Kilk recordsからデビューを記念して、フリー・ダウンロード配信開始!

hydrant house purport rife on sleepy(ハイドラント・ハウス・パーポート・ライフ・オン・スリーピー)が待望のデビュー・アルバム『roll over post rockers , so what newgazers』を11月16日にリリースする。すでに海外でもライヴを敢行し、その反応も上々。これまではほとんど自分たちのホームページでの無料配信しか行なってこなかった彼らが、ひょんなことから近頃売り出し中のレーベル、Kilk recordsと出会ったというのだから面白い。

hydrant house purport rife on sleepyが繰り出すサウンドはきわめて自由度が高い。ポスト・ロック、シューゲイザー、プログレ、サイケ、ヒップ・ホップ、アンビエントなどなど、自分たちが好む音楽を無邪気にミックスさせている。それにしても、ごった煮感の強さに反して、アルバムはとても風通しのよい仕上がりなのがお見事。青木裕(unkie、downy)、森大地(Aureole)、cuushe、Ferriをはじめ、ゲスト・ミュージシャンも彼らの新たな船出に華を添えている。こういうD.I.Yなバンドはなかなかいないということも、インタビューから伝わればうれしい。まずは、OTOTOYのみの先行配信でフリー・ダウンロードを行う『wonderlust EP』を聴いてみてほしい。きっとフルレンス作への興味が湧くはずだから。

インタビュー&文 : 田山雄士

>>>『wonderlust EP』のダウンロードはこちらから(期限 : 10/20〜11/20)

hydrant house purport rife on sleepy / wonderlust EP

【Track List】
1. from kitchen to the garden / 2. vote feat.chiyo(kottur) / 3. confronts difficultly / 4. bet on magic feat.ferri / 5. wonderlust / 6. long moment feat.mike hannah(the mootekkis)

INTERVIEW

自己完結していたところがある(yawn of sleepy)

——hydrant house purport rife on sleepyはもうすでに海外でもライヴをやってるんですよね?

金子祐二(以下、祐) : はい。結成して少し経ってから、2008年にカナダで1ヵ月強のツアーを回りました。
yawn of sleepy(以下、Y) : バンドの初期に、今回のアルバムの1曲目でも参加してくれてるカナダのミュージシャンのAlex Keleher(Wooden Wives)と日本のライヴで友達になって、彼がカナダに呼んでくれたんです。割としっかりとしたコミュニティがあって、彼はほぼマネージャーのポジションでサポートに徹してくれました。やっぱり、日本にはない環境で自分たちを試してみたかったし、そういう手ごたえを求めていましたね。

左からsleepy it、金子泰介、金子祐二、yawn of sleepy

——ツアーの感触はどうでしたか?

Y : もう、めちゃくちゃよかったです! 自分たちの音楽が伝わってるのがわかった。ギャラもどんどん上がっていったし、すぐにいろんなところに呼ばれるようになってスケジュールが詰まっていったし、大変だったけど楽しかったですね。カナダのインディー・シーンの空気も体感できました。

——その前までは楽曲の制作に没頭してたんですか?

祐 : そうですね。日本に自分たちのスタジオを持っていたこともあって、初期の段階から曲は録っていましたね。
Y : バンドの結成前から、ちょいちょい機材も集めていました。

——組んだばかりのバンドがいきなりスタジオを作るのって、けっこう独特だと思うんですけど。

Y : ですよね(笑)。ドラムの金子がスペースを融通してくれたんです。そこに色々な楽器を持ち込んでいるうちに、まずまずの状態になったっていう感じで。

——じゃあ、初期の段階からスタジオが所有できてて、諸々の作業は基本そこでやっているんですね。

祐 : このアルバムもそうですね。録りに関してはほぼ全部です。

——そういった環境がありながら、ようやくデビュー・アルバムのリリースとなるわけですが、時間がかかった理由は何かありますか?

Y : 僕らって、自分たちの曲を作ってそれを楽しんだら、またすぐに次の曲に取りかかるんです。もちろん、並行してライヴもやりますけど、その辺りで自己完結していたところがあるのかもしれません。
祐 : 曲を作っては、フリー・ダウンロードという形でホームページ上に発表していました。完全に配っている感じでしたね。

——そのときの反応はどうでしたか?

Y : 嬉しいことを言ってもらえる時もあるし、反応が物足りないと感じることもありましたね。レコード屋さんに行ったり、ネットを見たりして他のバンドのいい評判を聞く度に「うーん、負けてねえのにな」って思っていました。もっと自分たちの音楽が拡がってくれたらって思いつつも、いいものが作れてたから「よし! 次! 」みたいな気持ちが強かったです。

——大きな話ですけど、日本の音楽シーンに対して何か思ってたりはしましたか?

