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2016/04/02 00:32

 

忘れらんねえよ〈ツレ伝ファイナル〉“言葉とメロディ”の魅力を最大限に聴かせたバンド史上最高のライヴ―OTOTOYライヴレポ

 

3月27日(日)〈忘れらんねえよ ツレ伝ツアー 2016ファイナル東京公演〉が渋谷TSUTAYA O-EASTで開催され、忘れらんねえよがバンド史上最高のクオリティと熱量のライヴを見せ、嬉しいお知らせも発表するなど、長かったツアーをハッピーエンドで締めくくった。

この日のツレは、夜の本気ダンス。チケットはソールドアウト、会場のフロア後方の隅までギッシリとお客さんで埋まっていた。

まずはミラーボールが回る中夜ダンがステージに登場。「京都のバンド、夜の本気ダンスです!」と自己紹介して「By My Side」からライヴを開始した。激しく躍動するリズム隊の間をクールに熱くリフを刻むギターが光る。「僕と踊ってくれませんか!?」とお立ち台に上がり煽る米田貴紀(Vo,Gt)。「踊れTOKYO~!」の声に応えて初っ端から盛り上がる観客たち。鈴鹿秋斗(Dr)の「今日出れて嬉しい! ツレ伝といえばバンドの登竜門、忘れらんねえよ以外が売れて行くという。いや、冗談です」とマシンガントークMCに場内爆笑。「Too Young」ではひと際ポップなメロディとオールディーズ的なリズムで少しフロアも緩やかに。「今日は、“忘れらんねえよるの本気ダンス”しませんか!?」という上手いことを言うMCからライヴ初披露という「Logical heart」へ。後半、「Crazy Dancer」「fuckin’ so tired」と続き、最後は「戦争」。「踊れー!」の大号令から爆発的に盛り上がる観客たちを最初から最後までダンスの渦に巻き込んでステージを降りた。

転換の間、ステージ付近のお客さんはほとんどその場を離れず、ますます会場は密度が高くなってきた。2階からも大勢が見守る中、客電が落ちた。すると「フロアの後から失礼します! 忘れらんねえよです! 」と柴田隆浩(Vo.Gt)の声がしてステージを観ていた観客が一斉に振り返った。「みんなロックンロールの力で俺をステージまで運んでくれー!」と観客の頭上を運ばれてステージに到達すると、「メンバー、カモンッ!!」と呼びこみ、梅津拓也(Ba)マシータ(Dr)が大歓声に迎えられてステージに上がる。すると柴田の「じゃあ、行きますか? せーのっ!」の声に合わせて3人でSEXジャンプ! のっけからの団結力に会場のテンションも上昇する。「行けますか渋谷ー!?」と叫ぶ柴田。さらに、この日はニコニコ動画の生配信ということもあるのか、マシータ、梅津、柴田の順にメンバー紹介が行われ、いよいよライヴがスタートした。

ピンスポットに照らされて、おもむろに柴田が歌い出したオープニング曲は「今夜いますぐに」!“言葉とメロディを一生懸命、届けています。”という、忘れらんねえよオフィシャル・ウェブサイトのプロフィールに書かれている通り、言葉とメロディが際立つ曲だ(作詞は漫画「日々ロック」の作者・榎屋克優と柴田の共作名義)。それこそが忘れらんねえよ最大の魅力であり、この日の1曲目に「今夜いますぐに」を持って来たのは、忘れらんねえよが自分たちの芯にあるものを改めて見つめ直した上でライヴに臨んでいることがわかる。すでに1曲目にして、この日のライヴが最高のものになることを確信した。

夜ダンの“MCモンスター”に敬意を表して「鈴鹿」!「秋斗」!のコール&レスポンスから、「この街には君がいない」でテンポを上げて突っ走るマシータと梅津のリズム隊に支えられて歌う柴田のボーカルも調子が良さそうだ。「ダンスナンバーやります!」と、「体内ラブ~大腸と小腸の恋~」へ。数あるライヴ人気曲の中でも一際ノリが良く、いつ聴いても体がうずいて腸内環境を整える効果が本当にありそうなこの曲。個人的には、願わくば間奏を挟んでから後半に突入するアレンジを聴かせてほしいと思うのですがどうでしょう、などと考えながら観ていると梅津がフロアに向かって激しく腰を振りハッスルポーズ(?)をしていた。絵具をキャンバスにぶちまけたようなド派手なシャツに黒いスリムパンツ、そして足元を見ると紫色のような黒いようなシューズを履いている。なんだか色も形も野菜のナスっぽいけどカッコイイ(本人曰く「確かにナスっぽいとは思った」とのこと)。

