2009/01/22 00:00

Autumnleafと言う巨木に魅せられてしまった

 ULTRA BIDEと組んでいるULTRA Jr.というバンドで九州に遠征した時に、彼らと共演することが出来た。1曲目を聴いた時には、「下の世代に溢れるPOST ROCKだな」と触手は動かなかったのだけど、次々に放たれるその楽曲の強さに撃たれ、ライブ終了時には、Autumnleafと言う巨木に魅せられてしまっていたのだ。一定の形を持ったサウンドには、技術だけでなく決してぶれない幹が必要で、彼らのそれはとても太く強靭。ゆっくり時間をかけて積み上げたであろう楽曲は、枝から伸びた色とりどりの葉を連想させた。アメリカのインディペンデントに憧れたレーベル業も含めて、2、3年後には、日本POST ROCKシーンの先陣でもあるTOEやcatuneレーベルのように、更に若い世代からリスペクトされるだろう。さらにでかくなる巨木を、時間をかけて応援していきたいと思う。

ちなみに、昨今の若手POST ROCKバンドの成熟度には目を見張るものがある。東京のsora、京都のbedや大阪のfolio等は最も注目すべきであり、続けとばかりに次々と新しいバンドが登場してきている。今、日本POST ROCKシーンの流れは大きく変わろうとしているのだ。

INTERVIEW

インタビュー&文:飯田仁一郎 (Limited Express (has gone?),ULTRA Jr.)


全体に言えるのは、イメージしていた仕上がりより格段にいい出来になっている

Autumnleafというバンド名、今作の"still have nothing to be sure"というタイトルの由来はなんですか?

Autumnleaf(以下A):バンド名にコンセプトはありません。響き方を重視してAutumnleafにしました。アルバムのタイトルは直訳すると「まだ確信している事は何も無い」。音楽・バンドに対する無限の可能性などの意味も含めて、ベースの鬼塚春幸が考案し、皆で決定しました。

Autumnleafは、いつ、どのように結成されたのですか? メンバーの担当楽器や名前等も教えて下さい。

A:結成は06年10月です。前身バンドLAST SHOW OF DISTANCEよりVo.神崎が脱退後、活動と音楽性を一新しようと、残ったメンバー石井勇(Gt)、鬼塚春幸(B)、高倉知温(Dr)でスタートしました。同時に楽曲の幅を広げるためギタリストを募集し、共通の友人のライブを見に来ていた本田輝也(Gt)と出会い、彼の音楽への探究心とギタリストとしてのセンスにバンドのビジョンを見い出し、新メンバーに迎えてAutumnleafと名を改め活動を開始しました。

—あなた達が強く影響を受けたアーティストを教えて下さい。

A:各メンバーそれぞれが影響を受けたアーティストは異なるのですが、重なる部分で言えば、American Footballや、Joan of Arc、the promise ring、owen、DEATH CAB FOR CUTIE、IdaなどのUS indie rockです。音楽だけではなく、思想や活動などにも影響を受けています。

—今作は、toeの美濃隆章氏がエンジニアですね。何故彼にお願いしたのですか? また東京のどこで録音したのですか?

A:僕等の楽曲をより理解してくれて、さらに曲の魅力を十二分に引き出してくれるエンジニアにやってもらいたかった。ルーツ的な所、そこから何を求めているのか迄理解してもらった上でレコーディングを行いたいって思いはずっとありました。理解してもらえないことにはさらにその先には行けないので、そこのストレスを無くしてレコーディングが出来る方を探していてたどり着いたのが美濃さんです。東京では、リズムとベーシックを永福町のパワー・ハウス・スタジオで録り、ダビングと歌は下北沢にあるプレゼンス・スタジオで録りました。今回は、美濃さんのヴィンテージ機材を多数使用させていただいており、美濃さんに福岡に来てもらうよりも慣れた場所で行うのが良いと思い東京でレコーディングを行いました。

