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2017/06/18 12:30

 

音楽評論家・宗像明将が見た、清 竜人25ラスト♡コンサートーーOTOTOYライヴ・レポート

 

6月17日(土)に幕張メッセイベントホールで解散コンサートである「ラスト♡コンサート」を行った清 竜人25

音楽評論家・宗像明将が見た最後のライヴ・レポートをお届けする。

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目を覚ましたら清 竜人25の解散ライヴが待っている。そんな「恐怖」を抱いていた前夜の自分に伝えたい。総合演出を務める清 竜人は素晴らしいエンディングを用意しているよ、と。

2017年6月17日、一夫多妻制アイドルグループ・清 竜人25の解散ライヴ「清 竜人25“ラスト♡コンサート”」が幕張メッセイベントホールで開催された。

「清 竜人25“ラスト♡コンサート”」のテーマは、清 竜人25の「結婚披露宴」。しかも、4時間を費やして全曲を歌うことが事前にアナウンスされていた。結婚披露宴だと言われたら、正装で行くしかないだろう。私はスーツ姿で幕張メッセイベントホールへ向かった。

会場前では、私と同様にドレスアップした清家(清 竜人25ファンの総称)と出会った。そして、デビュー曲「Will♡You♡Marry♡Me?」の衣装に身を包んだ女の子たちの姿も。

入場すると、開演前から清 竜人25の楽曲群が流され続けていた。これから歌う楽曲を平然と流しているのが清 竜人25らしい。そして会場には、ステージからまっすぐに延びた真紅の花道が。そう、ヴァージン・ロードが満員の幕張メッセイベントホールに出現していたのだ。

そして開演直前、清 可恩(第6夫人)がツイートした。チェキの写真のみで、そこには「3年間応援ありがとうございました!! 第6夫人 清可恩」という手書きの文字が。もうすぐ終わるのだ。そう実感した瞬間だった。

開演時間を迎え、荘厳な音楽が響くと、紅白の幕が垂らされたステージ上から、清 竜人25がひとりずつ階段を降りて登場した。清 竜人25がヴァージン・ロードを歩き、花道の先頭へとたどりつく。すると、清 竜人はひざまずいて、夫人たちにひとりずつ指輪をはめていった。

「咲乃、亜美、美咲、可恩、優華、心から愛してます。」

清 竜人がそう言ったとき、涙腺が緩みそうになった私は、清 竜人25に何を見ていたのだろうか? 次の瞬間、「Will♡You♡Marry♡Me?」がスタートした。

「Will♡You♡Marry♡Me?」から「ラブ♡ボクシング」へと続き、銀テープが一気に飛ばされた。この流れに「リリース順に楽曲を歌うのだろうか?」とも考えたが、3曲目は「どうしようもないよ...」だったので、リリース順ではないと判明。4曲目の「Call♡Me♡Baby」では、清 美咲(第4夫人)が清 竜人の頬にキスするシーンもあった。リリース時期に関係なく、バラード、デュエットなど、曲調や趣向ごとにまとめられたセットリストで、そうした工夫があってこそ4時間もの長丁場が成立したのだ。

また、衣装替えで清 竜人25がステージを去ると、3年の歴史を振り返る映像が流された。メンバー募集、オーディション、初ライヴ、清 菜月(第5夫人)の懐妊発表、清 優華(第7夫人)の加入、ファースト・アルバム「PROPOSE」のリリース、初のツアー、2016年4月9日の中野サンプラザでのワンマンライヴ……。映像は随所で流されることになる。

解散ライヴだというのに、自己紹介のMCで清 竜人がいつもと同じくステージにいなかったのも彼らしかった。「私たちの披露宴へようこそいらっしゃいました!」と言った清 亜美(第3夫人)も「今までは?」と疑問に思ったそうだが、「一回忘れて」と言われたとか。