「今日、調子いいぞ~!」と柴田が叫び、怒涛の疾走感を聴かせる「中年かまってちゃん」へ。この曲もライヴには欠かせないロックナンバーだ。「ギターソロ弾いていいすか!?」と大きく足を開きソロをキメる柴田。続くMCでは再びメンバー紹介をすると、梅津に向かい「好きよ!」と突然告白。「返事はライヴ終わってからでいいから。真剣なんだ俺は」と、迫る柴田に「嫌だよ、普通に」と冷静に拒絶する梅津。そのわけのわからないやりとりを後方から微笑みながら見守るマシータ。大人だ! さらに「こんばんは水曜日のカンパネラです! きっびだーん きびきびだーん」と始めると、思いのほか観客が乗ってしまったことに動揺したのか「やめまーす!」と遮って「なんでMステ出てんだ! 1年前に長野県で対バンして上から目線でアドバイスしちゃったじゃないか」と頭を抱える柴田。しかし、ツレ伝ファイナルが即日完売したという事実を伝えると観客たちから大きな拍手で讃えられ、メンタル復活。「俺たちは、最高の音楽であんたたちに返します」との言葉から始まったのは「バンドやろうぜ」。これがすごかった。かつてないほどの大・大合唱となり、前半のハイライトとなる盛り上がりを見せ、思わず柴田も「マジで超~幸せなんですけど! ありがとう~!」と叫んだ。

会場の照明を落とす演出の「北極星」、「CからはじまるABC」を立て続けに披露。セットリストの試行錯誤を繰り返してきたという忘れらんねえよだが、この2曲のように初期の頃のライヴのクライマックス曲を中盤で聴かせるあたり、いかに自信を持ってライヴの後半に持って来れる曲が増えたのかを物語っている。曲は「バンドワゴン」に続き、マシータが叩く重くてタイトなリズムに乗り梅津も柴田も快調に飛ばしていく。2番のサビのバスドラ連打が曲に力強さを与えるなど、出るところ引くところの豊かな表現力はさすが。

新曲「バレーコードは握れない」の曲名が告げられると、「きゃ~!」と喜ぶ観客の声がした。すっかり浸透しているようで、掛け合いやエンディングのコーラスで盛り上がった。続いて演奏されたのは、新しいアレンジの「慶応ボーイになりたい」。リズミカルにキメを多用する演奏で2番のAメロに入るとダンサンブルなビートで聴かせ、全くこれまでとは違うダークなダンス・チューンに生まれ変わった印象だ。「夜間飛行」もマシータの高揚感を煽るドラム・プレイが凄まじく、梅津のベースラインも縦横無尽に生き物のように動いている。その上を熱く、それでいて軽やかに歌っているように見える柴田。美しいメロディがフロアの隅々まで広がって行く。歌い終わると「今俺、レコーディングのときより気持ち入って、すげえ上手く歌えた!」と自分でもビックリしたかのようだ。確かにこの日の中でも名演だった。

MCを挟み、後半戦はフラカン先輩直伝のヨサホイから「ばかばっか」でスタート。狂ったように身をくねらせながらベースを弾く梅津。フロアはモッシュ~ヘドバン~両手を振る、全身を使って楽しむファンたちでいっぱいだ。そんな中をクラウドサーフで運ばれてバーカンまでビールを買いに行った柴田は、ステージに戻る途中でフロアのど真ん中に立ちビールを一気に流し込むと、「イエ~!」と雄たけびを上げて拳を突き上げる。「5年前、梅津君に電話してバンドやろうぜって言って、そのとき初めて梅津君に聴かせた曲です」と紹介してから「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」。この曲がセットリスト後半に位置していたことで、バンドの歴史を網羅するライヴになっていることに改めて気付く。

ここで、ライヴに来たお客さんからもらった手紙について話し出すと、異例の長いMCに。「自分でがんばって買ったチケットでライヴに来てキラキラした顔を見せてくれるお客さんたちを絶対に裏切っちゃいけないと思う、ちゃんとその想いを堂々と受け止めて、覚悟を決めてカッコいいロックンローラーになるって言わないとダメだって梅津君と話していました。このツアーは忘れらんねえよの第二章の始まりだと思うんだけど、それを始めようとする前にそういうことを考えています。ちゃんと、俺たちはブレずにカッコイイバンドになるから、これからもどうかよろしくお願いします」。ステージに向かって大きな拍手が起きた。