金子泰介(以下、泰) : 思う以前のことだったよね(笑)。
Y : そうそう、無知なんですよ。今も割とそう。
sleepy it(以下、S) : こうやって僕らのアルバムがちゃんと世に出るのをきっかけに、徐々に知らなかったシーンも聴くようにはなってますね。色んなバンドとライヴ・ハウスで共演することも最近は増えてますし。
Y : 前野(健太)さんくらいですね。ちゃんと聴いてたのは。昔から友達なんですよ。当時から今の感じのスタイルでしたね。それもミュージシャンというよりは、友達だから聴いていたんです。

——意外な名前が(笑)。アウトサイダー的な部分で波長が合ったんですかね? 今作のタイトル『roll over post rockers , so what newgazers』も「物申す! 」みたいに取れるところがなくもないじゃないですか。

Y : 僕らはシーンに対して、憤りや怒りはそこまでないですよ(笑)。ま、一時期はありましたね。それこそカナダでツアーをしてみて、ライヴ・ハウスのシステムとかもまったく違う経験をしたんです。インディペンデントっていう言葉の意味合いが日本とは違いますよね。そういうことも思いましたけど、現在は、今ある環境の中で楽しく野心的にやれてます。憂うべき状況ではない。タイトルにヘヴィな毒はなくて、ただそう思うから付けただけですね。

——音楽ジャンルを指すワードがタイトルに2つ入るのも珍しいなって。

泰 : 決してそのジャンルが嫌いとかではないんですよ。むしろ好きなんです。
Y : ちょっとスパイス効きめなことを言わせてもらうと、ポスト・ロックやシューゲイザーってパンクと同じくらい簡単だと思うんですよ。引きで見たときに、めちゃくちゃ精密ではないというか。もちろん、突き詰めていけば深みはとてつもなくあります。だから、なんて言うのかな。「すごく簡単なことなんだよ? 」っていうのを言いたいだけです。テクニカルなパンクが成立しないとか、そういうことですね。攻撃性や嫌悪感を込めてるわけじゃない。

——個人的にニューゲイザーっていう言葉は好きじゃないですけどね。

Y : そうそう。「ニューゲイザー」とか「スターゲイザー」とかって、言葉自体が笑っちゃうようなものじゃないですか。「so what」は「何なの? 」ってこと。ただ、そうやってあれこれ言うのも含めて楽しんでるんですよ。愛情を持って、その要素を曲にも入れてますからね。かと言って、「だから、僕らがすごい」なんて主張は一切ないです。否定的なメッセージもほぼない。チクリとあるくらい(笑)。

——ブレない芯があるんですね。Kilk recordsとの出会いについても教えてください。

祐 : 千葉に新松戸FIREBIRDっていうライヴ・ハウスがあるんですけど、そこのブッキングの方からイベント出演のお誘いをいただいたのがきっかけですね。それでKilkのGlaschelimと共演して、Kilkの森(大地)さんにもお会いできたんです。
Y : それが今年の6月ですね。

——え!? 今年なんですか? ごめんなさい。出会いはもっと前なのかと勝手に思ってました。そこからもうリリースって、凄まじい制作スピードですね。

祐 : 半年経ってないです(笑)。
S : レコーディングも、まだだったしね。
Y : デモ音源が少しは形になってましたけど、ほとんど一から練り直しました。今までのストックからのベスト選曲とかでもないんです。この2ヵ月くらいは、凄い楽しかったですよ。

——ライヴ・ハウスで森さんと初めて会った時点で、いきなり契約から何からすべての話が進んだってことですか?

Y : そうですね、ありがたいことに。ライヴの日に決まったんじゃなかったかな。森さんが言うには、今まで契約したアーティストの中で最速らしいです(笑)。森さんがフランクに誘ってくれたのが全てですね。もう「いつ出します? 」みたいな感じでしたね。

——その日がなかったら、今こういう形でアルバムが出てなかったかもしれないですか?

祐 : またフリー・ダウンロードで自分たちのホームページだけに載せてたかも。ただ聴いてもらいたいだけでしたから。
Y : そうだね。ずっと意固地になってるのも違うと分かってはいつつも、そうしたんだろうね。今回は森さん達とやれて本当によかったです。これまではずっと4人でやっていたのもあったし、作業がとにかく楽しかった。
S : パッケージ化するよりも目先の考え方だったというか。フリー・ダウンロードを行うのも、今日作った曲をすぐに聴いてもらいたかったんですよね。
泰 : おかしいくらい何も考えてかったよね(笑)。

「日本でもこんなに自由にやれるんだよ」って伝わればいい

——CDのリリースはカナダでのライヴで売ったものだけ?

Y : そうですね。向こうでツアーの合い間に録って、ミックスしてCDに焼いたやつですね。CDに焼く作業が間に合わないくらいに売れたんですよ。

——そんな話を聞くと、もっと早い段階でオフィシャル作品を出してほしかったって思っちゃうんですけど、そういった諸々を経て、このデビュー・アルバムはどういう内容にしたかったんですか?

