オルタナティヴ、エモやポスト・ロックなどの要素を含んだギター・ロック・バンド、cinema staff。6月10日にニュー・アルバム『Symmetoronica』を 残響レコードからリリースする彼らは、名古屋を中心に活動する現役大学生だ。
先日、下北沢SHELTERで行われた彼らのライヴを観た。ステージ上を動き回るベースとギター、叫びのようなコーラス。想像以上に激しいパフォーマンスと、エモーショナルな様子に、心を打たれた。バンド・アンサンブルは轟音で、たたみかける。けれど、伸びやかで張りのある飯田瑞規のヴォーカルは、サウンドがどれだけ激しくてもかき消されることなく、第一声からすっと入り込んできた。そして何よりも、メロディが際立っていて耳に残るのだ。
ライヴのMCでは、「今日は初めてのSHELTER出演。憧れていたライヴ・ハウスなので、ここで演奏できて嬉しいです。」と言っていた。けれど、彼らにとってはひとつの通過点に過ぎないだろう。なぜなら、これからツアーで全国を回ったり、大型フェスへ出演する中で、さらに進化していくことが期待できるから。
ライヴ前の貴重な時間に、彼らに話を伺った。
インタビュー&文 : 井上沙織
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(期間:6/4〜6/11)
INTERVIEW
—結成の経緯を教えてください。
飯田瑞規(以下I) : 僕とギターの辻友貴とベースの三島想平は高校のときに、部活が一緒だったことやライブ・ハウスでよく会っていたことがきっかけで、バンドをはじめました。ドラムの久野洋平は三島と同じ大学に通っていて、ちょうど3年前くらいに加入して今の編成になりました。
—今作『Symmetoronica』は、楽器が轟音なのにも関わらず、歌が印象に残りました。意識はされたのでしょうか?
I : もちろん歌も大事にしているんですけど、ただの歌ものバンドには収まりたくないと思っているんです。昔はそういう音楽も好きだったけど、だんだん嗜好も変わってきました。今は楽器と歌をうまく調和できるようにしようと考えています。
—具体的に、影響を受けたミュージシャンはいますか?
久野洋平(以下K) : Hi-STANDARDです。
I : THE YELLOW MONKEYとかAIR、RADIO HEADですね。
辻友貴(以下T) : GLAY。今はlostageが好きです。
三島想平(以下M) : ゆずですね。J-POPが好きでした。
—ゆずですか! 意外ですね。
M : 今でもメロディがはっきりしているものが好きなので、僕らの曲にもその影響はあると思います。
K : 影響というよりは、基本的にポップなものが好きなんです。
—J-POPが好きだと言うことに抵抗はないですか?
I : 「J-POPって格好悪い」みたいな時期もありましたけど、そう考えているほうが格好悪いなと思うようになりました。良いものは良い、というのはすごく大切なことだし、J-POPだからという理由で批判するのはおかしいですよね。
M : J-POPっていう枠がいまいちよくわからないし、僕らはジャンルや枠にこだわってやっているわけじゃない。仮に僕らの音楽がそう言われても、音が格好いいと思って聴いてくれる人がいるならそれでいいんです。
—cinema staffの音楽は、オルタナティヴ、ポスト・ロックやエモの要素を感じます。
M : 僕はすごくポップだと思っています。定義みたいなものはないけど、僕らが発信しているものはそう。曲を作る時点ではポップかどうかは考えていなくて、最終的なアウト・プットで自然とそうなるんです。
—その意識は、メンバー共通なのでしょうか?
M : そうですね。それぞれの価値観があるので微妙な違いはありますけど、大枠での統一はできています。ポップじゃないと思いながらやっている人はいないですね。
—曲はどのように作っているのでしょうか?
I : 大筋は三島が作ります。そこから全員で合わせながら練っていくかたちですね。
—『Symmetoronica』の製作期間は、どれくらいかかったのでしょうか?
M : 曲作りを含めて半年くらいです。ファースト・アルバムの『document』を出した時から、そのときの反省も含めて、次はどうしたいのかという方向性が見えたので、そこを意識して作りました。
—テーマはあったのでしょうか?
M : 「静と動」です。対称性をコンセプトに作りました。静かな部分と動きのある部分の両方が僕らの音楽を構成していて、どちらの面でも勝負できると思っています。
—『document』は、静と動どちらかの比重が大きかったのでしょうか?
M : まず、その意識自体がなかったですね。『document』は初期衝動的で、「とりあえず録ったるぜ! 」みたいに思っていた。今回は最初から明確にイメージを持つことが出来ました。
—名古屋で活動しているとのことですが、名古屋の音楽シーンを肌で感じることはありますか?
T : 僕らは新栄CLUB ROCK'N'ROLLっていうライブ・ハウスで大学1年生のときからやっていて、そこでsoulkids達と出会って、一緒にライブをしたり、色んな話をしたりしてきた。そういうポップなシーンもあれば、今池のHUCK FINNっていうライブ・ハウスでは、ハードコアを中心に、また別のシーンが広がっているんです。でもそこと繋がりがないわけではなくて、ちゃんとバンド同士は繋がっている。東京に比べたらバンドは少ないですけど、それぞれが濃くて、良いバンドが沢山いますよ。
—東京で活動することは、考えているのでしょうか?
M : まあゆくゆくは…。上京することによって、環境の変化から受けるインスピレーションでもっといいものを作れたら、と思いますね。
—今後の展望を教えてください。
I : まず『Symmetoronica』をもっと多くの人に聴いてほしい。それから一番リアルなのはライブなので、ライブに来てほしいです。
M : レコ発ツアーでは、今まで行ったことのない土地にも行きます。観たらわかるというつもりでやっているので、やっぱりライブを観に来てほしいですね。
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LIVE SCHEDULE
- 6/6(土) @HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 6/7(日) @横浜CLUB LIZARD
- 6/13(土) @福井 CHOP
- 6/14(日) @富山 Soul Power
- 6/20(土) @千葉 LOOK
- 6/21(日) @東京 新代田FEVER
- 6/26(金) @大阪十三FAN DANGO
- 6/27(土) @池下CLUB UPSET
- 7/4(土) @京都MOJO
- 7/5(日) @岡山CRAZYMAMA 2nd Room
- 7/7(火) @今池HUCK FINN
- 7/11(土) @京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
- 7/11(土) @長野LIVE HOUSE J
- 7/12(日) @山梨甲府KAZOO HALL
- 7/13(月) @岐阜BRAVO
- 7/20(月)at 渋谷O-nest
- 8/1(土)at 国営ひたち海浜公園
Tour AMK tripと残響祭 5th ANNIVERSARYの予定はこちら
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PROFILE
cinema staff
2003年、辻友貴、飯田瑞規、三島想平により前身バンド結成し、2006年7月久野洋平が加入し、現在の編成となる。愛知・岐阜県のライブ・ハウスを中心に活動を開始し、リリース以前より「SAKAESPRING 2008」に出演するなど、名古屋を中心に各メディアから注目を受ける。オルタナティブ、エモ、ポスト・ロックに影響を受けたセンス溢れるポップなメロディと、それとは対照的な直情的で衝動性の強い攻撃性を持ち合わせたギター・ロックの新世代アーティスト。