そして、ここからは大合唱曲の連続。「犬にしてくれ」では前のめりになり右手をステージに向け差し出して歌う観客、それに対してアンプの上の犬のぬいぐるみを手に取り左肩に乗せてコーラスする梅津。なんだか見ていて嬉しくなってしまった。「この高鳴りをなんと呼ぶ」は最近ではライヴの前半で歌われることもあり、なんとなくせわしない気分で聴くことも多かったが、この日のライヴでは溜めの効いたじっくりと丁寧な演奏・歌唱になっていた。一緒に歌いながら、改めて名曲だと感じた人も多かったのではないだろうか。ラストは「忘れらんねえよ」。柴田が観客にスマホを掲げるように言うと、会場一面がキラキラと輝きだした。「めっちゃ綺麗だー! ありがとう!」。

アンコールでは新曲「世界であんたはいちばん綺麗だ」をライヴ初披露。エモーショナルなボーカルはもちろん、間奏のギターソロを弾く柴田の姿もカッコよかった。そして最後の曲へ。「生きていたら、別れは必ずある。みんなにもあるかもしれないし、俺らにもあった。その別れっていうのはすげえしんどいんだけど、でも全然大丈夫なんだよ。そんなあんたらの始まりの曲で、ツレ伝ツアーの最後の曲です」とのメッセージから新曲「別れの歌」へ。じっと聴き入る者、右手を突き上げてバンドと声を合わせる者、それぞれがそれぞれの想いを胸にこの曲を感じている。エンディングに相応しい感動が会場を包み込み、最後は「せーの!」でバンドと観客が一緒にジャンプ! 全21曲を終えた3人はステージ前に集まるとガッチリと握手をしてから手をつないでお客さんに深々と一礼。その姿に万雷の拍手が贈られた。

すると、会場両サイドに現れたスクリーンに「うれしい重大発表! 」として10月9日にZepp DiverCityにてワンマン・ライヴを行うことが発表された。「今日さ、夢みたいだったでしょ? もうちょっとだけ一緒に夢見ませんかーー!?」これにはファンも大喜びだ。ツレ伝ツアーが終わり、この1年間色々あったモヤモヤが全部吹き飛ぶような熱く、楽しく、面白い、バンド史上最高のライヴを見せてくれたこの日から、新たに始まる忘れらんねえよの第二章。これからどんな曲が生まれていくのか、どんな夢を見せてくれるのか? きっと、期待以上の夢を見せてくれるに違いない。そんな最高にハッピーエンドな〈ツレ伝ツアーファイナル〉だった。(岡本貴之)

写真:岩佐篤樹

〈忘れらんねえよ ツレ伝ツアー2016〉
2016年3月27日(日) TSUTAYA O-EAST
●夜の本気ダンス セットリスト
1. By My Side
2. B!tch
3. WHERE?
4. Too Young
5. Dookie Man
6. Logical heart
7. escape with you
8. Crazy Dancer
9. fuckin' so tired
10. 戦争

●忘れらんねえよ セットリスト
1. 今夜いますぐに
2. この街には君がいない
3. 僕らパンクロックで生きていくんだ
4. 体内ラブ~大腸と小腸の恋~
5. 中年かまってちゃん
6. バンドやろうぜ
7. 北極星
8. CからはじまるABC
9. バンドワゴン
10. バレーコードは握れない
11. 慶応ボーイになりたい
12. 夜間飛行
13. ばかばっか
14. 寝てらんねえよ
15. ばかもののすべて
16. ドストエフスキーを読んだと嘘をついた
17. 犬にしてくれ
18. この高鳴りをなんと呼ぶ
19. 忘れらんねえよ
EN1. 世界であんたはいちばん綺麗だ
EN2. 別れの歌

●忘れらんねえよZeppワンマン
「僕とあなたとあんたとお前のデカいステージ」
日時:2016年10月9日(日) 開場:17:00 開演:18:00
会場:Zepp DiverCity(TOKYO)

●忘れらんねえよ オフィシャル先行
http://w.pia.jp/t/wasureranneyo/
受付期間:3/27(日)21:00~5/8(日)23:59
受付席種:1Fスタンディング/2F指定席
枚数制限:お1人様4枚まで申し込み可 ※第2希望まで


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