMが108であったり、サンプリングのループを軸に構成されていて、エレクトロ的なレイヴィーなシンセが入る展開があって。そのムーンバートンがもともとHALFBYの根底にある「ヒップ・ホップ+α」の「α」のところとシンクロしているのかなと思ったんですね。何というか、その108くらいのBPMが、前作でやっていたトライバルでトロピカルなビートと繋がるんじゃないかという感覚があった。

――前作よりもビートが強い印象を受けましたが。

前作では、曲の構成は四つ打ちやハウスといったダンス・ミュージックだけどビートはスカスカという感じをわざと狙っていたんです。でも今回は、ディプロ・ショックというか、単純に低音が効いたビートが良いなと思って。

明るい音楽をナメてもらっては困る

――アルバムのジャケットのデザインやPVの方向性はご自身で決めているんですか?

デザインとかPVも全部曲を作るときと同じ感覚でサンプリングしてきて、抱き合わせて形にします。笑えてナンボのような感じで、サンプリングしてきたものをコラージュしているものが好きなんですよね。曲のイメージを増幅させるようなものとして作っています。

――私は、HALFBYの音楽はポップ・ミュージックとしても機能すると思っているんですね。それに加えて、遊び心やユーモアを感じるんです。そういうユーモアの源泉はどこに潜んでいるのでしょう。

もともとHALFBY的なスタイルの根底にあるのが、その当時ないもの、あるいは自分が面白いと思ったものを出していこう、ということなんです。流行を避けて避けてやっていたらこうなった、という感じですね。

――あまり流行は気にしないと。

まあ新譜も大量に聴くので、新しいビートにも敏感に反応するし、流行は充分理解しているつもりです。でも流行をそのまま出すアーティストは必ず派生して出てくるじゃないですか。そういうのは意味が無いと思っているんですよ。焼き直しではなく、それなりのアイデアを設けることによって、ポップ・ミュージックとして成立させようとは思っています。例えば前作のトロピカル・サウンドは、ヴァンパイア・ウィークエンドに触発されているんですけど、世界的にみてもDJとしてアルバムでそういうことを実践しようとしている人って少ないかなと思うんですよね。

――過去の音楽はどういったものをよく聴くのですか?

特にどこを掘りさげているというわけではないですね。ソウルが好きだとか、レアグルーヴが好きだとか、レゲエが好きだとか、そういうのは本当になくて、幅広く浅く聴いています。ライトに雑多な感じで。

――それが作品にも生かされていると思いますか?

直結しているとは思うんですけど、だからといって凄く良いソウルのアルバムができたりはしないと思うんです。編集力命というか、今まで自分が聴いてきたCD、レコードの中からセレクトしてきてなんとか一曲に仕上げるんです。何というか… その、嘘で固めるというか(笑)。自分の根本にはどこかにリスナー気質があるのかもしれないですね。レコード屋でも働いていたから、バイヤー感というものかもしれない。

――現在もレコード屋で働いていらっしゃるんですか?

いや、ここ最近は働いていないですね。所属しているだけ(笑)。

――レコード屋で働かなくなったことは、活動に影響を与えましたか?

レコード屋で働いていたときは、バイヤーのアンテナとDJのアンテナの二本柱で良いバランスを保って、楽曲制作にあたっていました。けど、レコード屋で働かなくなってからは、良い意味で新譜をそんなに気にしなくなったんです。そのことが楽曲制作において、より音楽的な濃度を高める結果になったのではないかと思いますね。もちろん新譜もたくさん聴いているんですよ。でも、今の情報量って膨大すぎて。昔はアナログ盤で出ているものが、自分の中でも良いものだっていう判断基準になっていました。今はアナログも昔ほどリリースされなくなって、インターネットでブートの音源とか膨大にあって、どれが新譜で、どれが最先端なのかわかりにくくなっていると思うんです。だから新譜を聴いているという感覚はなく、どの音楽でもフラットに聴けるようになりました。

――話を伺っていると、HALFBYにはぶれない芯があるように感じます。楽曲制作をする上で、意識していることはありますか?

能天気な音楽を突き詰めたいという思いはあります。「明るい音楽をナメてもらっては困る」という気持ちですかね。「軽薄にみられがちな明るい音楽にもいろいろ毒は盛られているぞ! 」というか。そういう筋は通したいなと思っています。あと、ポップな感じでちょっとオタクなことをしているつもりです。B級感というか、ひねくれているというか。マニアックな感じで音楽的には様々な要素をカオティックに詰め込んではいるけれども、ポップ・ミュージックとして機能することが重要だと意識しています。

――アルバムを作るとき、コンセプトを考えますか?

後付け程度です。今作でいえばヒップ・ホップの「ニュー・スクール」と学校の「スクール」をかけて、「ヒップ・ホップの2011年型の提示をこの学校で習いませんか? 」みたいな、結構適当な感じ(笑)。何も考えずに作り出したものをひとまとめにして、わかりやすく提案するということがあっても良いかなということですね。

――HALFBYはファースト・アルバムからヒップ・ホップの感覚が強いと思うんですけど、ご自身が考える「B-BOY感」ってありますか?

