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2013/05/29 13:00

 

〈第2回パンダ音楽祭〉パンダをかぶったオオカミたち!? が個性豊かに感性を競う――OTOTOY最速レポ

 

Photo:勝永裕介

晴天の下、開催となった第2回パンダ音楽祭。昨年は11月という寒い季節の開催だったが、今年は初夏の陽気を感じさせる、5月25日(土)に開催。家族連れも含め、多くの音楽ファンが上野恩賜公園・野外ステージ(水上音楽堂)に詰めかけ、前売り券はソールド・アウト、発売された当日券も売り切れる大人気となった。チケット売り場のパンダ帽をかぶったスタッフが早くも楽しげなイベントを想像させる。

Photo:勝永裕介
まずは司会の藤岡みなみが顔出しパンダ・ルックで登場! 「パンダの発情期に海外では音楽を聴かせるそうです!」といきなりインパクトあるトークが炸裂(笑)。「盛り上がってくれますかー!?」の声に満員の観客も大声援で応える。

Photo:勝永裕介
早速トップ・バッターのギターパンダを呼び込むが、着ぐるみで前が見えないギターパンダをステージまで藤岡が先導。「このまま行くとステージ前の池に落ちます!」と先導してくれたお礼に、まずは藤岡みなみに歌をプレゼントするギターパンダ。「イェー! こちらこそイェー! 」「盛り上がってますね、サイコーですね! 手拍子をよろしく! のりを君GOGO!」といつものようにゴキゲンなステージング。ハイハットにタンバリンを乗せて歌うギターパンダ。1人でもロックンロールできる男だ。「ひとつだけ不安なんですけど、僕は前向いてますか!? 」に笑いが起こる。「うたをうたおう」を歌っていると、ジョニー大蔵大臣が客席に走って現れた。聞いてみると、「大好きな曲なんで!」と嬉しそうだ。「子どもの夢をぶち壊す、パンダの正体こんな人だったのかコーナー!」と頭を取ると小さいパンダ帽が(笑)。さらにもう一枚脱ぐとまたパンダ帽(笑)、もう一枚脱ぐとさすがに帽子は無く、かわりにロックンロールおじさん、カルピスプレスリー登場! 「飛ばせロック」でコール&レスポンス! 盛り上がる観客。「最後の曲です!」に対する「エー!?」という反応の観客に「六輔!」(永六輔)と何度も返すギターパンダ。し、しつこい! 貫録のステージングでパンダ音楽祭らしい、楽しいスタートを切った。

Photo:勝永裕介
続いて登場はチャラン・ポ・ランタン、ももちゃんはパンダを抱えて登場、と思いきやパンダの頭をつけた中身はいつもの豚さん(笑)! ステージ前を走り回っている小さな子供たちに「走ってないで聴け!」と毒づく姉・小春(笑)。 構わず走り回る子供たち。実に楽しい光景。小春のアコーディオンにあわせてステージ前方で煽りながら歌うももちゃん、「チャラン・ポ・ランタンを初めて見る人が9割5分だと思うんですが!」と謙遜ぎみに、「自己紹介します」、というと拍手が。小春、「拍手してる人たち、みたことある人ばっかり(笑)!」
といいつつ、自己紹介。

Photo:勝永裕介
続いて曲は「今さら惜しくなる」。そして、「みんなが好きなものを歌にしました!」と「Oppai Boogie」。「みんなおっぱいの為に生きてるんだよね~!?」と煽ると客席から「おっぱいコールが(笑)!」客席を練り歩きながら歌うももちゃん。子供を捕獲したり、お客さんに乗っかったり豚で叩いたり、やりたい放題の彼女をカメラマンがケーブルをさばきながらフォローしている(笑)。「最後の曲になってしまいました!」「エー!?」「六輔!」と小春はギターパンダのMCをしっかりカバー(笑)。最後は哀愁を感じさせるアコーディオンの音色でしっとり聴かせてステージを後に。

