2010/06/09 00:00

LOSTAGEが3人になった。2001年に結成して以来、ずっと4人編成で音を鳴らしていたLOSTAGEから今年、中野博教(Gt.)が脱退し3人になった。〈lostage〉から〈LOSTAGE〉に名前を変えての初めての音源、しかもタイトルが『LOSTAGE』。(リバティーンズ風に邦題をつけられたら『ロストエイジ革命』になってしまう! )聴く前からハードル上げすぎじゃないのと心配したのもつかの間、再生ボタンを押してものの数秒で衝撃! 新鮮! うれしくって、おそれいった。生身の人間の毒々しさが噴出していて、怖いもの見たさで目が離せない。もう1回、再生ボタンを押したその瞬間に戻りたいくらい!

ART-SCHOOLとのスプリット・ツアー最終日を地元・奈良NEVER LANDで迎えたLOSTAGEのメンバー3人、五味岳久(Ba. Vo.)、五味拓人(Gt.)と岩城智和(Dr.)にインタビューを行った。この日の奈良はどしゃ降りで、駅のホームでは部活帰りの中学生たちが腕に張り付く制服の不快さを嘆いていた。そんな風景さえ目に焼き付けておきたくなるほど、今のLOSTAGEのすべてを見届けなきゃ、と思った。たとえば、まだLOSTAGEを知らない誰かにLOSTAGEを紹介するなら、間違いなくわたしはこのアルバムを渡すだろう。だって間違いなくかっこいい、ファースト・アルバムみたいな最新作だから。

インタビュー&文 : 小山真帆

普段鳴っているそのままの感じを入れる

——アルバム・タイトル『LOSTAGE』は、レコーディングが終わってから決められたのですか?

五味岳久(以下、五味兄) : そうですね。
五味拓人(以下、拓人) : 何個かアルバム・タイトルの候補を兄貴からメールもらっていて、僕の中ではファースト・アルバムみたいな気持ちでやっていたので「ここらでセルフ・タイトルでいいんちゃう? 」と言って。
五味兄 : たぶん俺もな、セルフ・タイトルを候補の中に入れてたと思うねん。それを見てお前も…。
拓人 : そうなんかな?

——(笑)。 ほかにどのような候補が?

五味兄 : 全然覚えてないんですよね、それぐらいこっちがよかったってことでしょうね。
岩城智和(以下、岩城) : 僕はね、決まってから聞かされて「そうですか」みたいな。「わかりました」と(笑)。 兄弟で決めてくれるので楽ですよ。

——アルバム全体が骨太な印象な中で、「BARON」や「TOBACCO」ではポップさも感じました。

拓人 : ある程度ほかの曲ができてきてから、バランスをとるために作った曲ですね。
五味兄 : 今回は、結構ゴリッとした曲が多かった。やりたいことはいっぱいあるんですけど、前のアルバムではいろいろやりすぎて、散漫になってたところがあったんですよね。だから今回はアルバム全体のコンセプトをもって、もうちょっと統一感を出そうと。

——アルバムのコンセプトというのはどのように共有されたのですか?

五味兄 : 最初にどういうアルバムを作ろうかと言ったときに、スタジオで3人で鳴らしているそのままの音、普段鳴ってるそのままの感じを入れよう、と。今までの納まりのいい音像よりも飛び出したもの、振り切れたものを作ろうとは最初に話しましたね。ディレクターの斉藤匡崇さん(AVOCADO RecordsのA&R)とも話しました。NUMBER GIRLの初期のエンジニアの方なんです。

——「TOBACCO」は正にNUMBER GIRLを思い出させるようなギター・ロック・ナンバーだと思いました。

岩城 : 僕は全曲「ひとり」みたいな(ゴリッとした)曲でもいいと思ったんですけどね(笑)。 結局毎回うまいことこういうバランスになるんですよね。
五味兄 : それはなんでかって、俺らがそうしようとしてるからや!

——以前、メンバー脱退に関して(2008年にギター清水雅也が脱退、新メンバーとして中野博教が加入した際)、岳久さんは恋愛の比喩を用いられていましたよね? そのときは、新しいメンバーの加入も早くに決まり、「新しい恋をした」と。今回は…

五味兄 : してないですね。また恋愛に例えて話すとしたら、ひとりになったときの解放感ってあるじゃないですか。今まであったしがらみがなくなって。今の状態はそういうのに近いですね。マイナス・イメージな孤独ではなくて、それで自由になったというか…。
拓人 : 1回自分を見つめなおす、と。ひとりになって。
五味兄 : そうそうそうそうそうそう。
拓人 : メンバーが1人抜けて、4人から3人になるってことは、今まで4分の1やったポジションが3分の1に増えるわけじゃないですか? 自分が3分の1を担っているバンドだってことをメンバーがそれぞれ確認して、じゃあそれを(足して)3分の3にして3人でしようって。
五味兄 : メンバーの数が減ってるから、やっぱりネガティブな先入観を持ってる人もいると思うんですよね。LOSTAGE大丈夫かな、と。そういう人に、今までよりすごくなってるぞと思わすために3人でどうするかってことを考えました。人数が多い分、気を使うことも増えるんで、3人というかたちの自由度の高さや可能性を今は感じてます。

——では、しばらくは3人で活動を?

