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2016/04/14 18:15

 

リクオ主催〈HOBO SPECIAL〉チャボ、竹原ピストル、朝倉真司、山﨑彩音の熱演で格別に最高な夜に―OTOTOYライヴレポ

 

2016年4月8日(金)下北沢GARDENにて、リクオ主催による毎年恒例のセッション・イベント〈HOBO CONNECTION〉のスペシャル版〈HOBO CONNECTION~HOBO SPECIAL~〉が行われ、一夜限りのセッションが繰り広げられた。

毎年恒例となっているピアノマン・リクオをホストとして行われるセッション・イベント〈HOBO CONNECTION〉。今年は3月16日(水)から4月24日(日)まで、5都市で全10公演を開催、各地で一夜限りのセッションが繰り広げられているが、その中でスペシャルな1日として開催される夜がこの〈HOBO SPECIAL〉だ。

毎年多くの音楽ファンの期待を集めているこのイベント。開演前のBGMにジョン・レノンの「Oh Yoko!」などが流れるリラックスムードの中、まずは忌野清志郎のロックンロール宣伝マンとして知られる高橋Rock Me Babyが立ち上げたレーベル「me and baby music」の所属アーティスト、シンガー・ソングライターの山﨑彩音がリクオと共に、キンクスの「Waterloo Sunset」に乗ってステージへ。

「〈HOBO CONNECTION~HOBO SPECIAL~〉へようこそ! リクオですよろしく! この素晴らしい才能をみなさんに紹介できることをとても嬉しく思っております。若干17歳、オープニングアクト、山﨑彩音! おそらく、何年かしたときに17歳の頃の山﨑彩音を観たことがあるんだぞってみなさんが自慢できるようになるんじゃないかなと思います。ちょっとハードルを上げましたけど(笑)」と紹介すると、観客からは大きな拍手で歓迎された。

●オープニング・アクト 山﨑彩音
一音一音丁寧に鳴らすゆっくりしたアルペジオに、息を飲んで耳をそば立てる観客たち。少しネック寄りにストロークするギターの弾き方がなんとなくチャボに似ているように見えたのはこの日のラインナップのせいだけではないはず。大勢の観客を前に伸びやかな歌声で「○(マル)」を聴かせた後は、第一声「どうもありがとう、山﨑彩音です! どうぞ最後までよろしくね~!」と、あくまでもマイペース、プレッシャーを感じさせない鉄のハート山﨑、さすが17歳の魔女。「ワン、ツー、ワンツーさんしー」と清志郎リスペクトなカウントから代表曲「朝の唄」を軽やかに歌い出す。続く「風の夢」では時折、ギターのテールピースに右掌を当ててピックアップから重たい振動をベース音のように響かせる。それがとても自然に見えて面白い。「こんな素敵なステージで歌えてとても幸せです」との言葉から最後は「誰も知らない」へ。数ヶ月前にライヴを観たときよりも格段に緊張と緩和の表現力を増した歌声とギターを聴かせてくれた。日常を歌う若き吟遊詩人、ロックファンのおじさんたちをも嫉妬させる才能のこれからの進化にさらに期待したい。

●リクオ×竹原ピストル×朝倉真司
リクオ、パーカッションの朝倉真司、そして竹原ピストルがステージへ上がる。ピアノ、カホン、ギターに乗せて「俺のアディダス~人としての志~」からライヴがスタート。アコースティックな編成とは思えないどっしりと重たい演奏と速射砲のごとく言葉を吐き出すピストルにいきない圧倒される。地を這ってよじ登ってくるようなド迫力なシャウトに、演奏が終わった瞬間に「すげぇー!」とどよめきと大きな拍手が沸き起こった。

●竹原ピストル ソロ、×リクオ
ピストル1人になり、「ドサ回り数え唄」を弾き語り。続いて、「全然街が変わってしまって恐縮なのですが」と前置きして客席を笑わせてから「LIVE IN 和歌山」で激しくリズムを刻んで歌い出す。「これもし、僕が逆の立場だったら思わず手拍子しちゃう曲なんですけど、どうですかね?」とユーモアたっぷりなMCに観客は爆笑しつつ手拍子、ギター1本のブギーに合わせて「みんな~、やってるか!」と大合唱。出来たばかりの新曲、という「キャリーカートブルース」を歌い終えると、「リクオ師匠、よろしくお願いします!」と呼び込まれてリクオが加わり、2人を語る上で欠かせない存在という遠藤ミチロウのカバー曲「カノン」を歌う。しみじみとした前半から徐々に力を込めて、大きな体を折り曲げるように熱唱するピストル。歌い終えると、ここでピストルは一旦ステージを降りた。