清 竜人25と8人のダンサーがステージと花道を使い、凝った照明がそれを彩る。「Coupling♡」ではダンサーたちがウェディングケーキを運んでくる趣向もあった。

そして、すべての楽曲が披露されるとアナウンスされていたこの日、聴くのを楽しみにしていた楽曲が2曲あった。「鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡」と「天上天下唯我独尊」だ。ともに清 竜人25の初期のライヴで歌われ、その後CD化もされたが、それ以降はライヴで歌われなくなった楽曲である。ともに一夫多妻制というコンセプトとは関係のない歌詞で、清 竜人25というグループにとっての「初期の余白」のような楽曲なのだ。特に「鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡」の主人公は小学生。「天上天下唯我独尊」の最後は清 可恩の「さよなら...」という叫びとともに終わる。清 優華の加入後、この2曲が歌われる光景を私は初めて見た。解散ライヴで。

デュエット・コーナーの最後を飾った清 竜人と清 優華による「My Lovely♡」では、ステージからふたりが去る時間に合わせて、アウトロに新たにトラックが追加されていた。しかも、ステージ脇を見ると、トロッコに乗った夫人たちが清 竜人と清 優華を手招きしている。続く「アカシック♡レコード」は、そのトロッコに清 竜人25全員が乗り、会場を回りながら歌った。そして、夫人たちはトロッコから客席にブーケトス。その「アカシック♡レコード」は、本来は清 竜人と清 桃花(第2夫人)によるデュエット曲だ。全曲を歌うためでもあるのだろうが、2016年に腰痛が原因で活動を終了した清 桃花へのさりげない気遣いなのだろうとも感じた。

清 竜人25へのメッセージ映像も流された。そこに登場したのは、上坂すみれ、きゃりーぱみゅぱみゅ、ベイビーレイズJAPAN、堀江由衣、ももいろクローバーZ。解散なのに「結婚のお祝いメッセージ」という何かが倒錯している感覚が、コメントの随所に顔を出していた。メッセージを頼まれた側も話がややこしい。

「ハードボイルドに愛してやるぜ♡」では、ステージ前から火が噴きあがった。「Rujin♡」という文字に彩られた新衣装のお披露目もあったが、それはこの日が最初で最後の新衣装だ。

2014年に初めて清 竜人25を見た頃は、まだ清 竜人と夫人たちが対等にステージに立っているとは言い難い状態だった。楽曲の後半まで清 竜人がステージに登場しない「The♡Birthday♡Surprise」は、そんな夫人たちにあえてステージを預けるための楽曲だったのかもしれない。しかし、ラストツアーである「清 竜人25“メーク♡ラブ♡ツアー”」では、グループがひとつになってステージを見せられるレベルへと到達していた。解散ライヴでの「A・B・Cじゃグッと来ない!!」でも、清 竜人25はステージと花道をフルに使って見応えのあるステージを展開。「逢いたいYO〜♪」では、ダンサーたちが巨大な風船を客席に投げ、その風船が割れると中から大量の小さな風船が飛びだした。

「誓いのワルツ」の前には、キャンドル調の灯りを夫人たちがダンサーたちにわけていくかのような、厳粛にしてロマンティックな演出も。そして「25♡」は、2016年11月20日のZepp Tokyoでの解散発表時に歌われた楽曲だ。つまり、解散を発表するために作られた楽曲を、改めて解散ライヴで聴いたのだ。気づくと、清 咲乃(第1夫人)は涙を流していた。

クライマックスの「LOVE&WIFE&PEACE♡」では、「いまさらだけど清 亜美のソロダンスはいったいなんなのだろう……?」と考えているうちに、ステージ上に大量のキラキラした紙吹雪が舞ってきた。歌い終わると、清 竜人がいつものように足早にステージから去ろうとしたが、彼にしては珍しいことに客席を振り返ったのだ。