Y : シンプルに今あるものを全部見せたかったですね。面白いと感じてるスタイルとか機材とかをそのまま活かしました。僕らって、シーンに対していい意味で無関心だったし、すごく無邪気にいられることができた。あとは海外へツアーに行けたり、自分たちのスタジオがあったりする幸運がある。そういう状況を謳歌してるのが伝わるアルバムにできたんじゃないかな。
祐 : これまでのいろいろな出会いを象徴する1枚でもあるよね。
Y : 森さんに捧げる部分もあるね。今までの自分たちだったら、これは出来ていない。
泰 : デモと最終の音源とではまるで別モノですね。作る過程はとても新鮮でした。いろんな人に参加してもらえたこともそう。出会いがあってこそ、僕らの感性も変わったと思います。
S : 完成形が想像できてなかったから、驚きの連続で楽しかったですね。メンバー以外の参加は意義のある経験でした。
Y : つい偏執を守っちゃうのってどのジャンルにもあるじゃないですか。でも、今回は自分自身に詰め寄ることで取っぱらえた気がしますね。

——ゲスト・ミュージシャンも多彩で面白いですよね。

Y : もともとの知り合いから初めてお願いする方まで、基本的に僕らがオファーさせてもらいました。曲やサウンドと合う人を考えてお願いしましたね。

——たとえば、Ferriさんをフィーチャーした「love and rain」は幽玄な歌と曲調が合っててとても素敵なんですけど、どういう作り方をしたんですか?

Y : あれはコテコテのヒップホップ・ビートが基本にあったんだよね?
S : 曲は僕ですね。ビート先行で、J Dillaをイメージしました。
祐 : ファースト・インスピレーションは誰かが出しますね。そこからみんなでアレンジしていきます。

——アルバム全体として、サウンドで気を遣ったことは何かありますか?

Y : とにかく自由に。それだけですね。でも、以前はテーマを設けた時もありました。アナログ・シンセを買って、それをメインにアルバム1枚作ろうとか。
祐 : 1つのテーマに寄せる時もあれば、今回のように色々とごちゃ混ぜになっているものもありますね。

——1曲目の「60 seconds」はイギリスっぽい質感があるなと思いました。ブリット・ポップやクリエイション・レーベルが好きな人にも反応してほしいです。

Y : ありがとうございます。無意識なんですけどね。単発として作って、オーバー・ダブを重ねて「どう? 」みたいなやり方なので(笑)。

——直感なんですね。あと、プロデューサーというわけではないですが、森さんとのやり取りは作品に影響があったんじゃないかなと。

Y : ありましたね。今年の6月に出会って、7月に打ち合わせをして、8月に録音をして、9月に完パケだったんですけど、そんなハードなスケジュールの中、全部のタームで僕らのために時間を割いてくれたのはありがたかったです。スタジオにもよく来てくれたし、メンバーと森さんの5人でサウンド以外についても話し合えました。
泰 : スルっと懐に入ってくるような人ですよね(笑)。

——わかる気がします。OTOTOYではEPの『wonderlust EP』が先行配信されるんですよね? しかも、やっぱりフリー・ダウンロードっていう太っ腹なリリースで。

Y : お披露目としていいかなって。そっちもジャンルのこだわりのなさが出てる1枚になってます。自己紹介的なものですね。「日本でもこんなに自由にやれるんだよ」っていうのが伝わったらいいなと思います。シンプルに言えば、「音楽って楽しいでしょ? 」ってだけなんですよ。僕らは自分たちの音楽を自分たちですごく楽しめてる。それが強みです。

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INFORMATION

2011年11月16日にデビュー・アルバムをリリース!

海外から大絶賛されている日本の至宝、hydrant house purport rife on sleepyがKilk recordsからデビュー! タイトル『roll over post rockers , so what newgazers』が示すように、ポスト・ロックにもシューゲイザーにも飽きてきている人々への救世主的な作品。誰の力も借りることなく、彼ら所有のスタジオで録ったものを配信のみという形で届けてきた彼ら。「ようやく自分達を分かってもらえるレーベルと出会えた」として2011年Kilk recordsと契約。全曲録りおろしのデビュー・アルバムには、青木裕(downy/unkie)、森大地(Aureole/kilk records主宰)、cuushe、Ferri、Lööfなどが参加。

PROFILE

hydrant house purport rife on sleepy
2006年結成。sleepy it(gt、key、machine)、金子祐二(b、key、gt)、金子泰介(dr、key、machine)、yawn of sleepy(vo、gt、key、machine)の男性4人からなるバンド。ポスト・ロック、シューゲイザー、プログレ、サイケ、クラウトロック、ヒップ・ホップやアンビエントなどをミックスさせたようなサウンドが特徴。音源製作によって探求・啓発を続ける事を基本コンセプトとし、現在は「音楽によってぼくらはもっとクールでいるべきだ」というバーニング・スピアのライナー・ノーツをテーマに掲げている。過去には、配信限定で莫大な数の作品をリリース。ライヴにも定評があり、現在も都内のライヴ・ハウスを中心に活動中。2008年には、5都市12箇所17回にもおよぶカナダ・ツアーを敢行し、限定500枚のCDを完売させる。

hydrant house purport rife on sleepy official HP

この記事の筆者
田山 雄士

ライター/編集者です。

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