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2013/06/13 07:57

 

うみのて、渋谷WWWにて2時間を越える初ワンマンを開催——OTOTOY最速レポ

 

写真 : 大甲邦喜

6月12日(水)、うみのての記念すべき初のワンマン・ライヴ<うみのて大ワンマン!~OVER THE RAINBOW TOKYO~>が、渋谷WWWにて行われた。

まるで1本の壮大な映画を観ているかのようなライヴだった。もともとは映画館であったWWWという会場のせいかもしれない。全編にわたって行われた、ステージ後方の巨大スクリーンをふんだんに使ったVJの演出と、それを増幅させるかのように曲ごとに徹底して色彩が統一された照明が際立っていた。2ヶ月におよんだツアーのファイナルでもある初のワンマン・ライヴは、大きな満足感と深い余韻を残して終了した。しかし、アンコールの最後に演奏された「EIGA」のエンディングには、こう綴られている。<幕が開いて 音楽が流れて スクリーンにストーリーが動きだして 映画がはじまった>。うみのてという壮大な物語は、まだはじまったばかりなのだ。

写真 : 大甲邦喜

小雨が降るなか、WWWに到着する。場内は、20~30代の男女を中心とした多くの人で埋め尽くされていた。うみのてのライヴではお馴染みのゲーム音楽が流れるなか、ステージ前方のスクリーンには、アルバム『IN RAINBOW TOKYO』のジャケットに描かれていた東京の街並みが映し出されている。定刻を10分ほどすぎた19時42分、場内は暗転し、スクリーンがあがる。幕が開くと、歓声に包まれながら、うみのてのメンバーがステージに登場した。

写真 : 二宮ユーキ

高野P介(Gt)が、巨大な光るウニのおもちゃを振り回し客席を煽ると、「RAINBOW TOKYO」からライヴはスタートした。笹口騒音(Vo、Gt)がギターを激しくかき鳴らし「ヘイ、渋谷!!」と叫ぶ。続く「WORDS KILL PEOPLE (COTODAMA THE KILLER)」では、うみのてファンにはお馴染みの映像作家、竹内道宏により撮影された臨場感溢れるライヴ映像が、ステージ後方の巨大スクリーンにリアル・タイムで映し出される。映像にはエフェクトがかけられ、MVの映像なども時折インサートされる。このVJの演出は、曲が持つ狂気を帯びた世界観を増幅させた。間髪入れずに演奏された「Unknown Idiot」では、「消えろ」「殺す」「死ね」という言葉が真っ赤な照明の奥に映し出され、会場をさらなる狂気へといざなう。その会場の中心で笹口は雄叫びをあげ、客席を扇動した。観客もそれに拳をあげてこたえる。

写真 : 大甲邦喜

場内が明るくなり、笹口が口を開く。「こんばんは、うみのてってバンドです。みなさん誰を観にきたんですか? 今日は僕たちしか出ません。居酒屋、渋谷わらわらわら… ではなくて、ライブ・ハウス、渋谷WWWに集まったからには、わかってますよね!?」と、先ほどの狂気から一転した、いつもの笹口のユーモアたっぷりなMC。笹口の「この渋谷も、うみのてがワンマンやってるからには、もはや…」の前フリに、客席は待ってましたとばかりに「平和ではない!!」と声をあげる。高野の鋭いギターが鳴り響くと、「もはや平和ではない」が演奏された。比較的激しい曲が多かった第一部の最後に演奏されたのは、「TALIKNG BABY BLUES(HEY BOY HEY GIRL)」。ここで一度、メンバーがステージからはける。

写真 : 二宮ユーキ

しばしの休憩を挟み、スクリーンに海の映像が映し出されると、「SAYONARA BABY BLUE」が流れる。どうやらこの映像は、この日初披露のMVのようだ。断崖にひとりの少女が立ち、夜から朝へと時間が流れていく。無垢な少女は、いまにも泣きそうな、憂いを帯びた表情をみせる。やがて少女は、着ていたワンピースを脱ぎ捨て裸になると、海へと飛び込んだ。なお、少女を演じていたのは神谷まゆというAV女優らしい。

写真 : 大甲邦喜

MVの上映が終わると、そのまま第二部がはじまる。アコースティック・ギターを抱えた笹口が登場すると、そのままひとりで「SAYONARA BABY BLUE」を歌いはじめた。<水際に君がいる 感情をおさえている その目は薄汚れてて やけにきれいさ Baby Blue>という歌詞が心をえぐる。1コーラスを歌い終えると、他のメンバーも衣装を着替えてステージに登場し、演奏に加わった。第二部は、寺本みき(Glocken、Key)の軽快なピアニカと祭のようなリズムからはじまる「花火 part2」など、多彩な曲が演奏される。「旅人のすすめ」では、スクリーンにツアー各地で撮られた写真が次々にスライドされた。こちらは、早瀬雅之(Ba)がマカンコウサッポウでメンバーを吹っ飛ばしている写真や、笹口が高野に昇竜拳をくらわせている写真もあり、メンバーの仲の良さとツアーの充実ぶりがうかがえる内容となっていた。