—繊細な音のなりが素晴らしいです。美濃隆章氏とタッグを組んでどうでしたか? また出来上がったものは、当初イメージしていたようなものでしたか? レコーディング秘話等もあれば教えて下さい。

A:美濃さんは予想以上に楽曲を理解してくれました。なのでレコーディング中は、細かいプレイ、全体のイメージや音に関することなどを色々話し、曲を理想の形にしていく事が出来ました。仕上がりは予想通りの響きの曲もあれば、レコーディングを経て全く違った響きを持ったものなど様々です。全体に言えるのは、イメージしていた仕上がりより格段にいい出来になっているって事です。

レコーディング秘話は、、、

パワー・ハウス・スタジオでの食事は出前を取っていたのですが、その出前先の永福町駅前「天竜」のカツカレーがうまかったって事ぐらいです。それが今回のサウンドの核になってるかもしれません...。


think global act local

—を立ち上げたのは、どのようないきさつですか?

A:Autumnleafの1st『red lies in the white field』を自主で出して半年ぐらい経ち、「アルバムを出したいね」ってメンバーで話していて、全員が共通してアメリカのインディペンデントから影響を受けていたので、どうせ出すんだったらレーベルのコンセプトがはっきりとしていてカラーのあるところが希望でした。そこで僕等の音楽性を踏まえたうえで探してみると中々見つからなくて、「だったら自分達でやろうよ!」といって始めました。そう思えたのは、以前やっていたLAST SHOW OF DISTANCEの音を気に入ってくれている流通の方が「いいんじゃない!」って言ってくれた、始める環境があったのもあります。

—そのレーベルを拠点に、福岡でイベント等の活動を続けていますが、あなた達が福岡にこだわるのは何故ですか? また、他の地方と福岡の違いは何ですか?

A:特に福岡にこだわってはいません。福岡で生まれて、福岡で育って、福岡をベースに活動しているだけです。やっぱり地元がやりやすいんです。愛着もありますし。何度もいいますがアメリカのインディペンデントに影響を受けていて、土地柄を生かした活動をやっていきたいと思っています。

他の地方との違いは...

東京、名古屋、大阪の次ぐらいの規模の大都市ですが、若者同士のコミュニティも広くなりすぎてなくフットワークが軽いです。これからの可能性に溢れている街だと思っています。

—現在の福岡の音楽シーンをどう捕えていますか? 又それに対して、あなた達は、どのような行動を起こそうと考えていますか?

A:全体的に少し内を向いている感じがします。インターネットが普及して、世界中の音楽にタイムラグが殆ど発生していないって事実を真に受け止めて、レーベルのコンセプトでもあるんですが「think global act local」を僕等なりに理解して実践していきたい。さらに、現存する福岡のシーンとはまた違った行動をしていきたいです。

Autumnleafのように、全国的にポスト・ロックを通過した世代が成熟してきているように感じます。あなた達が注目している同世代のアーティストを教えて下さい。

A:、トクマルシューゴ、miyauchi yuri、です。音はもちろん、動き方にも注目しています。

—ジャケットには野川かさねさんの写真を使っていますね。Autumnleafの世界を視覚化するのに成功していると思うのですが、どのようないきさつでコラボすることになったのですか?

A:ありがとうございます。野川さんとは石井の職場がカフェと本のお店なんですが、そこで野川さんの写真集を扱っていて、一目見たときから自然の空気感を捉えた写真が好きになりました。アルバムのジャケットに写真をメインで使いたいねって話になった時、「野川さんの写真しかない! 」って思って取引先の書店を通じて紹介して頂きました。一方的なアプローチ! まだ野川さんに会ったこともないんですよ。いつか会ってみたいです。

—次のリリース予定等はありますか? また今後、Autumnleafはどこに向かっていくのですか?

