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2013/08/09 23:22

 

忘れらんねえよ、熱量MAXでワンマン・ツアー筆おろし完了! いざ次なるステージへ――OTOTOY最速レポ

 

東京での日中の気温34度という猛暑日となった8月9日(金)、忘れらんねえよが初のワンマン・ツアーのファイナルとなるライヴを渋谷クラブクアトロでおこなった。猛暑日に忘れらんねえよのライヴを観るという、砂漠でキムチ鍋を食べるような暑苦しいシチュエーションは、ある意味忘れらんねえよファンにとっては望むところ。

ヴォーカルの柴田はダイノジ大谷に匹敵するくらい“熱量”という言葉を良く使う。以前、Twitterでそれを揶揄した「ロック・ミュージシャンって熱量って言葉良く使うよね~w」なんていうちゃかしたTweetを見かけたことがあるが、そんなことを言っている間に、その熱量は全部アイドルの現場に持っていかれてしまったんじゃないのか? 冗談じゃない。ロックが本来持っているどうしようもなく行動を起こしたくなる衝動を熱量と呼ぶならば、いまの忘れらんねえよのライヴには、間違いなくそれがある。ファンはそこで受け取った熱を自分の中で培養して、さらによりアツい熱を持ってライヴに足を運んでくる。それはバンドにとって大きなプレッシャーであり、どんどんハードルは高くなっているはずだ。しかし、今年に入りそのハードルをめちゃくちゃなスピードでなぎ倒しながら進んできた忘れらんねえよ。ツアー・ファイナルとなったこの日のライヴは、“筆おろし”を終えた初々しくも男らしい、バンドとして大人の階段を登る(笑)、通過儀礼となるステージだった。

開演前の会場には相変わらず満員の観客が忘れらんねえよグッズに身を纏い、いまかいまかと開演を待ちわびている。いや、相変わらずと書いたが、今日はクアトロで初のワンマン・ライヴ。これだけの観客を呼べる実力をバンドがつけていることに驚く。なにしろ、前回のOTOTOYでのライヴ・レポートは無観客フェスという、お客さんも入れずにだだっ広い屋外会場を借りた殿様の道楽かのようなライヴだっただけに、目の前の満員の観客に感無量である。

ライヴは定刻をすぎた頃スタート。いつものトボけたSEに乗ってメンバーがいつもの出で立ちで登場すると大歓声だ。「人が一杯いるよー! 東京初ワンマン! クラブクアトロー! ワンマンだから結構長く喋るぞ!」と柴田。「今日はどこかのスタジアムでBUMP OF CHICKENがライヴやってるらしいじゃないですか!? それなのになんでこっちに来たんだあんたら!」との自虐的な柴田のMCに大喝采が。照明がステージを赤く照らし、ライヴは「僕らチェンジザワールド」からスタート。観客は手を挙げてジャンプ! サビの歌詞はハッキリと下ネタだが構わずシンガロングする女子たち(笑)。しょっぱなから最高すぎる! 続けて「だんだんどんどん」今日は梅津のベースの音が一際太く聴こえる。酒田のドラミングは激しいがウォームなチューニングが歌の内容にマッチしている。ドラムの音が切ないバンドってなんなんだ。怒涛のロックナンバー「中年かまってちゃん」から「ブログを覗き見る」、と卑屈な男の心情ソングが続く。

「こんばんは、BUMP OF CHICKENです!」とMCでバンド名を騙りモテようとする柴田。いつもの“おがっちエピソード”から「慶応ボーイになりたい」(With ミラーボール!)、「ドフトエフスキーを読んだと嘘をついた」。よく考えたらまだまだ卑屈な男の心情ソングは続いていた(笑)。それが忘れらんねえよの歌のコアな世界観なのだから仕方ない。「10月16日にセカンドアルバムを出します!」とやや唐突にビッグ・ニュースを発表した柴田。曲は「中年かまってちゃん」のアンサーソング、「青年かまってちゃん」。「中年~」と違って酒田のリムショットが印象的なスローなナンバーだ。続く「サンキューアイラブユー世界」。会場の特性だろうか? 今日の忘れらんねえよの音はいつも以上にボトムが太く感じられる。そこに乗る柴田のヴォーカルもツアーを経て自信に満ちているようで、イキイキとしている。

「俺、 チャットモンチーを聴いてまたバンドやろうと思って…」と熱いMC…と思いきや、「チャットモンチーのえっちゃんが結婚しました(泣)」とチマチマ愚痴る柴田(笑)「えっちゃんからの卒業をする為に歌います! 坂田、カウント!」と始まった曲はなんと、チャットモンチーのカバー、「シャングリラ」! ワン・コーラスながら、この日1番の熱量を放射! 続いて「この高鳴りをなんと呼ぶ」へ。いつ聴いても泣ける曲だ。「僕らパンクロックで生きていくんだ」と繋げシングル曲を連発。激しく照明が点滅するステージから演奏されたのは新曲「馬鹿だ」。メロディアスで切ないサビのリフレイン、新たな忘れらんねえよのアンセムとなりそうな名曲ではないだろうか? 梅津のベースがストレートに曲を牽引し、酒田が怒涛のタム廻しでドラマチックに盛り上げる。続いて梅津がゲストのHermann H.&The Pacemakersを紹介して呼びこむ。ビーチ・フラッグの勝負で勝利した為にゲストにきてもらったとのこと。岡本、ウルフの2人を迎えて、「俺を守りたい」。

