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「セクシーでいることに疲れちゃったわ」ビヨンセ・ノウルズ

何のストーリーもないバンドの話を作り上げるには少なからずもそのバンドのバックグランドを知ることが必要だ(あと少なからずのデッチアゲも)。サンパウロ出身の若いバンドを取り巻く南米の冒険はまともな筋書きなしに唐突にやってきた新しいムーブメントと緊迫感の予感にみなぎっている。じゃあどうやってそんなことが可能なのか?どこから話を始める?オリジナルのポルトガル語から英語に翻訳された公式のプレスリリースの情報は散り散りで、英語にされた状態でも十分にいい加減さやおふざけが生き生きと表れている。

「楽器が演奏できないという事をクリエイティビティへの挑戦とし、バンドが行ったナイトクラブでの小規模なギグがサンパウロのアンダーグラウンドシーンを満足させた」

2003年あたりのサンパウロに話を戻そう。バンドは何の計画もメンバー構成もはっきりしないままに集まった。フォトログ(写真やビデオ映像をシェアするソーシャルコミュニティサイト。ブラジルではえらい人気らしい。)で出会ったメンバーたちが何か新しい事を始めようとクラブに集結。彼らは地下に集まった。そしてプランを練った。目の前にある楽器をどうやって演奏するのかという知識がないまま、実験は始まった。ある日、女性メンバーの一人がギターを忘れて来たので代わりにマイクを渡された。突然そのマイクに向かって叫ぶ事ができることに気づいた。なぜかうまくハマった。最終的にバンドは6人構成に拡大し、ギター担当の女性メンバー数人と新たにドラムを始めた男性メンバーは、やっていくうち徐々にスキルを何とか身に付けていった。嘘くさいアーティストたちが空威張りする姿への苛立ちを原動力に、そして非有名人を讃えるべく、バンドの名前は決まった。それがCSSだ。

「ラヴフォックス(Lovefoxxx)は才能あるデザイナー、アナ(Ana)は映画業を勉強中、イラ(Ira)はファッション・デザイナー、カロリーナ(Carolina)はグラフィックデザイナー、ルイザ(Luiza)は美術学校の学生。」

2006年に早送りしよう。母国語ポルトガル語に反してバンドはしまりのないビートと早いプログラミングにのせて英語で歌うことに・・・そして彼らは自分たちのシーンはサンパウロにあらず、インターネットであると主張する。「パリス・ヒルトンとの出会い」「レッツ・メイク・ラブ・アンド・リッスン・デス・フロム・アバヴ」といった曲タイトルから察せられるようにCSSはポップ・カルチャーへの賞賛をあからさまに偏愛。ファンキーなダンスホールと揺れ動き跳ねる音階のはざまでリードボーカルのラヴフォックスは叫び続け、全く恐れのない調子でボーカルをぶちまける。素晴らしく羞恥心のないままに。か細いギターとかっ飛ばすドラム、そして躁病的なバカ浮かれたサビが曲を盛り上げる。分厚く脈打つ行き当たりばったりのシンセ(「Alala」)、そしてカモン!の呼びかけとその反応がキザなアティテュードらしき面影をぶっ壊す(「Art Bitch」「Patins」)。ユニークな叫びとポップに溢れるアルバムは強烈に差し迫る何かを押し出しながらも、全体的なまとまりを持っている。きっちり出来上がった楽曲とバラバラな歌詞を伴って、彼らはやってきた。

「こういうギグの一つ一つがアドベンチャーになっていった。何が起こってもおかしくなかった。ステージと客席の間で交わされるゴムボール合戦、ステージダイビング、パンツの見せ合い、男性下着がステージに投げ込まれたり(また客席に投げ戻されたり)、オーディエンスに背を向けたまま演奏するメンバーやらギグのあいだ中ギグを拒否するようにステージにすわったまま演奏するメンバーがいたり。」

CSSはCansei de Ser Sexy(Tired of Being Sexy = “セクシーでいることに飽きた”)でSub Popからのデビューを飾った。ロックスローガンを唱えるのと、何か新しい事をおっぱじめようという意図が半々にあるこのアルバムはジャンルを超え、世界地図をまたぐ。ダンスのジャンルをフルスピードで疾走し、ワイルドなエレクトロ・ロックでイライラを表面化させながら、未知で手つかずの領域へと達する。見せかけ?否。抵抗?そうかも。彼らはうぬぼれや見せかけではなく、未完成のまま、丸見えの状態で持ちうる全てを投げつけてくる。速攻で、超キズつき、締め付けがなく、崇高だ。にやりと笑うのではなく、ケタケタ笑う感じ。

「音楽だけじゃない。ともに進んで行くという新しい形。この新しいグループは“目的地点”に到達するまで温存するのではなく、勇敢にも自分たちを見せびらかし、その全てを“スタイル”にしてしまっている。」

ファッション。アート。デザイン。映画。投げ込まれ、投げ返されるパンティ。ホットパンツとセクシーな脚線。一体どうやって?こうやって起こったのだった・・・;

ラヴフォックス(Lovefoxxx) - ヴォーカルアドリアーノ・シントラ(Adriano Cintra)- ドラム、ギター、ヴォーカル、作曲カロリーナ・パラ(Carolina Parra)- ギター、ドラムアナ・レゼンデ(Ana Rezende)- ギター、ハーモニカルイザ・サア(Luiza Sa)- ギター、ドラム、キーボードイラチェマ・トレヴィサン(Iracema Trevisan)- ベース

http://www.ksr-corp.com/artist/show/53

Official site: http://www.csshurts.com/