2011/10/14 00:00

田中茉裕『小さなリンジ―』 配信開始!

全曲フル試聴企画『EVERYBODY LITSTEN! 』にて、第一弾アーティストとして紹介された田中茉裕(たなかまひろ)。10月19日から26日まで公開されていた彼女のファースト・ミニ・アルバム『小さなリンジー』を、10月27日より配信開始いたしました! このコーナーに寄せられた感想ツイート数は200を越え(つぶやきの内容は本ページ下部に反映されています)、ジョアンナ・ニューサム、ジュディ・シル、矢野顕子に例えられつつも、「そのどれとも違う」「特別変わったことをしてるわけじゃないのに、こんな音楽、聴いたことない」「聴きながら泣きながら帰った」など、数多くの反響を集めた本作。彼女の今の声を、今のピアノの音を、10年後も20年後も聴けるように、あなたの手元に残してください!

田中茉裕 / 小さなリンジ―
【トラック・リスト】
01. ちいさなリンジー / 02. それなりに / 03. セルフバッグ / 04. 秋風 / 05. わかっているよ

【配信形態/価格】
MP3 : 単曲100円、アルバム購入500円
WAV : 単曲150円、アルバム購入750円

※全曲フル試聴は終了いたしました。


思春期の心の揺れを、ピアノと声で奏でる18歳

その音楽がヘッドフォンから流れてきた時、無垢な光溢れる空間に引き込まれた。現役女子高生という若きシンガー・ソングライター、田中茉裕。6才よりピアノを学び、12才から3年間シンガポールで生活。その頃から作詞、作曲を始める。2010年に行われたEMI Music Japan50周年記念オーデション「REVOLUTION ROCK」で歌唱力が審査員の絶賛を受け、現在は某音大付属高校のピアノ科に在籍し、都内を中心にライヴ活動中だ。

彼女のサウンドの特徴は、空高く突き抜けるように響き渡る高低・強弱共にバランスのとれた美しい歌声と、抑揚あるピアノだ。その伸びやかで透明感に満ちた彼女の声は矢野顕子を彷彿とさせる。曲はラフマニノフ、バッハ、そしてラヴェルといったクラシック音楽に影響を受けたというだけあり、ピアノのサウンドはシンプルながらも構成がしっかりと組まれている。ヴォーカルと絡み合ったその音楽から生まれるイメージを例えるなら、止むことなく流れていく水だ。土や小石を運んで道を削り地形すら変えてしまう流水は、若さからすべてを感じとり新たな道を切り開こうとする彼女の歌に似ている。

このアルバムを聴いていたら、ふと「高校生の頃の私」を思い出した。誰もが通り過ぎた「あの頃」。それぞれが将来の不安を覚えながら毎日を精一杯生きていた。彼女の音楽で綴られているのは、そんな等身大の視線から見た世界である。そこから自分なりの答えを見つけ出し、歌い上げる。「とにかく笑って、頑張ってみよう Everything’s all right. Everything’s all right. それでもうまくいかないときは それなりに。」(2曲目「それなりに」より) 「Everything’s all right」という言葉は、この曲とラストの曲「わかっているよ」、どちらにも登場する。心配することなど何もないよ。これはリスナーはもちろん、少女から大人へと移り変わる時代を生きる自分自身に向けてのメッセージなのだろう。声とピアノの2つだけで成り立っているが、それを感じさせないほどに音は広がりを見せていく。彼女の若き才能を、今、堪能してほしい。(text by 碇 真李江)

少女と女性の間に揺れるうた

平賀さち枝 / さっちゃん

いまだあどけなさの残る淡く透き通った歌声と、軽やかなガット・ギターにのせて、春を運ぶ歌い手、平賀さち枝のファースト・アルバム。oono yuuki、シャンソンシゲル(ゲラーズ、トクマルシューゴ&ザ・マジックバンド)、笹口聡吾(太平洋不知火楽団)、後藤勇、参加。録音/ミックス/マスタリング・エンジニアは、ゆらゆら帝国はもちろん、OGRE YOU ASSHOLE、浜田真理子、などの仕事でも知られる中村宗一郎。

青葉市子 / 檻髪

OTOTOYで三週連続でリリースした「パッチワーク」「レースのむこう」「日時計」を含む、全八編の叙情詩。青葉市子独特の生々しい音像と、聞く人に美しい情景を思い描かせるハーモニーはそのままに、奥底に隠れていた彼女の小宇宙が覗けるような作品。独自性を持ちつつ、ギター一本で表現する彼女のポテンシャルは今作でも底がない。青葉市子の第2章がここから始まる。

Babi / 6色の鬣とリズミカル

まるでオモチャ箱を開いたかのような音が聞く者の想像力を刺激し、そのサウンド・デザインの裏にはしっかりとした音楽理論と感性が織り交ぜられている。ドリーミーな印象を受ける楽曲群だが、実はオモチャ箱の奥に潜む影と現実世界を表現したびっくり箱の様な作品! エレクトロニカ、トイ・ポップが好きな方にはお薦めの作品です。

田中茉裕 PROFILE

1993年生まれ。6歳からピアノを習い始める。小学6年生より3年間父の赴任に伴い、シンガポールで生活する。現在都内の音楽高校にてピアノ専攻。2010年に開催されたEMI Music Japan 50周年記念オーディション「REVOLUTION ROCK」のファイナリストとなる。都内のライヴ・ハウスで弾き語りで活動中。

この記事の筆者

[レヴュー] 田中茉裕

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