スイングタイム・ビデオ全20巻は、スイング・ジャズを中心とする多様なスタイルのビッグバンド、コンボ、歌手、ヴォーカル・グループのそれぞれのヒット曲を収録した非常に貴重で、しかも楽しいコレクションです。1930年から60年代にかけて、ディキシーランド・スタイルのジャズからスイング・ジャズ、そしてモダンなサウンドのジャズまで、いろいろのスタイルのジャズが演奏され歌われています。今日でも日本のジャズメンがよく演奏する有名な曲が聞けるのは勿論ですが、スイング時代の名門バンドのアーティー・ショウやハリー・ジェイムス、ダンス・バンドのガイ・ロムバードやジャン・ギャバー、そしてペギー・リーやキング・コール、フォー・フレッシュメンなど他では絶対に聞けない貴重な演奏ばかりです。ジャズを楽しむ視野が広がることは間違いありません。第6集では60年代の3大黒人ビックバンドを聴き比べます。ここに登場する3人のバンド・リーダーはいずれもジャズの世界で重きをなした人たちであり、パーソナリティも豊かで、バンド・リーダーとしての統率力に富み、偉大なリーダーといえる人たちである。デューク・工リントンは1920年代から、カウント・ベイシーは1930年代から、ライオネル・ハンプトンは1940年代からバンド・リーダーとして活躍し、その名声を欲しいままにしてきた人たちである。エリントンとベイシーはよきライバルとして黒人ビッグ・バンドの頂点に立ってきたリーダーであり ライオネル・ハンプトンは多才で、エンタテイナーとしてジャズ・ファンを大いに楽しませてきた。この三大黒人ビッグ・バンドのライブ演奏を収めた本作品はビッグ・バンドの楽しさと魅力、ジャズのエッセンスを昧わ うには最上のものといっていい。64〜65年と比較的新しいものであり、これらのバンドの熟成した演奏を聴くことができる。60年代の中期といえば、三人のリーダーともに、音楽家として、リーダーとしてもっとも充実した日々を送っていた時期に当たっており、バンドの演奏も絶頂期のそれである 。いずれのバンド演奏もかなり広いボールルーム(ダンスホール)でのライブ演奏を収録したものである。日本ではビック・バンドジャズは鑑賞のためだけの演奏と思われがちだが、アメリカではビックバンドは社交ダンスと共に育ってきた歴史を持っており、ダンス・バンドはもとより、ジャズのビックバンドもホテルのダンスフロアーで演奏したり、ボールルームで演奏したりすることが少なくないのである。