美術作品が、その目にうつった外的世界を描いたものであるとすれば、詩は彼女の内面の叫びである。妄想エンジン全開娘のファーストアルバムとなる本作では、作曲にラップ★インクルージョン↓の門脇篤を迎え、初音ミクを全編にフィーチャリング、ジャケットにも見られるような装飾的でユーモラスなその美術作品とは対照的に、あまりにもまっすぐに純粋で、それゆえに底知れぬ悩みや苦悩を抱えたひとりの人間の叫びを我々は耳にすることだろう。極私的な内容を起点にしながら、どこまでも遠くへとエンジン全開のまま体当たりしようとする不器用なほどに真摯な生き様は、それを普遍的な人類の問いへと昇華し、「妄想」という名の豊かな森へと我々をいざなうにちがいない。