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2013/12/13 18:00

 

うみのて、新たな予感を感じさせるレコ発ライヴ——OTOTOY最速レポ

 

※ 写真は後日追加します。

12月12日、冬の冷気が漂う東京・新代田FEVERにて、うみのてが1stミニ・アルバム『UNKNOWN FUTURES(&FIREWORKS)』の発売を記念したライヴ、〈うみのて「UNKNOWN FUTURES(&FIREWORKS)」レコ発 新代田編〉を行った。

出演は、うみのてのほか、MOROHAQomolangma Tomato。この2組、うみのてのレコ発ライヴと言えどもまったく手を緩めない容赦ない演奏。観るものの心の隙間に食らいつき、そのまま2度と離さないような魂を込めた熱演で、トリのうみのてへと繋いだ。会場の熱気と緊張感はすでに極限まで高まっていた。

そんな空気のなか今日の主催である、うみのてのライヴがはじまる。薄暗い青い照明のなかメンバーが登場。沸きあがる客席に笹口騒音(Vo、Gt)が両手をあげて応える。ひと呼吸置いて、笹口が緩やかにギターを鳴らす。そこに円庭鈴子(Key、Cho)のキーボードの音が優しく重なると、「恋に至る病」がはじまった。曲の後半に笹口が頭を振り乱しながら演奏。早くも場内はエモーショナルな空気に包まれる。そのまま「三億年」へと突入。続く「UNKNOWN IDIOT」では、高野P介(Gt)が負の感情をぶちまけるように演奏の途中で雄叫びをあげた。途切れることなく曲が続く。笹口が「東京、ヤバい夜ですね。俺のがヤバい! 新代田で新しい戦争をはじめよう‼︎」とMOROHAの歌詞を引用しながら煽り、「NEW WAR(IN THE NEW WORLD)」が演奏される。ダブ・ミックスが施されたずっしりと重いキクイマホ(Dr)のドラムと、早瀬雅之(Ba)のうねりをあげたベースの音が腹の奥の方へと響き、渦巻いていく。

ここで一度演奏は途切れ、笹口が「新代田FEVERにうみのてが来たからには、もはや… 」と問いかける。客席が全力で「平和ではない‼︎」と答えると、照明が激しく点滅。はじまったのはキラー・チューン「もはや平和ではない」。高野が躍動しながら演奏すると、ギターにぶら下がっているウニのおもちゃが激しく点滅した。「NEW(NU) CLEAR.NEW(NO) FUTURE」から、徐々にサイケデリックな世界へと突入。ミディアム・テンポの未発表曲「LOVE&PEACE&etc…」では、聴くものを深い世界へと引きづりこむかのように、ギターとキーボードが絡み合いながら曲が展開していった。「上から見下ろす火花、下から見上げる花火」から場内の熱気は再び上昇し、ライヴはクライマックスへ。「次が最後の曲です」と笹口が告げると、「正常異常」がはじまる。円庭は演奏中に何度もジャンプ。客席も必死に手を上げる。轟音のなかで高野がギターを天高く掲げ弦にキスをすると、大きな歓声に包まれた。

アンコールに応え、笹口がひとりでステージに戻ると、「本当に今年はありがとうございました」と感謝の言葉を口にする。そして、笹口が敬愛する詩人、塔和子の詩「嘔吐」を引用して作ったという「言葉狩り」を弾き語りで披露。目を瞑りながら、まるで自分自身に言い聞かせているかのように、言葉を噛みしめながら丁寧に歌う。その歌声はとても暖かく聴こえる。気づけば、うみのてのほかのメンバーもステージに戻り定位置についていた。全員が一斉に演奏に加わり、一気に視界が開けていくように、感情が解放されるかのように音が広がっていく。泣き叫ぶような高野のギター・ソロが場内に響き渡る。今後のうみのてにとって大きな核のひとつとなる予感を感じさせる曲。心に迫る演奏だった。

照明が赤く点滅すると、笹口はギターを捨ててマイクを握りステージ前方へ。ラストの曲は「東京駅」。内に渦巻くすべての狂気を吐き出すかのように、笹口が身を乗り出して絶叫。客席もそれに誘発され、拳を振りあげて叫ぶ。曲中、笹口が「俺がこの場で2013年を終わらせてやる」と話すと、唐突にカウントダウンがはじまる。そこから、"今年一番"というキクイの渾身のドラム・ソロ。早瀬も頭を振りながら演奏。場内のテンションが爆発し、頂点に達したところでライヴは終了した。メンバーが笑顔でステージを去るなか、笹口はひとり残り「明けましておめでとう。2014年もよろしくお願いします」と語る。どうやら、ここ新代田FEVERには、世界で一番早く年明けが訪れたようだ。そして、笹口の口から、来年の2月28日に渋谷WWWでワンマン・ライヴを行うことが発表されると、会場からは大きな拍手が。最後にもう一度、共演のMOROHAとQomolangma Tomatoに感謝を述べ、「ありがとうございました。うみのてでした」と挨拶。ステージを後にした。

『UNKNOWN FUTURES(&FIREWORKS)』リリース時のインタヴュー(http://ototoy.jp/feature/2013111501)で、笹口は迷いを口にしていた。しかし、この日に演奏された未発表曲はどれも新たな方向性を指し示していたように思う。また、6月のワンマン同様に、PAと一体となった音作りは高い完成度を誇っていた。そしてライヴの最後に、ワンマン・ライヴの開催を発表した。うみのては、着実に未来に向かって歩んでいる。そう信じさせてくれる、素晴らしいライヴだった。次回のワンマンで、うみのてはどんなの姿を観せてくれるのか。いまから楽しみだ。(前田将博)

〈うみのて「UNKNOWN FUTURES(&FIREWORKS)」レコ発 新代田編〉
2013年12月12日(木)@新代田FEVER
セットリスト

1. 恋に至る病
2. 三億年
3. UNKNOWN IDIOT
4. NEW WAR(IN THE NEW WORLD)
5. もはや平和ではない
6. NEW(NU) CLEAR.NEW(NO) FUTURE
7. LOVE&PEACE&etc…
8. 上から見下ろす火花、下から見上げる花火
9. 正常異常

アンコール
10. 言葉狩りの詩
11. 東京駅

・うみのて OTOTOY特集ページ
http://ototoy.jp/feature/2013111501

・うみのて オフィシャル・サイト
http://uminote.blogspot.jp

[ニュース] MOROHA, Qomolangma Tomato, うみのて

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