2010/02/06 00:00

VOL.2

金沢ローカル・レポート担当のさんちゃんです。第2回となる今回も、金沢のアーティストとイベントを紹介したいと思います。

金沢について今月のちょこっと書き。楽器に興味のある方ならご存知かと思いますが、世界最大の楽器フェスといえば「NAMM Show」ですね。2010年1月にカリフォルニアで開催されたNAMM Show 2010で、石川県の浅野太鼓楽器店が「世界最古の打楽器店」として認定され、「400年企業表彰」を受賞したそうです。400年、つまり創業は1609年なんです! もとをたどれば、当時の加賀藩主が太鼓、鼓、馬具などを製造させるために、皮革師を播磨国から呼び寄せたのだそうです。ちなみに浅野太鼓の和太鼓はシェアNo.1なんです。石川の企業でシェアNo.1といえば、回転寿司のあの機械・・・! でも、食べ物ネタはまた今度にしますね。

さて第2回で取り上げるアーティストは、金沢出身で現在はベルリンを中心に活動しているkyokaです。ototoyでは過去にもインタビュー記事と、kyokaの所属レーベルonpaの特集記事がありますので、そちらも参照していただけると良いかと思います。友達でもありファンでもあるという立場からのインタビューなので、ちょっとつっこんだ内容を聞き出せたんではないかと思います。

kyoka

What on earth is a kyoka?

Simply a solo artist whose cut-up-and-dance laptop electronica suggests more screws loose than fully tightened? Her style has seen her labelled as anything from a pop idol to a noise artist. And as it is usually the way, the truth lies somewhere in between. Starting her solo career at university as a side-project to her school band, kyoka quickly found herself favouring ever-more unusual outlets for her scatterbrain sound. Finding J-pop utterly unpalatable, she began to look overseas, finding live shows in Europe and the US as well as presenting her own show on Britain’s Resonance FM, ‘Postcards From kyoka’.
kyoka is finding fans all over the world-from Japanese experimental king Ryuichi Sakamoto, by whom she was invited to join his project, to Stooges/Minutemen bassist Mike Watt, who played her music almost every time of his recent podcast shows and who recorded bass for her sound. Her songs have ranked in the Top 2, Top 5, Top 20 and Top 50 radio charts in Japan and the US, and Amsterdam fanzine Daruma has described her as a “freestyle broken pop beat artist”, a description that fits nicely, thanks very much.

On top of all that, she performs in unhinged female duo ‘Groopies’, who have also been invited by Sakamoto to join the other project; has collaborated with Mike Watt (of the Stooges, Minutemen) CurseOvDialect (mush records), Hypo (Active Suspension, Spymania, Afterhours, Intik) etc. She appears in TV ads for Honda as a musician, she used to be a columnist for a magazine, and has had music on compilations like the Chrome Hearts Magazine’s vol.7 (cover: Cher) in Japan, Hong Kong and America. Not bad for a girl who “just wanted to follow her honest taste”.


INTERVIEW

——最初に会った時って覚えてる?

kyoka(以下k) : なんかのイベントでばったり会ったんだよね。

——うん、確かメロメロポッチ(注 : 金沢のライブ・カフェ)で、2004年だったと思う。kyokaのライブを見て、完全にやられちゃって。衝撃だった!

k : いまよりはっちゃけてたよね、恥ずかしい(笑)。こわいもの知らずたっだし、ノリとテンションで結果も考えないでウハウハしてた!

——でも当時からすばらしいライブだったから、それからは僕のイベントにも出てもらうようになったんだよね。当時はkyokaの音源がなかったから、ライブを録音させてもらって、それを家でも聞いてたんだよね。実はさっきも引っ張り出して聞いてたの。

k : え、すごい恥ずかしいなー!

——いや、本人はそうかもしれないけど、やっぱり今のkyokaの独創的な部分に繋がってる要素がたくさんあって、すごい好きなんよ。例えば、2005年のライブの音を聴いたら「もうこの頃に、こんな低音の出し方してたんや」って思った。自分のイベントのゲストの音はほとんど録らせてもらってるんだけど、こんなサウンドを出してるんはkyokaだけやよ。

k : それは嬉しい(笑)。やっぱりEQ的な部分でのこだわりも強くて、10年くらい前のデモを聞いてもそこは変わってない部分かも。

——じゃあEQ的な部分での好み当時から変わってないんかな?

k : うん、実はもともとhighの成分は好きじゃなくって。でも、実際につきぬけて聞こえる音は欲しいから、いかにhighの成分を好みに書き換えて、でも突き抜けるけど突き抜けないhighっぽく聞かせられるか考えて作ってる。

——なるほど。2枚目は特にそんな感じがするかも。

k : うん。ただ、今から思うと日本では最近部屋にちゃんとしたスピーカーとかがない人が増えてるみたいだから、そのへんはどうなんだろうって思うことはある。でもいろいろ作ってみてわかったのは、例えばipodで聞いたときに、実際には音が削られてるんだろうけど、やっぱりこだわった音はいい音でちゃんと聞こえてるっていう。当たり前なんだけど。

——確かに2枚目はある程度音量をあげて聞きたくなる。ちっちゃい音で聞いてるとうずうずしてきて、ボリュームに手が伸びる(笑)

k : だからね、映画館とかで聞いてもらったら気持ちいいんじゃないかなって(笑)

——クラブでもライブ・ハウスでもなくて映画館(笑)。去年会ったときにもサウンド・システムの話をしたけど、ベルリンは日本とどう違うの?