五味兄 : そうですね、今のところはメンバーを探している感じではないですね。こいつとやったらめっちゃおもろいやろなってやつが出てきたらわからないですけど。

——アルバムのレコーディングはいつ頃されたのですか?

五味兄 : 今年の2月ぐらいですね。
拓人 : 2週間くらいで、かな。

——前メンバーの中野博教(Gt.)から脱退の申し出があったのが去年の11月でしたよね。アルバムに入っている9曲は3人で作られたものが中心ですか?

五味兄 : そうですね、だいたいの曲は3人で。ただ、(11月の時点で)アルバム自体はもう作り始めていたので、2、3曲、4人でやっていた使えそうな曲を3人でやれるように作り直していったものもあります。
岩城 : 「断層」と「夜に月」… と「眩暈」がそうやね。

——4人で作っていた原型からは、単純に音がひとつ減りますよね。メンバーのなかで物足りないといった感触はありませんでしたか?

拓人 : 3人でやろうってなって、とりあえずスタジオ入ってみたときに、特にそういう風にならなかったから…。
五味兄 : ポジティブなモードやったというか。3人でしかできないアンサンブルというものがある、と意識しながら作り直していきました。曲の構造も4人ではできなかった引き算というか。

——引き算? どういうことですか?

五味兄 : 4人で同時に音を鳴らしたとき、マックスで4の状態になるとするじゃないですか? 3人やと、同時に鳴らしても3までしか出ない。音圧とかで言うと、3がマックスで、4の情報量には届かない。そこで、今まであまり意識したことがなかった逆のベクトル、つまり積み上げていくんじゃなくて引いていこう、と。音の鳴っていない状態を意識しながらつくったんですよね。音圧で勝負するというよりは、ギターの音をどれだけ抜くか、ベースをどれだけ引くか、どこで演奏しないか、ということを。説明が難しいんですけど、音の隙間、演奏の隙間というかね…。
岩城 : レコーディングの仕方も、4人のときは思いついたらダビングしてどんどん重ねていったんで、つい詰め込みすぎたというかね。今作ではあまりダビングもしていないし、極力3人でやっているのがわかってもらえるかな?
五味兄 : 4人のときは音圧を重視していたので、3人になって意識し始めた、変わったかなと思うところですね。
拓人 : 特に僕はギターなので、メンバーが抜けた後になって、自分がどれだけもう1人のギターに甘えていたのかがわかりました。ほかのメンバーからも、「4人のときのギターを超えてない」と言われることもありました。しんどかったですけど、できるだけ前向きに、結果的には自分のステップアップできる経験になるだろうとはわかっていたので、楽しんで、超えたいなと思って。

——楽しめる境地に。

拓人 : 音源が出来上がるまでは、できてるのか、大丈夫かという不安も常にありましたけど、パッケージされて、やっと楽しめるようになりました。

——なるほど。3人になってからのステージではどうですか?

五味兄 : 最初はやっぱり物足りなかったのもあるけど、今はもうしっくりくる感じになりましたね。
拓人 : あとね、3人やとメンバーが常に見えるんです。いっぺんに全員が全員を見れる。ステージの上の意思疎通はやりやすくなりました。一緒に演奏していて、ほかのふたりがどういうノリとかグルーヴでやっているかっていうのを感じやすい。今までよりはっきりとわかりますね。
五味兄 : いい状態ですよ、健康な感じです。

音楽は生活に近いところにある

——twitterなどを拝見していてもLOSTAGEは交友関係の広いバンドだと見受けます。様々なミュージシャンとも接するなかで、音楽シーンは今どこで作られている、と感じますか?

拓人 : ライブ・ハウスじゃないですかねぇ。
五味兄 : いや… ライブハウスで作られてる感じは、俺はあんませえへんけどな。音楽はもう個人レベルで作って発信できるじゃないですか? シーンはもう、どこかにあるものじゃなくて、生活に近いところで染み込んでいっているというか。今まではどこかに何かがあって、そうではない別のところに生活があるって感じだったけど、今は音楽は生活の近いところにある。ライブ・ハウスやレコード屋に行かなきゃって感じではなくて、人の中にあるというか。

——生活というのはリスナーの?

五味兄 : 作る方もそうですし、聴く方はそれをどうとるかなんでね。でも結局人間なんで、情報の伝わっていくスピードがどれだけ上がっていったとしても、さみしくなったりするじゃないですか。家でも音楽は聴けるけど、誰かと同じ空気を共有したくなると思うんです、絶対に。それはひとりではどうやっても手に入らないこと。それで結果的に集まった場所がライブ・ハウスやレコード屋になるってだけで。でも、そういった顔の見える付き合いっていうのが最終的には残るんじゃないかとも思っています。音楽シーンて今あるんですかね?

——なるほど。最後に、これからLOSTAGEを知る人に何かメッセージはありますか?