●リクオ×朝倉真司
「余韻がすごいね!」と言いつつリクオが「ケサラ」をピアノ弾き語り。〈HOBO CONNECTION〉にふさわしい、長年音楽旅を続けてきたリクオならではの深みのあるドラマティックなバラードだ。歌い終えると「山﨑彩音、竹原ピストルの歌から影響を受けたバージョンでした(笑)」。そして、「自主レーベル『Hello Records』を立ち上げて、アルバム『HELLO!』が発売されます! アルバムからの曲を聴いて下さい」と朝倉と2人で、“男性アイドルグループにも歌ってもらえる曲を作りたいと思って”作ったというポップな「あれから」、続いて「僕らのパレード」を披露。軽快なピアノと朝倉のパーカッションに、観客から自然に手拍子が起きて盛り上がった。「ここがパラダイス、下北パラダイス、ガーデンパラダイス!」と煽りながら歌う「パラダイス」は、繊細なタッチのピアノによる洒落た演奏。途中、朝倉のソロを挟み色々な著名人の言葉をピアノに乗せて歌い喋りながら演奏を続ける。ミニー・リパートン「Lovin' You」をコーラスに挟みミラーボールが回る華やかなムードの中で歌い終えた。

●仲井戸"CHABO"麗市×リクオ×朝倉真司
「俺たちのチャボ、仲井戸麗市!」とリクオに呼び込まれ、仲井戸"CHABO"麗市が大歓声に迎えられてステージに上がった。「朝ちゃん、リクオ、久しぶり!」と一声かけてから最新アルバム『CHABO』収録のカントリー・ソング「祝祭」からチャボを加えたライヴが始まった。お互いにソロを弾き合うチャボとリクオはじつに楽しそうだ。「あらためましてよォーこそ! リクオ君のおかげで、色んな素晴らしい若手ミュージシャンとやらせてもらっています!」。続いてニール・ヤングのカバー「HARVEST MOON」を日本語カバー。朝倉がホウキ持ち効果音を出してムードを作ると「おぉっ!」と客席から感嘆の声が上がり、幻想的な演奏にうっとりさせられた。

●仲井戸"CHABO"麗市 ソロ
ここでチャボのソロ・コーナーへ。「初対面の山﨑さん、俺にとっては孫のようだ(笑)。今日は山﨑さんとの出会いがあったんで、彼女くらいの年代の頃を歌った曲やります!」とチャボのホーム、新宿を歌った「エピローグ」へ。マイナーなメロディで社会に対する心情を歌った2ndソロ・アルバム「絵」からの曲だ。10代の感性で描いた新宿の歌を歌うチャボ。ステージに立つその姿はいつ観てもまったく変わらないから不思議だ。ストーンズもカバーしてた曲、と紹介してフレッド・マクダウェル「You Gotta Move」を。「やっといい風吹いたね、春らしい風」とのMCから「ガルシアの風」を「今日は、歌わないでやります」とディレイをかけたアコースティック・ギターを時折鳴らしながらポエムリーディングで聴かせる。ここまでのライヴとはまったく別の世界にいるような、そんな気分になる孤高の名演となった。

●仲井戸"CHABO"麗市×竹原ピストル
「せっかくだから一緒にやろう! ミスター竹原ピストル!」と呼び込んで初共演の2人がステージに並ぶ。おもむろにギターを弾きながらピストルが歌い出したのは、ピストルがカバーしているビートたけしの「浅草キッド」! この曲をチャボと2人で演奏するとは驚いた。エフェクトをかけたギターでオブリガードを入れソロを弾くチャボと、言葉を噛み締めるように歌うピストル。じっと聴き入っている観客たち。「夢のような時間でした! チャボさんありがとうございました!」と感激の面持ちでチャボとこぶしを合わせるピストルに、「マイ・ニューフレンド、ピストル!」とチャボ。すべてがハイライトのようなこの日のライヴの中でも特別な瞬間だった。

●仲井戸"CHABO"麗市×リクオ×朝倉真司
ピストルが下がり、チャボがチェットアトキンス・モデルに持ち替えて、リクオと朝倉と共に、リクオのホンキートンク・ピアノに導かれるようなアレンジでRCサクセションの「君が僕を知ってる」へ。ギター・ソロでは、おなじみのフレーズを崩して途中でカッティングを織り交ぜて弾いていた。もちろんサビになると観客との掛け合いが起こり大合唱だ。その勢いのまま「こんな夜の曲です!「HAPPY DAY」!」手拍子で会場一体になってハッピーな空気が広がっていく。リクオが「ニック・ロウの書いた名曲を歌います! 平和と愛と相互理解、それを歌うことに、何もおかしいことなんかないよね!」と叫んでから日本語で「Peace,Love & Understanding」を披露。ドラム、ベースのいないアコースティック編成とは思えない激しいサウンドを熱く聴かせてくれた。「あんまりライヴでやってないんだけど、リクオが選んでくれた曲」と、「川」を歌うチャボ。途中から“MY NAME IS CHABO”とアルバムに収録されたインタールードが聴こえてくる中、曲を終えた。ライヴはクライマックスへと向かい、リクオが歌うおなじみの曲「アイノウタ」へ。ステージ真ん中でチャボがソロを弾き、リクオはピアノを離れて生声で両手を広げて客席を包み込むように歌う。毎年恒例の光景がまた観れていることへの喜びと共に、その度に新鮮な気持ちで音楽を楽しめている感動が場内に溢れていた。