写真 : 二宮ユーキ

ライヴは終盤へ。「ぐるぐる回る」では、ギターを恋人のように優しく抱きしめながら、<地獄はいろいろたくさんあるけど 天国はひとつ あなたの腕のなか>と歌う笹口の姿が印象的だった。曲が終わると同時に、笹口はギターを抱きかかえたまま後ろに倒れこむ。しかし、すぐさまギターを捨てて立ち上がり、シャツを客席へ豪快に脱ぎ捨てる。「渋谷ー! 俺の家を知ってるか!? 俺の家は東京駅!!」と叫ぶと、「東京駅」が演奏された。客席前方は解き放たれたかのように激しいモッシュが起こる。ここで笹口も客席へダイブ、そのまま客席最上段へ。混沌と化した客席は大きく沸きあがり、拳をあげて叫ぶ。場内の熱は頂点に達した。途中、キクイマホ(Dr)のドラム・ソロにあわせ、スクリーンにキクイの幼少期~学生時代の写真が、まるで結婚式のスライドショーのようにめまぐるしく映し出された。曲が終わると、キクイは照れくさそうに手をあげてはにかむ。なお、キクイは恋人募集中とのこと。そして、笹口が「これが僕たちの最初の第一歩ということで、ありがとうございました」と挨拶し、「FUNADE」を演奏すると、第二部が終了した。

写真 : 大甲邦喜

アンコールに応えて、色とりどりのTシャツに身を包んだメンバーが登場する。このTシャツの黒ヴァージョンは、この日に限定で販売されていたものだ。なお、普段はさまざまな柄のシャツを着て演奏している高野が、Tシャツ姿でステージに立つのは、これがはじめてのことらしい。「正常異常」を演奏後、2度目のアンコール。ライヴのラストを飾ったのは「EIGA」。演奏するメンバーの背後に、太陽や月面、虹、夕暮れなどの映像が流れ、まるで映画のエンドロールを眺めているようだった。すべての演奏が終わると、メンバーはみな満足そうな笑顔を浮かべている。笹口がメンバーをステージ中央に集めると、全員で手をあげて一礼。2時間を超えるライヴは幕を閉じた。

写真 : 二宮ユーキ

笹口が話していたとおり、これまでの集大成であると同時に、これからの第一歩となるにふさわしいステージだった。それぞれ別の場所でキャリアを積み重ねてきたメンバーが集まったバンド、うみのて。メンバーそれぞれが、これまで個々でさまざまな物語を描いてきたからこそ、この第一歩があったのだと思う。そんな彼らがうみのてとして描いたストーリーの序章である、この日のライヴは素晴らしいものであった。このストーリーがこれからいったいどんな素敵な展開をみせるのか、楽しみでならない。(前田将博)

写真 : 大甲邦喜

〈うみのて大ワンマン!~OVER THE RAINBOW TOKYO~〉

2013年6月12日@渋谷WWW

<セットリスト>

第一部
1. RAINBOW TOKYO
2. WORDS KILL PEOPLE(COTODAMA THE KILLER)
3. Unknown Idiot
4. NEW WAR(IN THE NEW WORLD)
5. もはや平和ではない
6. ATOMS FOR PEACE
7. NEW CLEAR, NEW FUTURE
8. 恋に至る病
9. TALIKNG BABY BLUES(HEY BOY HEY GIRL)

SAYONARA BABY BLUE PV上映

第二部
10. SAYONARA BABY BLUE
11. SUICIDAL SEASIDE
12. 花火 part1
13. 花火 part2
14. 三億年
15. 旅人のすすめ
16. 僕の家
17. 四角い部屋
18. ぐるぐる回る
19. 東京駅
20. FUNADE

アンコール
21. UMINOTE LAST TRAIN
22. 正常異常
23. EIGA

■うみのて LIVE INFORMATION

Shimokitazawa Indie Fanclub 2013
2013年6月23日(日)@下北沢周辺

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents 「NANO-MUGEN CIRCUIT 2013」
2013年6月26日(水)@仙台Rensa

見放題 2013
2013年7月6日(土)@大阪アメリカ村周辺

チチカットフォーリーズの夜 第二夜
2013年7月7日(日)@京都VOX HALL

Quip presents「&+」
2013年7月31日(水)@下北沢GARDEN

・うみのて HP
http://uminote.blogspot.jp/

・OTOTOY うみのて特集
http://ototoy.jp/feature/index.php/20130322

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