Photo:勝永裕介
落語家の立川こしらが登場、「さっきの姉妹の姉の口の悪さ!」と笑わせ、パンダ落語を披露。続いてジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい)、「ももちゃんの大事な物を奪ってきました!」と豚のぬいぐるみを手に登場。「安めぐみのテーマ」でマイクにリヴァーブを深くかけ、音楽堂に響く「安めぐみ~!」という絶叫にさらに場内大爆笑。「農業、校長、そして手品」、そして乙武洋匡も絶賛の「おっと!オトタケ」ではまたしても客席を爆笑のウズに。「智恵子は東京にはオトタケがないと言う~」「私のことは嫌いでもオトタケのことは嫌いにならないで下さい!」に
に大喝采が沸き起こる。最後は自らアンコールの拍手をして、谷川俊太郎「詩人の墓」を元に作られた「芸人の墓」を歌う。これまで笑っていた客席がじっと聴き入る、汗だくになっての熱演だった。

Photo:勝永裕介
代わって平賀さち枝が登場。夕暮れてきた会場に透き通った歌声が流れて行く。リズミカルなギターのストロークに客席から手拍子が起こる。この会場ならではの、のんびりしつつざわついた雰囲気の中、日常の吟遊詩人といった趣の平賀さち枝の歌が良く似合う。その後、麻布十番のショーパブからモノマネ芸人2人が登場、「みなさんの貴重な人生の中から15分、受け入れて下さい!」に暖かい拍手。歌まねメドレーで観客を湧かせた(特に福山雅治には大歓声!)。

Photo:勝永裕介
少し夕暮れてきたステージに、奇妙礼太郎が登場。サウンドチェックで声をあげると大歓声があがる。いつの間にかステージ前の池の周囲はファンが囲んでいる。音に合わせて踊っている者、地べたに座り込んでビール片手に体を揺らしてる者。思い思いの楽しみ方だ。途中、弦が切れて張り替えながらのマイペースにMC。惹きつけられる声と飄々としたパーソナリティがたまらなく魅力的だ。定番の「赤いスイートピー」でうっとりさせると、最後は「オー・シャンゼリゼ」で大合唱。間に「ドレミの歌」を挟んで、ステージ前に集まった観客が総立ちの中、出番を終えた。

Photo:勝永裕介
夜が近づき、肌寒くなってきたステージに、今最もアツいバンド、忘れらんねえよのボーカル・柴田隆浩が大歓声に迎えられて登場。「こんばんは糞バンド忘れらんねえよの柴田です!」といつも通りのMCから、いきなり「この高鳴りをなんと呼ぶ」でライヴをスタート! アコースティックギターでの弾き語りとはいえ、顔を紅潮させて叫ぶ柴田、エモい!そしてバンド演奏時のパンキッシュさとは違うアレンジの「北極星」。さらに新曲、「僕らパンクロックで生きていくんだ」。忘れらんねえよの所信表明とも言える音楽への想いが詰まった楽曲だ。「サンキューSEX!」と家族連れの前でもいつもの調子の柴田が頼もしい! 続いて「この街には君がいない」アコースティック・ギターで歌われることで忘れらんねえよの楽曲の良さが際立ってくる。そして「CからはじまるABC」を歌い出すと、柵をまたいでステージ前の浅い池に乗り込むファンも。やはり忘れらんねえよのファンはアツい。ギターの弦を切りながら、「忘れらんねえよ」、新曲のひとつ、「バンドワゴン」で締めた。

Photo:勝永裕介
夜を迎え、トリの曽我部恵一がステージに。辺りはすっかり日が暮れている。静かに歌い出す曽我部恵一につられるようにどんどん夜に近づいていく。歌声は伸びやかで、屋外に良く通る。そしてギターも実にボトムが太く、力強い。「パンダ音楽祭って、上野のパンダっていうことだよね!? 最近気がついた(笑)」と曽我部。 昨年も出てるのに! 「今日は子供の運動会に行ってました」というMCから「大人になんかならないで」みんな静かに聴き入っている。一転して激しいビートを奏で、「君の愛だけが僕のハートをこわす」、続く、「満員電車は走る」でステージ周りに集まった観客がどんどん立ち上がり、やがて大合唱に。髪を振り乱して激しくギターをかき鳴らす姿と、ステージのサーカス小屋風の装飾が対象的だ。続く「キラキラ!」でますますステージ周りには人だかりが出来て盛り上がる。「魔法のバスに乗って」ではさらに、客席上からどんどん人が降りて盛り上がる。よくみればギターの弦が切れている。「弦が切れたけど、最後は「STARS」という曲を!」に歓声があがり、多くの観客が一緒に歌い出す。最後、ギターを置いてハンドマイクを握り、アカペラで歌う曽我部に応え、会場全体が手拍子で大合唱!