●仲井戸"CHABO"麗市×リクオ×朝倉真司×竹原ピストル
ピストルが加わり、4人で始まった曲はシャッフルにアレンジされたブルーハーツの「青空」。思わず客席からもどよめきが起こった。ピストルとリクオがボーカルを取り、間奏ではチャボがピストルとじゃれあうようにしている。

アンコールでは再び4人がステージへ(チャボはほうきを片手にステージに登場して大ウケ)。
「ピストル君にリクエストしました。CMソング! ワンツースリーフォー!」とリクオがカウントを数えて「よーそこの若いの」を力一杯全員でプレイ。血沸き肉躍るようなピストルの歌声に負けじとリクオのピアノ、チャボのソロも熱を帯びて疾走する。演奏を終えると「1UP~!」と客席から声が飛んでいた。

「最高です! 世界中に自慢したい!」とリクオが満面の笑顔で思わず叫んだ。そして「最後はみんなでやろう!」と山﨑彩音がステージに上がり、チャボとこぶしをタッチ。チャボが小さな音で鳴らし始めたギターのコードは紛れもなくあの曲。RCサクセション「いい事ばかりはありゃしない」だ。チャボが歌い出し、リクオが「昔にくらべりゃ~」を、ピストルが「新宿駅のベンチでウトウト~」を、そしてハンドマイクで山﨑が「最終電車で下北についた~」と歌うと会場中から大歓声が起こり、チャボも「彩音ー! 」と讃える。チャボにボーカルが戻り全員でコーラス、観客も合唱してライヴはエンディングを迎えた。リクオが「朝倉真司! 山﨑彩音! 竹原ピストル! 俺リクオ! 仲井戸"CHABO"麗市! そしてお客さん! 下北沢GARDEN! サンキューミュージック! また元気に再会しましょう!」と歓喜のMC。全員で手をつなぎ深々と挨拶する出演者たちに大きな拍手がいつまでも送られていた。

一期一会のセッションを謳い、毎年熱い演奏で名シーンを生み出してきた〈HOBO CONNECTION~HOBO SPECIAL~〉の中にあっても、最小限の出演者、楽器編成だったにも関わらず、今年のライヴは格別に素晴らしいものとなった。リクオが作る〈HOBO CONNECTION〉という心ある音楽の場をいつまでも見続けていたいと感じたスペシャルな夜だった。(岡本貴之)

〈HOBO CONNECTION2016 ~HOBO SPECIAL~〉
2016年4月8日(金)下北沢GARDEN
出演:リクオ / 仲井戸 "CHABO" 麗市 / 竹原ピストル / 朝倉真司
オープニング・アクト 山﨑彩音

★セットリスト★
オープニング・アクト 山﨑彩音
1. ○(マル)
2. 朝の唄
3. 風の夢
4. 誰も知らない

〈イベント本編〉
1. 俺のアディダス~人としての志~(竹原ピストル / リクオ / 朝倉真司)
2. ドサ回り数え唄(竹原ピストル)
3. LIVE IN 和歌山(竹原ピストル)
4. キャリーカートブルース(竹原ピストル)
5. カノン(リクオ / 竹原ピストル)
6. ケサラ(リクオ)
7 あれから(リクオ / 朝倉真司)
8. 僕らのパレード(リクオ / 朝倉真司)
9. パラダイス(リクオ / 朝倉真司)
10. 祝祭(仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
11. ハーベスト・ムーン(仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
12. エピローグ(仲井戸"CHABO"麗市)
13 ユーガッタムーブ(仲井戸"CHABO"麗市)
14. ガルシアの風(仲井戸"CHABO"麗市)
15. 浅草キッド(竹原ピストル / 仲井戸"CHABO"麗市)
16. 君が僕を知ってる(仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
17. HAPPY DAY(仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
18. Peace,Love & Understanding(仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
19. 川(仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
20. アイノウタ(仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
21 青空(仲井戸"CHABO"麗市 / 竹原ピストル / リクオ / 朝倉真司)
アンコール
EN1. よー、そこの若いの(竹原ピストル / 仲井戸"CHABO"麗市 / リクオ / 朝倉真司)
EN2. いい事ばかりはありゃしない(仲井戸"CHABO"麗市 / 竹原ピストル / リクオ / 朝倉真司 / 山﨑彩音)


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