2009/07/05 00:00

ハンバートハンバート 佐藤良成による新バンド

気の合う友達と初めてのバンドを組んで、スタジオに入る。ドキドキ、ワクワクしながら「せーの! 」で一斉に音を出す。エレキ・ギターを爆音でならし、ドラム・セットを力任せにぶっ叩く。そして、ボーカルはひたすら思いの丈を歌う。これだけで最高のロックンロール・バンドのできあがりだ。

ハンバートハンバートの佐藤良成と村井健也による、の音楽にはそんな溢れんばかりの初期衝動がギッシリと詰まっている。彼らの音楽を、中学生の僕が聴けば絶対にバンドを始めただろうし、今聴いてもすぐにスタジオに入ってギターを大音量で鳴らしたくなってしまう。しかも、それほどの力をもった楽曲を、ボーカル・ギターとドラムという最小限の構成で作り出しているのだ。そう、この二人が鳴らしているのは紛れもないロックンロールなのだ。

インタビュー & 文 : 池田義文

photo by 船橋岳大



INTERVIEW

—バンドを組んだきっかけを教えてください。

佐藤良成(以下 佐藤) : 僕が“ハンバートハンバート”、 村井健也が“なさいど”というバンドをやっていて、その後新しくPIRAMIDESというスリー・ピースのバンドを僕と村井君ともう一人で組みました。ほんの短い間のバンドで、半年くらいしかやっていないんです。で、ドラムが抜けて二人になって、それでバンド名をに変えて続けました。

—その時に新しいドラムを入れようとは思いませんでしたか?

佐藤 : 全く思いませんでした。ドラムが抜ける少し前くらいから、村井君はドラムを絶対にやるだろうと思っていましたから。

—村井さんは本当にそう思っていたのですか?

村井健也(以下 村井) : いや。僕は全く思っていなかったです(笑)

佐藤 : ドラムをやるようにしむけたんです。「やっぱりドラムは君がやったほうがいいよ」って(笑) それで、割とすんなりやってくれましたね。

村井 : ドラムが抜けたのが、ライヴの二日前だったんですよ。あわてて、ライヴの当日にドラムのスティックを買いに行って、そのままドラムを叩いています。

—その時のライヴはどうでした?

佐藤 : とてもよかったですよ。全然これでいいじゃんって感じでした。

村井 : 曲が簡単なので、すぐにできちゃいましたね(笑)

佐藤 : 知っている曲なので、何も練習がいらないという。

—今回のアルバムに収録されている曲はPYRAMIDESの頃からの楽曲ですか?

佐藤 : 基本的にはそうです。その後増えた曲もあるんですけど。

村井 : 「地動説」とかはPYRAMIDESの時からやっていましたね。もともとはテンポがものすごく早い曲だったんですよね。最初はノリノリな曲でした。

—他の楽曲もその頃と比べ、アレンジは変わっているのでしょうか?

村井 : そうですね。アレンジは全部作り直していますから。「これはいける!」となるまで、全曲つめました。

—バンド名をPYRAMIDESから、に変えようと思ったのは何故ですか?

佐藤 : PYRAMIDESという名前が、あまりよくないんじゃないかって。それだけです。いかにも売れなそうな名前だから、もうちょっとインパクトがあって、キャッチーな名前にしたいなと思って。

—お2人は元々どういうお知り合いでしたか?

佐藤 : 高校の同級生です。バンドを一緒にやっていた事もあります。

—その時はどんな音楽を演奏していたのですか?

村井 : 最初はLED ZEPPELINやKING CRIMSONのコピー・バンドをやっていました。でも、それも僕らがやりたかった訳ではなく…。そのバンドのボスが全て選曲をしてきて、しょうがなくやったというだけですね。

photo by 船橋岳大


—一緒にバンドをやるのは、それ以来ですか?

佐藤 : そうですね。長い事暖めていたバンドです。構想12年…。こういうとすごいですね(笑)

—今後も二人で音楽を続けて行くつもりですか?

佐藤 : そうですね。喧嘩もしないし、割とすんなりと色々な事が進んで行くので。

—曲作りはどのように行っているのですか?

佐藤 : とりあえず、お互いが楽曲を持ってきて、とにかく演奏するスタイルですね。

村井 : それでもアレンジはかなり練っています。

佐藤 : すごく簡単な曲に聴こえると思うんですけど、実際本当に簡単なんです。でも、この簡単な事をやるのに、ものすごい時間をかけています。

—どういう点に時間をかけるのでしょうか?

村井 : 何となくイマイチじゃない? みたいな感じが解決するまでつめるので、時間がかかります。その「何となく」が1年くらい経って、少し変えてみたら突然解決したりとか。演奏してすぐ、もうこれはばっちりだと決まるものもありますね。

佐藤 : 1曲を完成させるのに、ものすごい時間がかかってしまって、なかなか曲ができないんです。ライヴでやるうちに減ったりするし(笑) でも、曲って出来る時は出来るし、出来ない時は出来ないと割り切っていますよ。

photo by 船橋岳大


—その辺りの感性は同じだと?

