film production KNOWNOTHINGが放つ映像美
Mitsunori Sakano x 4CE FINGER x sakuHana / BEEP DEEP BEEP
独自のアート・プロジェクトを立ち上げる活躍をしている坂野充学が、インディペンデント・ヒップ・ホップ・シーンで注目を集めるMC・4CE FINGER、アブストラクトかつ深遠なビートを奏でるトラック・メイカー、sakuHanaを迎えての「映像+言葉+音」が融合したプロジェクト『BEEP DEEP BEEP』。オトトイではDVD製品と同様、楽曲に映像も同梱して配信開始しています。
【映像】
アルバム購入者には映像特典として「BEEP DEEP BEEP 1channel version」、「BEEP DEEP BEEP 3channel version」の2つの映像が同梱されます。
断片的かつ循環的な制作プロセス
本作品は3面スクリーンからなるビデオ・インスタレーション形式の作品として製作され、2007年に東京で同名の展覧会と共に発表された。その後国内外の野外映画祭等で上映されており、各回ごとに様々な方法により作品提示がなされている。例えば超指向性スピーカーで鑑賞する地点により音の発生をコントロールする試み、MCが即興で詩を綴るパフォーマンスを交えた上映... など様々である。本DVDには1面/3面スクリーン用の2バージョンを収録しているが、これが全てではない。むしろ上映環境により形態が変容していく映像作品である点を踏まえて鑑賞することで、より一層イメージと解釈が膨らむはずである。
また本作品を特徴づける要素として、"断片的"かつ"循環的"な独特の製作プロセスがある。イメージされた映像の断片に対し音や詩が生まれ、そしてそのフィード・バックによって新たな映像の断片が生まれるという、非常に循環的なプロセスによりこの作品は完成された。どちらかが明確な主(あるいは従)となるのではなく、文字通り相互作用によって1つの作品が作られていったのである。そしてこのように映像の「断片」から生まれて一つに結合した作品が、やがては本パッケージのように音源作品としても存在する。さらに時にはホワイトキューブや屋外で再度断片の映像として上映され、また時にはMCとDJのみのライヴ・パフォーマンスとして分離しても成立する。映像や言葉、音の断片が別の断片を生み、一つになり、またそれぞれが再び変容し別の形の断片になっていく。各要素が不可分な作品でありながら、一方で逆説的に可分性を持つ。この奇妙なサイクル自体が既に作品の提示方法の一つでもあり、また観る者に多様な解釈を生む力の源泉でもある。映像と音楽の新しい関係性を、本作品から感じていただければ幸いである。
by KNOWNOTHINGプロデューサー 宮崎信介
PROFILE
坂野 充学 / 映像作家
1977年石川県白山市生まれ。イーストロンドン大学芸術学部卒業。ロンドンのアート・フィルム・アーカイブ機関LUXにて映像編集、国内外での映像企画制作を経て、映像作家としての活動を開始する。東京を拠点に活動する中で4CE FINGERと出会い、彼の独特の詩の世界観を探求しようと試みたのが本映像作品を製作するきっかけとなっている。本作は同名の映像展「BEEP DEEP BEEP」(Projectspace Kandada, 東京)を皮切りに、「Spontaneous Order」(Takuro Someya Contemporary Art、東京, 2010)など国内外の展覧会や映像祭で展示・上映された。映像作品・上映の形態によりあらゆる場所を劇場化する試みとしてのプロジェクトであるFRAGMENT THEATREを主催するなどインディペンデントな活動を通して独自の映像製作をおこなっている。また2005年よりアーティスト・イニシアティブ・コマンドNに参加。アートスペースの運営、独自のアート・プロジェクトの立ち上げに携わるなど映像領域のみならず多岐に活動を行っている。
坂野 充学 official HP
KNOWNOTHING HP
4CE FINGER / MC
1977年北海道室蘭市生まれ。ピアニストの母親とアイスホッケー選手の父親のもとに育つ。1996年上京後、ミュージシャンとしての活動を開始。DJ QUIETSTORMの主催レーベルである中目黒薬局のMCとして全国各地を巡る。2007年に1stアルバム「Japanese Alien Human Being」を発表。近年は、札幌のMCたちを中心としたラップ・ユニットであるCHOCOLATE FACTORYへの参加、DJ MOTORA やドイツのトラック・メーカーWOODANへの楽曲提供など、国内外の様々なトラック・メイカーやアーティストとのコラボレーション作品を世に送り出している。即興性をもった独特のフローと詩的なリリックは、マイルス・ディヴィスの演奏を想起させる独自の音楽言語に満ち溢れている。
sakuHana / サウンド・クリエイター、DJ
1972年福岡県北九州市生まれ。94年DJ活動を開始。98年、DJ KRUSH・DJ HIDEと共にDJ / プロデューサー集団「流-RYU-」を結成。翌年リリースのアルバム「我-GA-」で、当時まだ認知度の低かったTHA BLUE HERBのBOSS THE MC(現ILL-BOSSTINO)を起用し話題に。その後も楽曲提供・Remix・国内及び海外公演・アフリカの子供たちへの支援プロジェクト「JAG」(現African JAG )への参加等、精力的に活動を行う。2002年に流-RYU-を脱退。フリー転身後は映画・CM・ファッションショー等の音源制作にも活動の場を拡げる。現在はサウンド・クリエイト/DJを軸に、自ら主宰のクリエイター集団「sTILLkid A.P.」、非具象音楽ユニット「ABSTRACTION DUBSTRACTION」、SUGIZO主宰のPsychedelic Dub Jam Band「SHAG」への参加、更にMEDIAクリエイターとしても活動を展開中。