「セットリストに無い曲をやります!」とレコーディングしたばかりという新曲を挟み、MCへ。「感動的にしようとしたのに、やっぱりクスクス笑いが起きちゃうんだよね(笑)。 クアトロに来てくれて本当にありがとうございます」という柴田のMCに大きな暖かい拍手が贈られ、ここからライヴはいつもの後半戦メニューだ。「この街には君がいない」、「北極星」では大きなボールが3つフロアに投げ放たれ宙を舞う! 激しいストロークでギターを弾く柴田はギターの弦を切っている。待ってました、とテンション高く盛り上がる「CからはじまるABC」で会場のボルテージは最高潮に。「ボールが予想以上に俺の集中を妨げた(笑)と柴田は苦笑い。本編ラストは忘れらんねえよ1stアルバムのオープニングを飾るアンセム、「忘れらんねえよ」。エンディングでブレイク、オフマイクのアカペラで「みんな歌ってくれ!」とサビの大合唱。明るく照らされるフロアで左右に振られる大勢の腕。何度も観てきた光景だが、何度見ても心が震える。ステージを去ったメンバーに、アンコールを求める手拍子が起こっていたのだが、いつの間にか観客から巻き起こった「サンキューSEX !」コールに慌てて(?)メンバーが再登場(笑)。

アンコールにはゲストにおとぎ話の有馬和樹が登場。ベースの梅津は珍しくシャツを緑色の半袖に着替えてリッケンバッカー・ベースを手にステージへ。有馬から、忘れらんねえよと観客を讃える感動的なMCが贈られ、曲は共作の「戦って勝って来い」。激しいライヴのアンコールにふさわしい、チルアウトするような曲調に優しくはっぱをかけるような歌詞のメッセージが胸に沁みる。これまた近作での名曲だ。

有馬がステージを降り、いよいよライヴは最後の曲へ。と、その前にベースの梅津より「このタイミングですいませんけど」となにやら意味深な前置きに静まる観客。「欠かさず一年間着てきたファイヤーシャツが今日でラストです」。正直ズッコケそうになりながらも、そうか、今日は忘れらんねえよにとって筆おろしの日。梅津のファイヤーシャツも今日で卒業なのだ、と理解(笑)。柴田が最後のMC「自分が得意なこと、夢中になっていることを笑顔で受け入れてもらうのは人生で初めてなんです。だから、何度も言うけど俺たちは裏切らないですよ! 絶対に裏切らないから、安心してこのflumpoolみたいな、ボンジョヴィみたいな(?)3人組に、暖かい熱量を下さい! 今日はありがとう、最後の曲です」と、ここ最近ライヴでの重要なレパートリーに なっている新曲、「バンドワゴン」を最後に演奏。ラストは「ラララララ~」とコーラスするメンバーに合わせて観客がタオルを回し大団円。終了後、「記念SEX写真」をステージ上のメンバーと観客が共にフレームに収まり、初のワンマン・ツアーは無事に終了した。

ワンマンだけに、曲数も多く、ゲストも登場する盛りだくさんの内容で、上昇気流に乗るバンドの頼もしさと安定感すら感じさせたこの日のライヴ。初のワンマン・ライヴ・ツアーを終え、ひとつの区切りをつけた忘れらんねえよ。2ndアルバムのリリース、秋から年末にかけて再びツアーと活動が続く彼らの次なるステージにこれまで以上に期待したい。(岡本貴之)

〈忘れらんねえよのワンマン筆おろしツアー〉
2013年8月9日(金)東京 渋谷クラブクアトロ
開場 18:00 開演 19:00

〈セットリスト〉
1. 僕らチェンジザワールド
2. だんだんどんどん
3. 中年かまってちゃん
4. ブログを覗き見る
5. 慶応ボーイになりたい
6. ドフトエフスキーを読んだと嘘をついた
7. あんたなんだ
8. 青年かまってちゃん(新曲)
9. サンキューアイラブユー世界
10. シャングリラ(※チャットモンチー・カバー)
11. この高鳴りをなんと呼ぶ
12. 僕らパンクロックで生きていくんだ
13. おしぼりを巻き寿司のイメージで喰った
14. 馬鹿だ(新曲)
15. 俺を守りたい with Hermann H.&The Pacemakers
16. パンクロッカーなんだよ
17. 新曲
18. この街には君がいない
19. 北極星
20. CからはじまるABC
21. 忘れらんねえよ

アンコール
22. 戦って勝って来い with おとぎ話 有馬和樹
23. バンドワゴン(新曲)

[ニュース] 忘れらんねえよ

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