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2014/01/28 23:23

 

天狗バンド、オオカミの聖地で勢いを見せつけるワンマン——OTOTOYライヴ・レポート

 

1月25日、覆面天狗バンド・this is not a businessが、彼らがかねてよりリスペクトを公言しているオオカミ・バンドの聖地、渋谷eggmanにてワンマン・ライヴを行った。

会場に入ると、this is not a businessのTシャツやタオルを身につけた大勢のファンが。男女比は半々くらいだろうか。なかには、自作の天狗のお面をかぶったツワモノまでいる。キャパを広げてもあっという間に埋めてしまうあたり、バンドとしての勢いを感じる。

定刻を10分ほど過ぎた頃、序鬼間(Prog)がステージに登場。待ちわびた客席からは歓声があがる。序鬼間のPCが置かれた卓には、なんとファンの人からの寄書きがびっしり書かれた「祝! 聖地・渋谷eggman制覇」という横断幕が。負け犬バンドを自称している彼らは、地道な活動を経て着実にお客さんとの愛情を育んでいるようだ。否戸田雲仙(Gu)、陣下須(Ba)、木須利茶(Gu)が登場すると客席は一斉に手拍子。最後に加藤小判(Vo)が登場し、「聖地でのワンマン・ライヴgood!!!!!」と高らかに叫んだ。

ライヴは、いきなり彼らのキラー・チューンとも言うべき「OK GO」からスタート。「オイ! オイ!」というコールが響くなか客席前方ではモッシュが巻き起こる。序盤から立て続けに勢いのある曲が演奏され、早くもフロアのテンション全開。最初のMCで、加藤は「オオカミさんより天狗とうたってしまったばっかりにご迷惑をおかけしてしまったgood… 申し訳ないgood」と、あくまで低姿勢で話す。続けて「でも、こんなに集まってくれてうれしいgood。オオカミさんの聖地でワンマン・ライヴができるようになったgood」と話すと、客席は歓声と拍手で祝福した。

その後、陣がヴォーカル、加藤がベースを務める「migite」を披露。客席は右手をあげて盛り上げる。「ONE by ONE」では、加藤がステージを縦横無尽に動き回り、否戸田や陣もアグレッシブな演奏で客席を煽る。彼らの曲のなかでは数少ないラヴ・ソングの「PEANUTS」では、加藤が珍しくマイク・スタンドを使い、胸に手を当てながら心を込めて歌った。

ここで、否戸田がファンの寄せ書きへの感謝を述べつつ、加藤は某ラジオ局の窓枠を壊したロック・エピソードを語る。その勢いのまま強引に客席を煽ると、ライヴは後半へと突入。客席のテンションはどんどん加速していき、「DON’T WARRY ABOUT ME」ではついにダイバーまで登場。続く「HOLY」では、感極まった加藤も背中から客席にダイブ。その後、加藤が「けがは大丈夫good?」と気遣う優しさも見せた。そして否戸田が「はじめて天狗を観にきてくれた人?」と客席に問いかけると、半分以上の人が手をあげる。これまでの客席の盛り上がりを見ていると、意外なほど多いように感じた。それほど多くの人が彼らの楽曲を聴き込んで、心待ちにしてこのライヴに臨んだということだろう。

「僕らの人生を変えた曲」という加藤の紹介から、はじめて世に出た彼らの楽曲である「WITH A MISSION」を演奏。この曲を、これほど早く渋谷eggmanで演奏する日が来るとは、彼ら自身も思っていなかったのではなかろうか。加藤は、感情をぶつけるかのように大きく腕を広げ拳を振り上げながら歌い、序鬼間は手拍子で客席を煽る。陣がステージの前方で客席に身を乗り出して演奏すると、普段は比較的おとなしい木須も何度も頭を振り乱す。否戸田のコーラスも、一段とエモーショナルに聴こえた。その後「NOIZE」を演奏すると、本編は終了した。

アンコールが起こる間もなく、陣がステージに戻ると、すかさず客席から「早い!」という突っ込みが。陣曰く、「お客さんに帰られたら困るから」と加藤に言われ出てきたとのこと。そんな陣に呼び込まれ、再びメンバーがステージに登場。満員の客席を眺めながら、否戸田が「バンド続けてて良かったな」と加藤に感慨深そうに話すと、暖かい拍手が起こった。続いて否戸田が、3月26日にアイドル専門レーベルからワンコイン・シングルを発売すること、下北沢SHELTERでワンマン・ライヴを行うことを発表(詳細は http://ototoy.jp/news/74820 )。その後、1stアルバム『10 goods』のなかから「thunder」「MaD TeENAGe RiOt」などを演奏し、一度目のアンコールは終了した。

またしてもすぐにメンバーがステージに戻ると、加藤が東京ドームでのライヴをイメージしたリヴァーブ全開のMCを披露。客席はなんとも言えない微妙な空気に包まれる。一時はどうなることかと思ったが、そのまま「ONE BY ONE」を演奏するとすぐさま客席のテンションは頂点へ。そして、最後はやっぱりこの曲「OK GO」。渾身の力振り絞って歌う加藤に、客席もステージに手を伸ばしながら「OK!!」「all right!!」と精一杯の声で叫び応える。場内がこの日一番の一体感に包まれると、演奏は終了した。そのままメンバーはしばらくの間ステージに残る。感謝の言葉を口にしながら客席に鼻を差し出し、前列の観客はうれしそうにそれを触るなど、微笑ましい光景も見られた。名残惜しい空気の中、約2時間に及んだライヴは終了した。

はじめてのワンマン・ライヴ( http://ototoy.jp/news/74187 )のときには様子をうかがっている観客も少なからず見られたが、この日は最初から客席のテンションは全開だった。ステージ上もそれに導かれるように演奏はアグレッシブさを増し、加藤はステージの端から端まで移動して観客と触れ合うなどフロント・マンとして成長した姿が見られた。着実に実力と人気を伸ばしている彼らが、今後さらに活躍の場を広げていくことは間違いない。アイドル・レーベルからの新譜発売など新しい試みも発表され、当面の目標であるZepp Tokyoのステージに向けてこれからどんな展開を見せていくのか、ますます楽しみである。(前田将博)

〈オオカミさんの聖地でやらせてもらえるのがこの上ない喜びgood!! ライヴ by天狗〉
2014年1月25日(土)@渋谷eggman

セットリスト
1. OK GO
2. Nightmare
3. Paranoid Android
4. migite
5. NANDO
6. ONE by ONE
7. ONE TWO
8. burn
9. donuts maker
10. PEANUTS
11. Never mind
12. DON’T WARRY ABOUT ME
13. HOLY
14. business
15. Man
16. WITH A MISSION
17. NOIZE

アンコール1
18. Thunder
19. MAD TEENAGE RIOT
20. OK GO

アンコール2
21. ONE by ONE
22. Nightmare
23. OK GO

・this is not a business オフィシャル・サイト
http://thisisnotabusiness.com/

・this is not a business × 日高央(THE STARBEMS) が語る「バンドと仮面の関係性」
http://ototoy.jp/feature/2014011605

[ニュース] this is not a business

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