五味兄 : えーと、スリー・ピースで日本でいちばんすごいバンドやって書いといてもらえたら…。
岩城 : …大丈夫?
五味兄 : (笑)。いや、そうなろうと思って。昔は誰かみたいになりたい、とか憧れている人がいてバンドを始めたけど、今はそうじゃなくてもう自分がすごくなりたい、一番になりたくなってきたんですよね。あいつらすごいっていうところまで行きたいですよね。「日本で一番かっこいいスリー・ピースのバンド(仮)」でいいです、じゃあ。
拓人 : それいいな(笑)。
岩城 : (仮)つけて(笑)。

——日本でいいですか?

五味兄 : 日本でいいです、とりあえずは!

空気感、熱気、音の鳴りを共有してこそ楽しめるバンド達


割礼 / PARADAISE・K
日本のサイケデリック・バンドの重鎮、割礼、あの幻の名盤をリマスター+ボーナス・トラック収録で再発! 今聴くと、絶妙に現在のニュー・ウェーヴ、ゴス・パンク・リバイバルに命中しているこの盤。実に23年前の作品であるにもかかわらず、内容的に古さを全く感じさせないのは当時からすでに特別なバンドであった事の証であろう。


ズボンズ / Nightfriend of ZOOBOMBS
結成15周年!! ズボンズ、初のベスト・アルバム!! ただし、過去を振り返らず、今なお進化と前進を続けるバンド、ズボンズ流ベスト・アルバムは全曲再録のセルフカバー・ベスト・アルバム! 現在でもライヴで演奏する名曲を12曲、今バンドが考える最高の演奏を持って新録音されたニュー・アルバム的ベスト・アルバム!!


Dr.DOWNER / スーサイドソルジャーマン26
2009年超大穴バンド、待望の2ndミニ・アルバム完成! 難しいことなんか何もない日本語詞パンク・ロック・バンドだけど、こんなにも心と体が揺さぶられるのは何故なのだろうか。チョモランマトマトとの2マン・ライブ、HOT SQUALLやfamにサポートを頼まれたりと、それなりに人気と人望があり、ライブではヤバイくらい暴れまわる。そしてとにかく曲と詞が素晴らしいです!

Profile

五味岳久(Vo.B)、五味拓人(Gt)、岩城智和(Dr)、奈良県在住のロック・バンド 。

ヴォーカル/ベースの五味岳久とギターと五味拓人の五味兄弟を中心に2001年に結成。2004年7月、UK PROJECT内に自身で立ち上げたレーベルqoop music(クープ・ミュージック)よりデビュー・ミニ・アルバム『P.S.I miss you』をリリース。アルバム楽曲のクオリティの高さと日本人離れしたスケールの大きさに各方面から大絶賛を受ける。2006年1月、1st Album『PLAY WITH ISOLATION』をリリース。
エモーショナル・パンク、ハード・コア、グランジ、NYパンクやポスト・ロックといった幅広い音楽性を吸収しつつ、芸術性の高いlostageでしか鳴らせないオリジナリティ溢れるサウンドを封じ込めた最高傑作であると共に日本のロック・シーンの新たなムーブメントを予感させる作品となった。2008年7月にTOY'S FACTORYから2nd Album 『DRAMA』リリース。サウンドの勢いそのままに全国ツアーを20本行い、ツアー・ファイナルでは代官山UNITでのワンマン・ライブを見事成功させ、熱狂的なライブを展開。また自身の企画イベント「SHOWNEN TOUR」では東名阪のクアトロ・ツアーを行い全会場SOLDOUTに終わる。2008年1月18日に7年間の歩みを共にした清水雅也が脱退。2008年2月より中野博教(ナカノヒロミチ)が加わり、Mini Album『脳にはビート 眠りには愛を』、続いて3rd Album『GO』を発表。それまでのサウンドやライブ・パフォーマンスへの評価に加え、ソング・ライティングに対しても大きな評価を得ることになる。2009年12月27日、奈良NEVER LANDでのライブをもって中野博教がバンドから脱退。そして2010年元旦、休むことなく新たな体制での活動を早くも発表。バンド表記も「LOSTAGE」と変更し、新たな進化へのスタートを切る。

LOSTAGE OFFICIAL HP
LOSTAGE myspace

LIVE info

2010.06.17(木)@ HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1

2010.06.18(金)@ 柏 ALIVE

2010.06.20(日)@ club SONIC いわき

2010.07.08(木)@ 函館 Bay City's Street

2010.07.10(土)@ 旭川 CASINO DRIVE

2010.07.11(日)@ 札幌 BESSIE HALL

2010.07.14(水)@ 京都 磔磔

2010.07.16(金)@ 広島 NAMIKI JUNCTION
 

2010.07.17(土)@ 福岡 DRUM SON

2010.07.23(金)@ 横須賀 かぼちゃ屋

2010.07.25(日)@ 仙台 PARK SQUARE

2010.08.11(水)@ 名古屋 HUCK FINN(ワンマン)

2010.08.13(金)@ 心斎橋 CLUB QUATTRO(ワンマン)

2010.08.15(日)@ 渋谷 CLUB QUATTRO(ワンマン)

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