佐藤 : そうですね。基本的には一緒です。そうじゃないと一緒にバンドをやっていくのは難しいですよね。最初に感性が同じだと思ったので、バンドをやろうと思ったのは大きいですね。

—全体的にポップな印象を受けたのですが、曲作りの際にポップさは意識していますか?

村井 : どちらかというと暗い曲ばかりですけどね(笑)

佐藤 : 暗いかな? 特に意識しないけど、僕たちはポップな曲しかできないんでしょうね。できあがったものがこんな感じだっただけですね。

—佐藤さんは曲を作る時に、ハンバートハンバートとのどちらか決めて作るのでしょうか?

佐藤 : そんなことはないですね。出来上がった曲をやろうとすると、自然と分かれて行きますね。でも2つのバンドに同じ曲を持って行く事もあるんですよ(笑) 実は同じ曲をやっていたりするんですけどね。

—違うバンドで、違うアレンジの同じ曲を演奏することに混乱しませんか?

佐藤 : ほんのちょっと違う部分があったりして、混乱することもありますね(笑) でも、別々にアレンジを作っていくから、種が同じでも育ち方が違うんです。最終的には全く違う曲になるんですよ。

photo by 船橋岳大



—ホームページのトップにのっている女性の絵は、誰が書いたのですか?

女性の絵

村井 : 僕が書いたんですけど、良成の家に遊びに行った時に、ビールを飲みながら書いた絵なんです。

佐藤 : 世界中のジプシーを時系列に追って行く「ジプシー」という写真集があって、その中で踊っているおばちゃんの写真があって、それを見て書いた絵ですね。

村井 : その本は80年代に編集されたものなんです。その取材陣がどこかの東欧のジプシーの村へ行って、居酒屋に入ったら、中にその下着の女性がいたんですね。その取材陣が、出された酒を飲んだら、急に意識が朦朧としてきて、「いかん! これは睡眠薬入りだ! 」といって命からがら逃げ出したというエピソードがあるんです。

佐藤 : よく、そんなこと覚えていたね。記憶力がすごい!

—あの人には、実はすごいストーリがあったんですね(笑) 最後に今後の活動の目標を教えてください。

佐藤 : すごく売れる事だと思います。村井君は何かありますか?

村井 : すごく売れる事ですね。

佐藤 : やっぱり、売れる事が大事かなと。CDもライヴも人からお金をいただいてやっていることなので、たくさんの人がお金を出してくれるといいですね。

PROFILE

佐藤良成と村井健也によるギターとドラムのみの小編成ロック・バンド。
2007年、ハンバートハンバートで活躍していた佐藤が、学生時代からの友人・村井を誘って結成。
村井は自身がリーダーを務めるオルタナティブ・バンドを経て、ハンバートハンバートへ楽曲提供を行っていた。
既にお墨付きの創作能力と、魅力ある歌声でリスナーを魅了する佐藤。不器用ながらも純粋で少年のような歌声と詞の世界を持つ村井。
ふたりの個性が融合したグッバイマイラブは、パワフルでポップでさみしげで楽しげなロックを生み出す。

ROCK YOU ! ! ! !


マーガレットズロース 『DODODO』
ライブ感にこだわりつづけたマーガレットズロースがはじめてスタジオ・ワークに目覚めた。70年代フォーク・ロック〜本作ではレゲエ・ダブ・ソウルといった音楽を吸収するまでに成長。どどどと噴出するダイナマイト・マガズロ・ガンボ・ミュージック!!


ドン・マツオ from ズボンズ 『NEW STONE AGE』
90年代中期より日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、世界を股にかけロックンロールし続けている孤高のバンド、ズボンズのフロント・マン、ドン・マツオ。3年ぶり2枚目となるソロ・アルバムは、前作のコンセプチュアルな内容とはうってかわって、ズボンズ本体と表裏一体のエネルギッシュなロック、ファンキーなリズム、深淵なブルース、小気味いいブギなど、本人もズボンズ名義で出そうか迷ったという渾身かつ軽やかな力作。


騒音寺 『THE BEST OF SO-ON☆G』
90年代半ば京都で結成。地元京都の先人“村八分”や明太ロックの雄“サンハウス”の影響が濃い、極めてロック色の強いバンドとして活動。ロック・ファンから絶大な支持を集める。本作は、これまでにリリースした6枚のオリジナル・アルバムから13曲を厳選した新録ベスト・アルバム。"くるり"の"岸田繁"と"佐藤雅史"の両人がフェイバリットにあげる"karasu on my shoulder"をはじめとする最初期の作品や、不朽の名曲として後世に残るであろう"風来坊""帰り道"なども収録した、まさしく【和製ロックンロールの最高峰】とでも言うべきアルバムである。


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この記事の筆者
池田 社長 (tripxtrip)

ミュージャン、DJ、ライター、ライブ録音エンジニア、肉体労働者。あなたが望めば、何にでもなります。陰核御殿というハードコアバンドでギター弾いています。ミジンコ大好き。チャリが好きで、5月に東京から屋久島までママチャリで遊びに行きました。それだけでイイです。だふにあというダブバンドも始めました。万歳。 twitterアカウント: http://twitter.com/tripxikeda

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