k : サウンド・システムの話じゃないんだけど、東京に比べたらまず部屋が広いし、壁も固めの素材の建物が多いから、部屋鳴りとか、空間を含んだ音っていうのを前より意識するようになったかな。音符よりも響きを聞くようになったと思う。壁にスポンジとか貼ってスタジオ職人みたいに作るのも好きだけど、自分の部屋の響きの癖と語り合いながら、そんな個人的な部屋との会話をCDとして世間にアウトプットするのも、ありだろうって思う。私も音も生きてるわけだし。

——一般的な日本の家なら、確かに少しデッド気味だよね。

k : うん、どっちがいいとかではないんだけど、こっちの環境で作り続けていく中で素敵な部分が見つかってきたよ。だから、2枚目よりも次の3枚目は経験を積んできていろんなバランスがとれてるんじゃないかな。

——そういえば1枚目『ufunfunfufu』と2枚目『2 Ufunfunfufu』を比べても結構雰囲気違ったよね。

k : 1枚目(2008年)はイギリスと東京で仕上げたんだけど、それまでの10年間くらいの集大成で、過去のものをアウトプットできたなって感じの作品だったの。すっきりしたー、みたいな(笑)。2枚目(2009年)は完全にベルリンに来てから新たにチャレンジしたものを作品にした感じ。次の3枚目はこっちの生活とか、制作環境にも慣れてきてから作ったもの。だから、また2枚目とも違ったものになってるよ。

——そっか、すごい楽しみやね。とにかく3枚目早く聞きたいね。

k : 今はnobukoにも手伝ってもらってアート・ワークを詰めてるところだから、春にはリリースできるかな。

——そういえばgroopies(kyokaとnobukoのユニット)は最近活動してる?

k : 今年中には初EPをたぶんウェブ配信で出す予定だよ。

——最近そういうソロ以外の活動は他にもやってるの?

k : うん、ベルリンに来てからラスター・ノートンのフランク・ブレットシュナイダーさんが私の音楽を気に入ってくれていつも見に来てくれてて、私もライブを見れば見るほど彼を尊敬してしまうんだけど、じゃあお互いに一曲作ろうか、みたいな話で盛り上がって曲をつくったり。他には音じゃなくてパフォーマンスなんだけど、Penquoっていうサイド・プロジェクトもやってるよ。momusのブログとかQUOTAION no.5にインタビューが載ってるよ。

——ソロとサイド・プロジェクトで何か違いはある?

k : やる場所のことになるんだけど、ソロはサウンド・システムを重視してクラブでやることが多いんだけど、逆にソロ以外のパフォーマンスでは雰囲気をより重視したい時もあるから、ギャラリーとかでやることが多いかな。どっちの場所にも長所があるからね。あと、以前は人とコラボや共同作業をするときは相手をたてるようにつとめてたけど、最近はヘビとマングース並みに必死に戦うのが相手に対する礼儀じゃなかろうか? とか思ってる。(注 : 西本タケシさんと誰かのコラボを見てそう思ったらしい)ソロのときは自分との戦いと語り合い。

——やる場所も意図的に変えてるんやね。そういえば最近ブログとかにも映像アップしてるね。去年の金沢のライブでも映像使ってたけど、あれはいつから? 一人でライブしながらVJしてるみたいだったけど。

k : 自分の映像を使ったのはあの金沢のライブが初めてで、ベルリンに帰ってきてからも新しいのを作ってるよ。

——そうやったんや、金沢のライブの時は「ちょっと小さめ(横1メーターくらい)に映したいんだけど」って言ってたよね。普通は大きく映すもんだと思ってたから、正直いまいち意味わかんなかった(笑)。

k : うーん、なんとなく。ノスタルジーかなと…。すきまっぽく映したかったの。

——のぞき見るような感じ?

k : じゃなくて、ちょっとすきまから漏れてるみたいな感じ。隙間からもれてますみたいな。やっぱり音がメインだから。これだけ読んだ人は私の曲も午後の木漏れ日みたいなんて思っちゃうかな?

——いや、それはないでしょ(笑)。試聴も出来るし!

k : あ、そうだね! 「抜け道です、木漏れ日です」みたいな。

——いやいや、映像もかなりパキパキしてたよ(笑)。映像はどんな感じで作ってるの?

k : 音を作ってる合間に映像を作ると、バランスもとれるし、リフレッシュにもなるね。

——ほんとベルリン行ってからはすごい勢いで作品つくってるよね。

k : 前よりよそ見が減らせるようになった。

——そういう意味でもベルリンに行ってよかったね。

k : ベルリンとかは海外のアーティストを迎え入れることに前向きだね。当然実績も結果も求められるんだけど。私集中すると何日でも家から出ないから、トイレ行ったりしてパッと鏡見ると「この人誰? 」みたいな(笑)。もう頭はすっごい冴えてるんだけど、身体は疲れきってるから、意識だけで自分を見下ろしてるみたいになるよ。

——ひどい(笑)、ほんとに音楽好きだよね。

k : っていうか音楽以外に好きなものはないね!

——最後に、ソロの今後の予定は? 春には日本に来るんだよね。

k : うん、まだ詳細は出てないけど、日本でライブやる予定だよ。

——あとは3枚目の音源やね! ほんと早く聞きたい!

k : ありがとう、じゃあまた日本で。

[コラム] Kyoka

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