Photo:勝永裕介
見事なシャウトを響かせてステージを後にした曽我部にアンコールの声が自然に湧き上がる。再登場した曽我部は「ギターの弦が殆どないので(笑)、マイクなしで、と弦が数本のギターを弾きながら、ほぼアカペラで、「mellow mind」を歌う曽我部。いつのまにか前方の観客はほとんどが立ち上がり、ステージの彼を見つめている。短いながらもアンコールの声に精一杯答え、ステージを後にした曽我部恵一。それはとても感動的な光景であった。こうして幕を閉じた〈第2回パンダ音楽祭〉。天候にも恵まれ、出演者全員が素晴らしい歌を聴かせてくれたこのイベントが、またすぐに開催されることに期待したい。とても心ある、予想以上に素晴らしい音楽祭だった。(岡本貴之)

Photo:勝永裕介

★終演後、チャラン・ポ・ランタンにミニ・インタビュー★
――お疲れさまでした!
もも(Vo):楽しかったね~!
――盛り上がりましたね!
もも:おっぱいがね(笑)!
小春(Accordion):ああ、おっぱいがね! おっぱいはみんな好きだからしょうがない(笑)!
――(笑)昨年に続いての登場でしたけど、いかがでしたか?
小春:去年は11月で寒かった! ホッカイロ配られてたし。
――今日は天気も良くて子供が演奏中走り回ってましたね。
小春:ああ、良く来てる子供なんですよ。
――かなり激しくいじってましたけど(笑)。
小春:いじっても泣かないんで(笑)。
もも:「うるせぇ!」ってね(笑)。
――チャラン・ポ・ランタンのライヴでは良くある光景?
小春:そうですね。結構ちびっ子ちゃんがいたりするんですよ。
もも:今日は会場が野外だったんで、走り回ってましたね。
――ももちゃんが客席に降りて行って盛り上げてましたね、お客さんの上に乗ったりして。
もも:最初、ステージ前の池を走って越えようとか思ったんですけど、やらなくてよかった(笑)。
――登場した時に、パンダのぬいぐるみを持ってきたかと思ったら、ブタにパンダの顔をかぶせただけで笑いました。
もも:はい、中身はいつも通り(笑)。
――お2人は海外のフェスにも出演していらっしゃいますけど、比較してみていかがですか?
小春:パンダ音楽祭は家族連れが多いですね。
もも:それと天井広くて気持ち良いよね。
小春:あと、MCでも言ったんですけど、私17歳の頃から上野で投げ銭の大道芸人をやってたんですよ。投げ銭だけで生活してたんで、だから上野駅が一番降りた駅だと思うんで。こういう形で出演できて感慨深いですね。
もも:しかも2回も呼んで頂いて。
――この1年で知名度もアップしていますよね。
小春:いやいや、うちらなんてついででしょ~! 出てたからついでに観たっていう。
――でも、ステージのサーカスっぽい装飾がチャラン・ポ・ランタンぽく…
マネージャー:あ、あれは主催側がうちらのジャケットを参考に作ってくれたらしいんですよ。
――ああ、そうだったんですか! どうりで似合ってるわけですよね(笑)。
小春:まあ、うちらの為にあるようなフェスになっちゃいましたね。
もも:ヤバいヤバい、言わなきゃよかった(笑)。
小春:毎回呼ばれなきゃいけない感じ(笑)?
――(笑)。ステージ側が寄せてきているという。それはやっぱりパンダ音楽祭に必要な存在だからですね。
小春:でも、こういうステージ、意外と合うんだねっていう感じですね。
もも:あんまり昼間、野外でやるような音楽やってないしね。
小春:野外で「おっぱい」って叫ぶのもねぇ…
もも:でも気持ち良かった!
――(笑)。そういえば、客席を練り歩くももちゃんをカメラさんがケーブルを引いてアシストしてましたね。
もも:ねぇ~! カメラマンという仕事がありながら、ケーブル持ちながら片手で撮ってくれましたからね(笑)。後で謝らないと(笑)。
小春:今日は2人だけでやるのが久しぶりだったんですけど、楽しめました! また呼ばれないかなぁ~。
――絶対呼ばれると思います(笑)! ありがとうございました。
小春・もも:ありがとうございました~!

