ソンタヤー・カラシン

Discography

V.A.

日本に細野晴臣、ジャマイカにソニア・ポッティンジャーやハーマン・チン・ロイがいるように、タイにはスリン・パークシリがいる。彼がプロデュースしたモーラムの宝物を詰めた世界初コンピレーション。 Soi48とエムのタイ音楽アーカイブ・シリーズ立ち上げ時から最大の目標に掲げてきたスリン・パークシリのモーラム作品集。シリーズ中、最大ボリュームかつ最高音質も自負する、タイ・イサーン音楽のある意味究極の1枚です。 パークシリはアンカナーン・クンチャイ「イサーン・ラム・プルーン」で、タイの伝統芸能と西洋ポップスを折衷し、タイ歌謡の方向を変えてしまった革命児ですが、彼のルーツであるタイ東北地方イサーンの伝統的語り芸、モーラムの発展にも人一倍の創意でとりくみました。 本作はレコードからカセットテープへと媒体が移っていく1970年代から80年代、パークシリが手がけたモーラム作品をコンパイルした、タイでいまだ編纂されていない音源集です。この珠玉の曲群が長らく手付かずだった理由は、彼が独立プロデューサーだったことと、作品のほとんどが7インチ・シングル盤で流通していたことにあります。1曲単位の制作だったシングル盤時代からカセットテープ時代に入り、フォーマット上の要請で音源を大量供給する必要がうまれ、プロデューサー達は格式あるモーラムの型を崩し、芸能技術の敷居を下げて対応しました。これが80年代のモーラム・ブームを駆動させましたが、パークシリの流儀は、芸能の型は崩さないかわりにサウンド(オケ、バンド演奏)で革新を追求することにあり、新旧・有名無名のモーラム達を相手に音楽的バリエーションを生み出すことに成功。これはモノ・コードで演奏も楽器も固定され、ワンウェイになりがちな同ジャンルでは驚異的です。 今回、美しくオーセンティックなものからラディカルな実験まで、モーラムという伝統音楽をアヌラック・レ・パッタナー(タイ語で「保存と改革」の意)して継承した彼の手腕を聞く22曲をセレクト。ほとんどの曲が初再発・初CD化(一部は初レコード化)となります。これまでコレクターしか耳にできなかったタイ・イサーン音楽の秘宝がここに開放されます。

21 tracks

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