アンコールのタイミングかと思わせたが、そこで再び映像が流れだした。清 桃花の活動終了、解散発表、2017年1月14日の「清 竜人ハーレム♡フェスタ SPECIAL」、そしてラスト・アルバム『WIFE』のレコーディングの帰り道での夫人たちの言葉。

すると再び荘厳な音楽が響きだし、まず白いタキシードを着た清 竜人が登場して、深く頭を下げた。続いて登場した夫人たちは、白のウエディングドレス姿だ。

清 竜人25の全31曲のパフォーマンスが終了し、ひとりずつ挨拶をしていく。涙を見せまいと後を向いた清 優華は「みなさん、第7夫人に迎えてくれてありがとうございました、以上です」と言うのが精一杯だった。そして清 竜人は、「『清』という名字を背負ってくれてるだけで充分で、嬉しかったです」と夫人たちに感謝すると、清 竜人25らしい幕の閉じ方を模索してきたことを語った。

「清 竜人25は夢ではありませんでした。現実でもありませんでした。清 竜人25でしかありません。世界中どこを探しても、ここにしかない愛の形をその胸に焼きつけてください。約3年間ありがとうございました!」

清 竜人はそう語ると、ステージ上のグランドピアノの椅子に座った。歌いだしたのは「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」。清 竜人のソロ時代である2011年のシングル曲だ。

その瞬間、私の脳裏にフラッシュバックしたのは、2016年9月10日の友人の結婚パーティーで、新郎が新婦への手紙を読むときに「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」が流された光景だった。そのことを私がツイートすると、清 亜美と清 可恩が引用RTをして、清 亜美は「りゅうじんくんだいすき」、清 可恩が「泣ける話」とコメントしてくれたことも思いだす。友人の本物の結婚パーティーで流された清 竜人の「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」が、清 竜人25の「結婚披露宴」で清 竜人によって歌われだしたのだ。それはまるで、清 竜人という個人が、夫人たちに本当に恋をして結婚披露宴を迎えたかのような演出だった。

「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」は、途中でピアノの弾き語りからオケになり、清 竜人と夫人たちによるデュエットに。そして最後は、夫人たちがひとりずつ清 竜人と抱きあって、おでこに清 竜人からキスをされると、ステージ上の階段をのぼって去っていった。

夫人たちが去り、清 竜人はグランドピアノに戻る。すべての照明が消えて、スポットライトが清 竜人だけを照らしだす。そして、演奏を終えた清 竜人が深く頭を下げると、スポットライトが消えて清 竜人は闇の中に消えていった。

会場にエンディングロールの映像が流れだす。それもまた作品であるかのように、観客たちは立ち去ることなく、最後までそれを見届けた。清 竜人25の歴代の全メンバーの名前から始まり、最後に出てきたのは「全作詞作曲/総合演出 清 竜人」という文字。あの解散発表の演出に成功した清 竜人は、解散ライヴも見事に演出してしまったのだ。清家がアンコールを発する間もなかったのに、誰もがすべてを受けいれて満足したかのように、静かに会場を後にしていった。

こうして清 竜人25は解散した。このOTOTOYだけで9回インタビューし、さらに別媒体も含めると取材の回数が10回以上になる私は、清 竜人25が解散した後、自分がどんな精神状態になるのか、まったく予想がつかなかった。しかも、この解散ライヴのオフィシャル・パンフレット「清 竜人25 メモリアル♡ブック」で、7本のインタビューと対談を担当したのも私なのだ。

ところが解散を見届けた結果、晴れ晴れとした気持ちでいることに自分自身で驚いてしまった。清 竜人25のすべてが美しい物語に回収されたからなのだ。

最後の挨拶で多くの夫人たちがファン、つまり清家との関係性に触れたのも印象的だった。解散発表の日、清 竜人25の解散は清家との別れだとも感じたものだが、清 竜人25と清家の関係性は、むしろ解散を通してより濃いものになった感すら受けた。清 竜人25の現場で出会った人々と、またどこかで再会したい。