★終演後、司会の藤岡みなみにミニ・インタビュー★
――お疲れ様でした! 藤岡みなみさんは昨年に引き続きの司会でしたが、イベントを振り返っていかがでしたか?
みなみ:昨年の第1回から、ハートフルだったんですけど、今日は何倍もパワー・アップしてました。ハートフルさが(笑)。
――どういう所にそれを感じましたか?
みなみ:あ、これは弾き語りのイベントなんだ、と2回目で気がついたんですよ。
――え、もともと弾き語りの音楽祭ですよね?
みなみ:はい。印象的にはコンパクトなんですけど、あまりに世界が広がっているのと、出演者がバラエティに富んでいることで、同じスタイルでも全く違うんで。だから一回目には気が付かなかったんですよ。弾き語りイベントだということに。
――会場がバンドの音を出しちゃいけないという制限があるんですよね。
みなみ:そう、でもそれが良い作用になっていますよね。楽器ひとつでやる人間パワーというか。それに対してお客さんが盛り上がるという。派手にサウンドが鳴っているわけじゃないけど、別の物が派手なんですよね。勢いとか個性とか。そこに注目できるのがこの〈パンダ音楽祭〉の凄さなんだな、と思いました。
――観る方もリラックスしてますし、演奏する側との相乗効果がありますよね。
みなみ:そうですね。場所も良いですよね。ステージから観る客席の景色が、なんか可愛らしいんですよ。お客さんと、出演者と、場所、全部が良くて。「もうどうしようっ」て感じでした(笑)。
――出演者の立場で見ても、そう思えるのは素敵ですね。
みなみ:いやいや、私はもうお客さんですよ気持ちは(笑)! 自分が好きな音楽とパンダがあるから、自ら志願して出してもらってるんで、私はもう楽しんでるだけです(笑)。
――今日は最初から最後まで、出演者の方全員が素晴らしい演奏でしたよね。後半の3人(奇妙、柴田、曽我部)は全員ギターの弦を切るほどの気合いの入りようで。
みなみ:そうなんですよね。凄いピースフルな空間なんですけど、誰ひとり「やっぱり愛と平和だよね」とか言ってるわけじゃないんですよね。自然にピースフルになっているというか。あと、一見みんなが優しい歌を歌っているように見えるんですけど、結構尖ってるんですよ。お客さんが、ゆったりとかゆるい感じに呼応してるんじゃなく、尖ってる感じに共鳴してる感じがあって。で、最終的に曽我部さんに向けて素直な自分の気持ちを叫ぶというか(笑)。
――全部集約されて終わった感じはありましたね。
みなみ:なんか凄くストーリーがあるんですよね。
――最後、客席の上の方からもお客さんがステージ前に集まって、ギターの弦が切れた曽我部さんがアカペラで歌って。感動的な光景でしたよ。
みなみ:そうそうそう。余計なものが全部なくなっていく感じで(笑)。
――本当に素晴らしいイベントでした。
みなみ:ぜひ続いてほしいです。自分は司会として関われたら嬉しいですし、もし関われなくてもお客さんで来ます(笑)。
――いやいや、ぜひまた司会で出て下さい。今日はありがとうございました!
みなみ:はい、ありがとうございました!

(岡本貴之)

〈第2回パンダ音楽祭〉
2013年5月25日(土)13時開場 / 13時半開演
上野恩賜公園野外ステージ(水上音楽堂)

出演
曽我部恵一 / 奇妙礼太郎 / チャラン・ポ・ランタン / 柴田隆浩(忘れらんねえよ)/ 平賀さち枝 / ギターパンダ / ジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい) / 立川こしら(落語家・立川流真打) / おおともりゅうじ& 鈴木麻由(ものまね) / 藤岡みなみ(パンダ研究家)

オフィシャルサイト
www.pandaongakusai.com

[ニュース] 奇妙礼太郎トラベルスイング楽団, 平賀さち枝, 忘れらんねえよ, 曽我部恵一, 水中、それは苦しい

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