A:レーベルとして現段階では、リリースは思案中です。ビジョンとしては、福岡だけでなく国内、海外も視野に入れて同世代の面白い動きをしているアーティストの音源を出したいです。具体的なレーベルの活動は、『WOOD/WATER MUSIC』というイベントを行い、国内外問わずアーティストの招聘もやっていきたいです。ちなみに、Autumnleafはリリース・ツアーに合わせて、『WOOD/WATER MUSIC』を東京・福岡の2箇所にて企画しています。とても面白い内容になるのでこちらの詳細やレーベルの活動など含め、レーベルBLOGをチェックして下さい!

Autumnleafとしては、迷いあぐねいています。自身のビジョンにバンドが追いついていない感が否めないので、今以上に説得力のあるバンドを目指します。その後はどこへでも行けると思います。僕等の今後に期待していてください。

LIVE SCHEDULE

still have nothing to be sure release tour!!!!

2009/01/26(Mon)@東京 下北沢ERA
w/Howling discord,QwQan and more
02/08(Sun)@福岡VIVREHALL
w/marty,The Feather Side,Paraele Stripes and more

02/14(Sat)@山口Organ'sMelody
w/LITTLE PHRASE and more
02/25(Wed)@神戸BACKBEAT
w/TBA

02/26(Thu)@名古屋TIGHT ROPE
w/TBA

02/28(Sat)@東京 渋谷o-nest
WOOD/WATER MUSIC
w/BALLOONS,miyauchi yuri,and more

03/01(Sun)@東京 小岩eM SEVEN
w/aie,DEEPSLAUTER,Thymo,and more

03/15(Sun)@福岡Rooms
WOOD/WATER MUSIC
w/nhhmbase,miyauchi yuri,the guitar plus me,ampfolk,THE SHITMS

03/16(Mon)@熊本Django
w/Doit Science,miyauchi yuri,nhhmbase,the guitar plus me,and more

03/27(Fri)@大阪火影
w/TBA

03/29(Sun)@徳島 銀座CROWBAR
w/HAMK and more

LINK

Autumnleaf website 

Autumnleaf myspace 

AutumnleafのレーベルWood/water records http://woodwater.jugem.jp/

08年7月、Autumnleafのメンバーである、石井・高倉が中心となり設立。USのインディー・レーベル、Polyvinyl、barsuk、JADE TREEなどをモデルに福岡の良心的レーベルを目指し活動する。レーベルの活動方針の具体的表現として"WOOD WATER MUSIC"と題した音楽イベントを定期的に開催。これまでに、第一回目にはmiyauchi yuriを、二回目にはI AM ROBOT AND PROUDをゲストに向かえ開催される。レーベル第一弾アーティストは自身のバンド"Autumnleaf"の1st Albumをリリース! 今後は、Autumnleafの音源だけでなく国内、海外アーティストの音源のリリース・ディストリビュート・ツアーサポート、海外アーティストの招聘、ライブイベント"WOOD/WATER MUSIC"など様々な形での活動を予定している。

Autumnleaf

福岡を拠点に活動する4ピース・インディー・ロック・バンド。06年10月結成。前身バンドLAST SHOW OF DISTANCEよりVo.神崎が脱退後、活動と音楽性を一新すべく、新メンバーに当時若干19才の本田輝也が加入しAutumnleafと名を改め活動開始。福岡市内を中心にコンスタントにライブを行う。翌07年10月、5曲入りEP『Red lies in the White field』を完全自主制作にて1000枚限定でリリース。東京、大阪、徳島とリリース・ツアーを行う。今作がメンバー自ら立ち上げた"wood/water records"からリリースされるなど、そのD.I.Y精神は注目されている。

Autumnleafの前身バンドの頃から続けている自主企画では、これまでにトクマルシューゴ、I AM ROBOT AND PROUD、miyauchi yuri、 the guitar plus me、onsa、the north end、mule、enie meenie、start of the dayらと共演。その他にもBANDWAGON、MIRROR、LITE、Puliなど様々なバンドとの共演を果たしている。1st Albumリリース後にはツアーも予定されており、福岡を拠点としての今後の活動も含め09年は彼等から目が離せない年になりそうだ!

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¥ 1,572

この記事の筆者

[インタヴュー] Autumnleaf

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