解散だからといって「離婚」とは言わず、むしろ「結婚披露宴」を開いて清 竜人25は活動を終えた。夫人たちは「専業主婦」になるとされており、あくまで清 竜人と夫人たちの関係性を崩さない設定である。だから、清 竜人と夫人たちは、これからも結婚したままどこかにいる。そんな設定をひとまず置いてみるなら、夫人たちともまたいつかどこかで会えるだろう。

そして、2014年から2017年において、清 竜人25はJ-POPシーン、そしてアイドルシーンの中でも異色にして突出した存在だった。ダンス☆マン、Tom-H@CK、高橋諭一、橋本由香利、MOSAIC.WAV、宮川弾、武藤星児、川田瑠夏、沖井礼二など、大御所から若手まで多くのアレンジャーを起用してきたのも清 竜人25だった。清 竜人25とは、清 竜人によるJ-POPへのさまざまなアプローチの歴史でもあった。清 竜人25の解散は、退屈を私たちにもたらすかもしれない。清 竜人TOWNも2017年7月11日に解散してしまう。しかし、清 竜人は弾き語りコンサートを2017年12月に行うことを発表した。退屈が短期間で済むことに期待したい。

さて、帰宅してみると、結婚することを突然発表したアイドルの話題がTwitterに飛びかっていた。アイドルグループに「結婚」(と『性』)を持ちこんだ清 竜人25の批評性とメタ性を、皮肉にも解散の日に痛感させられることになったわけだ。

今、これを書いているのは解散ライヴ後の深夜だ。まるで3年間に渡るミュージカルが美しく終わったかのような感覚を反芻している。しばらくはこの余韻は消えないだろうし、もう少し今夜の出来事を反芻していたい。こんな「物語」を体験させてくれるアイドルグループは、もう出てこないかもしれないのだから。(text by 宗像明将)

〜〜〜

清 竜人25“ラスト♡コンサート” セットリスト

01.Will♡You♡Marry♡Me?
02.ラブ♡ボクシング
03.どうしようもないよ…
04.Call♡Me♡Baby
05.アバンチュールしようよ♡
06.プリ~ズ…マイ…ダ~リン♡
07.Sundayはわたしのモノ♡
08.マリッジブルーを抱きしめて♡
09.やっぱりWifeがNo.1♪
10.Christmas♡Symphony
11.Coupling♡
12.ねえねえ…
13.The♡Birthday♡Surprise
14.鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡
15.キネマトグラフを♡
16.I Love Youはあなただけ♡
17.まるで嘘のように…♡
18.譲れない…In My Heart…♡
19.My Lovely♡
20.アカシック♡レコード
21.ハードボイルドに愛してやるぜ♡
22.天上天下唯我独尊
23.My Girls♡
24.Mr.PLAY BOY…♡
25.A・B・Cじゃグッと来ない!!
26.マイ♡ワイフ♡イズ♡アイドル
27.逢いたいYO~♪
28.誓いのワルツ
29.25♡
30.愛してる♡キスしたい♡Hしたい♡
31.LOVE&WIFE&PEACE♡

32.ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング

・清 竜人25の作品はOTOTOYで配信中
http://ototoy.jp/_/default/a/106874

清 竜人25 Live Blu-ray&DVD
ラスト♡コンサート@幕張メッセイベントホール【完全限定生産盤】
発売日:2017年9月20日(水)
価格:9,000円+税
商品内容:Blu-ray+DVD2枚組(240分収録予定)
※Blu-rayとDVDは同一内容となります

初回予約特典:60Pライブフォトブックレット
初回予約受付期間:2017年6月18日(日) 23:59まで
予約受付URL
http://www.e-fanclub.com/kiyoshiryujin25/

・清 竜人25 オフィシャルサイト
http://www.kiyoshiryujin.com/25/

[ニュース] 清 竜人25

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