ヒップ・ホップの定義は別にあると思うんですけど、自分がB-BOY感を強く感じているのは、デ・ラ・ソウルのファースト(『3 Feet High and Rising』)であったり、ア・トライヴ・コールド・クエストであったり、いわゆるネイティブ・タン一派の音色です。遊び心ですね。何か肩の力が抜けて、リラックスしていることは重要だと思うんですよ。僕の理想とするラッパー像が、白人でガリガリでメガネかけて天パみたいなやつ(笑)。マッチョな黒人というよりかはそういうやつのほうがいいラップをしそうだなっていうか。まあいわゆるB級感ですよね(笑)。

――HALFBYとして活動を開始されてから今年で10年とのことですが、この10年間で何か変わったことはありましたか?

特にないです(笑)。楽器も相変わらず何も弾けないんで(笑)。

――10年は短かったですか? それとも長かったですか?

短いと思えば短い。長いと言えば長い(笑)。

――(笑)。では、高橋さんは、DJとして全国各地のクラブや夏フェス等を飛び回りながら、リミキサー/プロデューサー/アレンジャーとしても幅広く活躍、映画音楽や企業CMなど多数手がけていらっしゃいますね。その中で得たもの、失ったものあると思うんですけどどうでしょうか?

得たものの方が多いんじゃないかなと思います。10年前は音楽が占める部分はそんなに大きくなかったんですけど、10年で深く音楽に接することができるようになった。でも、スタンス的には変わっていないですね。いい加減に軽薄に聴いたりもできるし。ドラッグに走ったりもしない感じで(笑)。

――今後の活動で何かやってみたいことはありますか?

B-BOY熱が上がってきているので、日本人のラッパーと一緒に何か作りたいなと思っています。

――今海外や国内のシーンで面白いと思う動きはありますか?

海外はディプロが紹介するダーティーなベース・ミュージックとか、いわゆる辺境のブレイク・ビーツですね。そういうものはずっと好きで追いかけています。ダブステップみたいな頭でっかちなものよりも、ネタ一発勝負のムーンバートンとかの方がグッとくる感じですね。国内は、横浜のPPPとかやけのはらくんとか、次の世代の良いアーティストが一杯いると思います。

――HALFBYとしての活動を続けるモチベーションは何なのでしょうか?

そんなに強く考えていないですね。別にもう終わってもいいんですけど(笑)。アーティスティックな面は、モチベーション的にそんな高いところにはなくて、自分が面白いからやっている。自分が面白いものが作れるという自信がある。自信というか、単純に自分が「こうあったらいいな」と思えるものが今海外にも日本にもないから、それを作るというだけです。

LIVE at UNIT 2011.10.22 -HALFBY 10th ANNIVERSARY-

10月22日代官山UNITで開催された、その10周年記念&通算4作目となる新作『Leaders Of The New School』のプレ・リリース・パーティーでのライヴ音源をKORGのDSDレコーダーで録音した本作。LIVEではHALFBY AND HIS MYSTIC ARKESTRAというバンド・セット名義で、『Leaders Of The New School』からの楽曲も披露し、最高のパーティー・チューンの数々を収録! Let's party!

HALFBY AND HIS MYSTIC ARKESTRA / LIVE at UNIT 2011.10.22 -HALFBY 10th ANNIVERSARY-

【配信形態】
1)DSD+mp3(320kbps)※約1.4GB
2)HQD(24bit / 48kHz)※約653MB
★オリジナル・デジタル・ブックレット(PDF)付き

【価格】
各1200円(アルバム購入のみ)
【Track List】
1. Flash Bam 〜 Juicy / 2. Tommy Boy / 3. A Morning Dew / 4. Whispering My Name 〜 Blue Condition / 5. Mad Surfin' 〜 Bitch Attack / 6. Hunting Out Of Season / 7. HALFBEAT 〜 Rodeo Machine -encore-

Recorded by 高橋 健太郎 & 小坂 康太郎 at UNIT 2011.10.22
Mixed & Mastered by 高橋 健太郎 at Memory Lab
Recorded & Mastering by KORG MR-2000S DSD recorder
Photos by Nozomi Wachi

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HALFBY PROFILE

DJとして全国各地のクラブや夏フェス等を飛び回りながら、リミキサー/プロデューサー/アレンジャーとしても幅広く活躍、映画音楽や企業CMなど多数手がける。05年1st『GREEN HOURS』、07年メジャーからの2nd 『SIDE FARMERS』、10年3rd『The Island of Curiosity』と計3枚のフル・アルバムをリリース。30箇所を廻る昨年の全国ツアーでは、初のバンド・セット HALFBY AND HIS MYSTIC ARKESTRAのライヴも敢行。デビュー10周年となる今年、通算4枚目となるフル・アルバム『Leaders Of The New School』を11月16日にリリースする。

この記事の筆者
坂本 哲哉

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